水晶すゐしやう)” の例文
わたした、くさにも、しつとりともやふやうでしたが、そでにはかゝらず、かたにもかず、なんぞは水晶すゐしやうとほしてるやうに透明とうめいで。
人魚の祠 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
そのいはとうさんに、彼處あそこ御覽がらん、こゝを御覽ごらん、とひまして、半分はんぶんつちのついた水晶すゐしやうがそこいらにらばつてるのをしてせました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
なんといふしづかさだらう!もなくひさしからつゆる。水晶すゐしやうくだけてちるやうに、いやひかりそのものがるやうに……。
日の光を浴びて (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
さげ合羽かつぱの穴より鮫鞘さめざやの大脇差を顯はし水晶すゐしやう長總ながふさ珠數じゆずを首に懸し一の男來懸きかゝりしが此容子ようすを見るより物を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
さかひの商人はその聖天樣の額の寳珠を、水晶すゐしやうか何んかと思つて、五十兩か三十兩に値踏みしたことでせう。
たれたる形状かたち蝋燭らふそくのながれたるやうなれど、里地さとちのつらゝとたがひて屈曲くつきよく種々しゆ/″\のかたちをなして水晶すゐしやうにてたくみに作りなしたるがごとく、玲瓏れいろうとして透徹すきとをれるがあさひかゞやきたるはものにたぐふべきなしと
その水晶すゐしやうふえのやうなこゑに、嘉十かじふをつぶつてふるえあがりました。
鹿踊りのはじまり (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
水晶すゐしやうの玉をよろこびもてあそぶ
一握の砂 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
うなじてたとまふなばた白銀しろがねに、珊瑚さんごそでるゝときふねはたゞゆきかついだ翡翠ひすゐとなつて、しろみづうみうへぶであらう。氷柱つらゝあし水晶すゐしやうに——
城崎を憶ふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
とうさんはそこいらをさがまはりまして、についた水晶すゐしやうなかでも一番いちばんひかつたのを土産みやげつてかへりました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
見付村役人に屆けなどする中一人の旅僧たびそうねずみころもあさ袈裟けさを身にまと水晶すゐしやう珠數ずず片手かたてもちあかざつゑを突て通りかゝりけるが此捨子を見てつゑを止めやがて立寄りつゝ彼小兒せうにそでひろこしなる矢立を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
水晶すゐしやうをもて𥴩子かうしをつくりたるやう也。
ひとみすわらず、せたをとこかほを、水晶すゐしやうけたるごとひとみつやめてぢつると、わすれたさましたまぶち、なくてた、手巾ハンケチつゆかゝかつた。
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
あるとうさんはひとれられて梵天山ぼんてんやまといふはうきました。あか躑躅つゝじはななぞのいて山路やまみちとほりまして、その梵天山ぼんてんやまつてますと、そこは水晶すゐしやうやまでした。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
ちやく本繩ほんなはに掛りえりには水晶すゐしやう珠數ずずを掛け馬にりて口に法華經ほけきやう普門品ふもんぼん
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
日当ひあたりいゝんですけれど、六でふのね、水晶すゐしやうのやうなお部屋へやに、羽二重はぶたへ小掻巻こかいまきけて、えさうにおつてゝ、おいろなんぞ、ゆきとも、たまとも、そりや透通すきとほるやうですよ。
続銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
外面おもての、印度洋インドやういたはうの、大理石だいりせき𢌞まはえんには、のきからけて、ゆかく……水晶すゐしやうすだれに、ほし數々かず/\ちりばめたやうな、ぎやまんの燈籠とうろうが、十五、晃々きら/\いてならんでます。
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
……ひとみ水晶すゐしやうつたやうで、薄煙うすけむりしつとほして透通すきとほるばかり、つき射添さしそふ、とおもふと、むらさきも、萌黄もえぎも、そでいろ𤏋ぱつえて、姿すがた其處此處そここゝ燃立もえたは、ほのほみだるゝやうであつた。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
宗室そうしつくわいして、長夜ちやうやえんるにあたりては、金瓶きんべい銀榼ぎんかふ百餘ひやくよつらね、瑪瑙めなう酒盞しゆさん水晶すゐしやうはち瑠璃るりわん琥珀こはくさら、いづれもこうなる中國ちうごくいまかつてこれあらず、みな西域せいゐきよりもたらところ
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
うた床柱とこばしらではないが、別莊べつさうにはは、垣根かきねつゞきに南天なんてんはやしひたいくらゐ、一面いちめんかゞやくがごと紅顆こうくわともして、水晶すゐしやうのやうださうで、おく濡縁ぬれえんさき古池ふるいけひとつ、なかたひら苔錆こけさびたいしがある。
鳥影 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
てて水晶すゐしやうまろはしららう。……
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)