)” の例文
主人のなさけも勿論であるが、これも日ごろ信ずる稲荷大明神の霊験であるというので、お岩は自分の屋敷内にもの稲荷を勧請して朝夕に参拝した。
四谷怪談異説 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
支那はああいう打ちつづく革命のために、自国の貴重な絵画を散じほうむってしまったのであるが、の国のために惜しんでもあまりあるものがある。
まかりちがえばローゼンの一家を鏖殺おうさつしてもかまわないから、むすめはどうしても己のものにしなくてはならんと思いだした。
警察署長 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
それはきつ風雪ふうせつれた翌朝よくてうがいつもさうであるやうに、なにぬぐはれてきよあをかつた。
日の光を浴びて (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
東面とうめん參詣者さんけいしやまへから横穴よこあななかり、調査てうさをはつてそとると
売捌うりさばき都合つがふなにやで店らしい者が無ければならぬ、そこ酷算段ひどさんだんをして一軒いつけんりて
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
彼等江戸ッ子が如何に痩せ我慢で高く止まっていても、の昨年の大変災に出会っては、かいもく意気地がなくなったは止むを得ないところであろう。
毘陵は即ち唐家のあるところの地で、同じ毘陵の者であるから、趙再思も唐家に遊んだこともあって、の大名物の定鼎を見たこともあったのである。
骨董 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
れにたるかれにしか、其差別そのけじめおもわかねども、なにとはらずあやしう可愛かわゆくて
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
まさやけき言立ことだては、ゆるすべきよこしまは、おのが子のためとは言はじ、すべて世の子らをあはれと、胸張り裂くる。
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
この人は米国有名の政治家で、の南北戦争のときもっぱら事にあたって、リンコルンの遭難と同時に兇徒にきずつけられたこともある。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
何も時世時節ときよじせつならば是非もないというような川柳式せんりゅうしきのあきらめが、遺伝的に彼の精神を訓練さしていたからである。
妾宅 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
何もも話さねば判らぬが、僕が今の妻と知合になって、正式に結婚を申込もうしこんだ時、仲にたって世話してくれたのは、この今井であった。
友人一家の死 (新字新仮名) / 松崎天民(著)
背戸せどやぶにさら/\とものの歩行ある氣勢けはひするをもおそれねど、われあめなやみしとき
森の紫陽花 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
それは抱月氏の手一つで育て上げられたをんなの芸術を完成するといふ事で、須磨子は永久に抱月氏の霊と結婚が出来るのを信じてゐたからだ。
それで自由になったから逃げだすかと思いの外、の若者は路上でどこかのレビュウで覚えたらしい怪しげな舞踊を始め、変な節で歌うのであった。
流線間諜 (新字新仮名) / 海野十三(著)
モン長 わしはもとより、したしいれにもさぐらせたれども、せがれめは、たゞもうそのむねうち
れまず口を開いていう「人もしなんじに向いて言詞ことばを出さば汝これをいとうや、さりながら誰か言わで忍ぶことを得んや」と。
ヨブ記講演 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
 初雪が降ることは降つたが余り少量故何処どこも降るといふわけには行かず、ただ比叡山ひえいざんの上ばかりに降つたといふことなり。
俳諧大要 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
と心配して居ります。くとも知らず茂之助は猿田村の取付なるの松五郎の掛茶屋へ斬り込むと云う、大間違になりまする処のお話でございます。
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
墓地の様子を見ても、どことなく異様な点があったし、それに、の三人に相当する家出娘がないことも、今日の墓地発掘の、重大な理由となった。
吸血鬼 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
これらの願いはあきらめられてはならないものであるゆえに、もしそれがこの世において成就しないものならば、必ず「の世」が実在するであろうと。
愛と認識との出発 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
『あゝもうなにもない、たれにも返答へんたふなどするものか……もう奈何どうでもい。』と、かれかんがへてゐた。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
彼のおもて嬉々きゝと輝きつ、ひげの氷打ち払ひて、雪をつて小児こどもの如くせぬ、伯母の家はの山角の陰に在るなり、
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
あるいはまたの多紀茝庭さいていの手にでたという無名氏の『漢蘭酒話』、平野革谿ひらのかくけいの『一夕医話』等と趣をことにした
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
そして、食事の爲めに階下へ行かうとしてその部屋の傍を通るとき、開け放したドア越しに、何ももまたきちんと整頓されてあるのが見えた。
の人の眠りは、しずかに覚めて行った。まっ黒い夜の中に、更に冷え圧するもののよどんでいるなかに、目のあいて来るのを、覚えたのである。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
その当時の気層の状態を高層気象観測の結果と対照して詳細に調査したものがの地の雑誌に出ているのを見ると、当時の空中の状況がよく分って面白い。
凍雨と雨氷 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
「それはいけない、そんな気のきかないところは御免をこうむる。——」との暗記しおる公報の一つ、常に朗読というより朗吟する一つを始めた
号外 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
果してこの検挙で幕が下りた、これでさすがの驕慢児も往生だと世間は見ていたが、なかなか悪運(?)の強い彼にとって、この検挙拘留中にの大震災で
生前身後の事 (新字新仮名) / 中里介山(著)
れは刑罰けいばつといふものが本人ほんにん悔悟くわいご基礎きそとしなければならぬとかんがへるはう一人ひとりであつた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
これこそは吉事よきこと凶事まがごとのいつぐべき世の中の道なるをもつて、さやうには推し量り知られることでござる。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
の厚きタオルなれば、のいひなづけのもとき給ふ中の一人二人ひとりふたりの姫達のために私はいたましき気の致しさふらふ
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
後にして之を想へば、よし真に自ら釣りしとするも、の時携へし骨無し竿にて、しかも玉網たまも無く、之をげんことは易きに非ず。
釣好隠居の懺悔 (新字旧仮名) / 石井研堂(著)
で、師匠の気息いきを引き取られると、直ぐにその番頭さんがけ附けて参り、間もなくしらせによっての高橋定次郎氏も駈けつけて参られた。
今まで余の集め得たる証拠はすべれのほかまことの罪人あることを示せるに彼れ自ら白状したりとは何事ぞ、かゝる事の有り得べきや
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
「わたくし此処ここでほんの小さいかげろうの姿までが、見えるようになれてまいりました。燭のない方が何もも美しく匂うように見えてまいります。」
花桐 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
の舶来の舞踏など、余程高尚な積りでおるかは知らぬが、その変梃へんてこな足取、その淫猥いやらしき腰は、盆踊りより数倍も馬鹿気たものである。
本州横断 癇癪徒歩旅行 (新字新仮名) / 押川春浪(著)
何もも、ことごとく「損得」の打算、すなわち「有所得」の心持で動かずに、時には打算をえた「無所得」の心持になりたいものです。
般若心経講義 (新字新仮名) / 高神覚昇(著)
七點セヴンれの刷毛はけし、『さア、なんでもわることは——』はからずも其視線そのしせん
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
そして樽野は何もも意味が解らぬまゝでボツとして、一切力量もない癖につまらぬことを引きうけたことになつたりしてしまふのであつた。
円卓子での話 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
二月二十日の総選挙は、れ自身に於ては未だ吾々を満足せしめるに足りないが、日本の黎明れいめいの総選挙より来るであろう。
二・二六事件に就て (新字新仮名) / 河合栄治郎(著)
六年ぶりの何ややをほとんど語り尽した後で、自分の前には地酒の不味まづいのながら、二三本の徳利が既に全く倒されてあつて、名物の蕎麦そば
重右衛門の最後 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
すなわち今日においての西野文太郎を出し、来島恒喜くるしまつねきを出したるものまたいずくんぞ彼が熱血の余瀝よれきならざるを知らんや。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
「御領土の下に生れ、日頃からまた、仕えるなら御方おかたと、胸に思い込んでおりましたため、つい、口にも出たものと思われます」
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それでもこのなが星霜つきひあいだにはなにやとあとからあとからさまざまの事件こといてまいり
しがらみは物にでも襲われたように両手で顔を抑えたが、「何もわたしは覚えている。あああの晩の恐ろしかったことは……」
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
しかるに親しくこの人に接したものは、の青ざめた顔、大きな口、くぼんだ眼を忘れてその慈愛に富んだ表情にのみチャームされた。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
それは丁度カワラハンノキあるいはネコヤナギが河辺の地を好んで生活しているのと同じ理窟で水を見て暮すのがれの天性でがなあろう。
植物記 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
憶良等おくららいままからむくらむそのははつらむぞ 〔巻三・三三七〕 山上憶良
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)