理由りゆう)” の例文
「おじいさんは、なぜこうしてたびへなどているんですか。」と、若者わかものなかの、一人ひとりは、その理由りゆうりたいとおもっていました。
なつかしまれた人 (新字新仮名) / 小川未明(著)
これが今日こんにちおほくの石器せつき發見はつけんされる理由りゆうひとつでありまして、おかげ私共わたしどもみなさんととも石器せつきさがしにつても、獲物えものがあるわけです。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
同時代どうじだい解釋かいしやくくだされたのである、すこしく考古趣味かうこしゆみいうするものは、へんだなとおもはざるをないのであるが、それにはまたそれだけの理由りゆうる。
また、蔦之助つたのすけとしても、事実じじつにおいて、その的先まとさきに見えないのであるから、それ以上いじょう、なんと理由りゆうづけて力説りきせつすることもできないのであった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
細君のったあとで、主人は、おもしろいということのない花前がおこったというのはおかしいなと考えたけれど、その理由りゆう解釈かいしゃくがつかなかった。
(新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
っともないという理由りゆう馬鹿ばかにされたかれ、それがいまはどのとりよりもうつくしいとわれているのではありませんか。
大櫛今又大串と改稱かいせうして東茨城郡に屬せり。地勢ちせいに由つて考ふるも「其所食具、積聚成岡」と云ふ文に由つて考ふるも、此地に貝塚有りしは事疑ふべき理由りゆう無し。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
はれるにつけてなん言譯いひわけ理由りゆうもなく、口惜くやしきかかなしきかはづかしきか無茶苦茶むちやくちやいてかほもあげぬを、おたみなほも何事なにごとをかいはんとするをりかどにとまるれいくるまおと
経つくゑ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
『いや、ミハイル、アウエリヤヌイチ、しんじません、しんじる理由りゆういのです。』と、院長いんちょうう。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
その事業の目的も性質も、それが頓挫を来たした理由りゆうも、一切曖昧あいまいの内に葬られて了ったのです。
パノラマ島綺譚 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
これがわれ/\のかんじた地震動ぢしんどう緩急かんきゆうによつて、地震ぢしんふかくにおこつたかあるひちかくにおこつたかを判斷はんだん理由りゆうであつて、また遠方えんぽう大地震だいぢしん觀測かんそく長週期地震計ちようしゆうきじしんけい入用にゆうようなわけである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
東京市とうきやうしの「櫻田本郷町さくらだほんごうちやう」を「本郷町ほんごうちやう櫻田さくらだ」としてはいけない。鐵道てつだう驛名えきめいの「羽前向町うぜんむかふまち」を「向町むかふまち羽前うぜん」としてはいけない。おな理由りゆうで「伊東忠太いとうちうた」を「忠太伊東ちうたいとう」としてはいけないのである。
誤まれる姓名の逆列 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
おとこが、石段いしだん心配しんぱい以外いがいには、なにも自分じぶんたちをしかる理由りゆうがなく、また、自分じぶんたちはしかられるはずがないとおもったからです。
石段に鉄管 (新字新仮名) / 小川未明(著)
それもそのはずなのであるが、神官しんかん理由りゆうを知らないので、いよいよふしぎな怪僧かいそうであると、したをまいておどろいた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それには種々しゆ/″\理由りゆうがあるでせうが、そのひとつはてき襲撃しゆうげきのがれ、猛獸もうじゆうがいけるためであつたでせう。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
糟谷かすやはでるたびにいくさきざきで、村の青年らをあつめ、農耕改良のうこうかいりょうはかならず畜産ちくさん発達はったつにともなうべき理由りゆうなどをき、文明の農業は耕牧兼行こうぼくけんこうでなければならぬということなどをしきりにかせ
老獣医 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
馬籠まごめ貝塚かひづか根方ねがた貝塚かひづかとは、池上街道いけがみかいだうはさんで兩方りやうはうる。しかし、 概たいがい我々われ/\はそれを馬籠まごめもとに一くわつしてる。べつ理由りゆういが、最初さいしよ根方ねがた貝塚かひづかをも、馬籠まごめだとしんじてたからで。
「これは、どうしたらいいだろう、おれちからで、こまったものをみんなやしなってゆくということはできない。またそんな理由りゆうもないのだ……。」
船でついた町 (新字新仮名) / 小川未明(著)
きたヨーロッパ諸國しよこくにはいし時代じだい青銅せいどう時代じだいが、地方ちほうよりながくつゞいてゐたゝめに、そのころ遺物いぶつおほそんしてゐたといふのが、その理由りゆうひとつであります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
「そう尋常じんじょうおおせあるなら、なにも、このほうとて、威猛高いたけだかになる理由りゆうはない」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いろいろ療養りょうようをつくしたが、いかんともしようがなく、いささかの理由りゆうをもって親里おやざとへ帰した。元来がんらいは帰すべきでないものを帰したのであるから、もと悪人あくにんならぬ老人は長く良心りょうしん苦痛くつうにせめられた。
告げ人 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
たちはわらいました。こんなにじょうぶなはねっているのに、まれたはやしに、いつまでもじっとしている理由りゆうがわからなかったからです。
北海の波にさらわれた蛾 (新字新仮名) / 小川未明(著)
それは、ながあいだ、なぞであったまんの、金持かねもちから借金しゃっきんする理由りゆうが、これらのひとたちにほどこすためのものであったことをらせたのであります。
万の死 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「きょうは、はやくおはいって、おかあさんとお使つかいにいくのだから。」と、まことくんは、いかない理由りゆうを、かたりました。
風船虫 (新字新仮名) / 小川未明(著)
あかちゃんかられば、あなたは、やはりおねえさんでしょう。」と、おかあさんは、これにはなにか理由りゆうがあると、さっせられて、やさしく、いわれました。
お姉ちゃんといわれて (新字新仮名) / 小川未明(著)
としちゃんは、くものはなしからきゅう自分じぶんのきりぎりすが問題もんだいになったのが、わからないような、理由りゆうがないようながしましたが、かんがえているうちにだんだん
もののいえないもの (新字新仮名) / 小川未明(著)
「そんな理由りゆうのあるはずがありません。わたしは、それをしんずることができません。」と、若者わかものはいいました。
あほう鳥の鳴く日 (新字新仮名) / 小川未明(著)
特別とくべつにきらった理由りゆうの一つは、ほかの生徒せいとのごとく学科がっかができないからというのではなく、秀吉ひできちがいつも、じっと教師きょうしかおつめて、なにかうらみをもつように
天女とお化け (新字新仮名) / 小川未明(著)
どうしてあなたは、そんないいこえをもっておいでなのですか、その理由りゆうわたしかしてください。
紅すずめ (新字新仮名) / 小川未明(著)
「ばかっ。」と、おじいさんは、きゅうにむずかしいかおをして、おこりました。なにも、しかられる理由りゆうは、ないとおもったけれど、それきり、勇吉ゆうきちは、だまってしまいました。
かたい大きな手 (新字新仮名) / 小川未明(著)
また、そんなことをいわれる理由りゆうもないようにかんじました。かれは、おじさんにかって
花の咲く前 (新字新仮名) / 小川未明(著)
しかし、しろかげが、あるひとえて、あるひとえないという理由りゆうはない。
白い影 (新字新仮名) / 小川未明(著)
けれど、文字もじらないということが、なんで、彼女かのじょをばかにする理由りゆうとなろう?
北の少女 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そののち、おじいさんが、上野うえの公園こうえんで、迷子まいごて、それがまごていたということを物語ものがたったとき、家内かないのものははじめて、銅像どうぞうをよくなかった理由りゆうがわかって、それほどまでに
銅像と老人 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「あいつが、植木鉢うえきばち小便しょうべんをかけたし、いつかくつが片方かたほうくなったのも、きっとあいつがどこかへくわえていったのだ。」と、叔父おじは、こたえたが、なんの理由りゆうもつけずにいじめるのは
花の咲く前 (新字新仮名) / 小川未明(著)
しかしどうかんがえてみましても、ボンにすこしのわるいとこところがありませんものを、そして自分じぶんがこんなにかわいがっていますものを、ほかにやらなければならぬという理由りゆうがないとおもいました。
少年の日の悲哀 (新字新仮名) / 小川未明(著)
なぜならどんな植物しょくぶつ太陽たいようひかりなか生長せいちょうしたから、そして、ひかりめぐまれ、やわらかなあたたかなつちそだてられながら、どうして、生長せいちょうしないかということは、その理由りゆうがわからなかったからでした。
さまざまな生い立ち (新字新仮名) / 小川未明(著)
いすかには、ただ、それだけいたのでは理由りゆうがわからなかった。
海の踊り (新字新仮名) / 小川未明(著)