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柄
>
え
ふりがな文庫
“
柄
(
え
)” の例文
と、いうことは
素気
(
そっけ
)
ないが、話を
振切
(
ふりき
)
るつもりではなさそうで、肩を
一
(
ひと
)
ツ
揺
(
ゆす
)
りながら、
鍬
(
くわ
)
の
柄
(
え
)
を返して
地
(
つち
)
についてこっちの顔を見た。
春昼
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
柄
(
え
)
を
觀世縒
(
くわんぜより
)
で卷いて、
生澁
(
きしぶ
)
を塗つてありますから、ひどく特色のあるものですが、不思議なことに、大して血が付いては居りません。
銭形平次捕物控:020 朱塗りの筐
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
耕一はよろよろしながらしっかり
柄
(
え
)
をつかまえていましたらとうとう傘はがりがり風にこわされて開いた
蕈
(
きのこ
)
のような形になりました。
風野又三郎
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
お
品
(
しな
)
は
復
(
ま
)
た
天秤
(
てんびん
)
を
卸
(
おろ
)
した。お
品
(
しな
)
は
竹
(
たけ
)
の
短
(
みじか
)
い
天秤
(
てんびん
)
の
先
(
さき
)
へ
木
(
き
)
の
枝
(
えだ
)
で
拵
(
こしら
)
へた
小
(
ちひ
)
さな
鍵
(
かぎ
)
の
手
(
て
)
をぶらさげてそれで
手桶
(
てをけ
)
の
柄
(
え
)
を
引
(
ひ
)
つ
懸
(
か
)
けて
居
(
ゐ
)
た。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
しかしながら殺人犯人の見当は中々はっきりついては来なかった。第一、証拠が全くのこされていない。短刀の
柄
(
え
)
にも指紋はない。
電気看板の神経
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
▼ もっと見る
すると
忽
(
たちま
)
ち出遇つたのは兄の英吉でございます。兄は
煤竹
(
すすだけ
)
の
柄
(
え
)
のついた置きランプを一台さげた儘、急ぎ足に
其処
(
そこ
)
を歩いて居りました。
雛
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
突然
庫裏
(
くり
)
の方から、声を震わせて
梵妻
(
だいこく
)
が現われた。手に
鍬
(
くわ
)
の
柄
(
え
)
のような堅い棒を持ち、
肥
(
ふと
)
った体を
不恰好
(
ぶかっこう
)
に波うたせ、血相かえて来た。
果樹
(新字新仮名)
/
水上滝太郎
(著)
匕首
(
あいくち
)
の
柄
(
え
)
をみずおちに当てて、力いっぱい、板壁を
突
(
つ
)
いてみた。だが、
欅
(
けやき
)
かなんぞの厚板とみえて、刃物の
尖
(
さき
)
がツウ! と
辷
(
すべ
)
った。
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
甲なる人に短刀の
柄
(
え
)
を一度握らせたばかりでも、その柄を嗅がせると同時に牛肉を与えて、所謂条件反射を起させると、一定の時日の後
新案探偵法
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
胡弓の
柄
(
え
)
はぽっきりと三つばかりに折れたかと思うと、物凄い夜嵐の音も、
怒
(
いか
)
れる乞食の姿も美しいお祭の景色も
総
(
す
)
べて消えてしまって
迷い路
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
桑苗発送季の忙しくて人手が足りぬ時は、彼の兄なぞもマカウレーの英国史を
抛
(
ほう
)
り出して、
柄
(
え
)
の短い肥後鍬を不器用な手に握ったものだ。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
太い指がガッシリと、鉄扇の
柄
(
え
)
を握っていた。指に生えている細い毛が、幽かに幽かに顫えていた。造酒は鉄扇の持ち主を見た。
名人地獄
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
当主の、福子の良人には父にあたるその人は、
温厚
(
おんこう
)
一途
(
いちず
)
が
取
(
と
)
り
柄
(
え
)
で、仕事の上のことでは、まだまだ隠居の
差
(
さ
)
し
図
(
ず
)
の下にいた。
万年青
(新字新仮名)
/
矢田津世子
(著)
坂になった馬籠の町は金の
葵
(
あおい
)
の紋のついた
挾箱
(
はさみばこ
)
、長い
柄
(
え
)
の
日傘
(
ひがさ
)
、鉄砲、
箪笥
(
たんす
)
、
長持
(
ながもち
)
、その他の諸道具で時ならぬ光景を呈した。
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
南天や紅梅の如き庭木が目隠しの柴垣を
後
(
うしろ
)
にして立っている有様、春の
朝
(
あした
)
には鶯がこの
手水鉢
(
ちょうずばち
)
の水を飲みに柄杓の
柄
(
え
)
にとまる。
妾宅
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
和紙を用いた加工品としては、
肥後
(
ひご
)
来民
(
くたみ
)
の
団扇
(
うちわ
)
を挙げねばなりません。
柄
(
え
)
は
平竹
(
ひらたけ
)
を用い、骨は上にやや開き、色は淡い渋色に染められます。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
これに反して木製の
柄
(
え
)
で割り竹を無理にしめつけたのは、なんとなく手ごたえが片意地で、柄の付け根で首がちぎれやすい。
錯覚数題
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
「この馬鹿めが」といって、鞭の
柄
(
え
)
の方でこつんと軽く松次郎の耳の上を
叩
(
たた
)
いた。そしてまた馭者台に乗ると馬車を走らせていってしまった。
最後の胡弓弾き
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
取
(
と
)
り
柄
(
え
)
と
言
(
い
)
へば、
頭
(
あたま
)
から
青痰
(
あをたん
)
を
吐
(
は
)
きかけられても、
金
(
かね
)
さへ
握
(
にぎ
)
らせたら、ほく/\
喜
(
よろこ
)
んでるといふ
其
(
そ
)
の
徹底
(
てつてい
)
した
守錢奴
(
しゆせんど
)
ぶりだ。
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
彼の目はすばやく兇器の上に走った、そして一瞬間、その
柄
(
え
)
にくっついた、折れた骨片の上に釘づけにされたようであった。
ユダヤ人のブナの木:山深きヴェストファーレンの風俗画
(旧字新仮名)
/
ドロステ=ヒュルスホフアネッテ・フォン
(著)
お坊さんは、壇の上の
独鈷
(
とっこ
)
をとって
押頂
(
おしいただ
)
き、長い線香を一本たて、
捻香
(
ねんこう
)
をねんじ、五種の抹香を長い
柄
(
え
)
のついた、真ちゅうの
香炉
(
こうろ
)
にくやらす。
旧聞日本橋:20 西川小りん
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
老人は、押し入れの中に頭をつっこんでしばらく何かさがしましたが、やがて何枚もの白い紙と、
柄
(
え
)
のついた大きな
眼鏡
(
めがね
)
を、取り出しました。
金の目銀の目
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
一體
(
いつたい
)
これらの
石斧
(
せきふ
)
を
使用
(
しよう
)
するときはどうしたかといひますのに、
石
(
いし
)
のまゝ
握
(
にぎ
)
つて
使
(
つか
)
つたものもありますが、
木
(
き
)
の
柄
(
え
)
を
着
(
つ
)
けた
場合
(
ばあひ
)
もありまして
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
ナイフの刃には
柄
(
え
)
がついていて、その柄を歯でぐっとかみしめ、顔ぜんたいを上下に動かして、あさなわをこするのです。
仮面の恐怖王
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
やがて手桶の尻をどっさと泥の底に
据
(
す
)
えてしまった。
危
(
あやう
)
く倒れるところを手桶の
柄
(
え
)
に
乗
(
の
)
し
懸
(
かか
)
って向うを見ると、叔父さんは一間ばかり前にいた。
永日小品
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
白い頭を
手拭
(
てぬぐ
)
いに包んで、
鍬
(
くわ
)
の
柄
(
え
)
を杖に、
綻
(
ほころ
)
びかけた梅の花を仰いでいるお爺さんを想い描かずにはおられないのです。
季節の植物帳
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
ナイフは
真珠貝
(
しんじゅがい
)
の
柄
(
え
)
のついた
綺麗
(
きれい
)
なものだったし、一ルーブリ
銀貨
(
ぎんか
)
はのっぴきならぬ
用
(
よう
)
にいるのであった。で、
先生
(
せんせい
)
のところへいいつけに
行
(
い
)
った。
身体検査
(新字新仮名)
/
フョードル・ソログープ
(著)
丸裸体
(
まるはだか
)
となって新しいメリヤスの
襯衣
(
シャツ
)
に着かえ、軍隊手袋と靴下を
穿
(
うが
)
ってサテ藁切庖丁を取出してみると、新しい
柄
(
え
)
ですこしグラつくようである。
巡査辞職
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
と一杯
掬
(
すく
)
い上げて
澪
(
こぼ
)
れない様に、
平
(
たいら
)
に柄杓の
柄
(
え
)
を
啣
(
くわ
)
えて
蔦蔓
(
つたかづら
)
に
縋
(
すが
)
り、松柏の根方を足掛りにして、揺れても澪れない様にして段々登って来る処を
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
中に厚紙の台に木の
柄
(
え
)
を附けて蝋燭を立てた
手燭
(
てしよく
)
を売る
老爺
(
おやぢ
)
が一人
混
(
まじ
)
つて居る。見物人は皆其れを争つて買ふのである。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
タオルには折ったあいだへ、石鹸や歯みがきは包み紙に、
小刀
(
ナイフ
)
には
柄
(
え
)
へ飾り、靴下はなかへ落し、その他の小箱類には蓋の内側へ貼りつけたりして。
踊る地平線:08 しっぷ・あほうい!
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
「そうかね。」と、長い
柄
(
え
)
の網をもった人がきらりと
眼鏡
(
めがね
)
を光らせて、蟹の登っている枝のあたりを見上げました。
椰子蟹
(新字新仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
言はざれば主税之助は
彌々
(
いよ/\
)
怒り
此奴
(
こやつ
)
勿々
(
なか/\
)
澁太
(
しぶとき
)
女なり此上は
槍玉
(
やりだま
)
に
上
(
あげ
)
て呉んずと云ひつゝ三間
柄
(
え
)
の大身の槍を追取
鞘
(
さや
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
それが
漸次
(
しだい
)
に
近
(
ちかづ
)
くと、女の背に
負
(
おぶ
)
はれた
三歳
(
みっつ
)
ばかりの小供が、竹の
柄
(
え
)
を付けた
白張
(
しらはり
)
のぶら
提灯
(
ぢょうちん
)
を持つてゐるのだ。
雨夜の怪談
(新字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
踏み出し足溜りをこしらへてはまた踏み固め二間餘のところ道をつけ
偖
(
さて
)
立戻り
蝙蝠傘
(
かふもりがさ
)
の
柄
(
え
)
の先を女に
確
(
しか
)
と掴ませ危うくも渡り越して互にホト息して無事を
木曽道中記
(旧字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
現存石器時代人民中には、此の如き物に
短
(
みぢか
)
き
柄
(
え
)
を
添
(
そ
)
へて
短刀
(
たんとう
)
の如くに用ゐ、或は長き柄を添へて
槍
(
やり
)
とする者有り。
コロボックル風俗考
(旧字旧仮名)
/
坪井正五郎
(著)
上州
(
じょうしゅう
)
の
田舎
(
いなか
)
の話である。
某日
(
あるひ
)
の夕方、一人の農夫が畑から帰っていた。それは
柄
(
え
)
の長い
鍬
(
くわ
)
を肩にして、
雁首
(
がんくび
)
を
蛇腹
(
じゃばら
)
のように叩き
潰
(
つぶ
)
した
煙管
(
きせる
)
をくわえていた。
棄轎
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
うてなからちぎり取られた紅、紫、瑠璃色、白、絞り咲きなどの朝顔の花が、幾十となく
柄
(
え
)
を抜いた小傘のやうに、たつぷり張つた耳盥の水面に浮んでゐる。
老主の一時期
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
そして
柄
(
え
)
のついた雨除け眼鏡を持ちなおして、しげしげと相手の顔を見入っていましたが、こんなせち辛い世のなかに、のん気にぶらんこをして遊ぶような
艸木虫魚
(新字新仮名)
/
薄田泣菫
(著)
肉屋
(
にくや
)
はおこって、そこにあったほうきの
柄
(
え
)
をつかむと、いきなりお
百姓
(
ひゃくしょう
)
さんをたたきだしてしまいました。
うまい商売
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
柄
(
え
)
をつけると、ぶかっこうながら丈夫な、南九州の農家などでよくつかっている竹びしゃくが出来あがる。
白い道
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
高慢というのでもなく
謙遜
(
けんそん
)
というのでもなく、きわめて自然に落ち着いてまっすぐに腰かけたまま、
柄
(
え
)
の長い白の
琥珀
(
こはく
)
のパラソルの握りに手を乗せていながら
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
セルギウスは「只今」と声高く答へて、左の手の
示指
(
ひとさしゆび
)
を薪割台の上に置いて、右の手に斧の
柄
(
え
)
を握つて、斧を高く振り上げて、示指の中の
節
(
ふし
)
を狙つて打ち下した。
パアテル・セルギウス
(新字旧仮名)
/
レオ・トルストイ
(著)
さて
柴刈鎌
(
しばかりがま
)
の
柄
(
え
)
の小長い奴を右手に持ったり左手に持ったりしながら、だんだんと川上へ登り詰めた。
雁坂越
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
ほかに取り
柄
(
え
)
もなし、もう三十六にもなって、いまさら職業がえでもあるまいから、まあ、社で使ってくれている間は観念して、はたらいてゆくことにきめているが
或る探訪記者の話
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
そして町役場などがあり、その裏には貧しい漁夫や、貝を採るための長い
柄
(
え
)
の付いた
竹籠
(
たけかご
)
を作る者や、その日によって雇われ先の変る、つまり舟を
漕
(
こ
)
ぐことも知らず
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
一寸法師
(
いっすんぼうし
)
は
大
(
たい
)
へんよろこんで、さっそく
旅
(
たび
)
の
支度
(
したく
)
にかかりました。まずおかあさんにぬい
針
(
ばり
)
を一
本
(
ぽん
)
頂
(
いただ
)
いて、
麦
(
むぎ
)
わらで
柄
(
え
)
とさやをこしらえて、
刀
(
かたな
)
にして
腰
(
こし
)
にさしました。
一寸法師
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
左の胸に
突込
(
つっこ
)
んだるナイフの木の
柄
(
え
)
現われおる。この男舞台の
真中
(
まんなか
)
に立ち留まり主人に向いて語る。
痴人と死と
(新字新仮名)
/
フーゴー・フォン・ホーフマンスタール
(著)
こちらの武士は、耳を着けていたところより一尺ばかり下の透間へ手を当てると、その透間からスーッと抜き取ったのは、
柄
(
え
)
のない一挺の
鑢
(
やすり
)
のようなものであります。
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
私はとうとうのめりそうになって、強く突き立てた蝙蝠傘に思わず全身の重みを托したので、それが弓のように
撓
(
たわ
)
むと、その
柄
(
え
)
からボキリと折られてしまったものだ。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
“柄”の意味
《名詞》
(え)道具の握りの部分。
(がら)模様。
(出典:Wiktionary)
柄
常用漢字
中学
部首:⽊
9画
“柄”を含む語句
話柄
小柄
間柄
折柄
長柄
稼業柄
把柄
柄杓
手柄
人柄
足柄
大柄
談柄
肥柄杓
葉柄
刀柄
白柄
笑柄
青貝柄
横柄
...