毎年まいとし)” の例文
ぱう貿易外ぼうえきぐわい受取超過額うけとりてうくわがく毎年まいとしおく六七千萬圓まんゑんあるから大體だいたいおい昨年さくねん海外支拂勘定かいぐわいしはらひかんぢやう受取勘定うけとりかんぢやうつぐなることとなつたのである。
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
みぞれは絶えず降りそゝいで居た。あの越後路から飯山あたりへかけて、毎年まいとし降る大雪の前駆さきぶれが最早やつて来たかと思はせるやうな空模様。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
一體いつたいこりや、了見れうけんだね」と自分じぶんかざけたものながめながら、御米およねいた。御米およねにも毎年まいとしうする意味いみとんわからなかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
毎年まいとし梅雨つゆがあけると蜂の巣からは蜂の子が巣立ちをし、方々の大学からは、口髯をちよつぴり生やした若い学士が巣立ちをする。
「あゝ、おめでたいね、おきやくさまがむと、毎年まいとしね、おまへがたもあかしであそぶんだよ。まあ、それたのしみにしておはたらきよ。」
片しぐれ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
毎年まいとし、いまごろになると、ちょっとでも、やまへいくか、また、りざおをさげて、どこかとおくのかわかけなければ、がすまないのだよ。」
雲のわくころ (新字新仮名) / 小川未明(著)
日本信託の森川氏が、娘やその友達のために建てたもので、毎年まいとし、一月のはじめごろになると一行が、料理番の婆やと女中をひとりつれてやってくる。
三社祭さんじゃまつりの折お糸は或年踊屋台おどりやたいへ出て道成寺どうじょうじを踊った。町内一同で毎年まいとし汐干狩しおひがりに行く船の上でもお糸はよく踊った。
すみだ川 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
昨日きのふのはなしの折にも、私は毎年まいとし繰返していつてゐる、秋には山へいつて、山の風に吹かれてくるのだと、今年も出來ない相談であらうことを樂しく語りながら
あるとき (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
らがな唐鍬たうぐはさすつかりくつゝいちやつたんだから、こんで毎年まいとし四五反歩位たんぶりぐれえ打開墾ぶちおこすんだから
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
其夜そのよ詩集ししふなどいだして読みしは、われながら止所とめどころのなき移気うつりぎや、それ其夜そのよの夢だけにて、翌朝よくあさはまた他事ほかのこと心移こゝろうつりて、わすれて年月としつきたりしが、うめの花のくを見ては毎年まいとし
隅田の春 (新字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
ねんごろにきやくをもてなす花楸樹はなかまど、小鳥が毎年まいとしあてにする降誕祭ノエルまつり飾木かざりぎよ、わたしの悲しい心のよろこび
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
みぎごと大陽暦たいやうれき日輪にちりん地球ちきうとをてらあはせて其互そのたがひ釣合つりあところもつて一年の日數ひかずさだめたるものゆへ、春夏秋冬しゆんかしうとう寒暖かんだん毎年まいとしことなることなく何月何日なんぐわつなんにちといへば丁度ちやうど去年きよねん其日そのひおな時候じこうにて
改暦弁 (旧字旧仮名) / 福沢諭吉(著)
そして毎年まいとし船をどっさり仕立てまして、その船底ふなぞこかわくときもなく、さおかいの乾くまもなもないほどおうかがわせ申しまして、絶えず貢物みつぎものたてまつり天地がほろびますまで無久むきゅうにお仕え申しあげます
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
「ええ、私は毎年まいとし、ただ遊びに行くんですもの」
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
毎年まいとし毎年花が咲き、毎年毎年葉をふるう。
白髪小僧 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
毎年まいとしのやうに、気持よく
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
少年しょうねんは、そのそばにって、ていました。毎年まいとし、いまごろになると、どこのいえでも、ふゆ用意よういに、をつけるのでした。
水七景 (新字新仮名) / 小川未明(著)
三社祭さんじやまつりをりいと或年あるとし踊屋台をどりやたいへ出て道成寺だうじやうじを踊つた。町内一同で毎年まいとし汐干狩しほひがりく船の上でもおいとはよく踊つた。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
そう毎年まいとしうちへ帰って何をするのだというのです。彼はまた踏みとどまって勉強するつもりらしかったのです。私は仕方なしに一人で東京を立つ事にしました。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
木曾きそには毎年まいとし馬市うまいちつくらゐに、諸方はう/″\うまひますから、それではいおほいといひます。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
二郎じろうは、毎年まいとしなつになると、こうしてきゅうりのなるのをるのでありますが、そのはつなりの時分じぶんには、どんなにそれをるのがたのしかったでしょう。
遠くで鳴る雷 (新字新仮名) / 小川未明(著)
毎年まいとし冬のはじめに、長吉はこのにぶきいろ夜明よあけのランプの火を見ると、何ともいえぬ悲しいいやな気がするのである。
すみだ川 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
毎年まいとし降る大雪が到頭たうとうやつて来た。町々の人家も往来もすべて白く埋没うづもれて了つた。昨夜一晩のうちに四尺あまりも降積るといふ勢で、急に飯山は北国の冬らしい光景ありさまと変つたのである。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
毎年まいとし夏の初めに、多くの焼芋屋が俄然がぜんとして氷水屋に変化するとき、第一番にけつけて、汗も出ないのに、氷菓アイスクリームを食うものは誠太郎である。氷菓がないときには、氷水で我慢する。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
毎年まいとしこのころになると、わるむしがつくのでありましたから、今年ことしは、どうか満足まんぞくむすばせたいとおもいました。
牛女 (新字新仮名) / 小川未明(著)
毎年まいとし冬のはじめに、長吉ちやうきちはこのにぶきいろい夜明のランプの火を見ると、なんともへぬ悲しいいやな気がするのである。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
毎年まいとしなつの初めに、多くの焼芋やきいも屋が俄然として氷水こほりみづ屋に変化するとき、第一番に馳けつけて、汗も出ないのに、氷菓アイスクリームふものは誠太郎である。氷菓アイスクリームがないときには、氷水こほりみづで我慢する。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
それに、父が牧場の番小屋に上るのは、春雪の溶け初める頃で、また谷々が白く降りうづめられる頃になると、根津村の家へ下りて来る毎年まいとしの習慣である。もうそろ/\冬籠りの時節。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
わたくしはただちに、街上に押合う群集の様子に眼を移したが、それは毎年まいとしの歳暮に見るものと何の変りもなく、殊更に立止って野営の人形を眺めるものはないらしいようであった。
濹東綺譚 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
毎年まいとし夏休みに帰るたびに蜜をあげましょうと言わないことはないが、ついに持ってきたためしがなかった。が、今年ことしは物覚えが急によくなって、年来の約束を履行したものであろう。
三四郎 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
そのは、からっとよくれていました。ただおりおりかぜが、すなぼこりをあげて、おそいかかるので、気持きもちがおちつかなかったけれど、毎年まいとしなつのはじめには、よくある現象げんしょうでした。
道の上で見た話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
毎年まいとしふゆになると、伯母おばさんのいえへ、へちまのみずをもらいにいくのでありました。
へちまの水 (新字新仮名) / 小川未明(著)
毎年まいとし時候が寒くなるときっと身体からだに故障の起る兄は、秋口からまた風邪かぜを引いて一週間ほど局を休んだ揚句、気分の悪いのを押して出勤した結果、幾日いくか経っても熱がれないで苦しんでいた。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
もう返らない幾年か前蘿月らげつの伯父につれられお糸も一所いっしょとりいちへ行った事があった……毎年まいとしその日の事を思い出す頃からもなく、今年も去年と同じような寒い十二月がやって来るのである。
すみだ川 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
毎年まいとし初夏はつなつのころのことであります。この海岸かいがんに、蜃気楼しんきろうかびます。
初夏の空で笑う女 (新字新仮名) / 小川未明(著)
かれ自分じぶん御米およね生命らいふを、毎年まいとし平凡へいぼん波瀾はらんのうちにおく以上いじやうに、面前まのあたりたいした希望きばうつてゐなかつた。かうしていそがしい大晦日おほみそかに、一人ひとりいへまもしづかさが、丁度ちやうどかれ平生へいぜい現實げんじつ代表だいへうしてゐた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
もう返らない幾年いくねんまへ蘿月らげつ伯父をぢにつれられおいと一所いつしよとりいちへ行つた事があつた………毎年まいとしその日の事を思ひ出すころからもなく、今年ことしも去年と同じやうな寒い十二月がやつて来るのである。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
母子おやこ毎年まいとし八月になると鎌倉か逗子ずしかへ二、三週間避暑に行く。
寐顔 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
毎年まいとし俗になるばかりですね。昔の方がよほど好い」
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)