不愉快ふゆくわい)” の例文
其自そのみづかかんじた不愉快ふゆくわいことおろか人々ひと/″\自分じぶん狂人視きやうじんししてゐる這麼町こんなまちから、すこしでもたらば、ともおもふのでつた。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
さうしてこゝろうちで、醫者いしや小六ころく不親切ふしんせつぎるやうかんじた。かれ其上そのうへ昨夕ゆうべ御米およね介抱かいはうしてゐるときかへつて小六ころくかほおもして、なほ不愉快ふゆくわいになつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
裁判官さいばんくわんつひでに、王樣わうさまがなされました。王樣わうさまかつらうへかんむりいたゞき、如何いかにも不愉快ふゆくわいさうにえました、それのみならず、それはすこしも似合にあひませんでした。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
けれどしようことなしにねむるのはあたら一生涯しやうがいの一部分ぶゝんをたゞでくすやうな氣がしてすこぶ不愉快ふゆくわいかんずる、ところいま場合ばあひ如何いかんともがたい、とづるにかしていた。
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
いへのうちには不愉快ふゆくわいたゝまれないからのおあそび、こんなことをして良人をつと放蕩はうたうあげて仕舞しまふたのです、良人をつと美事みごとうちそとにするといふ道樂者だうらくものつて仕舞しまひました。
この子 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
やがうしろはやしこずゑからなゝめゆききおろしてた。卯平うへい少時しばらく躊躇ちうちよしてかきつかれたせた。しばらくしてかれゆきつめたく自分じぶんふところとけ不愉快ふゆくわいながれるのをつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
ぜんりつゝもそれおこなふことが出來できない、ほつしてもそれあらはすことが出來できない、やむ缺點けつてんだらけのいへつくつて、そのなか不愉快ふゆくわいしのんで生活せいくわつしてるのが大多數だいたすうであらうとおもふ。
建築の本義 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
此の間、何うかすると、ゴト/\、ゴト/\と、輕い、併しながら不愉快ふゆくわいな響が耳に入ツて、惡く神經を小突く。氣が付いて見ると、其は風が中窓ちゆうまどや風拔の戸に衝突ぶつかツてるのであツた。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
すると気候はおそろしく蒸暑むしあつくなつて来て、自然とみ出る脂汗あぶらあせ不愉快ふゆくわいに人のはだをねば/\させるが、しかまた、さうふ時にはきまつて、の強弱との方向の定まらない風が突然とつぜんに吹きおこつて
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
が、そけてしまつたわたしあたまなかへんおもく、それにさむさがくははつててゾクゾク毛穴けあながそばつのがたまらなく不愉快ふゆくわいだつた。わたしくびをすくめていたあしりながらあるつづけてゐた。
一兵卒と銃 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
あいちやんのためには勿怪もツけさいはひちひさな魔法壜まはふびんいま充分じうぶん其功能そのこうのうあらはしをはつたので、あいちやんもうこれよりおほきくはなりませんでした、が、それは非常ひじよう不愉快ふゆくわい
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
たまには學校がくかう下讀したよみやら研究けんきうやらにはれてゐる多忙たばうだとふうもしてせた。小六ころく友達ともだちからさう呑氣のんきなまけものゝやうあつかはれるのを、大變たいへん不愉快ふゆくわいかんじた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
かれ何時いつ囚人しうじん出會でつくわせば、同情どうじやう不愉快ふゆくわいかんたれるのであるが、其日そのひまた奈何云どういふものか、なんともはれぬ一しゆ不好いや感覺かんかくが、つねにもあらずむら/\といて
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
ところが小田原をだはらから熱海あたみまでの人車鐵道じんしやてつだうこの喇叭がある。不愉快ふゆくわい千萬なこの交通機關かうつうきくわんこの鳴物なりものいてるけで如何どうきようたすけてるとはかね自分じぶんおもつてたところである。
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
とても/\旦那樣だんなさまのやうな邪慳じやけんかたのおではない、これはわたし一人ひとりものだとめてまするに、旦那だんなさまが他處よそからでもおかへりになつて、不愉快ふゆくわいさうなおかほつきで此子これまくらもとへおすわあそばして
この子 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
長吉ちやうきち此処こゝで再び母親の事を不愉快ふゆくわいにくらしく思つた。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
それは政略せいりやくよりもむし禮讓れいじやうからであつた。したがつて宗助そうすけにはがう不愉快ふゆくわいあたへなかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
不愉快ふゆくわい人車じんしやられてびしい溪間たにまおくとゞけられることは、すこぶ苦痛くつうであつたが、今更いまさら引返ひきかへすこと出來できず、其日そのひ午後ごゝ時頃じごろ此宿このやどいた。突然とつぜんのことであるから宿やど主人あるじおどろかした。
湯ヶ原より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
かれるさへ不愉快ふゆくわいかんじてゐたからで。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
きぬないことはむし不愉快ふゆくわい場所ばしよとなつてしまつたのである。
湯ヶ原より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)