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辻
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つじ
ふりがな文庫
“
辻
(
つじ
)” の例文
其
(
それ
)
といふのが、
時節柄
(
じせつがら
)
暑
(
あつ
)
さのため、
可恐
(
おそろし
)
い
悪
(
わる
)
い
病
(
やまひ
)
が
流行
(
はや
)
つて、
先
(
さき
)
に
通
(
とほ
)
つた
辻
(
つじ
)
などといふ
村
(
むら
)
は、から一
面
(
めん
)
に
石灰
(
いしばひ
)
だらけぢやあるまいか。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
クリストフはそれに抗弁して、音楽は
辻
(
つじ
)
馬車の中で聴くようにできてるものではなくて、もっと心をこめて聴くべきものだと言った。
ジャン・クリストフ:07 第五巻 広場の市
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
そこにも街路があり、四つ
辻
(
つじ
)
があり、広場があり、袋町があり、動脈があり、汚水の血が流れていて、ただ人影がないばかりである。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
町も
辻
(
つじ
)
も落ち葉が散り敷いて、古い
煉瓦
(
れんが
)
の壁には血の色をした
蔓
(
つた
)
がからみ、あたたかい日光は宮城の番兵の
兜
(
かぶと
)
に光っておりました。
先生への通信
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
祝言の三日まえ、午後から雨になった日のことであるが、孝之助が城をさがって来ると柳の
辻
(
つじ
)
のところで、岡村八束に呼びとめられた。
竹柏記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
▼ もっと見る
カルルの
辻
(
つじ
)
なる『カッフェエ・ロリアン』に入りて見れば、おもひおもひの仮装色を争ひ、中に
雑
(
まじ
)
りし常の衣もはえある
心地
(
ここち
)
す。
うたかたの記
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
四
(
よ
)
つ
辻
(
つじ
)
のところへ
出
(
で
)
ると、
雑沓
(
ざっとう
)
の
中
(
なか
)
で、千
人針
(
にんばり
)
を
頼
(
たの
)
んでいる
女
(
おんな
)
がありました。
通
(
とお
)
る
女
(
おんな
)
の
人々
(
ひとびと
)
が、そのそばに
足
(
あし
)
を
止
(
と
)
めていました。
とびよ鳴け
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
田圃
(
たんぼ
)
が広々と開かれて好い
樹蔭
(
こかげ
)
がなくなると、家が近ければ
日
(
ひ
)
の
辻
(
つじ
)
にはかえってきて、昼間の食事だけは家でする風習も生じたのである。
母の手毬歌
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
その自動車はそのまま、どんどん走っていったが、しばらくいくと、
辻
(
つじ
)
を左にまがって、極東薬品の
塀
(
へい
)
にそって進んでいった。
爆薬の花籠
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
なんでも、
神崎
(
かんざき
)
の遊女をひかせて、
難波
(
なにわ
)
の
合邦
(
がっぽう
)
ノ
辻
(
つじ
)
あたりに囲っており、そこから通っているのだと、長屋中ではいっていた。
私本太平記:03 みなかみ帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
法願
(
ほうぐわん
)
は
凍
(
こほ
)
り
相
(
さう
)
な
手
(
て
)
に
鉦
(
かね
)
を
提
(
さ
)
げてちらほらと
大
(
おほき
)
な
塊
(
かたまり
)
のやうな
姿
(
すがた
)
が
動
(
うご
)
いて
來
(
く
)
るまでは
力
(
ちから
)
の
限
(
かぎ
)
り
辻
(
つじ
)
に
立
(
た
)
つてかん/\と
叩
(
たゝ
)
くのである。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
板橋
通
(
がよひ
)
のがたくり馬車が
辻
(
つじ
)
を曲りかけてけたゝましく
鈴
(
べる
)
を鳴らしてゐた。俥、荷車、荷馬車、其が三方から集ツて來て、此處で
些
(
ちよつ
)
と停滞する。
昔の女
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
米俵を二俵ずつ、左右へ積んだ馬をひいて、
汗衫
(
かざみ
)
一つの
下衆
(
げす
)
が、三条坊門の
辻
(
つじ
)
を曲がりながら、汗もふかずに、炎天の
大路
(
おおじ
)
を南へ下って来る。
偸盗
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
例へば、
嘘
(
うそ
)
をつくと死んでから、
閻魔
(
えんま
)
さんに舌をぬかれるといつたり、
辻
(
つじ
)
で銭をひろふと、
厄病
(
やくびやう
)
が家へやつて来る、といつたりするのである。
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
其中
(
そのうち
)
に
又
(
また
)
拍子木
(
ひやうしぎ
)
を、二ツ打ち三ツ打ち四ツ打つやうになつて来ると、四ツ
辻
(
つじ
)
の
楽隊
(
がくたい
)
が
喇叭
(
らつぱ
)
に
連
(
つ
)
れて
段々
(
だん/\
)
近く
聞
(
きこ
)
えまする。
牛車
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
閉
(
とぢ
)
て居ければ此上は
詞
(
ことば
)
を以て諭さん樣もなく
拷問
(
がうもん
)
に及ぶより外はなしと思はれしなり然れども
猶
(
なほ
)
徐
(
しづ
)
かに長庵を見られ如何に長庵
札
(
ふだ
)
の
辻
(
つじ
)
人殺
(
ひとごろ
)
しの
罪
(
つみ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
青山、上野、
札
(
ふだ
)
の
辻
(
つじ
)
、品川と一晩のうちに全然方角を
異
(
こと
)
にして現われおる。そのため、ことのほか警戒がめんどうじゃ
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
そんな風に色々考えて見ますと、そこには、どうも
辻
(
つじ
)
つまの合ぬ所が、表面に現われている事実だけでは解釈の出来ない秘密が、ある様に思われます。
日記帳
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「じゃ、伝六ッ、なんとやら団兵衛とかいった一家の者は、例のように
辻
(
つじ
)
番所へでも始末してな。おばあさんはこっちのお
駕籠
(
かご
)
だ。お乗りなせえまし」
右門捕物帖:21 妻恋坂の怪
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
四つ
辻
(
つじ
)
や小店の前に立ってやってるんで、弥次馬連がそのあとを追っかけ回しているんですよ。さあ行きましょう
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
かれこれするうちに
辻
(
つじ
)
は次第に人が散って、日中の鐘が鳴ると、遠くから来た者はみな
旅宿
(
りょしゅく
)
に入ってしまった。
糸くず
(新字新仮名)
/
ギ・ド・モーパッサン
(著)
働いてこのパンフレットを長くつづかせたいものだと思う。冷たいコーヒーを飲んでいる肩を叩いて、
辻
(
つじ
)
さんが鉢巻をゆるめながら、
讃辞
(
さんじ
)
をあびせてくれた。
新版 放浪記
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
その時は、千住からすぐに
高輪
(
たかなわ
)
へと取り、
札
(
ふだ
)
の
辻
(
つじ
)
の
大木戸
(
おおきど
)
、番所を経て、東海道へと続く
袖
(
そで
)
が
浦
(
うら
)
の岸へ出た。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
人間の作ったもののうちで、あの中の一つ、「お休み」や「菩提樹」や「春の夢」や「道しるべ」や「
辻
(
つじ
)
音楽師」に匹敵する美しい歌が他にあったであろうか。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
それはありがたいと、云って負われると、大宮二条の
辻
(
つじ
)
まで行って、(ここで降りてくれ)と云う。
大力物語
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
そうして
水天宮
(
すいてんぐう
)
前の大きな四つ
辻
(
つじ
)
を
鎧橋
(
よろいばし
)
の方に向いて曲ると、いくらか
人脚
(
ひとあし
)
が薄くなったので、頬を抑えながら後から黙って
蹤
(
つ
)
いて来たお宮を待って肩を並べながら
うつり香
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
お増は笑いながら、とある四ツ
辻
(
つじ
)
の角に立ち停った。水のような風が、三人の袂や裾を吹いていた。
爛
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
これより程遠からぬところに
鍵屋
(
かぎや
)
の
辻
(
つじ
)
というのがある、鍵屋の辻へ行こう、音に聞く荒木又右衛門が武勇を現わしたところじゃ、そこで一番、火の出る斬合いをやって
大菩薩峠:04 三輪の神杉の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
それからも彼は、市立公園や
辻
(
つじ
)
の広場で、日に幾度となくその人に出逢った。彼女は一人っきりで、いつ見ても同じベレをかぶり、白いスピッツ犬を連れて散歩していた。
犬を連れた奥さん
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
さてそれより
塩竈
(
しおがま
)
神社にもうでて、もうこの
碑
(
ひ
)
、
壺
(
つぼ
)
の
碑
(
いしぶみ
)
前を過ぎ、
芭蕉
(
ばしょう
)
の
辻
(
つじ
)
につき、青葉の名城は日暮れたれば明日の見物となすべきつもりにて、知る人の
許
(
もと
)
に行きける。
突貫紀行
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
独逸
(
ドイツ
)
に留学したことがあること、住宅は大阪の天王寺区
烏
(
からす
)
ヶ
辻
(
つじ
)
に借家していて、現在は娘と二人で「ばあや」を使って暮していること、娘は
夕陽丘
(
ゆうひがおか
)
女学校に通っているが
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
朝早く
出掛
(
でかけ
)
間際
(
まぎわ
)
に腹痛み
出
(
いづ
)
ることも
度々
(
たびたび
)
にて、それ懐中の
湯婆子
(
ゆたんぽ
)
よ
懐炉
(
かいろ
)
よ
温石
(
おんじゃく
)
よと立騒ぐほどに、大久保より
札
(
ふだ
)
の
辻
(
つじ
)
までの
遠道
(
とおみち
)
とかくに出勤の時間おくれがちとはなるなり。
矢はずぐさ
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
その日の焼亡はまことに前代未聞の
沙汰
(
さた
)
で、
下
(
しも
)
は二条より
上
(
かみ
)
は
御霊
(
ごりょう
)
の
辻
(
つじ
)
まで、西は
大舎人
(
おおとねり
)
より東は室町小路を
界
(
さかい
)
におおよそ百町あまり、
公家
(
くげ
)
武家の
邸
(
やしき
)
をはじめ合せて三万余宇が
雪の宿り
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
彼は早く灯火の見える
辻
(
つじ
)
へ出たかった。丁度、そうして夕暮れ鉄材を積んだ一隊の兵士と出会った場所まで来たとき、
溌剌
(
はつらつ
)
としていた昼間の栖方を思い出し、やっと梶は云った。
微笑
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
まもなく四つ
辻
(
つじ
)
に来ました。ここで子どもたちは
別
(
わか
)
れたにちがいありません。だって、両方の道に足跡がついていますもの。これでいよいよ、望みはなくなってしまったようです。
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
その頃よく町の
辻
(
つじ
)
などに
仁丹
(
じんたん
)
の大きな看板が出ていて、それには白い羽のふさふさとした大礼帽をかぶって、美しい
髭
(
ひげ
)
を
生
(
は
)
やした人の胸像が描かれてあった、——それを見つけると
花を持てる女
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
思う事が成るかならぬかと云いながらクララが一吹きふくと種の数が一つ足りないので思う事が成らぬと云う
辻
(
つじ
)
うらであった。するとクララは急に元気がなくなって
俯向
(
うつむ
)
いてしまった。
幻影の盾
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
暗
(
やみ
)
の
中
(
なか
)
を、
鼠
(
ねずみ
)
のようになって、まっしぐらに
駆
(
か
)
けて
来
(
き
)
た
堺屋
(
さかいや
)
の
男衆
(
おとこしゅう
)
新
(
しん
)
七は、これもおこのと
同
(
おな
)
じように、
柳原
(
やなぎはら
)
の
土手
(
どて
)
を八
辻
(
つじ
)
ヶ
原
(
はら
)
へと
急
(
いそ
)
いだが、
夢中
(
むちゅう
)
になって
走
(
はし
)
り
続
(
つづ
)
けてきたせいであろう。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
そのころも、
芭蕉
(
ばしょう
)
の
辻
(
つじ
)
が仙台の中心という事になっていて、なかなかハイカラな洋風の建築物が立ちならんではいたが、でも、繁華な点では、すでに東一番丁に到底かなわなくなっていた。
惜別
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
けれども私の店へ行くには
辻
(
つじ
)
を一つよぎらなければならない。茶屋町通りを横断しているこの通りは、南は
鷲神社
(
わしじんじゃ
)
の裏を過ぎて千束町に、北は金杉下町を通り抜けて三の輪にまで達している。
安い頭
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
と書いたビラを重吉は村の
辻
(
つじ
)
々へはりだした。もう船を下りたのであった。
暦
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
それから夜の町をぶらぶら見物に出ていくと、町には芝居が興行中であるらしく、そこらに
辻
(
つじ
)
びらのようなものを見受けたので、僕も一種の好奇心に釣られて、その劇場のある方角へ足をむけた。
マレー俳優の死
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
頬かむりをしてスタスタ
札
(
ふだ
)
の
辻
(
つじ
)
までやって来ると、いきなり暗闇から
顎十郎捕物帳:19 両国の大鯨
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
須磨
(
すま
)
でちょっと町を歩いて、市の防火宣伝の
画
(
え
)
の
建札
(
たてふだ
)
が
辻
(
つじ
)
に立っていたのに注目されたり、人形や菓子の並んでいる店や、魚屋や市場のまえに立ち止まってもの珍しそうにそれを眺められました。
アインシュタイン教授をわが国に迎えて
(新字新仮名)
/
石原純
(著)
その世界に何故
渇仰
(
かつごう
)
の眼を向け出したか、クララ自身も分らなかったが、当時ペルジヤの町に対して勝利を得て独立と繁盛との誇りに賑やか立ったアッシジの
辻
(
つじ
)
を、
豪奢
(
ごうしゃ
)
の市民に立ち交りながら
クララの出家
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
思
(
おも
)
へば
私
(
わたし
)
は
惡黨
(
あくたう
)
人
(
ひと
)
でなし、いたづら
者
(
もの
)
の
不義者
(
ふぎもの
)
の、まあ
何
(
なん
)
といふ
心得違
(
こゝろえちが
)
ひ、と
辻
(
つじ
)
に
立
(
た
)
つて
歩
(
あゆ
)
みも
得
(
え
)
やらず、
横町
(
よこちやう
)
の
角
(
かど
)
二
(
ふた
)
つ
曲
(
まが
)
りて
今
(
いま
)
は
我家
(
わがや
)
の
軒
(
のき
)
は
見
(
み
)
えぬを、
振
(
ふり
)
かへりては
熱
(
あつ
)
き
涙
(
なみだ
)
のはら/\とこぼれぬ。
うらむらさき
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
と、
流沙河
(
りゅうさが
)
の最も繁華な四つ
辻
(
つじ
)
に立って、一人の若者が叫んでいた。
悟浄出世
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
また市役所の測量工夫のように
辻
(
つじ
)
から辻へ走ってゆくのである。
交尾
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
それを見て
辻
(
つじ
)
の巡査は出かゝった
欠伸
(
あくび
)
噛みしめ
心の姿の研究
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
「君、此処だよ。
合邦
(
がっぽう
)
が
辻
(
つじ
)
※魔堂と書いてある」
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
辻
漢検準1級
部首:⾡
6画
“辻”を含む語句
辻占
四辻
辻待
辻馬車
辻子
辻斬
辻々
辻堂
辻車
辻行燈
辻冠者
辻占売
辻自動車
辻馬車屋
辻元崧庵
辻行灯
広辻
辻褄
辻駕籠
辻君
...