“地獄(ぢごく)” の例文
もう地獄(ぢごく)へも汽車(きしや)が出来(でき)たかえ、驚(おどろ)いたね。甲「へえゝどうも旦那(だんな)、誠に暫(しばら)く……。岩「いやア、アハヽヽこれは吉原(よしはら)の幇間(たいこもち)の民仲(みんちう)だね。 ...
明治の地獄 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
「いかにも、私は金之助を庇ひ過ぎた、が、私ももう生きてはゐられまい、地獄(ぢごく)の使ひが其處まで來てゐるやうな氣がする」
銭形平次捕物控:311 鬼女 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
恰(あたか)も何(なに)よ、それ畜生道(ちくしやうだう)の地獄(ぢごく)の絵(ゑ)を、月夜(つきよ)に映(うつ)したやうな怪(あやし)の姿(すがた)が板戸(いたど)一重(へ)、魑魅魍魎(ちみまうりやう)といふのであらうか、ざわ/\と木(こ)の葉(は)が戦(そよ)ぐ気色(けしき)だつた。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
地獄(ぢごく)の夜叉(やしゃ)の肉體(からだ)には何者(なにもの)を住(す)ませうとや? あんな内容(なかみ)にあのやうな表紙(へうし)を附(つ)けた書(ほん)があらうか? あんな華麗(りっぱ)な宮殿(きゅうでん)に虚僞(うそ)譎詐(いつはり)が棲(すま)はうとは!
泣(な)く聲(こゑ)、喚(わめ)く聲(こえ)、哀(あはれ)に救助(たすけ)を求(もと)むる聲(こゑ)は、悽(すさ)まじき怒濤(どとう)の音(おと)と打交(うちまじ)つて、地獄(ぢごく)の光景(ありさま)もかくやと思(おも)はるゝばかり。
お前達に取つちや、この中は極樂で、この外はどこもかも地獄(ぢごく)なんだ、てえこともよく承知しときなよ。
天国の記録 (旧字旧仮名) / 下村千秋(著)
掛(かけ)候處へ御役人樣御出ゆゑ愈々(いよ/\)六(むづ)かしからんと思ひし機(をり)地獄(ぢごく)の沙汰(さた)も金(かね)次第とやらにて有金三十七兩を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
桜谷とよびたる処地火のために地獄(ぢごく)とよばるゝこと、花はさぞかし薀憤(くちをし)かるべし。
『何日(いつ)になつたつて我々(われ/\)を决(けつ)して出(だ)すものか。』イワン、デミトリチは云(い)ふ、『我々(われ/\)を茲(こゝ)で腐(くさ)らして了(しま)ふ料簡(れうけん)だらう! 來世(らいせい)に地獄(ぢごく)がなくて爲(な)るものか、這麼人非人共(こんなひとでなしども)が如何(どう)して許(ゆる)される、 ...
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
伯父(をぢ)は母親のやうに正面から烈(はげ)しく反対を称(とな)へはしなかつたけれど、聞いて極楽(ごくらく)見て地獄(ぢごく)の譬(たとへ)を引き、劇道(げきだう)の成功の困難、舞台の生活の苦痛、芸人社会の交際の煩瑣(はんさ)な事なぞを長々(なが/\)と語つた後(のち)
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
山(やま)に地獄(ぢごく)の
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
艫(とも)の鷺(さぎ)の炎(ほのほ)は消(き)えて、船(ふね)の板(いた)は、ばらりと開(ひら)いた。一(ひと)つ一(ひと)つ、幅広(はゞひろ)い煙(けむり)を立(た)てゝ、地獄(ぢごく)の空(そら)に消(き)えて行(ゆ)く、黒(くろ)い帆(ほ)のやう、——女(をんな)の像(ざう)は影(かげ)も失(う)せた。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
成程(なるほど)、然(さ)うでございますかね、それから正月(しやうぐわつ)と盆(ぼん)の十六日(にち)に蓋(ふた)の開(あ)くと云(い)ふ、地獄(ぢごく)の大きな釜(かま)は何(ど)うしました。
明治の地獄 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
チッバ 何(なん)ぢゃ、拔(ぬ)いてゐながら、和睦(わぼく)ぢゃ! 和睦(わぼく)といふ語(ことば)は大嫌(だいきら)ひぢゃ、地獄(ぢごく)ほどに、モンタギューの奴等(やつら)ほどに、汝(うぬ)ほどにぢゃ。卑怯者(ひけふもの)め、覺悟(かくご)せい!
あゝ、天上(てんじやう)から地獄(ぢごく)の底(そこ)へ蹴落(けおと)されたとて、人間(にんげん)は斯(か)く迄(まで)失望(しつぼう)するものではあるまい。
桜谷とよびたる処地火のために地獄(ぢごく)とよばるゝこと、花はさぞかし薀憤(くちをし)かるべし。
「わかりましたがね、あの屋敷は名題の地獄(ぢごく)屋敷で、宵に入つたら、朝まで出られやしません。門番の爺(おやぢ)だつて、御老中の御家來の見識(けんしき)だから、一杯買つたくらゐぢや言ふことを聽いてくれません」
搖上(ゆりあ)げ搖下(ゆりおろ)され今にも逆卷(さかまく)浪(なみ)に引れ那落(ならく)に沈(しづ)まん計りなれば八寒(かん)八熱(ねつ)の地獄(ぢごく)の樣も斯(かく)やとばかり怖(おそ)ろしなんども愚(おろ)かなり看々(みる/\)山の如き大浪(おほなみ)は天神丸の胴腹(どうはら)へ打付たれば哀(あはれ)やさしも堅固(けんご)に營(しつ)らへし天神丸も忽地(たちまち)巖石(がんせき)に打付られ微塵(みぢん)に成(なつ)て碎(くだ)け失たり氣早(きばや)き吉兵衞は此時早くも身構(みがま)へして所持の品は
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
あゝ前刻(さツき)のお百姓(ひやくしやう)がものゝ間違(まちがひ)でも故道(ふるみち)には蛇(へび)が恁(か)うといつてくれたら、地獄(ぢごく)へ落(お)ちても来(こ)なかつたにと照(て)りつけられて、涙(なみだ)が流(なが)れた、南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)、今(いま)でも悚然(ぞツ)とする。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
ヂュリ 何(なん)で予(わし)に氣(き)を揉(もま)すのぢゃ? 其樣(そのやう)な怖(おそろ)しい唸(うな)り聲(ごゑ)は地獄(ぢごく)でなうては聞(き)かれぬ筈(はず)ぢゃ。
へえゝ、驚(おどろ)いたね、大層(たいそう)揃(そろ)つて出来(でき)ましたね、地獄(ぢごく)のお閻魔(えんま)さまは何(ど)うして居(ゐ)ますね。
明治の地獄 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
地獄(ぢごく)で佛(ほとけ)に逢(あふ)たる心地なし世にも情(なさけ)あるお詞(ことば)かなと悦び臺所(だいどころ)へ到りて空腹(くうふく)の事ゆゑ急ぎ食事(しよくじ)せんものと見れば何(いづ)れも五升も入べき飯櫃(めしびつ)五ツ竝(なら)べたり飯(めし)も焚立(たきたて)なりければ吉兵衞は大きに不審(ふしん)し此樣子(このやうす)では大勢(おほぜい)の暮しと見えたれども此程の大家に男は留守(るす)にもせよ女の五人や三人は居(をる)べきに夫と見えぬは
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
……又(また)地獄(ぢごく)の繪(ゑ)といふと、意固地(いこぢ)に女(をんな)が裸體(はだか)ですから、氣(き)に成(な)りましたよ、ははは。
深川浅景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
「あゝ、飛(と)んでもない、……譬(たとへ)にも虚事(そらごと)にも、衣絵(きぬゑ)さんを地獄(ぢごく)へ落(おと)さうとした。」
続銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
其(そ)の犬(いぬ)どもの、耳(みゝ)には火(ひ)を立(た)て、牙(きば)には火(ひ)を齒(は)み、焔(ほのほ)を吹(ふ)き、黒煙(くろけむり)を尾(を)に倦(ま)いて、車(くるま)とも言(い)はず、人(ひと)とも言(い)はず、炎(ほのほ)に搦(から)んで、躍上(をどりあが)り、飛蒐(とびかゝ)り、狂立(くるひた)つて地獄(ぢごく)の形相(ぎやうさう)を顯(あらは)したであらう
城崎を憶ふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
地獄(ぢごく)へ飛(と)ぶやうに辷(すべ)り込(こ)むと、青(あを)い火鉢(ひばち)が金色(きんいろ)に光(ひか)つて、座布團(ざぶとん)一枚(いちまい)、ありのまゝに、萌黄(もえぎ)を細(ほそ)く覆輪(ふくりん)に取(と)つて、朱(しゆ)とも、血(ち)とも、るつぼのたゞれた如(ごと)くにとろけて、燃拔(もえぬ)けた中心(ちうしん)が、藥研(やげん)に窪(くぼ)んで
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
地獄(ぢごく)の釜(かま)の蓋(ふた)を取(と)つて、娑婆(しやば)へ吹上(ふきあ)げた幻燈(うつしゑ)か思(おも)ふたよ。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)