“幾値”の読み方と例文
読み方割合
いくら100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
「旦那、お立派なお侍様で、幾値いくらがとこでもありませんぜ。そんな、阿漕あこぎなことをいわないで、買っておくんなさい。口開くちあけだ」
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
泥土の中に、汗を流して、この苗一つが、幾値いくらになるかといふやうな考へだけで働いてゐたら、沸いてゐる泥田の蛭に食はれて、半日も、働いてはゐられまいと思ふ。
折々の記 (旧字旧仮名) / 吉川英治(著)
『小ぎたない鍋鶴めが、また水を濁して、燈籠やら、茶室の窓を汚し居る。芸もない生物、えさの費えもうるさい、町の禽商人とりあきゅうどを呼んで、幾値いくらにでも下げ渡してしまえ』
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)