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ほがら
ふりがな文庫
“
朗
(
ほがら
)” の例文
姉妹篇「
凧
(
たこ
)
」に対して「春」という一字を
撰
(
えら
)
んだのです。「春」という字は音が
朗
(
ほがら
)
かで字画が好もしいため、本の名にしたわけです。
はしがき
(新字新仮名)
/
竹久夢二
(著)
だが、それらの春のそよ風の様に、
朗
(
ほがら
)
かに甘い会話の中で、たった一度、打って変って、彼女は非常に陰気な打開け話をしたことがある。
魔術師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
その空からは、
朗
(
ほがら
)
かな
鳶
(
とび
)
の声が、日の光と共に、雨の如く落ちて来る。彼は今まで沈んでゐた気分が次第に軽くなつて来る事を意識した。
戯作三昧
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
ごく遠いところからやって
来
(
く
)
るようでもあるし、どこへ
行
(
ゆ
)
くのかわからなくもあった。
朗
(
ほがら
)
かではあるが、なやましいものがこもっていた。
ジャン・クリストフ
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
光枝は、この事件で
立役者
(
たてやくしゃ
)
ではなかったけれど、科学探偵帆村の活躍ぶりに
刺戟
(
しげき
)
されて、元のように
朗
(
ほがら
)
かな気分の女性に返った。
什器破壊業事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
▼ もっと見る
それから
少時
(
しばらく
)
の
後
(
のち
)
、
私達
(
わたくしたち
)
はまるで
生
(
うま
)
れ
変
(
かわ
)
ったような、
世
(
よ
)
にもうれしい、
朗
(
ほがら
)
かな
気分
(
きぶん
)
になって、
右
(
みぎ
)
と
左
(
ひだり
)
とに
袂
(
たもと
)
を
別
(
わか
)
ったことでございました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
なんとこだわりのない
朗
(
ほがら
)
かな追懐ではありますまいか。このようにして、エディソンは自ら満足した幸福な生涯を送りました。
トーマス・エディソン
(新字新仮名)
/
石原純
(著)
その憂欝になっていたのが、ここで
斯
(
こ
)
うして一杯飲んだら、胸がすうとして、急に
朗
(
ほがら
)
かになって……。ああ、
好
(
い
)
い
心持
(
こころもち
)
だ。トテモ愉快だわ。
影:(一幕)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
ドンな場合でも決して屈することのないプロレタリアの
剛毅
(
ごうき
)
さからくる
朗
(
ほがら
)
かさが、その言葉のうちに含まさっているわけだ。
独房
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
あの畜生さえいなかったら山田家は
朗
(
ほがら
)
かで、
鮫洲大尽
(
さめずだいじん
)
として人にも尊敬せられて往くのであるが、あの畜生のいるばかりにこんなことになった。
春心
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
廿四日 寒さ骨に
透
(
とお
)
る。朝日薄く南窓を射、忽ちまた
陰
(
くも
)
る。午後日影
朗
(
ほがら
)
かなり。蕪村忌小会。今日は鴨の機嫌
殊
(
こと
)
に好し。
雲の日記
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
駄洒落
(
だじゃれ
)
を聞いてしらぬ顔をしたり眉をひそめたりする人間の内面生活は案外に空虚なものである。軽い
笑
(
わらい
)
は真面目な
陰鬱
(
いんうつ
)
な日常生活に
朗
(
ほがら
)
かな影を投げる。
偶然の産んだ駄洒落
(新字新仮名)
/
九鬼周造
(著)
火鉢
(
ひばち
)
の上でお襁褓を乾かしながら、二十歳で父となった豹一と三十八歳で孫をもったお君は
朗
(
ほがら
)
かに笑い合った。
雨
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
むりに押し分けたような雲間から澄みて
怜悧
(
さか
)
し
気
(
げ
)
に見える人の眼のごとくに
朗
(
ほがら
)
かに晴れた蒼空がのぞかれた。
あいびき
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
雪なす鸚鵡は、見る/\全身、美しい血に
染
(
そま
)
つたが、目を眠るばかり
恍惚
(
うっとり
)
と成つて、
朗
(
ほがら
)
かに歌つたのである。
印度更紗
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
彼はこの
朗
(
ほがら
)
かな響を聞いて、はっと
悟
(
さと
)
ったそうです。そうして
一撃
(
いちげき
)
に
所知
(
しょち
)
を
亡
(
うしな
)
うと云って喜んだといいます。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
白洲をずうッと見渡されますと、目安方が
朗
(
ほがら
)
かに訴状を読上げる、奉行はこれを
篤
(
とく
)
と聞き
了
(
おわ
)
りまして
名人長二
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
各地から寄り集まっている人々の話題を、できるだけ
朗
(
ほがら
)
かな楽しいものにしたいからである。
こども風土記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
到頭
呪
(
のろ
)
われた六月の三十日が来た。
梅雨
(
つゆ
)
時には、珍らしいカラリとして
朗
(
ほがら
)
かな朝だった。明るい日光の降り注いでいる庭の
樹立
(
こだち
)
では、朝早くから
蝉
(
せみ
)
がさん/\と鳴きしきっていた。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
徳二郎は
平時
(
いつも
)
の
朗
(
ほがら
)
かな聲に引きかへ此夜は小聲で唄ひながら靜かに櫓を漕いで居る。
少年の悲哀
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
次
(
つ
)
ぎに
澄
(
す
)
み
切
(
き
)
つた
朗
(
ほがら
)
かな
聲
(
こゑ
)
で
鳴
(
な
)
くぶっぽうそう(
佛法僧
(
ぶつぽうそう
)
)はきつゝきの
類
(
るい
)
で、
形
(
かたち
)
は
烏
(
からす
)
に
似
(
に
)
てゐますが、
大
(
おほ
)
きさはその
半分
(
はんぶん
)
もありません。
羽毛
(
うもう
)
は
藍緑色
(
あゐみどりいろ
)
で、
翼
(
つばさ
)
と
尾
(
を
)
とが
菫色
(
すみれいろ
)
を
帶
(
お
)
びてゐます。
森林と樹木と動物
(旧字旧仮名)
/
本多静六
(著)
田圃
(
たんぼ
)
の
榛
(
はん
)
の
木
(
き
)
は
疾
(
とう
)
に
花
(
はな
)
を
捨
(
す
)
てゝ
自分
(
じぶん
)
が
先
(
さき
)
に
嫩葉
(
わかば
)
の
姿
(
すがた
)
に
成
(
な
)
つて
見
(
み
)
せる。
黄色味
(
きいろみ
)
を
含
(
ふく
)
んだ
嫩葉
(
わかば
)
が
爽
(
さわや
)
かで
且
(
か
)
つ
朗
(
ほがら
)
かな
朝日
(
あさひ
)
を
浴
(
あ
)
びて
快
(
こゝろよ
)
い
光
(
ひかり
)
を
保
(
たも
)
ちながら
蒼
(
あを
)
い
空
(
そら
)
の
下
(
した
)
に、まだ
猶豫
(
たゆた
)
うて
居
(
ゐ
)
る
周圍
(
しうゐ
)
の
林
(
はやし
)
を
見
(
み
)
る。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
二木検事は、今星田代二の面皮を
剥
(
は
)
ぐことが出来たとは云え、彼はみじめな気持を味わわずにはいられないのだった。星田の面皮を剥いだのが、彼自身であったら、彼はどんなに
朗
(
ほがら
)
かになれたろう。
殺人迷路:09 (連作探偵小説第九回)
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
○「第一、
朗
(
ほがら
)
かにしなくっちゃ
損
(
そん
)
じゃなくて。」
現代若き女性気質集
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
できるだけ
朗
(
ほがら
)
かに暮らす決心しましたの。
猫と庄造と二人のをんな
(新字旧仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
朗
(
ほがら
)
かな空、涙まじりの小鳥のおしやべり
展望
(旧字旧仮名)
/
福士幸次郎
(著)
悠
(
のび
)
やかに、
朗
(
ほがら
)
かに、あんら、
緩
(
ゆる
)
やかに
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
悠揚
(
いうやう
)
として
朗
(
ほがら
)
かなるは
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
と
朗
(
ほがら
)
かに笑った。
鵞鳥
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
すべて舞台の装置も、演出も、神経的でなく、子供の本能と情操とが想像した、愛らしい
朗
(
ほがら
)
かな春そのものの創造であること。
春
(新字新仮名)
/
竹久夢二
(著)
「金塊は無かったよ」と私は
朗
(
ほがら
)
かに云った。「金塊どころか、金の
伸棒
(
のべぼう
)
も入っていなかったことは、警官たちが一々検査して認めているよ」
疑問の金塊
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
おつや (いよいよ調子が崩れて来る。)ええ、ええ、大いに
朗
(
ほがら
)
かよ。この頃の
流行
(
はや
)
り言葉で、
明朗
(
めいろう
)
とか云うんですよ。
影:(一幕)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
現在
(
げんざい
)
の
母
(
はは
)
の
様子
(
ようす
)
は、
臨終
(
りんじゅう
)
の
時
(
とき
)
の
様子
(
ようす
)
とはびっくりするほど
変
(
かわ
)
って
了
(
しま
)
い、
顔
(
かお
)
もすっかり
朗
(
ほがら
)
かになり、
年齢
(
とし
)
もたしかに
十歳
(
とお
)
ばかり
若返
(
わかがえ
)
って
居
(
お
)
りました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
ふと耳をすますと、いつの間にか、隣室のやかましい物音がやんで、底知れぬ静寂の中から、殆んど信じ得られぬ様な、
朗
(
ほがら
)
かな
鶏
(
にわとり
)
の声が聞えて来た。
黄金仮面
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
雪
(
ゆき
)
なす
鸚鵡
(
あうむ
)
は、
見
(
み
)
る/\
全身
(
ぜんしん
)
、
美
(
うつく
)
しい
血
(
ち
)
に
染
(
そま
)
つたが、
目
(
め
)
を
眠
(
ねむ
)
るばかり
恍惚
(
うつとり
)
と
成
(
な
)
つて、
朗
(
ほがら
)
かに
歌
(
うた
)
つたのである。
印度更紗
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
午
(
ご
)
に
逼
(
せま
)
る秋の日は、
頂
(
いただ
)
く帽を
透
(
とお
)
して
頭蓋骨
(
ずがいこつ
)
のなかさえ
朗
(
ほがら
)
かならしめたかの感がある。公園のロハ台はそのロハ台たるの
故
(
ゆえ
)
をもってことごとくロハ的に占領されてしまった。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
葉が落ち散つたあとの木の間が
朗
(
ほがら
)
かに
明
(
あかる
)
くなつてゐる。それに
此処
(
ここ
)
らは
百舌鳥
(
もず
)
がくる。
鵯
(
ひよどり
)
がくる。たまに
鶺鴒
(
せきれい
)
がくることもある。
田端
(
たばた
)
の
音無川
(
おとなしがは
)
のあたりには冬になると
何時
(
いつ
)
も
鶺鴒
(
せきれい
)
が来てゐる。
一番気乗のする時
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
だが、その笑いごえは、あまり
朗
(
ほがら
)
かであるというわけにはいかず、どっちかというと、とってつけたような笑いごえだった。
地底戦車の怪人
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
それに
四辺
(
あたり
)
が
妙
(
みょう
)
に
薄暗
(
うすくら
)
くて
気
(
き
)
が
滅入
(
めい
)
るようで、
誰
(
だれ
)
しもあんな
境遇
(
きょうぐう
)
に
置
(
お
)
かれたら、
恐
(
おそ
)
らくあまり
朗
(
ほがら
)
かな
気分
(
きぶん
)
にはなれそうもないかと
考
(
かんが
)
えられるのでございます。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
お巡りの治良右衛門は、小腰をかがめて、胸の前でキルク玉を受けとめるなり、
朗
(
ほがら
)
かに叫んだ。
地獄風景
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
朗
(
ほがら
)
かに
風
(
かぜ
)
の往来を
渡
(
わた
)
る午後であつた。新橋の勧工
場
(
ば
)
を
一回
(
ひとまはり
)
して、広い通りをぶら/\と京橋の方へ
下
(
くだ
)
つた。
其時
(
そのとき
)
代助の
眼
(
め
)
には、向ふ
側
(
がは
)
の
家
(
いへ
)
が、芝居の
書割
(
かきわり
)
の様に
平
(
ひら
)
たく見えた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
と、
恁
(
こ
)
う申すのではござりませぬか、と言ひも
未
(
ま
)
だ果てなかつたに、島の
毒蛇
(
どくじゃ
)
の
呼吸
(
いき
)
を消して、
椰子
(
やし
)
の峰、
鰐
(
わに
)
の
流
(
ながれ
)
、
蕃蛇剌馬
(
ばんじゃらあまん
)
の黄色な月も晴れ渡る、世にも
朗
(
ほがら
)
かな
涼
(
すず
)
しい声して
印度更紗
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
そのくらいのアルコールは途中で醒めてしまった筈だが、この狭いところへ
這入
(
はい
)
って、焚火にかッかとあぶられたら、又その
酔
(
よい
)
が一度に発して来て、いよいよ
朗
(
ほがら
)
かになって来たのよ。
影:(一幕)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
これは大変名案だった。二人はすっかり
朗
(
ほがら
)
かになり、卒業のときに大騒ぎをしたのが
可笑
(
おか
)
しく思われてならなかった。
火葬国風景
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
と、
恁
(
か
)
う
申
(
まを
)
すのではござりませぬか、と
言
(
い
)
ひも
未
(
ま
)
だ
果
(
は
)
てなかつたに、
島
(
しま
)
の
毒蛇
(
どくじや
)
の
呼吸
(
いき
)
を
消
(
け
)
して、
椰子
(
やし
)
の
峰
(
みね
)
、
鰐
(
わに
)
の
流
(
ながれ
)
、
蕃蛇剌馬
(
ばんじやらあまん
)
の
黄色
(
きいろ
)
な
月
(
つき
)
も
晴
(
は
)
れ
渡
(
わた
)
る、
世
(
よ
)
にも
朗
(
ほがら
)
かな
涼
(
すゞ
)
しい
聲
(
こゑ
)
して
印度更紗
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
色が白いので、
眉
(
まゆ
)
がいかにも判然していた。眼も
朗
(
ほがら
)
かであった。頬から
顎
(
あご
)
を包む
弧線
(
こせん
)
は春のように
軟
(
やわらか
)
かった。余が驚きながら、
見惚
(
みと
)
れているので、女は眼を
反
(
そ
)
らして、
空
(
くう
)
を見た。
満韓ところどころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
殿村も一倍の無邪気さで、
朗
(
ほがら
)
かに笑った。
鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
すだれのなかでは
朗
(
ほがら
)
かな声で言った。
玉藻の前
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
僕はそれ以来、人が変ったように
朗
(
ほがら
)
かな気持で生活することが出来るようになった。そのときは、その足で、記者
倶楽部
(
クラブ
)
へ出かけていったものである。
宇宙尖兵
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
卓子台
(
ちゃぶだい
)
の上は冬の花野で、
欄間越
(
らんまごし
)
の小春日も、
朗
(
ほがら
)
かに青く明るい。——客僧の
墨染
(
すみぞめ
)
よ。
菊あわせ
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
朗
常用漢字
小6
部首:⽉
10画
“朗”を含む語句
朗々
朗読
晴朗
朗詠
明朗
朗吟
麗朗
朗誦
法朗西
朗然
士朗
阪谷朗廬
延朗法師
王朗
爽朗
朗詠集
高朗
朗讀
玲朗
清朗
...