“裾:すそ” の例文
“裾:すそ”を含む作品の著者(上位)作品数
泉鏡花87
吉川英治34
野村胡堂32
紫式部27
太宰治23
“裾:すそ”を含む作品のジャンル比率
文学 > フランス文学 > 小説 物語34.6%
文学 > 日本文学 > 小説 物語13.2%
文学 > 日本文学 > 小説 物語(児童)2.6%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
城から打ち出す鉄砲がはげしいので、島が数馬の着ていた猩々緋しょうじょうひの陣羽織のすそをつかんであとへ引いた。
阿部一族 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
その声が耳にひびいて、半七は堤の上から覗いてみると、堤のすその切株にりかかって、一人の男が寝ているらしかった。
なるほど充分に雨を含んだ外套がいとうすそと、中折帽のひさしから用捨なく冷たい点滴てんてきが畳の上に垂れる。
琴のそら音 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
水に近くらめいた、揖斐川の流れのすそは、うしおめた霧白く、月にもとまを伏せ、みの
歌行灯 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
上衣のすそが、人家の屋根や軒にあたるといけないので、それは脱いで、手にかゝえ、チョッキ一つになって、歩いて行きます。
せめて見返ってもいただけないのかと、源氏は飽き足らずも思い、恨めしくも思って、おすそを手に持って引き寄せようとした。
源氏物語:10 榊 (新字新仮名) / 紫式部(著)
いけまわって、築山つきやますそはしるおれん姿すがたは、きつねのようにはやかった。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
あちこちに見える島の名を訊いたり、近くの山のすその村々のありさまを訊いたりしたが、はっきりした答えは得られなかった。
入江のほとり (新字新仮名) / 正宗白鳥(著)
わし腹立紛はらたちまぎれじゃ、無暗むやみと急いで、それからどんどん山のすそ田圃道たんぼみちへかかる。
高野聖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
長十郎は掻巻かいまきすそをしずかにまくって、忠利の足をさすりながら、忠利の顔をじっと見ると、忠利もじっと見返した。
阿部一族 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
女が長いきぬすそさばいているようにも受取られるが、ただの女のそれとしては、あまりに仰山ぎょうさんである。
文鳥 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
その洋杖はいまだにへやすみに置いてある帽子掛の下に突き込まれたまま、女の長いコートのすそに隠されていた。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
それから起き上って、夜具のすそに掛けてあった不断着を、寝巻ねまきの上へ羽織はおったなり、床の間の洋灯を取り上げた。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
蹴出けだしにすそ端折はしおって二人が庭に降りた時には、きらつく天気に映ってにわかにそこら明るくなった。
春の潮 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
しまっておいたすだれが、また井戸端で洗われるような時節で、すそをまくっておいても、お尻の寒いようなことはなかった。
足迹 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
主人はびっくりして、机の下、行燈あんどんの蔭、衣服きものすそまで振って見たけれど、差置いた金包は更に見えません。
海水浴場案内のビラが、いまは寒気にビラビラしていて、駅の前を行く女達の薄着のすそのようにふくれ上っていた。
清貧の書 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
伊東はみちみち、菜の花や水仙などを摘んで丘のすそめぐりながら、遠くに部原へばらの海を見下ろす崖の上へ出た。
暴風雨に終わった一日 (新字新仮名) / 松本泰(著)
お杉という、三十足らずのぽってり者、寝巻のすそから、紅いものをこぼして、あわただしげに入口の戸を開けて、のぞいて、
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
楽書らくがきの文字もないが、今にも畳を離れそうで、すそが伸びるか、ともしびが出るか、蚊帳へ入って来そうでならぬ。
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
自分の膝や、すその乱れたのが急にとりつくろわれて、そうして次には、こんな醜態を演じていた自分というものに愛想をつかす。
大菩薩峠:31 勿来の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
をとこすそ見出みだししかば、ものをもはず一嘴ひとくちばし引咬ひつくはへてばせば
妙齢 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
すると大天狗は、ころもすそをからげ、羽うちわで拍子ひょうしを取り、おもしろい足取りで、踊り出しました。
天狗の鼻 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
悄然しょうぜんとして伊達巻だてまきのまま袖を合せ、すそをずらし、うちうなだれつつ、村人らに囲まれづ。
多神教 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
すそをぬらさねえように着物を引き上げるといいんだが、あんたはそうもゆくまい。まあ騒がずに、黙ってはいって来るがいい」
つづれ烏羽玉 (新字新仮名) / 林不忘(著)
もう、癇癪かんしゃくを起こしている。どこもここもひどく誇張したジコップ・ピジャマのすそが、ヒラヒラと風になびく。
キャラコさん:05 鴎 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
腹の上で筋斗とんぼを切る、鳩尾みぞおちを蹴っ飛ばす、寝巻のすそ雉猫きじねこを押し込むという乱暴狼籍ろうぜき
久米君は手早く夏羽織なつばおりすそたもとをからげるや否や身軽く鉄条綱の間をくぐってむこうへ出てしまった。
サ……サ……サ……サ……とかすかな音をさせて、……スカートすそでも、障子に触れるような音であったという。
墓が呼んでいる (新字新仮名) / 橘外男(著)
すそひざ引包ひつくるめて、そであたま突込つツこむで、こと/\むしかたちるのに
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
静かに呼ぶ者があって、中二階の梯子段はしごだんに、緋縮緬ひぢりめんの燃えるすそと、白い女の足もとだけが見えた。
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その姿が、人混ひとごみにまぎれ消えたかと思うと、やがて、急いでゆく町駕のれから、お米のすそがはみだして見える。
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかし、もう二人は、剣山のすそまで来てしまった。苦難、迫害、ふりかえってみても、お綱には、なお短かった心地がする。
鳴門秘帖:05 剣山の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
藍微塵あゐみぢんの七三に取つたすそを下ろして、少し笑まし氣にかたむけた顏は、全く利助の子分には勿論ない人柄です。
が、平次も八五郎も、本當に眼を見張つたのは、内儀の布團のすその方に、小じんまりと控へて居る、若い娘の可愛らしさでした。
と、病人の眼は半眼に見開かれて、斜めに、寝台のすその方の天井てんじょうに注がれたまま、凝然と動かなくなっていた。
(新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
染屋の宿の実家へ用達ようたしにゆくというていで、おりんは高麗の峡谷きょうこくから武蔵根のすそへ降りてゆきます。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
倉地は両ひじまで使って、ばたばたとすそ乱してあばれる両足のほかには葉子を身動きもできないようにしてしまった。
或る女:2(後編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
ようよう六つぐらいの子供で、着物も垢じみて折り目のなくなったこん単衣ひとえで、それを薄寒そうにすそ短に着ていた。
卑怯者 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
給仕がそのすそを動かして、竹の洋杖を突込つっこんだ時、大きな模様を抜いた羽二重はぶたえの裏が敬太郎の眼にちらついた。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
そうして故意わざおのれのそですそのあたりをなるほどといったようなまた意外だと驚いたような眼つきで見廻した。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
山のすそを切り開いて、一二丁奥へのぼるように建てた寺だと見えて、うしろの方はの色で高くふさがっていた。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
みしめるにちからるだけ、かへつてあせするばかりであつたが、すそたもとこはばるやうに
雪の翼 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
つまるたびに赤くなり、ナッパ服のすそを引張ってみたり、すり切れた穴のところに手を入れてみたり、ソワソワした。
蟹工船 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)
かゆい痒いと思ったら、こんなに食いからかいて」とお種は単衣ひとえすその方をからげながら捜してみた。
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
豊世が湯から上って来て見ると、姑は何処どこからかはかまを借りて来て、すその方を糸でくくっているところであった。
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
数枝、振り向きもせず、泣き叫ぶ睦子を抱いて、階段をのぼりはじめる。和服のすそから白いストッキングをはいているのが見える。
冬の花火 (新字新仮名) / 太宰治(著)
勘次かんじこん筒袖つゝそで單衣ひとへやけあしみじかすそからた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
身躰からだうにかなつてるやうで、すつとれないでつくばつた、すそあしにくるまつて
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
ある片田舎かたいなかの、山のすそにある小さな村に、右のことがどこからか伝わってきた時、子供達は眼をまんまるくしました。
お山の爺さん (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
それは、岩のかたまりが、すそひろがりに二すぢ長くつづいてゐるのでしたが、とほくから見ると、りつぱな八の字になつてゐます。
八の字山 (新字旧仮名) / 土田耕平(著)
草苅くさかりの子の一人二人、心豊かに馬を歩ませて、節面白くうたい連れたるが、今しも端山はやますそを登り行きぬ。
書記官 (新字新仮名) / 川上眉山(著)
すそにかくして、薄い紫のぼかしになった蹴出けだしのあるのが、すらすらさばくように、海から吹く風にそよいでいました。
甲乙 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ぬま呼吸いきくやうに、やなぎからもりすそむらさきはなうへかけて
人魚の祠 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
眞俯向まうつむけにおもかぜなかを、背後うしろからスツとかるおそつて、すそ
雪霊記事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
――大秘境「悪魔の尿溜ムラムブウェジ」はちらりとすそをみせ、それなり千古の神秘を人にみせることをしなかった。
人外魔境:01 有尾人 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
あんまりい気持ちなので、私はひじを枕にしたまま、足の先を褞袍どてらすそにくるんで、うつらうつらとなっていた。
黒髪 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
阿賀妻は鼻のうえに、波紋のような音のない微笑を浮かべていた。彼は掛矢の柄を板囲いに立てかけ、からげた着物のすそをおろした。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
あるいは子供のスカートのすそが妙に厚ぼたくふくれているので何かと思って近寄ると、とても長い洋服にウンと縫上げがしてあった。
めでたき風景 (新字新仮名) / 小出楢重(著)
バティスティーヌ嬢の長衣は一八〇六年式の型で、胴が短く、すそが狭く、肩襞かたひだのある袖で、ひもとボタンとがついていた。
すそは石垣で畳み上げ、窓はあかがねの網を張り、おおかみより猛々たけだけしい犬の群は門々の柱につないであった。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
一つはくすぐられるように、一つは抱くようにと、見るうちに、とこわきへ横に靡いて両方すそを流したのです。
甲乙 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
頭を綺麗に小紋こもんの羽織に小紋の小袖こそですそ端折はしおり、紺地羽二重こんじはぶたえ股引ももひき
草紅葉 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
と、いつか並木がザワめきだしてザーッと砂をまぜた風が、お綱のすそあおり、孫兵衛の幻想をうしろから吹き払ってしまった。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
風をはらんでは、紫の幕がすそをはためかせる。蘭丸の顔に、その色や、波の影が、頻りに映る、頻りに揺れうごく。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
なるほど七夕たなばた星を人間と見てそれが恋のためにすそ引つからげて天の川を渡る処など思ひなば可笑おかしき事もありなん。
俳諧大要 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
右手をすっと伸ばして、衣のすそをゆびで軽くつまみあげているが、人指しゆびと小ゆびのかすかにそりかえっているのが実に美しい。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
ぷいと引き返して、小溝のめぐる石垣のすそを馳けだし、少し勾配のついた坂道をのぼりましたが、やがてふり仰いだむくの大木。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
浜伝はまづたいにS村へ出るみちは高い砂山のすそをまわり、ちょうど海水浴区域とは反対の方角に向っていた。
海のほとり (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
御爺さんの出ないときは、娘が長いすそを引いて、絶え間なく芝刈しばかり器械をローンの上にころがしている。
永日小品 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
小倉こくらひだを飽くまでつぶしたはかますそから赭黒あかぐろい足をにょきにょきと運ばして、茶を持って来る。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
それを半分ほどはすにはぐって、すそのほうが厚く見えるところを、よけるように、女は窓を背にして腰をかけた。
三四郎 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ななめになって、俯向うつむいて幕張まくばりすそから透かした、ト酔覚よいざめのように、顔の色が蒼白あおじろい。
吉原新話 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
裏へ出る暗がりに、無雑作にかけてあるムシロのすそから、子供のように妙に小さくなった、黄黒く、つやのない両足だけが見えた。
蟹工船 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)
お庄は賑やかないけはたから公園のすその方へ出ると、やがて家並みのごちゃごちゃした狭い通りへ入った。
足迹 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
見ると、あきらにいさんの白地しろぢの薩摩がすり単衣ひとへすそを両手でつかんだ儘阿母さんは泣いて居る。
蓬生 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
緋の山繭やままゆ胴抜どうぬきの上に藤色の紋附のすそ模様の部屋紫繻子むらさきじゅす半襟はんえりを重ねまして
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
髪と着物のすそをこの風と雲とに存分に吹きなぶらせて、山を駈けおりる女は、羅漢様の首ばかりを後生大事に抱いて、
大菩薩峠:23 他生の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
みのすそ引摺ひきずつてながいからあしえないで歩行あるいて
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
赤き顱巻はちまき向うざまにしめて、すそからげ、片肌脱ぎて、手にせる菓子の箱高く捧げたるがその銀六よ。
照葉狂言 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
なかで一ばんおおきな彼方むこう巌山いわやますそに、ひとつの洞窟ほらあならしいものがあり
英虞あごうら船乗ふなのりすらむをとめ珠裳たまもすそしほつらむか 〔巻一・四〇〕 柿本人麿
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
それは山のすそから頂を開いて作られた町で、その裾にはラーン河が流れ、河の向うには丘が続き、森が開かれている。
読書遍歴 (新字新仮名) / 三木清(著)
しかし、かく、うまく行った。荒木夫人は火のように怒って、鼻息を荒くしながら、すそ蹴返けかえして帰って行った。
少年・春 (新字新仮名) / 竹久夢二(著)
「父上!」と右門は血相変えて、甚五衛門のすそをまた掴んだ。「そのお言葉はお父上のご本心からでございますか?」
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
私たち二人は雑草の露にはかますそうるおしながら、この森蔭の小暗おぐらい片隅から青葉の枝と幹との間をすかして
……トニオは、父の死の床のすそに立って、眼を熱くしながら、あの無言の強い感情に――愛と苦痛に、心から残りなく身を委ねていた。
夜中、私は蛍光燈の煌々こうこうとかがやく下で夜具のすその方から左の足の爪先つまさきを、わざとちょっぴり外に出してみせた。
(新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
汗臭あせくさ浅黄色あさぎいろ股引ももひき背広せびろすそさわるので気味が悪い事がある。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「おしなあしでもさすつてやんべぢやねえか」勘次かんじはおしなすそはうつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
魂消たまぎるように叫びつつ身を起した。素跣足すはだしのまま寝台から飛び降りて、すそもあらわに私にすがり付こうとした。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
これは不尽のすそより見上げし時の即興なるべく、生も実際にかく感じたる事あれば面白き歌と一時は思ひしが、今見れば拙き歌に有之候。
歌よみに与ふる書 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
すそを浮かすと、紅玉ルビイに乳が透き、緑玉エメラルドももが映る、金剛石ダイヤモンドに肩が輝く。
茸の舞姫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
中には動かずにじっと留まって、すその消えそうな山伏が、草の上に漂々として吹かれもやらず浮くのさえある。
星女郎 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
その時帝釈一の黄鼠と化して女のすそにあり、鉢に繋いだ緒をい切り鉢を地に落して仏の無罪を明らかにした(『菩薩処胎経』五)。
白い服へ鮮明に掛かった黒髪のすそが少し薄くなって、きれいに分かれた筋を作っているのもかえってなまめかしい。
源氏物語:23 初音 (新字新仮名) / 紫式部(著)
淡紫の着物を着て、髪はまだ着物のすそには達せずに末のほうがわざとひろげたようになっている細い小さい姿が可憐かれんに思われた。
源氏物語:28 野分 (新字新仮名) / 紫式部(著)
紅紫の指貫さしぬきに桜の色の下襲したがさねすそを長く引いて、ゆるゆるとした身のとりなしを見せていた。
源氏物語:29 行幸 (新字新仮名) / 紫式部(著)
いわれたその二の腕の不審紙。色のせたのに歯をんで、すそに火の粉も知らずに寝た、愛吉が、さも痛そうに、身ぶるいした。
式部小路 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
が、いつかくるりとすそ端折はしょった、長襦袢ながじゅばんは、土にこぼれて、火とともに乱れたのである。
卵塔場の天女 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)