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めぐ
ふりがな文庫
“
廻
(
めぐ
)” の例文
もう尾瀬沼に近い随分不便な村ですが、ここで色々面白い品に
廻
(
めぐ
)
り会います。
手彫
(
てぼり
)
の
刳鉢
(
くりばち
)
や
曲物
(
まげもの
)
の手桶や、風雅な趣きさえ感じます。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
しばらく虚々実々、無言にして、天体の日月星辰を
運行
(
めぐ
)
る中に、新生の惑星が新しく軌道を探すと同じ叡智が二人の中に駈け
廻
(
めぐ
)
った。
富士
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
暑い時分だったので、わしは朝早く、一番汽車に乗って、Y温泉地に出掛けたが、ここでまた、思いもかけぬ幸運に
廻
(
めぐ
)
り合った話だ。
白髪鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
煤
(
すす
)
けた破れた障子と、外側に
廻
(
めぐ
)
らした
亜鉛
(
トタン
)
の垣との間はわずかに三尺ばかりしかなかった。女の苦しみ悶える声が
途
(
みち
)
の上に聞えた。
悪魔
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
徘徊
(
はいくわい
)
し
廻
(
めぐ
)
り/\て
和歌山
(
わかやま
)
の平野村と云へる所に
到
(
いた
)
りける此平野村に
當山派
(
たうざんは
)
の
修驗
(
しゆけん
)
感應院
(
かんおうゐん
)
といふ
山伏
(
やまぶし
)
ありしが此人甚だ
世話好
(
せわずき
)
にて嘉傳次を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
▼ もっと見る
ソシテ世ニモ珍シイ
廻
(
めぐ
)
リ合セト云ウベキハ、陰険ナ四人ガ互イニ
欺
(
あざむ
)
キ合イナガラモ力ヲ
協
(
あわ
)
セテ一ツノ目的ニ向ッテ進ンデイルヿデアル。
鍵
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
終
(
つひ
)
には元禄七年甲戊十月十二日「
旅
(
たび
)
に
病
(
やみ
)
て
夢
(
ゆめ
)
は
枯埜
(
かれの
)
をかけ
廻
(
めぐ
)
る」の一句をのこして浪花の花屋が
旅囱
(
りよさう
)
に
客死
(
かくし
)
せり。是
挙世
(
きよせい
)
の知る処なり。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
「まあ俺の方は俺の方でいいが、金公、手前こそ命拾いをした上に、俺の命を拾ってくれたんだから、
廻
(
めぐ
)
り合せがよく出来ている」
大菩薩峠:09 女子と小人の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
例のその日は
四
(
よ
)
たび
廻
(
めぐ
)
りて今日しも
来
(
きた
)
りぬ。晴れたりし空は午後より曇りて
少
(
すこし
)
く
吹出
(
ふきい
)
でたる風のいと寒く、
凡
(
ただ
)
ならず
冷
(
ひ
)
ゆる日なり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
谷口金五郎に至つては、
莫逆
(
ばくぎやく
)
の誓を破つて毒計を
廻
(
めぐ
)
らし、この小倉嘉門を殺害せる罪、千萬供養を重ぬると
雖
(
いへど
)
も忘るゝ由はない。
銭形平次捕物控:203 死人の手紙
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
この前、
日名子
(
ひなこ
)
氏に案内されて地獄
廻
(
めぐ
)
りをした時は、人力車でなければ通れなかった。所によると徒歩でなければ通れなかった。
別府温泉
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
あの自動車のまぎれない特徴は、仏国警察の頑丈な盗難台帳に記帳しておいたから、もし縁があれば、また
廻
(
めぐ
)
り合うこともあるであろう。
ノンシャラン道中記:02 合乗り乳母車 ――仏蘭西縦断の巻――
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
今こそ、まことのこころを持った
女
(
ひと
)
にようやく
廻
(
めぐ
)
り逢うことが出来たのです。本当に永い苦労の
仕甲斐
(
しがい
)
があったと云うものです。
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
一歳
(
ひととせ
)
か、
二歳
(
ふたとせ
)
か、
三歳
(
みとせ
)
の後か、明さんは、またも国々を
廻
(
めぐ
)
り、廻って、唄は聞かずに、この里へ廻って来て、空家
懐
(
なつか
)
し、と思いましょう。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
角に土蔵があって幅一間ほどの広い下水が塀を
廻
(
めぐ
)
って流れていた。門前の路を東に向って行けば一、二町にして三味線堀に出るのである。
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
孝「まだ仇には
廻
(
めぐ
)
り逢いませんが、主人の法事をしたく一先ず江戸表へ立帰りましたが、法事を致しまして
直
(
すぐ
)
に又出立致します」
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
決して一直線に付いて居るのでなくって山のうねうねと
畝
(
う
)
ねくって居るところを
廻
(
めぐ
)
り廻って、あるいは
昇
(
あが
)
りあるいは
降
(
さが
)
って行きますので
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
その下で八十の彼女は、日ごとに、六ツ折りの
裾
(
すそ
)
に絵をかいた
障子屏風
(
しょうじびょうぶ
)
を
廻
(
めぐ
)
らし黒ぬりの
耳盥
(
みみだらい
)
を前におき、残っている歯をお歯黒で染めた。
旧聞日本橋:03 蕎麦屋の利久
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
むずかしそうな在所の
両親
(
ふたおや
)
の顔や、十両の小判や、黄八丈の小袖や、それが
走馬燈
(
まわりどうろう
)
のように
彼女
(
かれ
)
の頭の中をくるくると
廻
(
めぐ
)
った。
黄八丈の小袖
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
試みに四国八十八ヶ所
廻
(
めぐ
)
りの部を見るに岩屋山海岸寺といふ札所の図あり、その図
断崖
(
だんがい
)
の上に
伽藍
(
がらん
)
聳
(
そび
)
えその
傍
(
かたわら
)
は海にして船舶を多く
画
(
えが
)
けり。
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
印度人たちの少年に対する
鄭重
(
ていちょう
)
さやさっきからの食い違っていた問答やが、瞬間旋風のように私の頭の中でぐるぐると
廻
(
めぐ
)
って、腑に落ちた。
ナリン殿下への回想
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
彼の頭は
焦燥
(
いらだ
)
つと共に乱れて来た。彼の観念は彼の
室
(
へや
)
の中を
駆
(
か
)
け
廻
(
めぐ
)
って落ちつけないので、制するのも聞かずに、戸外へ出て縦横に走った。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
殊
(
こと
)
に、
既成
(
きせい
)
政治家の張り
廻
(
めぐ
)
らした
奸悪
(
かんあく
)
な組織や習慣を一つ一つ
破砕
(
はさい
)
して行くことは、子路に、今まで知らなかった一種の
生甲斐
(
いきがい
)
を感じさせる。
弟子
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
彼はその
周囲
(
まわり
)
を
廻
(
めぐ
)
りに廻って二つ横に並んだ男女のすがたを頭の方からも足の方からも
眺
(
なが
)
めて、立ち去るに忍びない気のしたことを思出した。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
その
曙光
(
しょこう
)
を見出して来るとともに、日本左衛門中心の一味にとって、事ごとに邪魔になるものは、その短刀を
廻
(
めぐ
)
ッて同じ
猟奇心
(
りょうきしん
)
に動く人間と
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
鳥の羽音、
囀
(
さえず
)
る声。風のそよぐ、鳴る、うそぶく、叫ぶ声。
叢
(
くさむら
)
の蔭、林の奥にすだく虫の音。
空車
(
からぐるま
)
荷車の林を
廻
(
めぐ
)
り、坂を下り、
野路
(
のじ
)
を横ぎる響。
武蔵野
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
それが自分の肉親の子である。肉親の父と子が、一人の女を
廻
(
めぐ
)
って争っている。親が女の
許
(
もと
)
へ忍ぶと子が先廻りしている。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
その中に唯独り正面の時計の振り子は、
硝子
(
ガラス
)
の鉢に水銀の波を湛えて、黄金の神殿の床を緩やかに
廻
(
めぐ
)
って行き、又、ゆるやかに廻りかえって来た。
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
彼等が悟を説くや、到底城見物の案内者が、人を導きて城の
外濠
(
そとぼり
)
内濠をのみ果てしなく
廻
(
めぐ
)
り廻りて、
竟
(
つひ
)
に其の本丸に到らずして
已
(
や
)
める趣きあるなり。
予が見神の実験
(新字旧仮名)
/
綱島梁川
(著)
油を吸う燈心の音、与惣次は首を
廻
(
めぐ
)
らした。身の自由も今は幾らか返ったらしい。が、起き上ることはできなかった。
釘抜藤吉捕物覚書:04 槍祭夏の夜話
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
初めは怨めしさうに女教師の顔を見て居たが、フイと首を
廻
(
めぐ
)
らして、側に立つ垢臭い女神、頭痛の化生、繻子の半襟をかけたマダム馬鈴薯を仰いだ。
雲は天才である
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
裁判所へ行けば倉子が既に行て居るから吾々が逮捕状を得るのを見て、生田を逃す様な工夫を
廻
(
めぐ
)
らせるかも知れぬぜ
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
例
(
たと
)
へば、それが
朝
(
あさ
)
の九
時
(
じ
)
であつたと
假定
(
かてい
)
して、
丁度
(
ちやうど
)
其時
(
そのとき
)
に
稽古
(
けいこ
)
を
初
(
はじ
)
める、
時々
(
とき/″\
)
何時
(
なんじ
)
になつたかと
思
(
おも
)
つて
見
(
み
)
る、
時計
(
とけい
)
の
針
(
はり
)
は
廻
(
めぐ
)
つて
行
(
ゆ
)
く!一
時半
(
じはん
)
に
晝食
(
ちうじき
)
!
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
突当
(
つきあた
)
りは奥の家の門で横に薄青く塗つた木製の低い四角な戸のあるのが自分達の下宿の
入口
(
いりくち
)
である。同じ青色を塗つた金網が花壇に
廻
(
めぐ
)
らされて居る。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
弟は
廻
(
めぐ
)
り合せがわるく、これ
迄
(
まで
)
転々と職業を変えて、この節はそれでも千住のゴム会社に勤めているが、衣川は去年から職を失って、ぶらぶらしていた。
秘められたる挿話
(新字新仮名)
/
松本泰
(著)
和尚のはからいに男を伏せてかくまったこの鐘よ、
硫黄
(
いおう
)
色の
焔
(
ほのお
)
を吐きながらいく
廻
(
めぐ
)
り巻くかと思ううち、鐘も男も鉛のようにどろどろ溶けてしまったわ。
道成寺(一幕劇)
(新字新仮名)
/
郡虎彦
(著)
一層
頻繁
(
ひんぱん
)
に落ちて来る血潮を受け止めながら、赤羽主任は反射的に天井を見上げた。それに誘われて傍の人々もひとしく高い浴室の天井に首を
廻
(
めぐ
)
らせた。
電気風呂の怪死事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
おおきな
楼房
(
にかいや
)
があって高い
牆
(
へい
)
を四方に
廻
(
めぐ
)
らしていた。小婢はその前に往ってちょっと足を止めて許宣の顔を見た。
蛇性の婬 :雷峰怪蹟
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
かういつて火皿へ紙を押込んでぐりつと
廻
(
めぐ
)
して烟脂のついた紙を火鉢の隅へ棄てゝ詰つた羅宇をふうと吹いた。
おふさ
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
四人バラバラに森林の中へ入ると、四方八方へ駈け
廻
(
めぐ
)
って、手に石を拾い取ると、一種の合図めいた調子を取って、老木の幹を叩きつづけたのであるから。
生死卍巴
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
南の空に引き
廻
(
めぐ
)
らす、ブリュームリスアルプの、ふと火のように輝くのを見た、私は草に寝て、ぼんやりと幻のように、アルペングリューンを眺めている。
スウィス日記
(新字新仮名)
/
辻村伊助
(著)
今
(
いま
)
は
死
(
し
)
を
待
(
ま
)
つばかりなり。
即
(
すなは
)
ち
難
(
なん
)
を
貴下
(
きか
)
の
許
(
もと
)
に
報
(
ほう
)
ず、
稻妻
(
いなづま
)
幸
(
さひはひ
)
に
死
(
し
)
せずして、
貴下
(
きか
)
に
此
(
この
)
書
(
しよ
)
を
呈
(
てい
)
するを
得
(
え
)
ば、
大佐
(
たいさ
)
よ、
乞
(
こ
)
ふ
策
(
はかりごと
)
を
廻
(
めぐ
)
らして
吾等
(
われら
)
の
急難
(
きふなん
)
を
救
(
すく
)
ひ
玉
(
たま
)
へ。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
一階にはまだそのほかに暗い部屋が二つあって、一つは
毛蒲団
(
けぶとん
)
をいちめんに張り
廻
(
めぐ
)
らし、もう一つは板張りだが、いずれも
兇暴性
(
きょうぼうせい
)
の患者を収容するのである。
紅い花
(新字新仮名)
/
フセヴォロド・ミハイロヴィチ・ガールシン
(著)
今にして思えばこれは安政六年の夏に、香以が三十八歳で江の島、鎌倉を
廻
(
めぐ
)
った紀行の草稿であったらしい。
細木香以
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
「林を
出
(
いで
)
て
還
(
かえ
)
ってまた林中に入る。
便
(
すなわ
)
ち是れ
娑羅仏廟
(
さらぶつびょう
)
の東、
獅子
(
しし
)
吼
(
ほ
)
ゆる時
芳草
(
ほうそう
)
緑
(
みどり
)
、象王
廻
(
めぐ
)
る
処
(
ところ
)
落花
紅
(
くれない
)
なりし」
般若心経講義
(新字新仮名)
/
高神覚昇
(著)
永住方針で居たが、果して村に踏みとどまるか、東京に帰るか、もっと山へ入るか、分からぬと言うて居ます。其
挙句
(
あげく
)
が
前述
(
ぜんじゅつ
)
の通り十年のドウ/\
廻
(
めぐ
)
りです。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
よしや一
斗
(
と
)
の「モルヒ子」に
死
(
し
)
なぬ
例
(
ためし
)
ありとも
月夜
(
つきよ
)
に
釜
(
かま
)
を
抜
(
ぬ
)
かれぬ
工風
(
くふう
)
を
廻
(
めぐ
)
らし
得
(
う
)
べしとも、
当世
(
たうせい
)
小説
(
せうせつ
)
の
功徳
(
くどく
)
を
授
(
さづ
)
かり
少
(
すこ
)
しも其
利益
(
りやく
)
を
蒙
(
かうむ
)
らぬ事
曾
(
かつ
)
て
有
(
あ
)
るべしや。
為文学者経
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
、
三文字屋金平
(著)
そのコース以外には
脱
(
のが
)
れる気遣いのない白襟嬢に、
廻
(
めぐ
)
り合うことすら、仲々天日に恵まれないのだから、思えば昔の仇討ちなんて、余程精神修養を積まないと
青バスの女
(新字新仮名)
/
辰野九紫
(著)
大八の
片輪
(
かたわ
)
田の中に踏込んだ
様
(
よう
)
にじっとして、くよ/\して居るよりは外をあるいて見たら又どんな女に
廻
(
めぐ
)
り
合
(
あう
)
かもしれぬ、目印の柳の下で
平常
(
ふだん
)
魚は
釣
(
つ
)
れぬ代り
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
神が
鳴鏑
(
なりかぶら
)
の矢を
捜
(
さが
)
しに、大野の中に入って行かれると、火をもって焼き
廻
(
めぐ
)
らされて、出る
路
(
みち
)
がわからなくなった。鼠来て云ひけるは、内はほらほら
外
(
と
)
はすぶすぶ。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
廻
漢検準1級
部首:⼵
9画
“廻”を含む語句
引廻
廻廊
見廻
輪廻
迂廻
掻廻
廻転
一廻
振廻
手廻
立廻
駈廻
追廻
取廻
巡廻
馬廻
役廻
大迂廻
小取廻
仕廻
...