連立つれだ)” の例文
と投出すやうに謂ツて湯呑ゆのみを取上げ、冷めた澁茶しぶちやをグイと飮む。途端とたん稽古けいこに來る小娘こむすめが二三人連立つれだツて格子を啓けて入ツて來た。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
二三日にさんにちつて、とんさんにはなしをした。ちやう其日そのひおな白樺しらかば社中しやちうで、御存ごぞんじの名歌集めいかしふ紅玉こうぎよく』の著者ちよしや木下利玄きのしたりげんさんが連立つれだつてえてた。
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
と練習がすんで、全身汗みずくになった龍介が、皆と連立つれだってベンチの方へかえってきたので、倉持教師がスタンドを下りてきて声をかけた。
黒襟飾組の魔手 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
長吉はいわれるままに見返ると、島田にった芸者と、それに連立つれだって行くのは黒絽くろろの紋付をきた立派な紳士であった。
すみだ川 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
この九華がクラスの中でも殊に眉山と大の仲善なかよしであって、学校の往復は本より何処どこにでも二人は一緒に連立つれだっていた。
と主従連立つれだって屋敷へお帰りに成ると、お國は二度びっくりしたが、素知らぬ顔で此の晩は済んでしまい、翌朝よくあさになると隣の源次郎がすましてやってまいり
三人が一つテーブルへ寄って酒を——もっとも酒の嫌いな三郎はコーヒーでしたけれど——飲んだりして、三人とも大分いい心持になって、連立つれだって下宿へ帰ったのですが
屋根裏の散歩者 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
市郎が冬子の兄忠一と連立つれだって、の柳屋に遊んだのは、今から三四ヶ月前のことで、それもただ一度、別に深い馴染なじみというでもないのに、其後そのごはお葉がかく附纏つきまとって
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
二人ふたりまたてらからにして連立つれだつてた。山門さんもんとほりをほゞちやうほどおくると、左側ひだりがは蓮池はすいけがあつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
三十年前にはよくTMと一緒に本郷、神田、下谷したや連立つれだって歩いた。壱岐殿坂いきどのざか教会で海老名弾正えびなだんじょうの説教を聞いた。いけはたのミルクホールで物質とエネルギーと神とを論じた。
病院風景 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
同伴者どうばんしゃ連立つれだたうとて、同門跣足どうもんせんそくある御坊ごばうたづねて、まちある病家びゃうかをお見舞みまやってゐるのにうたところ、まち檢疫けんえき役人衆やくにんしゅう兩人ふたりながら時疫じえきうちにゐたものぢゃとうたがはれて
その日、清は、牛丸のへいちゃんと連立つれだって、おひるごろカンヌキ山の頂上にたどりついた。
少年探偵長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
一ツ石鹸箱シャボンばこをもって、連立つれだって洗湯おゆにゆくことも、この二人にはめずらしくはなかった。
遠藤(岩野)清子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
もつと段々だん/″\話合はなしあつて見ると、五六さい時分じぶんにはおな長屋ながや一軒いつけんいた隣同士となりどうしで、なんでも一緒いつしよに遊んだ事も有つたらしいので、那様そんな事から一層いつそう親密しんみつつて、帰路かへりみちも同じでありましたから連立つれだつても帰る
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
それから二人ふたり連立つれだつて學校がくかうつた。此以後このいご自分じぶん志村しむらまつたなかくなり、自分じぶんこゝろから志村しむら天才てんさいふくし、志村しむらもまた元來ぐわんらい温順おとなしい少年せうねんであるから、自分じぶん又無またな朋友ほういうとしてしたしんでれた。
画の悲み (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
二人連立つれだつたびに頻りに訊問を受けたのである。
篠笹の陰の顔 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
長吉ちやうきちはれるまゝに見返みかへると、島田しまだつた芸者と、れに連立つれだつてくのは黒絽くろろ紋付もんつきをきた立派りつぱ紳士しんしであつた。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
連立つれだってこゝを立出たちいで、鶴屋という女郎屋へあがり込む。あとへお國と源次郎が笹屋へ来て様子を聞けば、先刻さっき帰ったと云うことに二人はしおれて立帰り
もう一人ひとりつれは、南榎町みなみえのきちやう淺草あさくさから引越ひつこしたまんちやんで、二人ふたり番町ばんちやうから歩行あるいて、その榎町えのきちやうつて連立つれだつた。
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
兄とあによめだけが連立つれだって避暑に出かけるとか、もしまたおさださんの結婚問題が目的なら、当人の病気がなおるのを待って、母なり父なりが連れて来て、早く事を片づけてしまうとか
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
連立つれだった友達は、度の強い近眼鏡を伏せて、独りみをしていた。
江木欣々女史 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
それから二人は連立つれだって学校へ行った。
画の悲み (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
おなじむきに連立つれだつた學生がくせいかたが、大方おほかたまはりで見知越みしりごしであつたらう。ふよりはや引擔ひつかついでくだすつた。
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
帰りみちが同じ四谷よつやの方角なので、君江と春代とは大抵毎晩連立つれだって数寄屋橋すきやばしあたりから円タクに乗る。
つゆのあとさき (新字新仮名) / 永井荷風(著)
と袖にすがるのを振切ふりきってきますから、おいさは欄干らんかんに縋って重二郎を見送りしまゝ、ワッとばかりに泣き倒れました所へ、お兼が帰ってまいり、漸々よう/\いたわり連立つれだってうちへ帰りました。
挨拶あいさつだの、礼だの、誰方どなただのと、面倒くせえから、ちょうど可い、連立つれだたして、さっさと帰しちまった。
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
芝居へも縁日えんにちへも必ず連立つれだって行く。小説や雑誌も同じものを読む。学課の復習試験の下調したしらべも母がそばから手伝うので、年と共に竜子自身も母をば姉か友達のように思う事が多かった。
寐顔 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
と両人連立つれだってまいりますと
木下きのしたさんのはうは、とんさんより三四年さんよねん以前いぜんからよくつてたが——當日たうじつ連立つれだつてえた。
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
誰も尋ねて来た人はないとの返事に、やや安心して、二人は連立つれだって貸間を出た。
ひかげの花 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
しばらくして小提灯こぢようちん火影ほかげあかきが坂下より急ぎのぼりて彼方かなたに走るを見つ。ほどなく引返ひつかえしてわがひそみたるやしろの前に近づきし時は、一人ならず二人三人ふたりみたり連立つれだちてきたりし感あり。
竜潭譚 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
なに圖々づう/\しく、わたしが、おおくまをしませう、とひかねもしませんが、じつは、つた、狂人きちがひですから、二人ふたり連立つれだつてまゐつたんぢや、荒立あらだてさせるやうなものですからね。……
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
で、連立つれだつて、天守てんしゆもりそとまはり、ほりえて、少時しばらく石垣いしがきうへ歩行あるいた。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
あめれたあさである。修善寺しゆぜんじ温泉宿をんせんやど、——くわん家族かぞく一婦人いちふじんと、家内かない桂川かつらがは一本橋いつぽんばしむかうの花畑はなばたけ連立つれだつて、次手ついで同家どうけひかへ別莊べつさう——あきである——をせてもらつた、とつてはなした。
鳥影 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
わたしいきをついてつた、八千代やちよさんがたのである、四谷坂町よつやさかまち小山内をさないさん(阪地滯在中はんちたいざいちう)の留守見舞るすみまひに、澁谷しぶやからなすつたとふ。……御主人ごしゆじんをんな弟子でしが、提灯ちやうちんつて連立つれだつた。
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
連立つれだつて寄る、みぎわに居た玉野の手には、船首みよしへ掛けつゝさおがあつた。
伯爵の釵 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
其處そこ珈琲店コオヒイてん連立つれだつてはひつたのである。
人魚の祠 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)