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彼
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あ
ふりがな文庫
“
彼
(
あ
)” の例文
実
(
じつ
)
に
驚
(
おどろ
)
きました、
彼
(
あ
)
んなお
丈夫
(
ぢやうぶ
)
さまなお
方
(
かた
)
が
何
(
ど
)
うして
御死去
(
おなくな
)
りになつたかと
云
(
い
)
つて、
宿
(
やど
)
の
者
(
もの
)
も
宜
(
よろ
)
しう
申
(
まう
)
しました、
嚥
(
さぞ
)
お
力落
(
ちからおと
)
しで……。
明治の地獄
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「家には何も心配のことはないのや。
彼
(
あ
)
の子さへどうかなると
淡然
(
あつさり
)
とするのやれど、ほんとに困つた。一寸も手を放されんさかい。」
厄年
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
角海老
(
かどゑび
)
が
時計
(
とけい
)
の
響
(
ひゞき
)
きもそゞろ
哀
(
あわ
)
れの
音
(
ね
)
を
傳
(
つた
)
へるやうに
成
(
な
)
れば、四
季
(
き
)
絶間
(
たえま
)
なき
日暮里
(
につぽり
)
の
火
(
ひ
)
の
光
(
ひか
)
りも
彼
(
あ
)
れが
人
(
ひと
)
を
燒
(
や
)
く
烟
(
けぶ
)
りかとうら
悲
(
かな
)
しく
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
『マア
彼
(
あ
)
の方は!』と智恵子は少し驚いた様に目を瞠つた。それは富江の事を言つたのだが、静子の方では、山内の事の様に聞いた。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
四十円じゃ唯見たいなもんだって、彼の
馬喰
(
ばくろう
)
が言ってから、乃公は毎晩
彼
(
あ
)
の馬の夢を見る。昼間でも時には人の顔が長く見える位だ。
いたずら小僧日記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
▼ もっと見る
君、山木は
彼
(
あ
)
の同胞新聞とか云ふ
木葉
(
こつぱ
)
新聞の篠田ツて奴に、娘を呉れて遣る内約があるンださうぢやないか、失敬ナ、篠田——
彼奴
(
あいつ
)
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
『夜蕎麦売とは、変った
渡世
(
とせい
)
をしているな。おれも、
彼
(
あ
)
の日が、生涯の
岐
(
わか
)
れ道になって、とうとう、つまらない刀鍛冶に成っている』
山浦清麿
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
猶又何に
彼
(
あ
)
の子供が——といふ觀念が先入主となつて居た事とが、余の君の文才を知ることの
後
(
おく
)
れた主たる原因であると申したい。
貝殻追放:007 愚者の鼻息
(旧字旧仮名)
/
水上滝太郎
(著)
N大尉は
己
(
じぶん
)
でも危険に遭遇しているので、もしや
彼
(
あ
)
の時にどうかしたのではないかと思ってS中尉の身の上を心配しいしい帰って来た。
空中に消えた兵曹
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
「そうです、そうです。けれども
彼
(
あ
)
れが僕の
做
(
な
)
し得るかぎりの秘密なんです。」と言って
暫
(
しば
)
らく言葉を
途切
(
とぎら
)
し、気を
塞
(
つ
)
めて居たが
運命論者
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
蕙子は可笑しくも思ったけれ共実際其の唐突な事の成り行きと
彼
(
あ
)
の妙な重三の事を思うと変に考えずには居られない様でもあった。
お久美さんと其の周囲
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
俺は、是から
彼
(
あ
)
の船へ乗込んで、怪奇の真相を探査しようと思う。我らの海上から迷蒙の噂を除こうと思う、併せて友船浦島丸の安否を
流血船西へ行く
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
おかみの叱責のひまひまに隠れてやっていた
彼
(
あ
)
の平和な居睡り——私にはそれがあの子の最も幸福な瞬間であったような気がした。
或る少女の死まで
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
が、何を思い出したか、
嫣然
(
にやにや
)
笑いながら、「それでも忠一君は
彼
(
あ
)
の女に思惑でも有ったと見えて、
頻
(
しきり
)
に
戯
(
からか
)
って騒いでいましたよ。」
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
丑松は敬之進のことを思出して、つく/″\
彼
(
あ
)
の
落魄
(
らくはく
)
の
生涯
(
しやうがい
)
を憐むと同時に、
亦
(
ま
)
た
斯
(
こ
)
の人を注意して見るといふ気にも成つたのである。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
さうだに
力
(
ちから
)
落
(
おと
)
すなよ、
此
(
こ
)
らつ
位
(
くれえ
)
な
火傷
(
やけど
)
なんぞどうするもんぢやねえ、
俺
(
お
)
れ
癒
(
なほ
)
してやつから、どうした
彼
(
あ
)
ん
時
(
とき
)
からぢや
痛
(
いた
)
かあんめえ
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
この黒い太い破れた二本の烟突から
盛
(
さかん
)
に
彼
(
あ
)
のような黒い烟が上って、やはり青田の上に影を落して町の方へと靡いたのであろう。
暗い空
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
何
(
なん
)
で、
約束
(
やくそく
)
した
其
(
そ
)
の
婦
(
をんな
)
に
逢
(
あ
)
ひに
行
(
い
)
つては
成
(
な
)
らぬのかと——
今
(
いま
)
のお
前樣
(
まへさま
)
の
通
(
とほ
)
りを、
又
(
また
)
其
(
そ
)
の
時
(
とき
)
私
(
わたし
)
が
尋
(
たづ
)
ねますと、
彼
(
あ
)
の
盲人
(
めくら
)
が
申
(
まを
)
すには
三人の盲の話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「そのときの若い方のが、昨夜、銀座裏で逢った
彼
(
あ
)
の男なのさ」帆村は、
抽出
(
ひきだし
)
のなかから新しいホープの
紙函
(
かみばこ
)
をとりだすと、そう云った。
西湖の屍人
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
『お
前
(
まへ
)
の
知
(
し
)
つた
事
(
こと
)
ぢやない!』と
五點
(
フアイブ
)
。『そんなら
私
(
わたし
)
は
彼
(
あ
)
れに
話
(
はな
)
してやらう——
玉葱
(
たまねぎ
)
の
代
(
かは
)
りに
欝金香
(
うつこんかう
)
の
根
(
ね
)
を
料理人
(
クツク
)
の
許
(
ところ
)
へ
持
(
も
)
つて
行
(
い
)
けッて』
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
待て
霎時
(
しばし
)
、どうも
爾
(
そ
)
うでない、
抑
(
そもそ
)
も
乃公
(
おれ
)
が
彼
(
あ
)
の学校の監督をしないと
云
(
い
)
うものは、
為
(
し
)
ない
所以
(
ゆえん
)
があって
為
(
し
)
ないとチャンと説を
極
(
き
)
めて居る。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
それだから僕は夢子の夫になつて
彼
(
あ
)
の
女
(
おんな
)
の藝術を保護してやる。………僕は結婚したら、夢子を連れて
亜米利加
(
アメリカ
)
へ行かうと思つて居るんだ。
戯曲体小説 真夏の夜の恋
(新字旧仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「やア、来た/\、そうれ、あの大きな狸を御覧! 三百、四百、五百、あれ/\
彼
(
あ
)
の小い可愛い仔狸を御覧、あれ/\……」
馬鹿七
(新字旧仮名)
/
沖野岩三郎
(著)
三河
(
みかわ
)
の
宝蔵寺
(
ほうぞうじ
)
産の麻の上物を
酢煮
(
すに
)
にして、三
繰
(
く
)
りにしたのを
彼
(
あ
)
の
家
(
うち
)
では用いているのだが、成程これは普通のとは違って丈夫だ
死剣と生縄
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
だが、行徳行の汽船が、毎日大橋から出てるので、
彼
(
あ
)
れに乗るです。船は方々に着けるし、上ると直ぐ釣場ですから、足濡らさずに済むです。
元日の釣
(新字旧仮名)
/
石井研堂
(著)
モスタアの頭部を粉砕したあの運命的な一個の弾丸は、モスタアの生命と一緒に、チャアリイの所在とその運命をも
彼
(
あ
)
の世に運んでしまった。
チャアリイは何処にいる
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
彼
(
あ
)
の雛店の紅紫相映ずるというほどには行かぬとしても、赤糸青糸相映じ
累々乎
(
るいるいこ
)
として錦を織り出しているところは極めて美しいものである。
俳句はかく解しかく味う
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
聞
(
きゝ
)
てオヽ
嬉
(
うれ
)
しや申し重四郎樣と云ながら
直
(
つ
)
と身を
寄
(
よせ
)
其縁談
(
そのえんだん
)
は
彼
(
あ
)
の大津屋段右衞門の
後家
(
ごけ
)
にて
縁女
(
えんぢよ
)
はお
恥
(
はづか
)
しながらと
口籠
(
くちごも
)
り顏を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
けれども、
彼
(
あ
)
の人には、恋愛と云ふ事が何んであるか解つてゐないのです。あの人の恋愛観は、皆な書物の上のそれです。
書簡 大杉栄宛:(一九一六年五月三一日)
(新字旧仮名)
/
伊藤野枝
(著)
自分は、折角験べようと思つた
彼
(
あ
)
の材料が手もとになくなつたので、ぼんやり煙草を喫しながら彼の机の前に坐つてゐた。——酷く退屈である。
夏ちかきころ
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
「おい、今井の姉娘が上京したそうだよ。鏡花さんの宅からとしてあるが、
彼
(
あ
)
の
娘
(
こ
)
もいろいろと苦労をしているのだ、ね」
友人一家の死
(新字新仮名)
/
松崎天民
(著)
爾
(
そう
)
でしょうよ流行社会の理髪師で
巴里
(
ぱり
)
中の美人は一人残らず
彼
(
あ
)
の人の手に掛ッて髪をくねらせて貰ッたと云う程ですもの目
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
あれこそは
此世
(
このよ
)
の
名譽
(
めいよ
)
といふ
名譽
(
めいよ
)
が、
只
(
た
)
った
一人
(
ほとり
)
王樣
(
わうさま
)
となって、
坐
(
すわ
)
る
帝座
(
ていざ
)
ぢゃ。おゝ、
何
(
なん
)
といふ
獸物
(
けだもの
)
ぢゃ
予
(
わし
)
は、かりにも
彼
(
あ
)
の
方
(
かた
)
を
惡
(
わる
)
ういふとは!
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
彼
(
あ
)
の人は、これまで白刃にかこまれても、びくともしずに坐っていたが、あたしが出て来てから、すっかり容子が変ったでしょう——あの人は
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
「驚ろくつて——
夫
(
それ
)
は全く驚ろかない事もない。けれども世の中の事はみんな、
彼
(
あ
)
んなものだと思つてるから、若い人程正直に驚ろきはしない」
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
「
妾
(
わたし
)
が悪う御座いました。堪忍して下さい。もうこれから
決
(
けつ
)
して貴婦人にならうとは思ひませぬ。
彼
(
あ
)
の
金剛石
(
ダイヤモンド
)
は
貴方
(
あなた
)
と
妾
(
わたし
)
の
間
(
あひだ
)
を割く悪魔でした。」
金剛石
(新字旧仮名)
/
夢野久作
(著)
「ハイ、そうおッしゃられたのでござりまする。全く
彼
(
あ
)
の笛が無いとありましては、わたくし共めまでも何の様な……」
雪たたき
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
入
(
はひ
)
つて来たのは列車に乗込んだ役人と、支那に雇はれて居る英人の税関吏とである。荷物は
彼
(
あ
)
れと
是
(
こ
)
れかと云つて、見た
儘
(
まゝ
)
手を附けないで行つた。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
そうして侯爵夫人をつかまえて親方が
彼
(
あ
)
の女の指輪を貰うのを忘れたから改めて貰って来いと言附けられたと云って、
到頭
(
とうとう
)
指輪を奪って帰りました。
薔薇の女
(新字新仮名)
/
渡辺温
(著)
義和団事件を起したところの、
彼
(
あ
)
の
拳匪
(
けんぴ
)
という奴や、一層有名な長髪賊なども、矢張り催眠術を巧みに使用し、愚夫愚婦を瞞着し煽動したものです。
さまよう町のさまよう家のさまよう人々
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
思い出すと、それは、私達がこの島に着いた日、この辺の岸にうずくまって、諸戸の顔をジロジロと眺めていた、
彼
(
あ
)
の不思議な老人に相違なかった。
孤島の鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
そうだ! あんな
卑
(
いや
)
しい人間に
怯
(
おそ
)
れてなるものか。
彼
(
あ
)
の男こそ、自分の清浄な
処女
(
おとめ
)
の
誇
(
ほこり
)
の前に、
愧
(
は
)
じ怯れていゝのだ。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
手前と
相弟子
(
あいでし
)
の
彼
(
あ
)
の
笠亭仙果
(
りゅうていせんか
)
がお供を致しまして御屋敷へ上っておりますから、私は今の
中
(
うち
)
一走
(
ひとはし
)
り御様子を見て参ろうかと思っていた処で御座ります。
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
私は
彼
(
あ
)
女の方は、日本の人か知ら、他国の人じゃないかと思いました。ですけれども、顔だけは
何
(
どう
)
見ても日本の人!
昇降場
(新字新仮名)
/
広津柳浪
(著)
「
彼
(
あ
)
の人は妾にいつも恥をかかすのです、彼の人が
愚鈍
(
ぐどん
)
なために、妾は、妾が良妻であるにもかかわらず世間から誤解をまねくようなことになるんだわ。」
女百貨店
(新字新仮名)
/
吉行エイスケ
(著)
楽しそうな声が水を
度
(
わた
)
って聞えるにつけて、おれも
彼
(
あ
)
の座敷で飲んだことがある、あの桟橋に小歌が立って居てそれを二階から顔見合せて笑ったことがある
油地獄
(新字新仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
学生間に宣伝する者があれば厳重に取締れと云つて居るから、君も此の学校に居る間は
彼
(
あ
)
の様な猛烈な破壊的な演説を講壇に立つて大勢の前では為て呉れるなつて
死線を越えて:01 死線を越えて
(新字旧仮名)
/
賀川豊彦
(著)
流石
(
さすが
)
に
微
(
かすか
)
に覚えが有るから、確か
彼
(
あ
)
の
辺
(
へん
)
だなと見当を附けて置いて、さて
昨夜
(
ゆうべ
)
の雨でぬかる墓場道を、
蹴揚
(
けあげ
)
の泥を
厭
(
いと
)
い厭い、
度々
(
たびたび
)
下駄を取られそうになりながら
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
何うも
彼
(
あ
)
のモデルは胴がよかつたが頸がわるいので、他から頸を求め、顏は又別のモデルを使つたが、鼻が低かつたもんだから、鼻丈けは又他に求めたといふ風に
彫刻家の見たる美人
(旧字旧仮名)
/
荻原守衛
(著)
と、眼を
開
(
あ
)
けば、例の
山査子
(
さんざし
)
に例の空、ただ白昼というだけの違い。おお、隣の人。ほい、敵の死骸だ! 何という大男! 待てよ、見覚があるぞ。
矢張
(
やッぱり
)
彼
(
あ
)
の男だ……
四日間
(新字新仮名)
/
フセヴォロド・ミハイロヴィチ・ガールシン
(著)
“彼”の意味
《代名詞》
(か:古語) 遠称。あれ、あちら、あの。
(かれ)三人称。
《名詞》
(かれ)ボーイフレンド又は男性の恋人。
(出典:Wiktionary)
彼
常用漢字
中学
部首:⼻
8画
“彼”を含む語句
彼方
彼女
彼処
彼方此方
彼地
彼奴
彼様
彼岸
彼家
彼処此処
彼處
彼此
彼得
彼等
彼奴等
彼樣
彼是
誰彼
彼所
彼男
...