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彼
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か
ふりがな文庫
“
彼
(
か
)” の例文
こまかき
雨
(
あめ
)
ははら/\と
音
(
おと
)
して
草村
(
くさむら
)
がくれ
鳴
(
なく
)
こほろぎのふしをも
乱
(
みだ
)
さず、
風
(
かぜ
)
一
(
ひと
)
しきり
颯
(
さつ
)
と
降
(
ふり
)
くるは
彼
(
か
)
の
葉
(
は
)
にばかり
懸
(
かゝ
)
るかといたまし。
雨の夜
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
無暗にそれが気になつて、
彼
(
か
)
の
女
(
ぢよ
)
の心持は妙な寂しさに覆はれました。哀愁とでも云ふやうなうら悲しさが心に迫つて来るのでした。
美智子と歯痛
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
後にして之を想へば、よし真に自ら釣りしとするも、
彼
(
か
)
の時携へし骨無し竿にて、しかも
玉網
(
たま
)
も無く、之を
挙
(
あ
)
げんことは易きに非ず。
釣好隠居の懺悔
(新字旧仮名)
/
石井研堂
(著)
何も
彼
(
か
)
も話さねば判らぬが、僕が今の妻と知合になって、正式に結婚を
申込
(
もうしこん
)
だ時、仲に
立
(
たっ
)
て世話してくれたのは、この今井であった。
友人一家の死
(新字新仮名)
/
松崎天民
(著)
彼
(
か
)
の
八
(
や
)
ツ
山
(
やま
)
の
沖
(
おき
)
に
並
(
なら
)
んで
泛
(
うか
)
ぶ
此
(
これ
)
も無用なる
御台場
(
おだいば
)
と
相俟
(
あひま
)
つて、いかにも
過去
(
すぎさ
)
つた時代の遺物らしく放棄された悲しい
趣
(
おもむき
)
を示してゐる。
水 附渡船
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
▼ もっと見る
彼
(
か
)
の
(四三)
三
晉
(
しん
)
の
兵
(
へい
)
は、
素
(
もと
)
(四四)
悍勇
(
かんゆう
)
にして
齊
(
せい
)
を
輕
(
かろ
)
んじ、
齊
(
せい
)
を
號
(
がう
)
して
怯
(
けふ
)
と
爲
(
な
)
す。
善
(
よ
)
く
戰
(
たたか
)
ふ
者
(
もの
)
は
(四五)
其勢
(
そのいきほひ
)
に
因
(
よ
)
つて
之
(
これ
)
を
利導
(
りだう
)
す。
国訳史記列伝:05 孫子呉起列伝第五
(旧字旧仮名)
/
司馬遷
(著)
何も
彼
(
か
)
も忘れ果てて、狂気の如く、その
家
(
や
)
を
音信
(
おとず
)
れて聞くと、お柳は
丁
(
ちょう
)
ど
爾時
(
そのとき
)
……。あわれ、草木も、
婦人
(
おんな
)
も、
霊魂
(
たましい
)
に姿があるのか。
木精(三尺角拾遺)
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
父がここへ来たのは
丁度
(
ちょうど
)
幸いである。市郎は
彼
(
か
)
の𤢖に
就
(
つい
)
て父の意見を
訊
(
ただ
)
すべく待ち構えていた。が、父の話は
其
(
そ
)
んな問題で無かった。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「驚いたかヤンセン、僕はこの間きた時に何も
彼
(
か
)
も見ておいたのさ。その
脱
(
ぬ
)
け道もさ——ところで頸飾はこの金庫の中にあるんだね」
黒襟飾組の魔手
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
それもそうだ、一旦吐いてしまった自分の息は取り還せるわけはないからな。ではいっそ、何も
彼
(
か
)
も初版どおりにまた
遣
(
や
)
り直しだな。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
空
(
から
)
になつた
渡船
(
とせん
)
へ、
天滿與力
(
てんまよりき
)
は
肩
(
かた
)
をいからして
乘
(
の
)
つた。
六甲山
(
ろくかふざん
)
に
沈
(
しづ
)
まうとする
西日
(
にしび
)
が、きら/\と
彼
(
か
)
れの
兩刀
(
りやうたう
)
の
目貫
(
めぬき
)
を
光
(
ひか
)
らしてゐた。
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
その夜、
彼
(
か
)
の女は謙作の頭を己の胸のあたりに持って来さして、その耳に何か
囁
(
ささや
)
いていたがなんと思ったのかその体を起さなかった。
港の妖婦
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
海坊主の横手にすやすやと夢路を辿っているのは、意外にも
彼
(
か
)
のモガ崩れのマスミだった。僕はただ訳も分らず、無暗に腹が立った。
深夜の市長
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
回復しましたチウテナ。法学士出のホヤホヤの署長じゃが、学生上りの無邪気な男でな。その
序
(
ついで
)
に何も
彼
(
か
)
も喋舌って行きよりましたよ
山羊髯編輯長
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
と
傍
(
かたわら
)
にある刀の小柄を抜く手も見せず打った手裏剣は、
彼
(
か
)
の女の乳の上へプツリと立ちましたから、女はひーと身を震わして倒れる。
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
何
(
なに
)
なりと
訊
(
たず
)
ねて
貰
(
もら
)
います。
研究
(
けんきゅう
)
の
為
(
た
)
めとあれば、
俺
(
わし
)
の
方
(
ほう
)
でもそのつもりで、
差支
(
さしつかえ
)
なき
限
(
かぎ
)
り
何
(
なに
)
も
彼
(
か
)
も
打
(
う
)
ち
明
(
あ
)
けて
話
(
はな
)
すことにしましょう。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
彼は母山吹の
故郷
(
さと
)
!
彼
(
か
)
の血統窩人の部落! 信州八ヶ嶽笹の平へ、夢遊病者のそれのように、フラフラと歩いて行ったのであった。
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「御領土の下に生れ、日頃からまた、仕えるなら
彼
(
か
)
の
御方
(
おかた
)
と、胸に思い込んでおりましたため、つい、口にも出たものと思われます」
新書太閤記:01 第一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
持給ふか知ねども當地の
金貸渡世
(
かねかしとせい
)
は
大坂
(
おほさか
)
掛
(
かけ
)
て
極大身代
(
ごくだいしんだい
)
の者なりと云に
靱負
(
ゆきへ
)
は
否
(
いや
)
彼
(
か
)
の大身代の金貸渡世とは違ひ
小體
(
こてい
)
に致し手早く
高利
(
かうり
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
赤、黄、緑、青、何でも輪郭の顕著なる色彩を用い、
悠々
(
ゆうゆう
)
たる自然や、
黙静
(
もくせい
)
の神秘を
物哀
(
ものあわ
)
れに写す力があったのが
彼
(
か
)
の人の特長である。
面影:ハーン先生の一周忌に
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
ガムペル Gampel、ラロン Raron を経て、
彼
(
か
)
のツェルマット Zermat の支点ヴィスプ Visp に着く。
スウィス日記
(新字新仮名)
/
辻村伊助
(著)
三國屋に居ると何んの
彼
(
か
)
ので日に十五錢宛
貪
(
と
)
られるがな。そすると月に積つて四圓五十錢で、私は五十錢しか小遣が殘らなくなるでな。
赤痢
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
命あつての
物種
(
ものだね
)
と云ふ時にや、何も
彼
(
か
)
も忘れてゐるんだからね。芸術も
勿論
(
もちろん
)
忘れる筈ぢやないか? 僕などは大地震どころぢやないね。
続野人生計事
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
今まで余の集め得たる証拠は
総
(
すべ
)
て
彼
(
か
)
れの
外
(
ほか
)
に
真
(
まこと
)
の罪人あることを示せるに彼れ自ら白状したりとは何事ぞ、
斯
(
かゝ
)
る事の有り得べきや
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
充
(
つま
)
らんな、
無意義
(
むいぎ
)
だ………もう何も
彼
(
か
)
も放擲つて了はうかしら!
穴籠
(
あなごもり
)
してゐると謂や、
蟹
(
かに
)
だつてもう少し氣の
利
(
き
)
いた穴籠をしてゐるぜ。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
其の一
刹那
(
せつな
)
、己が彼女から真先に受けた印象は、
彼
(
か
)
の
女
(
じょ
)
の体中に星の如く附着してピカピカと光って居る、無数の
宝石類
(
ほうせきるい
)
であった。
小僧の夢
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
彼
(
か
)
の一円に満たざる借銭のために身を水中に投ぜし小婦は痴愚にして発狂せしなりと、
彼婦
(
かのふ
)
は世に己れの貧を訴うるの無益なるを知り
基督信徒のなぐさめ
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
「
彼
(
か
)
の島津殿と申すは、かたじけなくも清和天皇の御末、
多田満仲
(
ただのみつなか
)
よりこのかた、
弓箭
(
ゆみや
)
の家に誉を取り、政道を賢くし給へば……」
大菩薩峠:20 禹門三級の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
恐らくは、
彼
(
か
)
の木の葉のアーチの快い均整にも、落葉の床の踏み心地にも、凡て注意深い人工が加味されているのではないでしょうか。
パノラマ島綺譚
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
面附
(
つらつき
)
こそは
誰
(
た
)
れよりも
見
(
み
)
よけれ、
脛附
(
すねつき
)
が十
人並
(
にんなみ
)
以上
(
いじゃう
)
ぢゃ、それから
手
(
て
)
や
足
(
あし
)
や
胴
(
どう
)
やは
彼
(
か
)
れ
此
(
こ
)
れ
言
(
い
)
ふが
程
(
ほど
)
も
無
(
な
)
いが、
外
(
ほか
)
には、ま、
類
(
るゐ
)
が
無
(
な
)
い。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
女王樣
(
ぢよわうさま
)
は
事
(
こと
)
の
大小
(
だいせう
)
に
拘
(
かゝは
)
らず、
總
(
すべ
)
ての
困難
(
こんなん
)
を
解决
(
かいけつ
)
する
唯一
(
ゆゐいつ
)
の
方法
(
はうはふ
)
を
御存
(
ごぞん
)
じでした。『
彼
(
か
)
れの
頭
(
あたま
)
を
刎
(
は
)
ねよ!』と
四邊
(
あたり
)
も
見
(
み
)
ずに
申
(
まを
)
されました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
彼
(
か
)
のあるいは世を
慨
(
なげ
)
き、時を
詈
(
ののし
)
り、
危言
(
きげん
)
激語
(
げきご
)
して死に
就
(
つ
)
く者の如き、壮は則ち壮なりといえども、なおこれ一点狂激の行あるを免れず。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
断然
彼
(
か
)
の兵士の
巡廻
(
じゅんかい
)
を廃し、改めて
巡邏
(
じゅんら
)
と
云
(
い
)
うものを組織し、後に
之
(
これ
)
を巡査と改名して東京市中に平和穏当の取締法が出来ました。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
この
小屋
(
こや
)
は清潔で雨風を防いで呉れますし、家具も十分で便利でございます。此處にある何も
彼
(
か
)
も、私を落膽させずに感謝させました。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
恋愛を除きたる暁には恐らく美術も文学も価なき珠となり
果
(
は
)
つべけん、
彼
(
か
)
の軽佻なる元禄文学は遊廓内の理想家とも言つべき魔道文学者
「伽羅枕」及び「新葉末集」
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
「兄上には恐れ多いかはぞんぜぬが、われには何のかかわりのない母上、兄上がわれの身の上になったら何も
彼
(
か
)
も分り申そう。」
野に臥す者
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
これを
彼
(
か
)
の「モロッコ」の冒頭に出て来るアラビア人と
驢馬
(
ろば
)
のシーンに比べるとおもしろい。後者のほうがよほど
垢
(
あか
)
が取れた感じがする。
映画雑感(Ⅰ)
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
おなぎの話を聞て黙つて涙を拭いて居り、だしぬけに「一杯ついでくれ」と湯呑を出し、それから何の
彼
(
か
)
の理窟をつけては飲む処面白し。
明治座評:(明治二十九年四月)
(新字旧仮名)
/
三木竹二
(著)
「駒鳥さん、——私はもう我慢が出来ません、何も
彼
(
か
)
も言ってしまいます。——私共に取って、あなたはその禁園の果物だったのですね」
焔の中に歌う
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
妖怪変化、悪魔の
類
(
たぐい
)
が握っているのだか、何だか
彼
(
か
)
だかサッパり分らない
黒闇〻
(
こくあんあん
)
の中を、とにかく
後生
(
ごしょう
)
大事にそれに
縋
(
すが
)
って
随
(
したが
)
って歩いた。
観画談
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
二人さへゐなければ、富岡はおせいと自由に第二の人生を歩み出せるやうな気がした。何も
彼
(
か
)
も肉親のきづなを捨てきれる自信はあつた。
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
気
強
(
づよ
)
く思ひ立つて
巴里
(
パリイ
)
を立つて来たものの、今マルセエユを離れやうとすると心細くもあるらしい。
彼
(
か
)
れは黙つて涙ぐんで居た。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
私は結婚後
暫
(
しばら
)
く親の家へ帰っていた。ちょうどそれを境にして
彼
(
か
)
の金谷おきせさんは穀屋の店を畳んで
堀田原
(
ほったわら
)
の家に世帯を引き取りました。
幕末維新懐古談:24 堀田原へ引っ越した頃のはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
しかし人間の眼は自在に動く。
彼
(
か
)
の少女を捕へた好奇の瞳は、やがて軒下を
憚
(
はばか
)
つて歩くお葉の亂れた銀杏返しから、足元に到つたのである。
三十三の死
(旧字旧仮名)
/
素木しづ
(著)
二月二十日の総選挙は、
夫
(
そ
)
れ自身に於ては未だ吾々を満足せしめるに足りないが、日本の
黎明
(
れいめい
)
は
彼
(
か
)
の総選挙より来るであろう。
二・二六事件に就て
(新字新仮名)
/
河合栄治郎
(著)
彼
(
か
)
の事ありてこのかた、神に対する愛慕一しほ強く
相成申候
(
あひなりまうしさふらふ
)
。
如何
(
いか
)
にすればこの自覚を他に伝へ得べき
乎
(
か
)
とは、この頃の唯一問題にて候也。
予が見神の実験
(新字旧仮名)
/
綱島梁川
(著)
彼
(
か
)
の舶来の舞踏など、余程高尚な積りでおるかは知らぬが、その
変梃
(
へんてこ
)
な足取、その
淫猥
(
いや
)
らしき腰は、盆踊りより数倍も馬鹿気たものである。
本州横断 癇癪徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
(著)
彼
(
か
)
の人の眠りは、
徐
(
しづ
)
かに覚めて行つた。まつ黒い夜の中に、更に冷え圧するものゝ澱んでゐるなかに、目のあいて来るのを覚えたのである。
死者の書:――初稿版――
(新字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
己れ炊事を
親
(
みずか
)
らするの覚悟なくば
彼
(
か
)
の豪壮なる壮士の
輩
(
はい
)
のいかで
賤業
(
せんぎょう
)
を
諾
(
うべな
)
わん、私利私欲を
棄
(
す
)
ててこそ、
鬼神
(
きしん
)
をも服従せしむべきなりけれ。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
彼
(
か
)
の『奥の細道』の冒頭に「人生は
逆旅
(
げきりょ
)
」と言っておるが、そういう見地からいえば、いずれの人生か旅中ならざるであるが
俳句はかく解しかく味う
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
“彼”の意味
《代名詞》
(か:古語) 遠称。あれ、あちら、あの。
(かれ)三人称。
《名詞》
(かれ)ボーイフレンド又は男性の恋人。
(出典:Wiktionary)
彼
常用漢字
中学
部首:⼻
8画
“彼”を含む語句
彼方
彼女
彼処
彼方此方
彼地
彼奴
彼様
彼岸
彼家
彼処此処
彼處
彼此
彼得
彼等
彼奴等
彼樣
彼是
誰彼
彼所
彼男
...