弓矢ゆみや)” の例文
なにしろそれにはなに一つしそんじのないように、武士ぶしの中でも一ばん弓矢ゆみやわざのたしかな、こころのおちついた人をえらばなければなりません。
(新字新仮名) / 楠山正雄(著)
それを、弓矢ゆみやにかけてもと申したいまの一ごん、それは正気しょうきか! おどかしか! 見ごと取れるものなら武力をもって取ってみろ
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
大国主神おおくにぬしのかみはおおせのとおりに、改めていただいた、大神おおかみ太刀たち弓矢ゆみやを持って、八十神やそがみたちをちにいらっしゃいました。
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
が、あの盜人ぬすびとうばはれたのでせう、太刀たち勿論もちろん弓矢ゆみやさへも、やぶなかには見當みあたりません。しかしさいは小刀さすがだけは、わたしのあしもとにちてゐるのです。
藪の中 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
嗚呼過てり/\、弓矢ゆみやの家にまれし身の、天晴あつぱれ功名手柄して、勇士の譽を後世に殘すこそ此世に於ける本懷なれ。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
彼は弓矢ゆみやをとる身か、またその矢に當つて死ぬ身かになつた東方のマホメットの末裔まつえいそのまゝに見えるのであつた。やがてイングラム孃が現はれて來た。
そしてそれらがみな、その發達はつたつして今日こんにち金屬きんぞく器物きぶつになつてつたのです。またこの時代じだい一番いちばんおほきな發明はつめいは、弓矢ゆみやはじめてもちひられることであります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
いずれも弓矢ゆみやたずさえ、うままたがって、たいへんなさわぎで出掛でかけたものでございます。ちち武人ぶじんではないのですが、それでも山狩やまがりがなによりの道楽どうらくなのでした。
そこでその大神の髮をつてその室の屋根のたる木ごとに結いつけて、大きな巖をその室の戸口に塞いで、お妃のスセリ姫を背負せおつて、その大神の寶物の大刀たち弓矢ゆみや
或はぼうを以て打ち、或はいしけし事も有るべけれど、弓矢ゆみやの力をりし事蓋し多かりしならん。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
ハテ恵比寿麦酒ゑびすびーる会社長くわいしやちやうで、日本にほん御用達ごようたしおこりは、蛭子ひるこかみが始めて神武天皇じんむてんのうへ戦争の時弓矢ゆみやさけ兵糧ひやうろう差上さしあげたのが、御用ごようつとめたのが恵比須えびすかみであるからさ。
七福神詣 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
女像によざうにして、もし、弓矢ゆみやり、刀剣とうけんすとせむか、いや、こし踏張ふんばり、片膝かたひざおしはだけて身搆みがまへてるやうにて姿すがたはなはだとゝのはず、はうまことならば、ゆかしさはなかる。
甲冑堂 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
弓矢ゆみやを持つに似たりけり
藤村詩抄:島崎藤村自選 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
おとうとかみたいそうよろこんで、おかあさんのこしらえてくださったふじづるの着物きものくつからだにつけて、ふじづるの弓矢ゆみやちました。
春山秋山 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
をとこは、——いえ、太刀たちびてれば、弓矢ゆみやたづさへてりました。ことくろえびらへ、二十あまり征矢そやをさしたのは、唯今ただいまでもはつきりおぼえてります。
藪の中 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
弟の神はその着物やくつをすっかり身につけて、その弓矢ゆみやを持って、例の女神のおうちへ出かけて行きました。
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
そこでオモヒガネの神が申されるには、「アマツクニダマの神の子の天若日子あめわかひこりましよう」と申しました。そこでりつぱな弓矢ゆみや天若日子あめわかひこに賜わつてつかわしました。
やりといふようなものは、あるひはありましたかもれませんが、弓矢ゆみやのような道具どうぐは、舊石器時代きゆうせつきじだいにはられないもので、じつ新石器時代しんせつきじだい新式武器しんしきぶきであります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
話にも聞きつらん、祖先兵衞ひやうゑ直頼殿、餘五將軍よごしやうぐんつかへて拔群ばつくんの譽を顯はせしこのかた、弓矢ゆみやの前にはおくれを取らぬ齋藤の血統ちすぢに、女色によしよくに魂を奪はれし未練者は其方が初めぞ。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
弓矢ゆみや使用しようは、諸人種に普通ふつうなるものにあらず。未開人民中みかいじんみんちうには今尚いまなほ之を知らざる者有り。此點このてんのみにいて云ふも、コロボックル、の智識ちしきけつしてはなはひくきものには非ざるなり。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
けれど、人に愛をおしえ、不遇ふぐうな子の友だちとなり、人に弓矢ゆみや鉄砲てっぽういがいの人生をさとらせようとこころざしている自分が、その刀をたのみにしたり、その殺生せっしょうをやったりしてはならない。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
とおっしゃって、弓矢ゆみや太刀たちをおりになり、身方みかた軍勢ぐんぜいのまっさきっていさましくたたかって、ほとけさまのてきのこらずほろぼしておしまいになりました。
夢殿 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
何時いつぞやわたしがとらそんじたときにも、やはりこのこん水干すいかんに、打出うちだしの太刀たちいてりました。唯今ただいまはそのほかにも御覽ごらんとほり、弓矢ゆみやるゐさへたずさへてります。
藪の中 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
それで皇子も、わざわざお召物めしものの下へよろいをお着こみになりました。そして弓矢ゆみやを取っておうまをすなり、大急ぎでみこのあとを追ってお出かけになりました。
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
そこでその春山の霞壯夫が弓矢ゆみやを孃子の厠に懸けましたのを、イヅシ孃子がその花を不思議に思つて、持つて來る時に、その孃子のうしろに立つて、その部屋にはいつて結婚をして
「そこにいるのは八郎はちろうだな。にいさんにかってゆみをひくやつがあるか。はやく弓矢ゆみやして降参こうさんしないか。」
鎮西八郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
わたしはとうとう泰成やすなりのためにいのせられて、正体しょうたいあらわしてしまいました。そしてこの那須野なすのはらんだのです。けれども日本にっぽん弓矢ゆみやくにでした。
殺生石 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
いよいよ女神めがみいえまえまでますと、着物きものからくつから弓矢ゆみやまで、のこらず一にぱっと紫色むらさきいろふじはなして、それはにかいたようなうつくしい姿すがたになりました。
春山秋山 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
味方みかたのこらずにと覚悟かくごをきめたりしたこともありましたが、そのたびごとにいつも義家よしいえが、不思議ふしぎ智恵ちえ勇気ゆうきと、それから神様かみさまのような弓矢ゆみやわざてき退しりぞけて
八幡太郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
それからおとうとかみは、ふじはないた弓矢ゆみや少女おとめ居間いままえにたてかけておきますと、少女おとめが出がけにそれをつけて、ふしぎにおもいながら、きれいなものですから
春山秋山 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
元々もともと武芸ぶげい家柄いえがらである上に、まれ弓矢ゆみや名人めいじんで、その上和歌わかみちにも心得こころえがあって、礼儀作法れいぎさほうのいやしくない、いわば文武ぶんぶ達人たつじんという評判ひょうばんたかい人だったのです。
(新字新仮名) / 楠山正雄(著)
龍王りゅうおういきをはずませながらささやきました。藤太とうだ弓矢ゆみやってがりました。
田原藤太 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
しま大男おおおとこ弓矢ゆみやたのははじめてなので、目をまるくしてていましたが、そらんでいるものが、射落いおとされたのをて、したをまいておじおそれました。そして為朝ためともかみさまのようにうやまいました。
鎮西八郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
そこで、八幡太郎はちまんたろうにおいいつけになって、御所ごしょ警固けいごをさせることになりました。義家よしいえおおせをうけると、すぐよろい直垂ひたたれかためて、弓矢ゆみやをもって御所ごしょのおにわのまん中にって見張みはりをしていました。
八幡太郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)