幾値いくら)” の例文
「旦那、お立派なお侍様で、幾値いくらがとこでもありませんぜ。そんな、阿漕あこぎなことをいわないで、買っておくんなさい。口開くちあけだ」
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
泥土の中に、汗を流して、この苗一つが、幾値いくらになるかといふやうな考へだけで働いてゐたら、沸いてゐる泥田の蛭に食はれて、半日も、働いてはゐられまいと思ふ。
折々の記 (旧字旧仮名) / 吉川英治(著)
『小ぎたない鍋鶴めが、また水を濁して、燈籠やら、茶室の窓を汚し居る。芸もない生物、えさの費えもうるさい、町の禽商人とりあきゅうどを呼んで、幾値いくらにでも下げ渡してしまえ』
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それからまた、その日、手伝わせた百姓たちには、伐木の跡の植林をいいつけて、苗百本について幾値いくらと手間賃をきめ、それは城内から支払うであろうと云い渡した。
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
『これをいただきます、お幾値いくら
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)