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真白
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まつしろ
ふりがな文庫
“
真白
(
まつしろ
)” の例文
旧字:
眞白
金線にかざられた黒い四角な帽子をかぶり、
真白
(
まつしろ
)
な服の上に、赤と金との模様のついた
上衣
(
うはぎ
)
をつけて、太い長い珠数を手にしてゐました。
エミリアンの旅
(新字旧仮名)
/
豊島与志雄
(著)
其
(
そ
)
の
肩越
(
かたごし
)
に、
田
(
た
)
のへりを、
雪
(
ゆき
)
が
装上
(
もりあが
)
るやうに、
且
(
か
)
つ
雫
(
しづく
)
さへしと/\と……
此
(
こ
)
の
時
(
とき
)
判然
(
はつきり
)
と
見
(
み
)
えたのは、
咲
(
さ
)
きむらがつた
真白
(
まつしろ
)
な
卯
(
う
)
の
花
(
はな
)
である。
銀鼎
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
忽
(
たちま
)
ち
燈
(
ともしび
)
の光の消えて
行
(
ゆ
)
くやうにあたりは全体に
薄暗
(
うすぐら
)
く灰色に
変色
(
へんしよく
)
して来て、満ち
来
(
く
)
る
夕汐
(
ゆふしほ
)
の上を
滑
(
すべ
)
つて
行
(
ゆ
)
く
荷船
(
にぶね
)
の
帆
(
ほ
)
のみが
真白
(
まつしろ
)
く
際立
(
きはだ
)
つた。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
なにしろ、
真白
(
まつしろ
)
で、銀のやうに光る髪をもつて、するどい
眼附
(
めつき
)
をしてゐる婆さんなので、豆小僧は気味が悪くなつて、仕方がなかつたのです。
豆小僧の冒険
(新字旧仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
事
(
こと
)
に
依
(
よ
)
つたら、
世
(
よ
)
の
人
(
ひと
)
たちの
有
(
も
)
つてゐる
主
(
しゆ
)
の
御血汐
(
おんちしほ
)
で、この
身
(
み
)
が
癒
(
なほ
)
るかも
知
(
し
)
れぬ。
血
(
ち
)
を
思
(
おも
)
ふことも
度々
(
たびたび
)
だ。この
歯
(
は
)
なら
咬付
(
かみつ
)
ける。
真白
(
まつしろ
)
の
歯
(
は
)
だ。
癩病やみの話
(新字旧仮名)
/
マルセル・シュウォッブ
(著)
▼ もっと見る
奥
(
おく
)
では
殿様
(
とのさま
)
が
手襷掛
(
たすきがけ
)
で、
汗
(
あせ
)
をダク/\
流
(
なが
)
しながら
餡拵
(
あんごしら
)
へか
何
(
なに
)
かして
居
(
ゐ
)
らつしやり、
奥様
(
おくさま
)
は鼻の先を、
真白
(
まつしろ
)
にしながら
白玉
(
しらたま
)
を丸めて
居
(
ゐ
)
るなどといふ。
士族の商法
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
客は少し飲んで、
真白
(
まつしろ
)
になつて崩れずにゐるシガアの灰を見て、何か考へてゐるやうだつたが、ふいとかう云ひ出した。
魔睡
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
けれども、お風呂から上つて、毛がかわくと、それはそれは目もまぶしいくらゐに美しく
真白
(
まつしろ
)
になりました。
お猫さん
(新字旧仮名)
/
村山籌子
、
古川アヤ
(著)
鼻緒の色はとにかく草履を穿いてゐる事も
分
(
わか
)
つた。もう
一人
(
ひとり
)
は
真白
(
まつしろ
)
である。是は団扇も何も持つて居ない。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
「孔子様の隣りに、
老子
(
らうし
)
様を描くのです。老子さまは、おつ
母
(
か
)
さんのお
腹
(
なか
)
に、七十年居たのださうな。だから産れた時、もう髪が
真白
(
まつしろ
)
で、歯が抜けてゐたのだつて。」
愚助大和尚
(新字旧仮名)
/
沖野岩三郎
(著)
近江さんに案内して頂いて自分達はイザル川を横ぎり森の中を雨に濡れ
乍
(
なが
)
ら歩いた。川は
石灰
(
いしばひ
)
を
融
(
とか
)
した様に
真白
(
まつしろ
)
な流れが
激
(
げき
)
して居た。森には
種種
(
いろ/\
)
の
樹
(
き
)
が鮮かに黄ばんで居る。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
ベンヂヤミン・フランクリンがある冬馬に
騎
(
の
)
つて田舎に旅行をした事があつた。雪の多い頃で、
夕方
(
ゆふかた
)
田舎の
旅籠屋
(
はたごや
)
に着いた頃には、馬も人も砂糖の塊のやうに
真白
(
まつしろ
)
になつてゐた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「とゞの詰りは
真白
(
まつしろ
)
な灰」になつて何も浮世の
埒
(
らち
)
が明くのである。
平将門
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
恐ろしきほど
真白
(
まつしろ
)
く
白粉
(
おしろい
)
つけた
呆
(
とぼ
)
けがほ。
東京景物詩及其他
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
真白
(
まつしろ
)
界
(
かい
)
の銀世界
未刊童謡
(新字旧仮名)
/
野口雨情
(著)
真白
(
まつしろ
)
な胸に
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
残暑
(
ざんしよ
)
の
夕日
(
ゆふひ
)
が一しきり夏の
盛
(
さかり
)
よりも
烈
(
はげ
)
しく、ひろ/″\した
河面
(
かはづら
)
一帯に燃え立ち、
殊更
(
ことさら
)
に大学の
艇庫
(
ていこ
)
の
真白
(
まつしろ
)
なペンキ
塗
(
ぬり
)
の
板目
(
はめ
)
に反映してゐたが
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
「天の羽衣とはどんなものか、
一寸
(
ちよつと
)
見せなさい。」と言つて、見るものもありました。けれどもそれは一寸見たゞけでは
只
(
ただ
)
真白
(
まつしろ
)
な絹布のやうに見えました。
竜宮の犬
(新字旧仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
そしてそのおもちやの熊は死んでゐました。また、けものが出て来ました。
真白
(
まつしろ
)
な
犬位
(
いぬぐらゐ
)
ある
奴
(
やつ
)
なんです。これはと思つて引金を引きました。レオは飛んでゆきました。
お姫さまと猟師
(新字旧仮名)
/
村山籌子
(著)
さあ、のつぺらぱうか、
目一
(
めひと
)
つか、
汝
(
おのれ
)
其
(
そ
)
の
真目
(
まじ
)
/\とした
与一平面
(
よいちべいづら
)
は。
眉
(
まゆ
)
なんぞ
真白
(
まつしろ
)
に
生
(
はや
)
しやがつて、
分別
(
ふんべつ
)
らしく
天窓
(
あたま
)
の
禿
(
は
)
げたは
何事
(
なにごと
)
だ。
其
(
そ
)
の
顱巻
(
はちまき
)
を
取
(
と
)
れ、
恍気
(
とぼけ
)
るな。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「おい! 万作さん!」と大きな声で呼んだものがあるので万作は
吃驚
(
びつくり
)
して
眼
(
め
)
を開けてみると、そこに白い
髯
(
ひげ
)
を長く
伸
(
のば
)
した
老爺
(
ぢい
)
さんが
真白
(
まつしろ
)
い着物を着て立つてゐました。
蚊帳の釣手
(新字旧仮名)
/
沖野岩三郎
(著)
午後五時前に
十
(
とを
)
許
(
ばか
)
りの飛行機が引出されたが、風が強いので皆地を
這
(
は
)
つて
発動機
(
モツウル
)
の具合を試したり、滑走試験を続けたりして居る。
其
(
それ
)
が
砂煙
(
すなけむり
)
を蹴立てるので広い場内が
真白
(
まつしろ
)
に曇つて
仕舞
(
しま
)
つた。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
髭
(
ひげ
)
は
真白
(
まつしろ
)
と云はんよりは、寧ろ
黄色
(
きいろ
)
である。さうして、
話
(
はなし
)
をするときに
相手
(
あいて
)
の
膝頭
(
ひざがしら
)
と
顔
(
かほ
)
とを
半々
(
はん/\
)
に見較べる
癖
(
くせ
)
がある。其時の
眼
(
め
)
の
動
(
うご
)
かし
方
(
かた
)
で、
白眼
(
しろめ
)
が
一寸
(
ちよつと
)
ちらついて、
相手
(
あいて
)
に妙な心
持
(
もち
)
をさせる。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
何
(
なん
)
の
恐
(
こは
)
いものですか、
真白
(
まつしろ
)
な
方
(
かた
)
ですもの。
癩病やみの話
(新字旧仮名)
/
マルセル・シュウォッブ
(著)
鉛粉
(
おしろい
)
真白
(
まつしろ
)
けで
丸
(
まる
)
ふたつ
東京景物詩及其他
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
電燈は三百
燭
(
しよく
)
の明るいのをつけてありましたし、テーブル掛は
真白
(
まつしろ
)
だしするものですから
お猫さん
(新字旧仮名)
/
村山籌子
、
古川アヤ
(著)
爾時
(
そのとき
)
は、
瞼
(
まぶた
)
を
離
(
はな
)
して、はらりと
口元
(
くちもと
)
を
半帕
(
はんけち
)
で
蔽
(
おほ
)
うて
居
(
ゐ
)
た、
某子爵夫人
(
ぼうしゝやくふじん
)
が
頷
(
うなづ
)
くやうに
聞
(
き
)
き/\、
清
(
きよ
)
らかな
半帕
(
はんけち
)
を
扱
(
しご
)
くにつれて、
真白
(
まつしろ
)
な
絹
(
きぬ
)
の、それにも
血
(
ち
)
の
影
(
かげ
)
が
映
(
さ
)
すやうに
見
(
み
)
えた。
続銀鼎
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
其
(
そ
)
の人々の中に
長吉
(
ちやうきち
)
は
偶然
(
ぐうぜん
)
にも若い一人の芸者が、口には桃色のハンケチを
啣
(
くは
)
へて、
一重羽織
(
ひとへばおり
)
の
袖口
(
そでぐち
)
を
濡
(
ぬら
)
すまい
為
(
た
)
めか、
真白
(
まつしろ
)
な
手先
(
てさき
)
をば腕までも見せるやうに長くさし
伸
(
のば
)
してゐるのを認めた。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
子良はもう立派な
漁夫
(
れふし
)
の少年です。
親父
(
おやぢ
)
の
伯良
(
はくりやう
)
を
扶
(
たす
)
けて漁に出ます。けれども母のことばかり考へてゐました。子良の幼ない記憶に残る母は鼻の高い、色の
真白
(
まつしろ
)
な、せいの高い美しい人でした。
子良の昇天
(新字旧仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
寝台
(
ベツド
)
の上に
敷
(
し
)
いた蒲団を見ると
真白
(
まつしろ
)
である。
上
(
うへ
)
へ掛けるものも
真白
(
まつしろ
)
である。それを
半分
(
はんぶ
)
程
斜
(
はす
)
に
捲
(
は
)
ぐつて、
裾
(
すそ
)
の方が
厚
(
あつ
)
く見える所を、
避
(
よ
)
ける様に、女は窓を
背
(
せ
)
にして腰を掛けた。足は
床
(
ゆか
)
に届かない。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
知
(
し
)
りません。
唯
(
たゞ
)
真白
(
まつしろ
)
な
方
(
かた
)
です。
癩病やみの話
(新字旧仮名)
/
マルセル・シュウォッブ
(著)
お
山
(
やま
)
は
雪
(
ゆウき
)
で
真白
(
まつしろ
)
だ。
とんぼの眼玉
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
枝
(
えだ
)
々のなかの
水田
(
みづた
)
の
水
(
みづ
)
がどむよりして
淀
(
よど
)
むで
居
(
ゐ
)
るのに
際立
(
きはだ
)
つて
真白
(
まつしろ
)
に
見
(
み
)
えるのは
鷺
(
さぎ
)
だつた
化鳥
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
とても、ずるい、小さな、
真白
(
まつしろ
)
いあひるさんです。そして、耳長さんに言ひますのに
耳長さん と あひるさん
(新字旧仮名)
/
村山籌子
(著)
蟻
(
あり
)
の
座敷
(
ざしき
)
へ
上
(
あ
)
がる時候になつた。代助は大きな
鉢
(
はち
)
へ水を
張
(
は
)
つて、其
中
(
なか
)
に
真白
(
まつしろ
)
なリリー、オフ、ゼ、ヷレーを
茎
(
くき
)
ごと
漬
(
つ
)
けた。
簇
(
むら
)
がる
細
(
こま
)
かい花が、
濃
(
こ
)
い模様の
縁
(
ふち
)
を
隠
(
かく
)
した。
鉢
(
はち
)
を
動
(
うご
)
かすと、
花
(
はな
)
が
零
(
こぼ
)
れる。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
……
凩
(
こがらし
)
に
吹
(
ふ
)
かれぬ
前
(
まへ
)
に、
雪国
(
ゆきぐに
)
の
雪
(
ゆき
)
が
不意
(
ふい
)
に
来
(
き
)
て、
其
(
そ
)
のまゝ
焚附
(
たきつけ
)
にも
成
(
な
)
らずに
残
(
のこ
)
つた、
冬
(
ふゆ
)
の
中
(
うち
)
は、
真白
(
まつしろ
)
な
寐床
(
ねどこ
)
へ
潜
(
もぐ
)
つて、
立身
(
たちみ
)
でぬく/\と
過
(
す
)
ごしたあとを、
草枕
(
くさまくら
)
で
寐込
(
ねこ
)
んで
居
(
ゐ
)
た
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
其
(
そ
)
の
灯
(
あかり
)
が、
背中
(
せなか
)
から
淡
(
あは
)
く
射
(
さ
)
して、
真白
(
まつしろ
)
な
乳
(
ちゝ
)
の
下
(
した
)
を
透
(
すか
)
す、……
帯
(
おび
)
のあたりが、
薄青
(
うすあを
)
く
水
(
みづ
)
に
成
(
な
)
つて、ゆら/\と
流
(
なが
)
れるやうな、
下
(
した
)
が
裙
(
すそ
)
に
成
(
な
)
つて、
一寸
(
ちよつと
)
灯
(
ひ
)
の
影
(
かげ
)
で
胴
(
どう
)
から
切
(
き
)
れた
形
(
かたち
)
で、
胸
(
むね
)
を
反
(
そ
)
らした
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
真白
(
まつしろ
)
なのが
暗
(
くら
)
まぎれ、
歩行
(
ある
)
くと
霜
(
しも
)
が
消
(
き
)
えて
行
(
ゆ
)
くやうな。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
真
常用漢字
小3
部首:⽬
10画
白
常用漢字
小1
部首:⽩
5画
“真白”で始まる語句
真白昼
真白羽
真白々