気分きぶん)” の例文
旧字:氣分
みぎひだりけずったようなたかがけ、そこらじゅうには見上みあげるような常盤木ときわぎしげってり、いかにもしっとりと気分きぶんちついた場所ばしょでした。
「すずめさん、どうなさいました? たいへんに元気げんきがないようだが、気分きぶんでもわるいのですか……。」と、からすがはなしかけた。
温泉へ出かけたすずめ (新字新仮名) / 小川未明(著)
「きみ、この部屋へやで朝までゆっくりねむりたまえ。そうすればきっと、あすの朝は気分きぶんもさわやかになるだろうから……」
うたうと、マリちゃんもたちまち、かるい、たのしい気分きぶんになり、あかくつ穿いて、おどりながら、うちなか跳込とびこんでました。
みんなは、たのしいおまつ気分きぶんになっていて、鳴いたり、さけんだり、大さわぎをしながら飛んでいきました。
食事後しよくじご気分きぶんまえよりも一そう打寛うちくつろいだものであつたが、彼等かれら或者あるものなお未練みれんがましく私達わたしたちそばつてて、揉手もみてをしながら「キヤンニユスピイク、イングリシユ?」を繰返くりかえした。
微笑の渦 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
四十五歳の髯男ひげおとこ、小供か小犬の様にうれしい予期よき気分きぶんになって見て居ると、そろそろ落ち出した。大粒小粒、小粒大粒、かわる/″\はすに落ちては、地上にもんどりうって団子だんごの様にころがる。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
弊私的里ヒステリー発作ほつさが過ぎた、そのあとの沈んだ気分きぶん氛囲気ふんゐき
東京景物詩及其他 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
が、おもだけおもし、きたいだけきつくしたときに、あとにはなんともいえぬしんみりとやすらかな気分きぶんわたくし見舞みまってくれました。
気分きぶんがわるいの?」と、彼女かのじょは、こんどみみもとへくちちかづけて、いいました。けれど、小僧こぞうさんには、こたえるだけの気力きりょくがなかったのです。
波荒くとも (新字新仮名) / 小川未明(著)
「ジャニイ、気をしずめなさい。ほら、これをぐっとひと口のんでごらん。ずっと気分きぶんがしずまるから」
ハチは、クマがなんだか気分きぶんのわるそうなようすをしているのを見て、こういいました。
弊私的里ヒステリー発作ほつさが過ぎた、そのあとの沈んだ気分きぶん氛囲気ふんゐき
東京景物詩及其他 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
それから少時しばらくのち私達わたくしたちはまるでうまかわったような、にもうれしい、ほがらかな気分きぶんになって、みぎひだりとにたもとわかったことでございました。
さぶちゃんが、病気びょうきになってきてているよ。あさ自転車じてんしゃはしっているうちに、気分きぶんがわるくなって、たおれたんだって。」
波荒くとも (新字新仮名) / 小川未明(著)
子どもだけでなく大人おとなでさえ、ひやっとすじにつめたい水をびせかけられたような気分きぶんになった。
あるのこと、きゅう気分きぶんわるいといって、親方おやかた宿やどかえるととこにつきました。きんさんは、どんなに心細こころぼそかんじたでしょう。
春風の吹く町 (新字新仮名) / 小川未明(著)
健康けんこうひと世界せかいと、病人びょうにん世界せかいと、もし二つの世界せかいべつであるなら、それをつつ空気くうき気分きぶん色彩しきさいが、またことなっているでありましょう。
雲と子守歌 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「しかし今日きょうは、気分きぶんがわるいのだろう。」と、秀吉ひできちはペスの弁護べんごをしました。あまりあにがおこっていたからでした。
ペスときょうだい (新字新仮名) / 小川未明(著)
そして、そのあくるから、おじいさんは、はじめて、常夏とこなつから丹精たんせいしたときのように、自分じぶん気分きぶんわるいのをわすれて、手入ていれをしてやりました。
花と人間の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
すると、すがすがしい気分きぶんが、あたりにただよって、ぬれたや、くさが、そこここにっている電燈でんとうひかりらされて、きらきらとかがやいています。
公園の花と毒蛾 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「そんなことはない。まだ、みずが、こんなにつめたい。そして、どこにもはるらしい気分きぶんはこない。こんなわったことのあるときは、要心ようじん必要ひつようなのだ。」
都会はぜいたくだ (新字新仮名) / 小川未明(著)
そのくる、おじいさんは気分きぶんわるくなってとこにつくと、すやすやとねむるようにんでしまいました。いいおじいさんをなくして、村人むらびとかなしみました。
犬と人と花 (新字新仮名) / 小川未明(著)
二、三日前にちまえから、あかちゃんは、気分きぶんがわるいので、おかあさんは、もういくもろくろくねられませんでした。
引かれていく牛 (新字新仮名) / 小川未明(著)
さすがに戦時せんじであって、まちは、いつものれとちがい、べつにかざりもなくてさびしかったのです。それでも歳末さいまつ気分きぶんだけは、どこにかただよっていました。
とびよ鳴け (新字新仮名) / 小川未明(著)
「ペスのやつ、気分きぶんがわるいのかな。」と、おとうと秀吉ひできちは、小屋こやをかえりみながら、まずくちをひらきました。
ペスときょうだい (新字新仮名) / 小川未明(著)
「ねえ、気分きぶんがわるいの?」と、彼女かのじょは、きました。けれど、小僧こぞうさんは、なんともこたえませんでした。
波荒くとも (新字新仮名) / 小川未明(著)
はしのところから、ペスのいったという、みちあるいて、はらっぱへて、半分はんぶんは、散歩さんぽ気分きぶんで、愉快ゆかいそうにはなしながら、あしほうにあるいていったのであります。
ペスをさがしに (新字新仮名) / 小川未明(著)
気分きぶんわるくなった。」といって、子供こどもは、みんなにわかれていえかえって、そのままたおれてしまった。
灰色の姉と桃色の妹 (新字新仮名) / 小川未明(著)
それを一つ一つおまえさんにはなしてあげたいとおもいますが、わたしは、なんだか、この二、三にちからだのぐあいがよくないから、いつか気分きぶんのいいときにいたしましょう。
みつばちのきた日 (新字新仮名) / 小川未明(著)
わたしは、まだこれからとおいところへゆくものですが、途中とちゅう気分きぶんわるくなり、身体からだつかれています。どこの納屋なやのすみにでも、一晩ひとばんめてくださることはできませんか。
幸福の鳥 (新字新仮名) / 小川未明(著)
まどからそとると、あたりの田圃たんぼや、雑木林ぞうきばやしは、まだ冬枯ふゆがれのしたままであって、すこしもはる気分きぶんただよっていなかったのです。山々やまやまには、ゆきしろひかっていました。
花の咲く前 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ちょうどそのひとたちが、このまちあつまることによって、まちじゅうがおまつ気分きぶんになったのです。
公園の花と毒蛾 (新字新仮名) / 小川未明(著)
母親ははおや病気びょうきながくねていては、自分じぶん気分きぶんがわるいからとて、やすむことさえできないのだ。
アパートで聞いた話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「たいへん、おとなしかったのね。気分きぶんがいいんでしょう。おかあさんは、ぼうやのいいのが、なによりうれしいんですよ。おみかんでもあげましょうか。」と、おかあさんがいいました。
雲と子守歌 (新字新仮名) / 小川未明(著)
孝吉こうきちは、よく屋根やね植木うえきならべてあるだいうえます。なぜなら、あすこはよくたってあたたかであるし、また遠方えんぽう景色けしきえて、なんとなく気分きぶんれするからでした。
すずめの巣 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ほかの子供こどもらは長吉ちょうきち気分きぶんわるいのだとおもって、ふたたびかれ角力すもう仲間なかまはいれとさそわなかったばっかりでなく、あまり気分きぶんわるともまえおおきなこえしてさわぐのはよくないとおもって
残された日 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「ああ、あそぼうよ、きみ気分きぶんはちっとはいいかい。」
星の世界から (新字新仮名) / 小川未明(著)
今日きょうは、気分きぶんはどんなだね。」と、たずねました。
空晴れて (新字新仮名) / 小川未明(著)
『おとうさん、きょうは、ご気分きぶんは、いかがですか?』
赤土へくる子供たち (新字新仮名) / 小川未明(著)
なんだか、わたしは、うちとけた気分きぶんになれて
春さきの朝のこと (新字新仮名) / 小川未明(著)
「おかあさん、お気分きぶんはいかがですか。」
僕が大きくなるまで (新字新仮名) / 小川未明(著)
「どこか気分きぶんわるいのかい。」
残された日 (新字新仮名) / 小川未明(著)