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稀
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まれ
ふりがな文庫
“
稀
(
まれ
)” の例文
ところがこれに反して抽象的な論理的な思考に至ってはその見るべきものがきわめて
稀
(
まれ
)
であるということは、実に驚くばかりである。
日本文化と科学的思想
(新字新仮名)
/
石原純
(著)
昔の
儘
(
まま
)
に現在までも続いていると云う住家は
殆
(
ほとん
)
んどなく、極めて
稀
(
まれ
)
に昔の美しさのある物を発見するのが
頗
(
すこぶ
)
る難しいことなのである。
現代語訳 方丈記
(新字新仮名)
/
鴨長明
(著)
この不思議な退化をなしつつある少女は一つの
稀
(
まれ
)
な才能を示すやうに見えた。それは彼女の素描にあらはれる特殊な線の感じに
於
(
おい
)
て。
青いポアン
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
そういえば、此の頃は誰も来ない、来ても食事
刻
(
どき
)
はよける、坐って酒を飲むような者はごく
稀
(
まれ
)
で、用事が済めばさっさと帰ってゆく。
山椿
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
しかれども俳句は理想的の者極めて
稀
(
まれ
)
に、事物をありのままに詠みたる者最も多し。しかして趣味はかへつて後者に多く存す。例へば
俳諧大要
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
▼ もっと見る
そも/\
熊
(
くま
)
は
和獣
(
わじう
)
の王、
猛
(
たけ
)
くして
義
(
ぎ
)
を
知
(
し
)
る。
菓木
(
このみ
)
の
皮虫
(
かはむし
)
のるゐを
食
(
しよく
)
として
同類
(
どうるゐ
)
の
獣
(
けもの
)
を
喰
(
くらは
)
ず、
田圃
(
たはた
)
を
荒
(
あらさ
)
ず、
稀
(
まれ
)
に
荒
(
あら
)
すは
食
(
しよく
)
の
尽
(
つき
)
たる時也。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
もとよりかかる変わった事件は彼の
生涯
(
しょうがい
)
においてきわめて
稀
(
まれ
)
であった。われわれはただわれわれの知るところだけを物語るのである。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
一人も他の部屋へ入ってむだ口を利くこともあまりなかったが、階下から才次などが上ってきて勉強を乱すことはなおさら
稀
(
まれ
)
だった。
入江のほとり
(新字新仮名)
/
正宗白鳥
(著)
稀
(
まれ
)
に我々は、聡明らしく見える老人が、前を通り去る我々を見詰めて、懐古的瞑想にふけりながら、厳格な態度で頭をふるのを見た。
日本その日その日:03 日本その日その日
(新字新仮名)
/
エドワード・シルヴェスター・モース
(著)
ルウベンスまたタアナアの描ける暴風の図は人をして恐怖の情を催さしむといへども暴風の
齎
(
もたら
)
し来る
湿気
(
しっき
)
の感を起さしむる事
稀
(
まれ
)
なり。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
高い山々は雪嵐に包まれて、全体の姿を顕す日も
稀
(
まれ
)
だ。小諸の停車場に架けた
筧
(
かけひ
)
からは水が
溢
(
あふ
)
れて、それが太い氷の柱のように成る。
千曲川のスケッチ
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
見るに
衣裳
(
なり
)
は
見苦
(
みぐる
)
しけれども色白くして
人品
(
ひとがら
)
能く
鄙
(
ひな
)
に
稀
(
まれ
)
なる美男なれば
心
(
こゝろ
)
嬉敷
(
うれしく
)
閨
(
ねや
)
に
伴
(
ともな
)
ひつゝ終に
新枕
(
にひまくら
)
を
交
(
かは
)
せし故是より吉三郎もお菊を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
単語は何か新しい思想を含んだものであって、普通にある言葉をわざわざ西洋語を借りて言い表わすことは、よしあっても
稀
(
まれ
)
である。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
おつぎは
勘次
(
かんじ
)
の
敏捷
(
びんせふ
)
な
目
(
め
)
を
欺
(
あざむ
)
くには
此
(
これ
)
だけの
深
(
ふか
)
い
注意
(
ちうい
)
を
拂
(
はら
)
はなければならなかつた。それも
稀
(
まれ
)
なことで
數
(
かず
)
は
必
(
かなら
)
ず
一
(
ひと
)
つに
限
(
かぎ
)
られて
居
(
ゐ
)
た。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
こういう人たちの話が
稀
(
まれ
)
に出ることがあると、先生は妙に興奮気味の口調で「僕はああいう人たちには、どうにも我慢が出来ない」
寺田先生の追憶:――大学卒業前後の思い出――
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
知ることの浅く、尋ぬること怠るか、はたそれ
詣
(
もう
)
ずる人の少きにや、諸国の寺院に、夫人を安置し
勧請
(
かんじょう
)
するものを聞くこと
稀
(
まれ
)
なり。
一景話題
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
今村の諸君弁護の労を快諾せられぬ、
然
(
しか
)
れ共我等同志が主義主張の故を以て法廷に立つこと、今後必ずしも
稀
(
まれ
)
なりと云ふべからず
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
突き止めてこの聖者から、世にも
稀
(
まれ
)
な幸福の
秘訣
(
ひけつ
)
を奪い取るか、でなければ、それが偽物であるのを観破して私の夢を安らかにし
度
(
た
)
い。
宝永噴火
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
嘘
(
うそ
)
ではないのである。源氏の恋人である人は初めから平凡な階級でないせいであるか、何らかの特色を備えてない人は
稀
(
まれ
)
であった。
源氏物語:11 花散里
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
この小さな、緑色に
繁茂
(
しげ
)
り栄えた島の中には、
稀
(
まれ
)
に居る大きな
蟻
(
あり
)
のほかに、私たちを
憂患
(
なやま
)
す
禽
(
とり
)
、
獣
(
けもの
)
、
昆虫
(
はうもの
)
は一匹も居ませんでした。
瓶詰地獄
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
公の「遊戯」に関係した男女で無事に生命を
完
(
まっと
)
うしたものは
稀
(
まれ
)
であるのに、道阿弥が死を
免
(
まぬか
)
れたのは甚だ幸運と云わざるを得ない。
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
いかなる
瑣末
(
さまつ
)
な事件にも、この男のごとく容易に感服する人間は、滅多にない。いや、感服したような顔をする人間は、
稀
(
まれ
)
である。
戯作三昧
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
また宴席、酒
酣
(
たけなわ
)
なるときなどにも、上士が
拳
(
けん
)
を打ち
歌舞
(
かぶ
)
するは極て
稀
(
まれ
)
なれども、下士は
各
(
おのおの
)
隠し芸なるものを奏して
興
(
きょう
)
を
助
(
たすく
)
る者多し。
旧藩情
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
文「なアに雪女郎は
深山
(
しんざん
)
の
雪中
(
せっちゅう
)
で、
稀
(
まれ
)
に女の
貌
(
かお
)
をあらわすは雪の精なるよしだが、あれは天神様へお百度でも上げているのだろう」
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
かつ傷つける人に真の慰めを送る力を持つことは
稀
(
まれ
)
なのであるが——自分にいろいろなことを打ち明けさせようとしないことを
悦
(
よろこ
)
んだ。
愛と認識との出発
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
刀長持
(
かたなながもち
)
の中には、古今の銘刀が何十振とあった。相州物、備前物、肥前その他、彼がまだ接したことのない
稀
(
まれ
)
な名匠の作もあった。
山浦清麿
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
土佐でヌタナロ、南奈路などというのもまた同じ語で、この国ではナルと併用せられている。ナラという地名も決して
稀
(
まれ
)
ではない。
地名の研究
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
安物を買いに行って一番高価な自分の命を棄てなけりゃあならんような事がありますから、そこへ出かけて行く人間は余程
稀
(
まれ
)
です。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
初めて
其
(
そ
)
の
耦
(
ぐう
)
を
喪
(
うしの
)
うて
鰥居無聊
(
かんきょむりょう
)
、
復
(
また
)
出
(
い
)
でて遊ばず、
但
(
ただ
)
門に
倚
(
よ
)
つて
佇立
(
ちょりつ
)
するのみ。十五
夜
(
や
)
三
更
(
こう
)
尽きて
遊人
(
ゆうじん
)
漸
(
ようや
)
く
稀
(
まれ
)
なり。
丫鬟
(
あかん
)
を見る。
牡丹灯籠 牡丹灯記
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
しかしその時、折竹は一つの石をじっと見詰め、じつにブラジル産にしては
稀
(
まれ
)
ともいいたい、その石の青色に気を奪われていた。
人外魔境:05 水棲人
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
今の個人陶工の作で、これに及ぶものを求めても、なかなか見つからぬのは、そういう自由さに達した作家が極めて
稀
(
まれ
)
なのを意味します。
益子の絵土瓶
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
それが今は、ひとしおひっそり閑と静まり返り、街燈も
稀
(
まれ
)
にちらほらついているだけで——どうやら、もう油がつきかかっているらしい。
外套
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
自分は
容貌
(
ようぼう
)
の上のみで梅子
嬢
(
さん
)
を思うているのでない、御存知の通り実に近頃の若い女子には
稀
(
まれ
)
に見るところの美しい性質を
以
(
もっ
)
ておられる
富岡先生
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
三間半の南向の椽側に冬の日脚が早く傾いて
木枯
(
こがらし
)
の吹かない日はほとんど
稀
(
まれ
)
になってから吾輩の昼寝の時間も
狭
(
せば
)
められたような気がする。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「ほう、生理的神経的の歪みですか。そしてこれを復習する極めて
稀
(
まれ
)
な幸運ですか。いや、お蔭さまで、
諦
(
あきら
)
めがついてきました」
英本土上陸戦の前夜
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「その父賢にして、その子の愚なるものは
稀
(
めずら
)
しからず。その母賢にして、その子の愚なる者にいたりては、けだし古来
稀
(
まれ
)
なり」
孟母断機
(新字新仮名)
/
上村松園
(著)
古く地中海に瀕せる諸国に
播
(
ひろ
)
がり十九世紀の始めスコットランドに甚だ
稀
(
まれ
)
だったが今は夥しく殖えイングランド、アイルランドまたしかり
十二支考:02 兎に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
稀
(
まれ
)
には「大変お早いんですねえ」などと言っても見た。雨の日などにはその家の妓が五人ほど集まって、一緒に三味線のお
浚
(
さら
)
いをし出した。
競漕
(新字新仮名)
/
久米正雄
(著)
頓
(
やが
)
て
船尾
(
せんび
)
の
方
(
かた
)
へ
來
(
き
)
て
見
(
み
)
ると、
此處
(
こゝ
)
は
人影
(
ひとかげ
)
も
稀
(
まれ
)
で、
既
(
すで
)
に
洗淨
(
せんじよう
)
を
終
(
をは
)
つて、
幾分
(
いくぶん
)
の
水氣
(
すゐき
)
を
帶
(
お
)
びて
居
(
を
)
る
甲板
(
かんぱん
)
の
上
(
うへ
)
には、
月
(
つき
)
の
色
(
ひかり
)
も
一段
(
いちだん
)
と
冴渡
(
さへわた
)
つて
居
(
を
)
る。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
古美術の本を携えて夢殿見物に出かける人は多いが、たとえば
親鸞
(
しんらん
)
の太子奉讃の和讃を心に
称
(
とな
)
えつつ
参詣
(
さんけい
)
する人は
稀
(
まれ
)
であろう。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
晴れた日など若葉の間を真直ぐに前方を見ながら来る二人の満ち足りたような姿は、遠くから見ていても
稀
(
まれ
)
に見る幸福そうな良い感じだった。
睡蓮
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
大人にも、子供にも、これくらい、よく読まれてきた本は
稀
(
まれ
)
です。これからもまだ多くの人々に読まれてゆくことでしょう。
ガリバー旅行記
(新字新仮名)
/
ジョナサン・スウィフト
(著)
最初彼が探偵事務所を訪ねてきた時から、そのたぐい
稀
(
まれ
)
なる
美貌
(
びぼう
)
と、陰火のような押し殺された情熱が、探偵の心を打った。
暗黒星
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
階段の
踏石
(
ふみいし
)
が
尻
(
しり
)
に冷たく、二人は近来
稀
(
まれ
)
な空腹を感じる。
欠伸
(
あくび
)
をしたり、
心窩
(
みぞおち
)
を
握拳
(
にぎりこぶし
)
で叩いたりして、その激しさを訴える。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
何分
(
なにぶん
)
空氣
(
くうき
)
が
棺
(
かん
)
の
中
(
なか
)
へ
侵入
(
しんにゆう
)
するので、
今日
(
こんにち
)
これを
開
(
あ
)
けて
見
(
み
)
ても
骨
(
ほね
)
の
遺
(
のこ
)
つてゐるのはごく
稀
(
まれ
)
であつて、わづかに
齒
(
は
)
が
殘
(
のこ
)
つてゐるくらゐであります。
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
銃猟
(
じゅうりょう
)
道楽は天下に多し。
走獣
(
そうじゅう
)
飛禽
(
ひきん
)
を
捕獲
(
ほかく
)
するの術は日に新しきを加うれどもその
獲物
(
えもの
)
の料理法を
頓着
(
とんじゃく
)
するものは
甚
(
はなは
)
だ
稀
(
まれ
)
なり。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
母親
(
はは
)
が
大
(
たい
)
へん
縹緻
(
きりょう
)
よしなので、
娘
(
むすめ
)
もそれに
似
(
に
)
て
鄙
(
ひな
)
に
稀
(
まれ
)
なる
美人
(
びじん
)
、
又
(
また
)
才気
(
さいき
)
もはじけて
居
(
お
)
り、
婦女
(
おんな
)
の
道
(
みち
)
一と
通
(
とお
)
りは
申分
(
もうしぶん
)
なく
仕込
(
しこ
)
まれて
居
(
お
)
りました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
とはいえ、ともかく新鮮な読物の極めて
稀
(
まれ
)
な一つが八十を過ぎた老人によって
為
(
な
)
されたことは日本文化の貧困を物語ることでもあるかも知れぬ。
咢堂小論
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
強
(
し
)
いて言うならば、この物語は児童教育の貴重な参考書であり、その逆の意味では年少の読者にとってたぐい
稀
(
まれ
)
な少年文学の一つの見本である。
「にんじん」とルナアルについて
(新字新仮名)
/
岸田国士
(著)
二月十一日、
即
(
すなわ
)
ち紀元節の日だが、この日はひどく寒く、午前六時に零下五度三分という、東京地方には
稀
(
まれ
)
な低温だった。
血液型殺人事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
稀
漢検準1級
部首:⽲
12画
“稀”を含む語句
稀代
稀々
類稀
稀覯書
稀少
稀有
稀薄
稀人
稀塩散
稀物
稀世
古稀
稀〻
時稀
稀覯
稀品
稀覯本
稀塩酸
稀飯
古稀庵
...