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現に露国皇帝が第一回平和会議を召集されたのは、かの有名なる平和論者ジャン・ド・ブロッホの著作にる事多いという事である。
文明史上の一新紀元 (新字新仮名) / 大隈重信(著)
(四三)しんへいは、もと(四四)悍勇かんゆうにしてせいかろんじ、せいがうしてけふす。たたかもの(四五)其勢そのいきほひつてこれ利導りだうす。
かく判明せる原因は、がい要保護人を署内(目白署)に収容せる後に至りて、該人物が巧妙なるかつらかむり居たることを発見せるにる。
鞄らしくない鞄 (新字新仮名) / 海野十三(著)
かくすにゃあたらないから、有様ありようにいってな、こと次第しだいったら、堺屋さかいやは、このままおまえにはあわせずに、かえってもらうことにする」
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
装中にその詩あり、って併せて象山をも捕えて獄に下し、予と生とまた江戸に送られて獄に下る。三人並びに吏に対してきくせらる。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
こうと道衍とはもとよりたがいに知己たり。道衍又かつて道士席応真せきおうしんを師として陰陽術数いんようじゅっすうの学を受く。って道家のを知り、仙趣の微に通ず。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
自殺と見せかけて、実は他殺ではないかという疑いもあったが、前後の状況にって、それが他殺でないことだけは確かめられた。
深見夫人の死 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
もつと道路どうろあるひ堤防ていぼうさがりにつて地割ぢわれをおこすこともあるが、それはたんひらいたまゝであつて、開閉かいへい繰返くりかへすものではない。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
その人に向ひてはほとほと言尽いひつくして心残こころのこりのあらざる如く、ただこれにりて欲するままの夢をも結ぶに似たる快きを覚ゆるなりき。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
そのってきたるところはかくのごとく深いのだから、決して教育や薫陶くんとうなおせる者ではないと、早くあきらめてしまうのがいい。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
蘆雪ろせつらの筆縦横自在じゅうおうじざいなれどもかへつてこの趣致を存せざるが如し。あるいは余の性簡単を好み天然を好むに偏するにるか。(五月十二日)
病牀六尺 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
彼の脳髄が如何計いかばかり数学的なるやは彼の書きしものがこと/″\く条理整然として恰も幾何学の答式を見るが如くなるにりて知らる。
明治文学史 (新字旧仮名) / 山路愛山(著)
故に領地は版籍と称して、田地四至の版図と住民の戸籍を併せて領するものなるにつて、或は田を表はし、或は戸を表はす。
日本精神史研究 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
特に茶趣味は多くの陶器をそこないました。真の茶器は、趣味の遊びから出たものではないことを忘れるからにるのであります。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
わたくしはこれにって、初めて放水路開鑿かいさくの大工事が、既に荒川の上流において着手せられていることを知ったのである。
放水路 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
これは火成岩の岩質にるものであろう。中にも豪壮とか偉麗とかいうような文字は、花崗岩の山水に最もふさわしい形容詞であるといえる。
渓三題 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
これは私の犬が温良なのにもるが主として向う犬の寛大を賞讃しなければなるまい。そこでおれは安心して入って行った。
梅「それは罪を犯したる者の次第にもりましょうけれども、かみたる者はしたの者の罪は減じ得られるだけ軽くして、命を助けんければならん」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
しかし小夜子が彼の屋敷を出たのには、切れても切れられない関係にあった、長いあいだの男のそそのかしにもるのであった。
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
「民約篇」の飜訳は彼の手にりて完成せられ、而して仏国の狂暴にして欝怏うつあうたる精神も亦た、彼に因りて明治の思想の巨籠中に投げられたり。
兆民居士安くにかある (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
恐らくは無かるべし、たとこれありとするも、そは唯腕力の微弱なるより、一種の害迫を加えられんかを恐るるにるのみ。
黒壁 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
このことは今でもまだ時々想い出し、わたしはこれにって時々苦痛を押し切り、つとめて自分自身に想到しようとする。
些細な事件 (新字新仮名) / 魯迅(著)
今宵こよひ家例かれいり、宴會えんくわいもよふしまして、日頃ひごろ別懇べっこん方々かた/″\多勢おほぜい客人まろうどまねきましたが、貴下こなたそのくみくははらせらるゝは一だん吾家わがや面目めんもくにござる。
香以は贔屓の連中を組織して、荒磯連あらいそれんなづけ、その掟文おきてぶみと云うものを勝田諸持に書かせた。九代目の他日の成功は半香以の庇蔭ひいんったのである。
細木香以 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
た文の妙なるにしかまことに其の文の巧妙なるには因るといえどの圓朝のおじの如きはもと文壇の人にあらねば操觚そうこ
怪談牡丹灯籠:01 序 (新字新仮名) / 坪内逍遥(著)
唯先生を中心として起った悲劇にり御一同の大小だいしょう浅深せんしんさま/″\に受けられた苦痛から最好きものゝ生れ出でんことを信じ、且いのるのみであります。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
って鑑賞者は、この歌の作者は憶良でも、旅人の妻即ち大伴郎女おおとものいらつめの死を念中に持って味うことが必要なのである。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
し人の一枝の草一把の上を持ちても像を助け造らんと情願する者あらばほしいままこれゆるせ、国郡等司此の事にりて百姓を侵擾しんぜうして強ひて収斂しうれんするなかれ
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
ついてはあなたのお筆が与へた動機にる反省をあなたにむかつて書送る事を年若き一仏蘭西フランス婦人にお許し下さい。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
一番目「楼門五三桐さんもんごさんのきり」は五幕に分る。宋蘇卿明そうそけいみん真宗しんそうの命に此村大炊之助このむらおおいのすけと名乗り、奴矢田平やだへいと共に真柴久次ましばひさつぐに仕へ、不軌ふきを謀りしが、事あらわれて自尽じじんす。
両座の「山門」評 (新字旧仮名) / 三木竹二(著)
宮本の姓は、無二斎が、晩年、下庄からそこへ移って、おのずと、って彼の姓となったものと考えられる。
随筆 宮本武蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
相伝あいつたう、維亭いていの張小舎、とうを察すと。たまたま市中を歩く。一人の衣冠甚だ整いたるが、草をになう者に遭うて、数茎を抜き取り、ってかわやにゆくを見る。
「此の事なんぢにありしにる、またなんぢわが契約をわが爾に命じたる法憲のりを守らざりしによりて、我必ず爾より国を裂きはなして、これを爾の臣僕けらいに与ふべし。」
信心家が神棚に向かって切火をする習慣は実にこの故事に由来するものであり、現在どこにも曾古津神社なるものが存在しない由縁もまたこれにるのである。
そうして、女もし慎みと信仰と愛ときよきとに居らば、子を生む事にりて救わるべし、と言い結んである。
新ハムレット (新字新仮名) / 太宰治(著)
その時の呉青秀の心理状態を解剖して、こうした矛盾のって起ったそのそもそもを探って見なければならぬ……しかもそれは決して難かしい問題ではないのだ
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
これは、趙が近眼であるにもかかわらず眼鏡を掛けていないという事実にることが多いもののようだった。
虎狩 (新字新仮名) / 中島敦(著)
人間が現わす表情の中、見る人を不快にさせる悒鬱な表情は、実に憎みによって奪い取って来た愛の鬼子おにごが、彼の衷にあって彼を刺戟しげきするのにるのではないか。
惜みなく愛は奪う (新字新仮名) / 有島武郎(著)
われわれ陪審官はこの死体はマウンテン・ライオン(豹の一種)の手にって殺されたるものと認む。
よくよく詮議すればどこかにそのって来るべき因縁系統がある。例えば現代の分子説や開闢説かいびゃくせつでも古い形而上学者の頭の中に彷徨ほうこうしていた幻像に脈絡を通じている。
第六十八条 特別ノ須要すようリ政府ハあらかじメ年限ヲ定メ継続費トシテ帝国議会ノ協賛ヲ求ムルコトヲ
大日本帝国憲法 (旧字旧仮名) / 日本国(著)
イエスこたえけるは人はパンのみにていくるものにあらずただ神の口よりいづすべてことばるとしるされたり
基督信徒のなぐさめ (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
その平生へいぜい涵養かんよう停蓄ていちくする所の智識と精神とにるべきは勿論もちろんなれども、妾らを以てこれを考うれば、むしろ飢寒きかん困窮こんきゅうのその身をおそうなく、艱難辛苦かんなんしんくのその心を痛むるなく
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
こういう時に、弁信法師は何事をいてもヒタと歩みをとどめて、仔細らしく小首をかしげて、その物音のって起るところを、じっと聞き定めようとするのがその例です。
大菩薩峠:19 小名路の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
一国の文化を推進せしめるものは外国文化の影響刺戟にるものであるという信念がいつからかきざしていてさして発育もしなかったが、根は抜けずに、そのままになっていて
つて後家倒ごけたおしと名づく。又近頃は鉄を以て歯とし、鉄稲扱きと名づくるあり(以上)
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
一たび筆をふるふ時は千言立ちどころにると云ふ。又書名あり。筆法遒勁いうけい、風韻蕭散と称せらる。その内外の二祖、な当時の魁儒くわいじゆたるにり、希哲の文、典訓を貫綜くわんそうし、古今を茹涵じよかんす。
八宝飯 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
一方危機は明子の心臓の昂進こうしんとともに確実な足どりで近づきつつあつた。それは主として伊曾に起つた新たな欲望にるものだつた。伊曾と劉子は日ごとに白い死の方へとちて行つた。
青いポアン (新字旧仮名) / 神西清(著)
分析とは、物が方法的に見出され、如何に果が因にるかを見る方法である。
デカルト哲学について (新字新仮名) / 西田幾多郎(著)
世間には、血統ちすじるいろいろの素質とか、祖先はじめ現在の両親などから与えられているいろいろの境遇というものが、かなり人の一生の運命を決定するように思いきめている人があります。
仏教人生読本 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)