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手絡
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てがら
ふりがな文庫
“
手絡
(
てがら
)” の例文
緋
(
ひ
)
も紅も似合うものを、浅葱だの、白の
手絡
(
てがら
)
だの、いつも
淡泊
(
あっさり
)
した
円髷
(
まるまげ
)
で、
年紀
(
とし
)
は三十を一つ出た。が、二十四五の上には見えない。
灯明之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
毎日夕方からお湯に入りに行くことを日課にしているその女の意気がった髪に掛けた青い色の
手絡
(
てがら
)
は
堪
(
たま
)
らなく
厭味
(
いやみ
)
に思うものであった。
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
御倉さんはもう赤い
手絡
(
てがら
)
の時代さえ通り越して、だいぶんと
世帯
(
しょたい
)
じみた顔を、帳場へ
曝
(
さら
)
してるだろう。
聟
(
むこ
)
とは
折合
(
おりあい
)
がいいか知らん。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
父親の声に、丁寧に頭を下げたのは、
結綿
(
ゆいわた
)
の髪に、桃色の
手絡
(
てがら
)
をかけた、姉に似たキリョウよし、しかもなかなかのしっかり者らしかった。
乳を刺す:黒門町伝七捕物帳
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
お静は真っ
赧
(
か
)
になって
俯向
(
うつむ
)
きました。赤い
手絡
(
てがら
)
、赤い
襷
(
たすき
)
、白い二の腕を覗かせて、
剃刀
(
かみそり
)
の扱いようも思いの外器用そうです。
銭形平次捕物控:023 血潮と糠
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
お島はこの頃
漸
(
ようや
)
く落着いて来た丸髷に、赤いのは、道具の大きい
較
(
やや
)
強味
(
きつみ
)
のある顔に移りが悪いというので、オレンジがかった色の
手絡
(
てがら
)
をかけて
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
写真の合間にぱっと明るく電気がついて、自分の側に眉の濃い鳥打帽の男や赤い
手絡
(
てがら
)
の女やを見出す時、彼は顔を上げ得られないような気持ちに浸っていった。
生あらば
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
つぶし島田に赤い
手絡
(
てがら
)
の、こってりした作りで、あの女から夜中に襲われた生々しい体験を持つ宇津木兵馬は、その時のことを思い出すと、ゾッとしてしまいました。
大菩薩峠:36 新月の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
縁側のところを通る時、若い細君の赤い
手絡
(
てがら
)
が、くつきりと白い横顔と一緒になつて見えてゐた。
紅葉山人訪問記
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
のけぞっているので、
髷
(
まげ
)
は頭の下に圧しつぶされ、赤い
手絡
(
てがら
)
が
耳朶
(
みみたぶ
)
のうしろからはみ出していた。
白蛇の死
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
赤い
手絡
(
てがら
)
のお
花
(
はな
)
は、例の茶の間の
長火鉢
(
ながひばち
)
に
凭
(
もた
)
れて、チャンと用意の出来たお膳の前に、クツクツ笑いながら(何てお花はよく笑う女だ)ポッツリと坐っていることであろう。
接吻
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
重そうな
黒縮緬
(
くろちりめん
)
の羽織が、
撫
(
な
)
で肩の円味をそのままに見せて、抜け上るような色白の
襟足
(
えりあし
)
に、藤色の半襟がきちんとからみついて
手絡
(
てがら
)
も同じ色なのが
映
(
うつ
)
りよく似合っていた。
星座
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
此時五十嵐の眼は細君の大きな丸髷の赤い
手絡
(
てがら
)
に止つて涙の底に別樣の光りを漂はす。
俳諧師
(旧字旧仮名)
/
高浜虚子
(著)
手織縞
(
ておりじま
)
の
單衣
(
ひとへ
)
に
綿繻珍
(
めんしゆちん
)
の帶を締めて、馬鹿に根の高い
丸髷
(
まるまげ
)
に赤い
手絡
(
てがら
)
をかけた人が、
友染
(
いうぜん
)
モスリンの
蹴出
(
けだ
)
しの間から、太く黒い足を見せつゝ、
後
(
うしろ
)
から二人を追ひ拔いて、
停車場
(
ステーシヨン
)
に
駈
(
か
)
け込んだ。
東光院
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
紋羽二重
(
もんはぶたへ
)
の
小豆鹿子
(
あづきかのこ
)
の
手絡
(
てがら
)
したる
円髷
(
まるわげ
)
に、
鼈甲脚
(
べつこうあし
)
の
金七宝
(
きんしつぽう
)
の玉の
後簪
(
うしろざし
)
を
斜
(
ななめ
)
に、
高蒔絵
(
たかまきゑ
)
の
政子櫛
(
まさこぐし
)
を
翳
(
かざ
)
して、
粧
(
よそほひ
)
は
実
(
げ
)
に
塵
(
ちり
)
をも
怯
(
おそ
)
れぬべき人の
謂
(
い
)
ひ知らず
思惑
(
おもひまど
)
へるを、
可痛
(
いたは
)
しの
嵐
(
あらし
)
に
堪
(
た
)
へぬ花の
顔
(
かんばせ
)
や
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
手拭
(
てぬぐい
)
で顔をふいたが、二人のわらいごえにつれられて、まげに赤い
手絡
(
てがら
)
をかけた深水の嫁さんが、うちわをそッと三吉のまえにだすと、同時にからだをひきながら、ころころとわらいころげた。
白い道
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
雪子が
這入
(
はい
)
って来て見ると、長椅子一つだけを残して、テーブルや
肘掛
(
ひじかけ
)
椅子を全部取り
除
(
の
)
け、
絨毯
(
じゅうたん
)
を一方へグルグル巻きにして片寄せ、妙子が部屋の中央に、
潰
(
つぶ
)
し嶋田に
鴇色
(
ときいろ
)
の
手絡
(
てがら
)
を掛けた頭で
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
尤も今では最初のやうに西洋髪などには
結
(
ゆ
)
つてゐない。ちやんと赤い
手絡
(
てがら
)
をかけた、大きい
円髷
(
まるまげ
)
に変つてゐる。しかし客に対する態度は不相変妙にうひうひしい。応対はつかへる。品物は間違へる。
あばばばば
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
昨日
廂
(
ひさし
)
に
束
(
つか
)
ねてあったお兼さんの髪は、いつの間にか大きな
丸髷
(
まるまげ
)
に変っていた。そうして桃色の
手絡
(
てがら
)
が
髷
(
まげ
)
の間から
覗
(
のぞ
)
いていた。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
と
言
(
ことば
)
も
極
(
きま
)
って
含羞
(
はにか
)
んだ、
紅
(
あか
)
い
手絡
(
てがら
)
のしおらしさ。一人の婦人が斜めに振向き、手に持ったのをそのままに、
撫子
(
なでしこ
)
に
映
(
さ
)
す扇の影。
吉原新話
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
もう
二十歳
(
はたち
)
にもなって、
大丸髷
(
おおまるまげ
)
の赤い
手絡
(
てがら
)
が
可笑
(
おか
)
しいくらいなお静が、
平常
(
ふだん
)
可愛がられすぎて来たにしても、これはまたあまりに他愛がありません。
銭形平次捕物控:024 平次女難
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
婿は綺麗な八
字髯
(
じひげ
)
を生した立派な男で、
丸髷
(
まるまげ
)
に赤い
手絡
(
てがら
)
をした
丈
(
せい
)
の高い細君とはよく似合つた。
朝
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
来た当座
丸髷
(
まるまげ
)
に結って、赤い
手絡
(
てがら
)
などをかけているのが、始終帳場に頑張っている親父の気に入らないことが、素振りでも解って来た。そんなことを口へ出して言うこともあった。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
結城
(
ゆうき
)
から入った
阿
(
お
)
いねというのを御寵愛になるげなが、この
女子
(
おなご
)
は、昼はおすべらかしに
袿
(
うちかけ
)
という御殿風、夜になると
潰
(
つぶ
)
し島田に赤い
手絡
(
てがら
)
、
浴衣
(
ゆかた
)
がけという
粋
(
いき
)
な姿でお寝間入りをなさるそうな。
大菩薩峠:32 弁信の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
髪は
銀杏返
(
いちょうがえ
)
しに
結
(
ゆ
)
って、赤い
手絡
(
てがら
)
をかけて、その下に、
鉢
(
はち
)
の開いた静脈の透いて見える広い額、飛び出した大きな両眼、平べったい鼻、口には猿轡がはめられ、派出なメリンスの着物の上から
妖虫
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
と、唇か、
瞼
(
まぶた
)
か。——
手絡
(
てがら
)
にも襟にも
微塵
(
みじん
)
もその色のない、ちらりと緋目高のような
紅
(
くれない
)
が、夜の霜に
山茶花
(
さざんか
)
が
一片
(
ひとひら
)
溢
(
こぼ
)
れたようにその姿を
掠
(
かす
)
めた。
卵塔場の天女
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
無理に押へて取出させると、あの野郎親の
遺言
(
ゆゐごん
)
で女を斷つたやうなことを言つてゐるくせに、内懷中に、お孃さんの
手絡
(
てがら
)
だの半襟だの、赤い可愛らしいものを
銭形平次捕物控:238 恋患ひ
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
しかし年が大分違うので、まだ
二十
(
はたち
)
にもならないのに、品子には四十女のような小型の
丸髷
(
まるまげ
)
を結わせ、
手絡
(
てがら
)
もせいぜい
藤色
(
ふじいろ
)
か緑で、着物も
下駄
(
げた
)
の緒も、できるだけじみなものを
択
(
えら
)
んだ。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
津田は眼をぱちつかせて、赤い
手絡
(
てがら
)
をかけた
大丸髷
(
おおまるまげ
)
と、
派出
(
はで
)
な
刺繍
(
ぬい
)
をした
半襟
(
はんえり
)
の模様と、それからその真中にある
化粧後
(
けしょうご
)
の白い顔とを、さも珍らしい物でも見るような新らしい眼つきで眺めた。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
いかなる
状
(
さま
)
にや結いにけむ、
手絡
(
てがら
)
の
切
(
きれ
)
も、結んだるあとの
縺
(
もつれ
)
もありながら、黒髪はらりと肩に乱れて、狂える獅子の
鬣
(
たてがみ
)
した、
俯伏
(
うつぶせ
)
なのが起返る。
わか紫
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「隣の空家の二階ですよ。店中の者が飛んで行ったが、曲者は待ってはいません。窓のところに、何の
禁呪
(
まじない
)
か知らないが、赤い
手絡
(
てがら
)
ほどの布が、ヒラヒラと下がっていたそうで」
銭形平次捕物控:146 秤座政談
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
そして浅井が何か言いかけると、「ハア、ハア。」と、行儀よく
応答
(
うけこたえ
)
をしていた。毛に癖のない
頭髪
(
あたま
)
が綺麗に
撫
(
な
)
でつけられて、水色の
手絡
(
てがら
)
が浅黒いその顔を、際立って意気に見せていた。
爛
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
ね、ただ、お
髪
(
ぐし
)
の
円髷
(
まげ
)
の青い
手絡
(
てがら
)
ばかり、天と山との間へ、青い星が宿ったように、
晃々
(
きらきら
)
と光って見えたんですって。
ピストルの使い方:――(前題――楊弓)
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「それじゃね、晩にお刺身を一人前……いいかえ。」と言って、お国は台所の棚へ何やら
収
(
しま
)
い込んでから、茶の
室
(
ま
)
へ入って来た。
軟
(
やわら
)
かものの羽織を引っ
被
(
か
)
けて、
丸髷
(
まるまげ
)
に桃色の
手絡
(
てがら
)
をかけていた。
新世帯
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
他に
根懸
(
ねがけ
)
と
手絡
(
てがら
)
あり。元結あり、
白元結
(
しろもとゆひ
)
、
黒元結
(
くろもとゆひ
)
、
奴元結
(
やつこもとゆひ
)
、
金柑元結
(
きんかんもとゆひ
)
、
色元結
(
いろもとゆひ
)
、
金元結
(
きんもとゆひ
)
、
文七元結
(
ぶんしちもとゆひ
)
など皆其類なり。
当世女装一斑
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「大した
身装
(
なり
)
じゃないか。商人の
内儀
(
かみ
)
さんが、そんな事をしても
可
(
い
)
いの」惜気もなくぬいてくれる、お島が持古しの指環や、
櫛
(
くし
)
や
手絡
(
てがら
)
のようなものを、この頃に二度も三度ももらっていた姉は
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
浅黄
(
あさぎ
)
の
手絡
(
てがら
)
が
解
(
と
)
けかかって、
透通
(
すきとお
)
るように
真白
(
まっしろ
)
で
細
(
ほそ
)
い
頸
(
うなじ
)
を、膝の上に抱いて、
抱占
(
かかえし
)
めながら、
頬摺
(
ほおずり
)
していった。
三尺角
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
淺黄
(
あさぎ
)
の
手絡
(
てがら
)
が
解
(
と
)
けかゝつて、
透通
(
すきとほ
)
るやうに
眞白
(
まつしろ
)
で
細
(
ほそ
)
い
頸
(
うなじ
)
を、
膝
(
ひざ
)
の
上
(
うへ
)
に
抱
(
だ
)
いて、
抱占
(
かゝへし
)
めながら、
頬摺
(
ほゝずり
)
していつた。
三尺角
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
盲目
(
めしい
)
は、あかい
手絡
(
てがら
)
をかけた、若い女房に手を
曳
(
ひ
)
かれて来たが、敷居の外で、二人ならんで
恭
(
うやうや
)
しく
平伏
(
ひれふ
)
した。
わか紫
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
膝で
豆算盤
(
まめそろばん
)
五寸ぐらいなのを、ぱちぱちと鳴らしながら、
結立
(
ゆいた
)
ての
大円髷
(
おおまるまげ
)
、水の垂りそうな、赤い
手絡
(
てがら
)
の、
容色
(
きりょう
)
もまんざらでない女房を引附けているのがある。
露肆
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
小春時
(
こはるどき
)
の
一枚小袖
(
いちまいこそで
)
、
藍
(
あゐ
)
と
紺
(
こん
)
の
小辨慶
(
こべんけい
)
、
黒繻子
(
くろじゆす
)
の
帶
(
おび
)
に、
又
(
また
)
緋
(
ひ
)
の
扱帶
(
しごき
)
……
髷
(
まげ
)
に
水色
(
みづいろ
)
の
絞
(
しぼ
)
りの
手絡
(
てがら
)
。
艷
(
つや
)
の
雫
(
しづく
)
のしたゝる
鬢
(
びん
)
に、ほんのりとした
耳
(
みゝ
)
のあたり、
頸許
(
えりもと
)
の
美
(
うつく
)
しさ。
三人の盲の話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「身代り、」と聞返した時、どのかまた
明
(
あかり
)
の加減で、民弥の
帷子
(
かたびら
)
が薄く映った。且つそれよりも、お三輪の
手絡
(
てがら
)
が、くっきりと燃ゆるように、声も強い色に出て
吉原新話
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
お三輪は気軽に
衝
(
つ
)
と立って、襟脚を白々と、
結綿
(
ゆいわた
)
の赤い
手絡
(
てがら
)
を障子の
桟
(
さん
)
へ浮出したように窓を
覗
(
のぞ
)
いた。
吉原新話
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
……
水浅葱
(
みずあさぎ
)
の
手絡
(
てがら
)
で
円髷
(
まるまげ
)
に
艶々
(
つやつや
)
と結ったのが、こう、三島の宿を通りかかる私たちの上から
覗
(
のぞ
)
くように少し乗出したと思うと、——えへん!……居士が
大
(
おおき
)
な
咳
(
せき
)
をしました。
半島一奇抄
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
その
跫音
(
あしおと
)
より、鼠の駈ける音が激しく、
棕櫚
(
しゅろ
)
の骨がばさりと
覗
(
のぞ
)
いて、
其処
(
そこ
)
に、
手絡
(
てがら
)
の影もない。
国貞えがく
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
紅
(
くれない
)
なる、いろいろの旗天を
蔽
(
おお
)
ひて大鳥の群れたる如き、旗の
透間
(
すきま
)
の空青き、
樹々
(
きぎ
)
の葉の
翠
(
みどり
)
なる、路を行く人の髪の黒き、
簪
(
かざし
)
の白き、
手絡
(
てがら
)
の
緋
(
ひ
)
なる、帯の錦、
袖
(
そで
)
の
綾
(
あや
)
、
薔薇
(
しょうび
)
の
香
(
か
)
凱旋祭
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
何
(
なあに
)
、女の
児
(
こ
)
はませています、それに
紅
(
あか
)
い
手絡
(
てがら
)
で、美しい髪なぞ結って、
容
(
かたち
)
づくっているから
可
(
い
)
い姉さんだ、と
幼心
(
おさなごころ
)
に思ったのが、二つ違い、一つ上、亡くなったのが二つ上で
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
トタンに
框
(
かまち
)
の
取着
(
とッつき
)
の柱に
凭
(
もた
)
れた
浅黄
(
あさぎ
)
の
手絡
(
てがら
)
が
此方
(
こっち
)
を見向く、うら
少
(
わかい
)
のと
面
(
おもて
)
を合わせた。
三尺角
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
トタンに
框
(
かまち
)
の
取着
(
とツつき
)
の
柱
(
はしら
)
に
凭
(
もた
)
れた
淺黄
(
あさぎ
)
の
手絡
(
てがら
)
が
此方
(
こつち
)
を
見向
(
みむ
)
く、うら
少
(
わかい
)
のと
面
(
おもて
)
を
合
(
あ
)
はせた。
三尺角
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
姿こそ
服装
(
なり
)
こそ変りますが、いつも人柄に似合わない、あの、
仰向
(
あおむ
)
けに結んで、
緋
(
ひ
)
や、浅黄や、
絞
(
しぼり
)
の
鹿
(
か
)
の子の
手絡
(
てがら
)
を組んで、黒髪で巻いた
芍薬
(
しゃくやく
)
の
莟
(
つぼみ
)
のように、
真中
(
まんなか
)
へ
簪
(
かんざし
)
をぐいと挿す
菎蒻本
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
“手絡”の解説
手絡(てがら)は日本髪を結う際に、髷に巻きつけるなどして飾る布のことをいう。古くは髷かけとも。
素材は、多くは縮緬、高級武士では錦、明治に入ってからは和紙を加工したものも登場した。
色彩には特に規定があったわけではないが、若い娘や若奥様は鹿の子絞りで装飾した赤や桃色の華やかな色、年配の婦人は無地の藤色や浅葱色など落ち着いた色をよく使った。
(出典:Wikipedia)
手
常用漢字
小1
部首:⼿
4画
絡
常用漢字
中学
部首:⽷
12画
“手”で始まる語句
手
手拭
手前
手巾
手繰
手許
手向
手綱
手際
手燭