“彼:か” の例文
“彼:か”を含む作品の著者(上位)作品数
岡本綺堂60
泉鏡花46
田中貢太郎40
夢野久作23
野村胡堂22
“彼:か”を含む作品のジャンル比率
芸術・美術 > 演劇 > 大衆演芸45.2%
文学 > 日本文学 > 小説 物語11.9%
文学 > 日本文学 > 詩歌2.5%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
おそらくの二人は多吉の顔を見識っていて、飛んだ奴に出逢ったと周章狼狽して、早桶をほうり込んで逃げたのでしょう。
半七捕物帳:59 蟹のお角 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
あくまでもの小猿七之助をやってみたいような意向があるので、座方も遂にを折って彼の希望を容れたのであるという。
明治劇談 ランプの下にて (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
しかるに某日あるひのこと、樵夫きこりが山稼ぎに出かけると、の虎ヶ窟の中から白い煙の細くあがるのを見た。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
しかり、薄胆はくたん狂妄きょうもうなるロベスピールすらなお一片の殉道心じゅんどうしんを有したりしなり。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
なにせよせよの言附いひつけされて、おもひこゝにゆればうらみをあたりにせもやしたる
軒もる月 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「兄上には恐れ多いかはぞんぜぬが、われには何のかかわりのない母上、兄上がわれの身の上になったら何もも分り申そう。」
野に臥す者 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
日を経ての五助街道へ掛りましたのが十月中旬なかば過ぎた頃もう日暮れ近く空合そらあいはドンヨリと曇っておりまする。
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
彼等東京人は食物に飢えたように性欲にも飢え渇いた。その烈しい食欲と性欲は、の灰と煙の中でかようにみじめに交易された。
東京人の堕落時代 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
この事件の探索に主として働いた岡っ引の吉五郎は、わたしが「半七捕物帳」でしばしば紹介したの半七老人の養父である。
半七捕物帳:69 白蝶怪 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
おそらくの小女郎狐の眷族けんぞくであって、その復讐のために彼等もまた松葉いぶしのむごたらしい死を遂げたのであろう。
半七捕物帳:24 小女郎狐 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
熊は殺されてしまったが、それをさえぎろうとしたの若い男はそこに倒れたままで、なかなか起きあがりそうにも見えなかった。
半七捕物帳:29 熊の死骸 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
このごろ江戸じゅうをさわがす怪しい甘酒売りの女は、どうしてもの蛇神に相違あるまいと、江戸屋敷の者もみな鑑定していた。
半七捕物帳:30 あま酒売 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
の春部というものは、お小姓頭を勤め十五石三人扶持を領し、秋月のおいで、梅三郎うめさぶろうという者でございます。
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
イヤ止まらぬと、今度は老人を相手に大議論を始めて、れと悶着もんちゃくして居る間にが明けて仕舞しま
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
恰もの無邪気なる小児が、人形、生物体、もしくは人像に類せる物体を飜弄して、あらゆる残忍なる姿勢動作を演ぜしめつつ
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
の断髪令嬢が真赤な掴ませものであろうとは……そうして真実に一切を支配している運命の神様がこの吾輩でも何でもなかった。
超人鬚野博士 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
そうして急いでの「馬酔木あしびの毒素」の定量分析に取りかかりたいというのが、この時の私の何よりの願望であった。
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
今日しも七月二十一日殿様はお泊番の事ゆえ、源次郎を忍ばせようとの下心したごゝろで、庭下駄をの開き戸の側に並べ置き、
れにも入るべし、れにも加はるべし、推移するにはゞからざるが故に、さてなん人々今を聖代せいだいと称す。
青眼白頭 (新字旧仮名) / 斎藤緑雨(著)
既にしての青年の裁判は終了せり、しかして堺兄は日本に於ける社会主義者の代表者として「ボックス」の中に立てり、
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
そのうちには、の有名な土方歳三ひぢかたとしざうや、近藤勇こんどういさむといふやうな人もはいつて居た。
兵馬倥偬の人 (旧字旧仮名) / 塚原渋柿園塚原蓼洲(著)
筋ばしるように、の人のからだに、血のけ廻るに似たものが、過ぎた。ひじを支えて、上半身が闇の中に起き上った。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
と云って、伴蔵のさしだした物を見ると、それはさっき夢の中でお露から貰ったの秋草に虫の象眼のある香箱の蓋であった。
円朝の牡丹灯籠 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
……ま、ともかくもわかはうわ、さうぢゃ、はて、はやひとれていといふに。
川上かはかみ下流かりうえぬが、むかふの岩山いはやま九十九折つゞらをれのやうなかたち
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
と銭を持たして遣りますと、多助は急いで柳原へまいり、の古着を買取ってすぐに着て帰って参りましたを善右衞門が見て、
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
またその反対はんたいの例をしるせば、生麦事件なまむぎじけんにつき英人の挙動きょどう如何いかんというに
今は竹の皮づつみにして汽車の窓に売子出でて旅客にひさぐ、不思議の商標しるしつけたるが何某屋なにがしやなり。
一景話題 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
わたしはとうとう遣り切れなくなって、今までは眼もくれずにいたのカステラに手を出して、むしゃむしゃと食いはじめた。
明治劇談 ランプの下にて (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
墓地に至り棺を埋むるとき、の弓持、棺を覆い来たりし着物を弓の先に掛けて取り退け、穴の内に納め大石を其の上に直す。
本朝変態葬礼史 (新字新仮名) / 中山太郎(著)
「いや気にさはつたら御免。たゞ、さう思つたンだ。何ももうまくゆかないとなると、人の暮しは羨しいと思ふンだね」
浮雲 (新字旧仮名) / 林芙美子(著)
「六十人で、三十人ずつ二組になっているのよ。掃除はテーブルも何もも男の人がするから、それだけわきよりも楽だわ。」
つゆのあとさき (新字新仮名) / 永井荷風(著)
あの眼の深い悩み、――声の柔かい魅惑、何ももが、一つの妖かしとなって、半十郎の魂を手繰たぐり寄せるのでしょう。
江戸の火術 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
の衆はみな若い頃には、八幡船ばはんせんとかいう船に乗って、明国みんこくから南蛮へまで押し渡ったものじゃそうな」
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そして、あの声は、あれは死人の声ではなかったのか、愚なる軽業師共は、の八人芸と称する魔術を知らないのであろうか。
踊る一寸法師 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
つまりの次郎兵衛は天狗にさらわれて、川越から江戸まで宙を飛んで来て、お城のなかへ落とされたと云うわけです。
それが済んでからの問題の尊像というのを一応あらためると、木彫りの弁財天は高さ三尺ばかりで、かなりに古びたものであった。
半七捕物帳:21 蝶合戦 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
医者の薬礼から旅籠料、何ややを残らず書付にいたして持って来ましたが、一ヶ月居ったところで僅かな事でございます。
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
の雲井喜三郎といふ御仁、御供人おんともびとも召し連れ給はず、御羽織袴おはおりはかまも召されぬまま、唯お一人にて
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
そんな責任をイケ洒唖洒唖しゃあしゃあと吾輩に負わしたの断髪令嬢は二三時間前まで、全く見ず識らずの赤の他人だったのだ。
超人鬚野博士 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
われ今よりあなぐらに炭俵を詰めて火を放ち、割腹してそが中に飛入り、寺と共に焼け失せて永く邪宗の門跡を絶たむとす。
白くれない (新字新仮名) / 夢野久作(著)
の書生は、木立のなる新築の屋根をかへりみつゝ「うも不思議だナ、僕はほとんど信ずることが出来んよ」
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
是から幸三郎由兵衞も上ることに成りますと、いゝ塩梅にの段鼻の大年増も居なく成ったから、二人はホット息をきました。
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
てお話は二岐ふたみちに分れ、白金台町に間口はれ二十けんばかりで、生垣いけがきに成って居ります
そこで初めて、人びとはこれが俗に云う髷きりだと云うことを知ったが、それ以来はばかり何人だれも使わなくなった。
簪につけた短冊 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
なおれたる事柄ことがらも多かるべし、ただ遺憾いかんなるは脇屋わきや某が屠腹とふくを命ぜられたる事を聞き
………もしや、の女ではあるまいか、も一度見なおしてやろうと思って後もどりをしかけると、女伴はもうちあがっていた。
赤い花 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
人數にんずのそそくさに此女中このぢよちゆうと、ほかには御飯ごはんたきらしき肥大女ふとつちよおよび
うつせみ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「何ももすぎ去ったことでございます。おわび申さなければならないのは、このわたくしの至らぬことばかりですもの。」
姫たちばな (新字新仮名) / 室生犀星(著)
今では父も母も亡くなりましたが、結婚証明書も、死亡証明書も、何もも皆んな用意してここに持って居ります、よく調べもせずに
古城の真昼 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
第一は、のテレマカスがユーミアス及びフ〓リーシャスのたすけりて縄の一端を柱へくくりつけます。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
それはの三河屋の前の河岸につないである屋根船のなかの出来事で、その船は浅井の屋敷の人々を沈めたという因縁つきの物である。
金の蝋燭について、半七が俄かに緊張の色を見せたのは、それがの御金蔵破りに関係があるらしいと認めたからである。
半七捕物帳:47 金の蝋燭 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
善吉がきのう久し振りで出逢ったというお六の人相や服装みなりを聞いて、それがの中年増の女に相違ないことを半七は確かめた。
半七捕物帳:51 大森の鶏 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
なにしろ、これは内密にして置いて、なんとかしてのお鷹を探し出すよりほかはないと、年嵩としかさの伊四郎がまず云い出した。
半七捕物帳:15 鷹のゆくえ (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
覆面していたから判然はっきりとは判らないが、かれらの人相や年頃がの二人の怪しい武士に符合していると、熊蔵は付け加えた。
半七捕物帳:04 湯屋の二階 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
讓はしかたなしに立った。そして、の女が追って出て来やしないかと思いながら注意したがそんなふうはなかった。
蟇の血 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
一両三分あれば昨日きのう見たの原書も買われる、原書を買わなければ酒を飲むと云うような、至極しごく無邪気な事であった。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
共々に快楽にふけり、やがて又、新しき女性を捕へ来れば、前なる婦人をの寺男、馬十に与へてもてあそばさせ
白くれない (新字新仮名) / 夢野久作(著)
種種しゆじゆいろ大理石を自由に使役して、この高雅と壮大と優麗との調和を成就したれの才の絶大さよ。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
何とかんとかして予備門へ入るには入ったが、なまけて居るのははなはだ好きで少しも勉強なんかしなかった。
落第 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「じゃ、やりましょう。……オイ皆、休んじゃいけないぞ。後で一杯飲ませるから、なんでもでも、今日中に組みあげてしまうんだ」
(新字新仮名) / 海野十三(著)
と云ううちの車夫は折田おりたの方へガラ/″\/″\/″\と引返しましたが、道中には悪い車夫くるまやが居ります。
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
わかれてはし兩端りやうはしへ、脚夫きやくふはつか/\と間近まぢかて、與吉よきち
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
車内へツカ/\と、這入はいって来て、彼女のぐ斜前へ腰を降ろしたのは、まぎれもない、墓地で見たの青年であった。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
それから五六日して蔦芳は、またわかい男が便所の口に立っているのを見たので、其の日中村座へ往って其の事を話した。
幽霊の衣裳 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
これをの「若菜集」の『眼にながむれば彩雲あやぐものまきてはひらく繪卷物』に比べ來れば、その著るしき趣の相違に驚かれる。
新しき声 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
日本人にほんじんなにゆゑににおいて賞用しやうようせられたいしせん構造こうざうけて
日本建築の発達と地震 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
はて、何処へ行ったかと見廻すと、犬はの柳屋の前にとまって、お葉から何か食物くいものを貰っているらしい。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
それは眼と眉の間の晴ばれとした、そして、眼にしっとりとしたうるおいのある水の中へ飛びこんだ小女こむすめであった。
水魔 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
電車に乗りながらも、彼女あれはたしかにの女であると思って、すぐ声をかけなかったのが、残念のような気がした。
妖影 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
「ここまで来れば、何もも忘れてしまいますね。」とある船客は幾度かの深呼吸の後で、哄然としてその笑いを放った。
フレップ・トリップ (新字新仮名) / 北原白秋(著)
ほそたなそこにぎるやうになるとたちまち一てんして、れの思想しさう
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
大伝記家の出づる誠に百載にしてしかも一人ならんのみとせばの擾々たるものもしばらく以て秋夜の一興に値するものとせんか。
史論の流行 (新字旧仮名) / 津田左右吉(著)
さてこそひきこむ門内もんないくるまなんにふれてか、がたりとおとして一ゆりれヽば
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
恐らくは、の木の葉のアーチの快い均整にも、落葉の床の踏み心地にも、凡て注意深い人工が加味されているのではないでしょうか。
パノラマ島綺譚 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
そのほかまだ何だだといろいろな打撃を通算したら、少くとも三万円内外は損失をこうむっているのに相違ない。
お律と子等と (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
と鼻の先へ飛道具を突き附けられ、花車はギョッとしたが、惣吉をうしろへ囲んで前への杉の幹を立てたなりで、
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
今の作家をして中古派ローマンチツク、スクール覆轍ふくてつましめんと欲するものにあらざるか。
国民性と文学 (新字旧仮名) / 綱島梁川(著)
れまだそこいらをまごついてるなと思うと、少し面白くなったから、請求通せいきゅうどおり原の中へ草履ぞうりのまま出た。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
何とかとか弁解をする奴を相手の女学生と突合わせると、流石さすがに両方共一度に屁古垂へこたれてしまった。
東京人の堕落時代 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
事によるとの少年に眩惑されているせいかも知れないが……職務を離れるとこうも頭がだらしなくなるものか知らん。
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
それからその遊郭に二三年の月日が流れた。F楼からひかれて投獄されたの男は、再びこの社会に放たれたのだった。
ところが氏郷の手配てくばりは行届いて居て、の三隊の後備は三段に備を立てて、静かなること林の如く、厳然として待設けて居た。
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
圖「何もも彼は残らず存じてる、女房お蘭を真堀の定蓮寺へ生埋いきうめに致した事も彼は存じてる」
といった。下役人はそこで官人に申しあげた。と、しばらくしてめいがくだった。下役人はの男に向っていった。
偸桃 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
「そうか」そして考えついてかます莨入たばこいれからの櫛を出して、「此の櫛なら、いくらか貸すだろう」
南北の東海道四谷怪談 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
せい女瀧めだきなかのやうな婦人をんな姿すがた歴々あり/\
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
の下ノ関砲撃事件ほうげきじけんのごときも、各公使が臨機りんきはからいにして、深き考ありしに非ず。
『ウム。怪しいぞ』とつぶやきつつれは第二の封筒の封を切った。中には一枚の紙片かみきれに楷書で筆太に、
水晶の栓 (新字新仮名) / モーリス・ルブラン(著)
しかればの佐幕論者の開港を為す、必らずしも開港の利を認めたるに非ず、勢いここに出ざるべからざるがためにしかるのみ。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
おなぎの話を聞て黙つて涙を拭いて居り、だしぬけに「一杯ついでくれ」と湯呑を出し、それから何のの理窟をつけては飲む処面白し。
母親のしかりとがめる声がした。平三郎は入口へ立って室の中を見た。室の中では母親がの婢と並んで裁縫さいほうをしていた。
水面に浮んだ女 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
翌日になるとの生徒は、二人に別れてそこを出て往った。二人の者は出て往った朋友ともだちの臆病を笑っていた。
女の姿 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
何ややと毎日のことばかりに追はれて、ついついお手紙さへも書きおくれて居りましたこと、どうぞおゆるし下さい。
〔婦人手紙範例文〕 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
六甲山ろくかふざんしづまうとする西日にしびが、きら/\とれの兩刀りやうたう目貫めぬきひからしてゐた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
最後に、のトリックの出発点となった二銭銅貨については、私は茲に詳しい説明を避けねばならぬことを遺憾に思う。
二銭銅貨 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
「駒鳥さん、――私はもう我慢が出来ません、何もも言ってしまいます。――私共に取って、あなたはその禁園の果物だったのですね」
焔の中に歌う (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
の少女を捕へた好奇の瞳は、やがて軒下をはばかつて歩くお葉の亂れた銀杏返しから、足元に到つたのである。
三十三の死 (旧字旧仮名) / 素木しづ(著)
さての梅には四徳を具すというがうかも知れませぬ、若木を好まんで老木おいきの方を好む、又梅の成熟するをていたり
闇夜の梅 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
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