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値
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ね
ふりがな文庫
“
値
(
ね
)” の例文
「もう、
半月
(
はんつき
)
もたちゃ、すいかだって
珍
(
めずら
)
しくはない。いまなら
値
(
ね
)
が
張
(
は
)
っても
売
(
う
)
れるだろう。」と、
主人
(
しゅじん
)
は、つけくわえていいました。
初夏の不思議
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
私を実価以上に
値
(
ね
)
ぶみすることをしまい。私を実価以下に虐待することもしまい。私は私の正しい価の中にあることを勉めよう。
惜みなく愛は奪う
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
で、もしその品が今日の市に出たら、
値
(
ね
)
にかまわず買い取って行くように——と
途々
(
みちみち
)
あるきながらも金吾に心得をさずけている。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
これは
私
(
わたくし
)
の
大事
(
だいじ
)
な
品
(
しな
)
でございまして、
当時
(
いま
)
斯
(
か
)
う
零落
(
おちぶ
)
れまして、
値
(
ね
)
を高く
買
(
か
)
はうといふ人がございますけれども、なか/\
手離
(
てばな
)
しませぬで……。
大仏餅。袴着の祝。新まへの盲目乞食
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
だから、村の者が甘藷を出すにも、一貫目につき五厘も
値
(
ね
)
がよければ、二里の
幡
(
はた
)
ヶ
谷
(
や
)
に下ろすより四里の神田へ持って行く。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
▼ もっと見る
実に
難有
(
ありがた
)
い
目出
(
めで
)
たい次第であるが、その目出たかろうと云うことが私には始めから測量が出来ずに、
唯
(
ただ
)
その時に現れた実の有様に
値
(
ね
)
を付けて
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
値
(
ね
)
を
聞
(
き
)
くと
三圓九十錢
(
さんゑんきうじつせん
)
で、まあ、それは
先
(
せん
)
のよりは
安
(
やす
)
い。が、
此奴
(
こいつ
)
を
行
(
い
)
きなり
女房
(
かみさん
)
は、
十錢
(
じつせん
)
値切
(
ねぎ
)
つて、
三圓八十錢
(
さんゑんはちじつせん
)
にお
負
(
ま
)
けなさいと
言
(
い
)
つたんです。
廓そだち
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
鶏
(
とり
)
ならこれから卵を産もうという一番
値
(
ね
)
のする
牝鶏
(
めんどり
)
を十羽買えるだけのお
銭
(
あし
)
を払わねばならなかったことをいった。
最後の胡弓弾き
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
仕方がないから割に高いけれども、腹の中に目的があるので、先方のいい
値
(
ね
)
で買って、わが家へ帰ると
直
(
すぐ
)
にこの話をした、勿論親父に悦ばれるつもりであった。
骨董
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
「
上海
(
シヤンハイ
)
がへえつちやぐつと
値
(
ね
)
が
下
(
さが
)
つちやつてな、あつちぢやどれ
程
(
ほど
)
安
(
やす
)
いもんだかよ、
品
(
しな
)
が
少
(
すく
)
ねえ
時
(
とき
)
に
安
(
やす
)
くなるつちうんだから
商人
(
あきんど
)
も
儲
(
まう
)
からねえ」
天秤
(
てんびん
)
を
擔
(
かつ
)
いで
彼
(
かれ
)
は
又
(
また
)
更
(
さら
)
に
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
もし
望
(
のぞ
)
み
手
(
て
)
があるならば、どれでも
安
(
やす
)
い
値
(
ね
)
に
賣
(
うり
)
り
渡
(
わた
)
したい、——と
云
(
い
)
ふ
話
(
はなし
)
をしたのです。
藪の中
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
痛かったり、つまったりしたのは、お母さんの
財布
(
さいふ
)
の口のほうで、早苗のために売りにいった
珊瑚
(
さんご
)
の玉のついたかんざしは思う
値
(
ね
)
で売れず、洋服を買うことができなかったのだ。
二十四の瞳
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
同時
(
どうじ
)
に、さう
云
(
い
)
ふ
譯
(
わけ
)
なら、
自分
(
じぶん
)
が
直
(
ぢか
)
に
宗助
(
そうすけ
)
から
相當
(
さうたう
)
の
値
(
ね
)
で
讓
(
ゆづ
)
つて
貰
(
もら
)
へば
可
(
よ
)
かつたに、
惜
(
を
)
しい
事
(
こと
)
をしたと
云
(
い
)
つた。
最後
(
さいご
)
に
横町
(
よこちやう
)
の
道具屋
(
だうぐや
)
をひどく
罵
(
のゝ
)
しつて、
怪
(
け
)
しからん
奴
(
やつ
)
だと
云
(
い
)
つた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
「田賣らうにも、
値
(
ね
)
が
下
(
さ
)
がつてるし、第一けふ
日
(
び
)
は不景氣で買ひ手があろまい。」
「鱧の皮 他五篇」解説
(旧字旧仮名)
/
宇野浩二
(著)
「
掛
(
か
)
け
値
(
ね
)
はござらぬ。銀之丞でござる。……ところで貴殿はどなたでござるな?」
名人地獄
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
若者は、そんなりっぱな
位
(
くらい
)
につく
値
(
ね
)
うちがじぶんにあるかどうかわかりませんので、しばらくためらってしまいましたが、二
羽
(
わ
)
のハトがしきりにすすめてくれるものですから、とうとう
三つのことば
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
しかし向うも持て余しているので捨て
値
(
ね
)
でいいからどうか買ってくれという。
俳句はかく解しかく味う
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
彈
(
はじ
)
き
葉
(
ば
)
のあさみどりなる、内
紅
(
あか
)
く紫くろき、
層
(
かさ
)
厚く七重八重なる、葉牡丹は大いにうれし。牡丹とも見ずや葉牡丹、
値
(
ね
)
は
廉
(
やす
)
きその株ながら、株立つとこの庭も
狹
(
せ
)
に、豐かなり乏しともなし。
白南風
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
しかも木地が良くて、
値
(
ね
)
が
廉
(
やす
)
いので、徐は大喜びで取引きをしました。
中国怪奇小説集:09 稽神録(宋)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
その新品同様な蒲団がたった十九円六十銭!
値
(
ね
)
ではございません。
蒲団
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
そこでその少年は利益を得ようと思って、その
値
(
ね
)
を高くしたが買う者がなかった。少年は成が虫を捕ったということを聞いて、その虫も負かすつもりで、成の家へいって、成の
蓄
(
か
)
っている虫を見た。
促織
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
「ばかなやつらだ、あいつらにぼくの親父の
値
(
ね
)
うちがわかるもんか」
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
その男がネパールのチベット人なる自分の近辺の者及び主人などと一緒に巡礼にやって来た。ところで自分の国の方では食物が沢山あって
値
(
ね
)
も安いから毎日米の飯を喰って居る。また麦も沢山ある。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
「思いのほかいい
値
(
ね
)
に売れました、この通り三十三両」
大菩薩峠:02 鈴鹿山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「なに高い事は無いさ、幾万円払つた骨董が
宅
(
うち
)
の土蔵にしまひ込んであるとなると、
外
(
ほか
)
に
沢山
(
どつさり
)
あるがらくた道具までが、そのお蔭で
万更
(
まんざら
)
な物ぢや無からうといふので、自然
値
(
ね
)
が出て来ようといふものぢやないか。」
贋物
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
百牛の
値
(
ね
)
の黄金を九牛の値ある黄銅に。
イーリアス:03 イーリアス
(旧字旧仮名)
/
ホーマー
(著)
米の
値
(
ね
)
の
例
(
れい
)
なくも
昂
(
あが
)
りければ
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
米の
値
(
ね
)
にふれて遊びの枕許
艶色落語講談鑑賞
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
値
(
ね
)
の高い水に砂吐く
蜆
(
しゞみ
)
かな
細木香以
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
そして、くまのいがいい
値
(
ね
)
で
売
(
う
)
れたら、
子供
(
こども
)
にも
春着
(
はるぎ
)
が
買
(
か
)
ってやれるし、
暮
(
く
)
らしもよくなるだろうし、こんないいことはないのだが。
猟師と薬屋の話
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
店先では、編笠の浪人が、
抛
(
ほう
)
り出した印籠に質の
値
(
ね
)
をつけさせて、番頭を相手に何やら押し問答をしているふうでありました。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
後
(
あと
)
でぺろり舌を出されるとは知りながら、上等のを
否
(
いや
)
極
(
ごく
)
上等
(
じょうとう
)
のをと気前を見せて言い
値
(
ね
)
でさっさと買って来る様な子供らしいこともついしたくなる。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
(
大
(
おほ
)
きく
出
(
で
)
たな。)——
當今
(
たうこん
)
三等米
(
さんとうまい
)
、
一升
(
いつしよう
)
につき
約四十三錢
(
やくよんじふさんせん
)
の
値
(
ね
)
を
論
(
ろん
)
ずるものに、
𢌞米問屋
(
くわいまいどんや
)
の
知己
(
ちき
)
があらう
筈
(
はず
)
はない。
深川浅景
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
値
(
ね
)
は呉服屋に付けて貰えば
宜
(
い
)
いと云て、夫れからどの位の
価
(
あたい
)
かと云たら、
単
(
ひとえ
)
羽織の事だから一両三分だと
云
(
い
)
う。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
併
(
しか
)
し
此節
(
このせつ
)
は
門並
(
かどなみ
)
道具屋
(
だうぐや
)
さんが
殖
(
ふえ
)
まして、
斯様
(
かやう
)
な
品
(
しな
)
は
誰
(
だれ
)
も
見向
(
みむき
)
もしないやうになりましたから、
全然
(
まるで
)
値
(
ね
)
がないやうなもんでげす、
何
(
ど
)
うも
酷
(
ひど
)
く
下落
(
げらく
)
をしたもんで。
士族の商法
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
木之助はあまり安い
値
(
ね
)
をいわれたので腹が立ったが、腹立ちまぎれに、そいじゃ売ろうといってしまった。
最後の胡弓弾き
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
さうして
疾
(
とう
)
に
自分
(
じぶん
)
の
住
(
す
)
んで
居
(
ゐ
)
る
土地
(
とち
)
までが
自分
(
じぶん
)
の
所有
(
もの
)
ではなかつた。それは
借錢
(
しやくせん
)
の
極
(
きま
)
りをつける
爲
(
ため
)
に
人
(
ひと
)
が
立
(
た
)
つて
東隣
(
ひがしどなり
)
へ
格外
(
かくぐわい
)
な
値
(
ね
)
で
持
(
も
)
たせたのである。それ
程
(
ほど
)
彼
(
かれ
)
の
家
(
いへ
)
は
窮
(
きう
)
して
居
(
ゐ
)
た。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
しかし今その子供の乞食が
頸
(
くび
)
を少し
反
(
そ
)
らせたまま、目を輝かせているのを見ると、ちょいといじらしい心もちがした。ただしこの「ちょいと」と云うのは
懸
(
か
)
け
値
(
ね
)
のないちょいとである。
保吉の手帳から
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「
全
(
まつた
)
く
値
(
ね
)
ぢやねえね。
泣
(
な
)
きたくなるね」と
云
(
い
)
つたので、
大勢
(
おほぜい
)
がまた
一度
(
いちど
)
に
笑
(
わら
)
つた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
ユダヤ人はちょっとしたもうけにほくほくして、
質
(
しつ
)
のわるいグロッシェン
貨
(
か
)
でこの
金額
(
きんがく
)
をもってきました。グロッシェン貨なら、三
枚
(
まい
)
でも、質のいい
金
(
かね
)
の二枚ぶんの
値
(
ね
)
うちしかないのです。
うまい商売
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
弾
(
はじ
)
き
葉
(
ば
)
のあさみどりなる、内
紅
(
あか
)
く紫くろき、
層
(
かさ
)
厚く七重八重なる、葉牡丹は大いにうれし。牡丹とも見ずや葉牡丹、
値
(
ね
)
は
廉
(
やす
)
きその株ながら、株立つとこの庭も
狭
(
せ
)
に、豊かなり乏しともなし。
白南風
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
いったいどこへ連れて行く気かな? こんな
爺
(
じじい
)
を誘拐したところでたいしていい
値
(
ね
)
にも売れまいにな。……
精々
(
せいぜい
)
のところで別荘番。……おや今度は左へ廻った。……じたばたしたって仕方がない。
大鵬のゆくえ
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「なに高い事は無いさ、幾万円払つた骨董が
宅
(
うち
)
の土蔵にしまひ込んであるとなると、
外
(
ほか
)
に
沢山
(
どつさり
)
あるがらくた道具までが、そのお蔭で
万更
(
まんざら
)
な物ぢや無からうといふので、自然
値
(
ね
)
が出て来ようといふものぢやないか。」
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
かの太陽に
値
(
ね
)
のあらば。
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
「なんでも、
大
(
おお
)
きな
牛
(
うし
)
ほど
値
(
ね
)
になるようだから、おまえさんの
家
(
うち
)
の
牛
(
うし
)
は
年
(
とし
)
をとっているが、
体
(
からだ
)
が
大
(
おお
)
きいからいい
値
(
ね
)
になるだろう。」
百姓の夢
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
今年は
値
(
ね
)
が好くて、
川端
(
かわばた
)
の岩さん家では、四円十五銭に売ったと云う
噂
(
うわさ
)
が立つ。隣村の浜田さんも繭買をはじめた。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
けれど幸か不幸か、単に買ったというだけでは、市の通用語をなさないので、かれの絶叫は一顧もされず、面箱は他の
糶声
(
せりごえ
)
にドンドン
値
(
ね
)
を争われている。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
大雅堂
(
たいがどう
)
の
柳下人物
(
りゅうかじんぶつ
)
の掛物を二両二分、
徂徠
(
そらい
)
の書、
東涯
(
とうがい
)
の書もあったが、誠に
値
(
ね
)
がない、見るに足らぬ。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
……どうも
平民
(
へいみん
)
は、すぐに
勘定
(
かんぢやう
)
にこだはるやうでお
恥
(
はづ
)
かしいけれども、
何事
(
なにごと
)
も
此
(
こ
)
の
方
(
はう
)
が
早分
(
はやわか
)
りがする。……
豆府
(
とうふ
)
一挺
(
いつちやう
)
の
値
(
ね
)
が、
五厘
(
ごりん
)
から
八厘
(
はちりん
)
、
一錢
(
いつせん
)
、
乃至
(
ないし
)
二錢
(
にせん
)
の
頃
(
ころ
)
の
事
(
こと
)
である。……
食
(
く
)
つたな!
何
(
ど
)
うも。
湯どうふ
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
そりや
高
(
たか
)
いよ
幾何々々
(
いくら/\
)
に
御負
(
おま
)
けなどゝ
云
(
い
)
はれると、「
値
(
ね
)
ぢやねえね」とか、「
拜
(
をが
)
むからそれで
買
(
か
)
つて
御呉
(
おく
)
れ」とか、「まあ
目方
(
めかた
)
を
見
(
み
)
て
御呉
(
おく
)
れ」とか
凡
(
すべ
)
て
異樣
(
いやう
)
な
田舍
(
ゐなか
)
びた
答
(
こたへ
)
をした。その
度
(
たび
)
に
皆
(
みんな
)
が
笑
(
わら
)
つた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
値
常用漢字
小6
部首:⼈
10画
“値”を含む語句
価値
價値
安値
値切
値打
高値
報道価値
値踏
数値
無価値
新聞価値
買値
値嘉島
値段
懸値
掛値
値遇
幾値
棄値
卸値
...