暴風ぼうふう)” の例文
津浪つなみとはなみすなはみなとあらはれる大津浪おほつなみであつて、暴風ぼうふうなど氣象上きしようじよう變調へんちようからおこることもあるが、もつとおそろしいのは地震津浪ぢしんつなみである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
いままでかがやいていた太陽たいようは、かくれてしまい、ものすごいくもがわいて、うみうえは、おそろしい暴風ぼうふうとなって、なみくるったのであります。
汽船の中の父と子 (新字新仮名) / 小川未明(著)
このはもと根株ねかぶからなゝつのみきわかれてゐましたが、うち五本ごほん先年せんねん暴風ぼうふうれていま二本にほんみきだけとなつてしまひました。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
でも、たった一つ心配なのは、みんなが、はなればなれになってしまうことです。そのとき、暴風ぼうふうに吹きまくられて、そばを飛んでいった陸鳥りくどりが言いました。
大雨おおあめがふる日もある。暴風ぼうふうみきをゆすぶるばんもある。雷鳴らいめい雷気らいきが山をくような場合ばあいもあるにちがいない。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
たいした暴風ぼうふうでもなかったのに、年をへた老松ろうしょうは、枝をはったそのみきの一部を風にうばわれたものらしい。
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
素裸に腹帯をめて、途中川二つ渡って、伯父夫婦を見舞に来た、宿に着いたのは真夜中二時だ、と聞くさえ、その胆勇たんゆうほとんど人間の類でない、が、暴風ぼうふう強雨きょうう如法にょほう大闇黒中だいあんこくちゅう
遺稿:02 遺稿 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
松の大木はいかなる暴風ぼうふう、いかなる地震が起っても倒れはせぬ。
曇天 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
あらしといふのはやまおろしのことで、暴風ぼうふうではありません。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
今年ことしは、いままでにないことだ。暴風ぼうふうもこず、こめはよくできて豊年ほうねんだ。むかしひとはなしに、しろかげはいってきたとし豊年ほうねんだということだ。」
白い影 (新字新仮名) / 小川未明(著)
しかし、ガンたちが、まだ水の上におりきらないうちに、暴風ぼうふうがおそってきました。暴風は砂煙すなけむりをまきあげ、海のあわを吹きとばし、小鳥をふきまくりました。
かり地震豫報ぢしんよほう天氣豫報てんきよほう程度ていどたつしても、雨天うてんおいては雨着あまぎかさようするように、また暴風ぼうふうたいしては海上かいじよう警戒けいかい勿論もちろん農作物のうさくぶつ家屋かおくとうたいしても臨機りんき處置しよち入用にゆうようであらう。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
タジタジとあとへひいた熊蔵くまぞうの一たいやりをそろえ、白刃はくじんをかこんで、りるところを待ちかまえたが一じん、楢の梢が暴風ぼうふうのようにゆすぶれたかと思うと、落花らっか? 胡蝶こちょう? いな、それよりも軽快けいかい
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
このまえこの地方ちほうに、稀有けう暴風ぼうふうおそったことがあります。そのときは、電信柱でんしんばしらをかたっぱしからたおしてしまいました。
白い影 (新字新仮名) / 小川未明(著)
でなければ、アザラシにくわれるか、暴風ぼうふうのために、はなればなれになってしまうよりほかありません。
おつは、まったく、くるってしまったのです。あの二人ふたりったふねは、あちらのりく暴風ぼうふうのためきつけられました。
幽霊船 (新字新仮名) / 小川未明(著)
二日ふつかめです。暴風ぼうふうしずまってしまうと、みなとじゅうにむらがっていたふねたちは、いつのまにか、おもおもいにいずこへとなくていってしまいました。
カラカラ鳴る海 (新字新仮名) / 小川未明(著)
おどろいて、をしっかりとくわえてくらそらがり、にものぐるいでよるあいだ暴風ぼうふうたたかいながらかけりました。
赤い船とつばめ (新字新仮名) / 小川未明(著)
けると、はるかした波間なみまに、あかふねが、暴風ぼうふうのために、くつがえっているのをました。それは、おうさまのおむかえにされたあかふねです。
赤い船とつばめ (新字新仮名) / 小川未明(著)
「この暴風ぼうふうに、どこへげただろうか? こんなひろい、ひろい、海原うなばらをどこへゆくというところもないのに……しずんでしまったのではないだろうか?」
幽霊船 (新字新仮名) / 小川未明(著)
暴風ぼうふうあめなか一筋ひとすじひかりげて、たちまちあかるくらしたかとおもうと、たちまちそのひかりえて、またやみらすというふうにえたのであります。
小さな金色の翼 (新字新仮名) / 小川未明(著)
あるのこと、いくそうかのふねは、いつものごとくあお波間なみまかんで、りょうをしていたのです。すると、天気てんきがにわかにかわって、ひどい暴風ぼうふうとなりました。
南方物語 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ただしろ荒寥こうりょうとした鉛色なまりいろひかこおり波濤はとう起伏きふくしていて昼夜ちゅうや区別くべつなく、春夏秋冬はるなつあきふゆなく、ひっきりなしに暴風ぼうふういている光景こうけいかぶのでした。
台風の子 (新字新仮名) / 小川未明(著)
源吉げんきちは、るだけのこえりあげてさけんだ。そのこえも、暴風ぼうふうされて、ほかの人間にんげんみみにははいらなかった。
台風の子 (新字新仮名) / 小川未明(著)
いままで、傍若無人ぼうじゃくぶじんに吹いていた暴風ぼうふうは、こう海豹に問いかけられると、ちょっとその叫びをとめました。
月と海豹 (新字新仮名) / 小川未明(著)
あの暴風ぼうふうがくるまえ灰色はいいろ着物きものた、見上みあげるばかりの大男おおおとこが、この鉄道線路てつどうせんろうえをのそりのそりとあるいていたのを、たものがあったというのであります。
白い影 (新字新仮名) / 小川未明(著)
しかし、昨日きのう暴風ぼうふう難破なんぱしたものか、ふねはそのれかかったけれど、姿すがたえぬのでありました。
幽霊船 (新字新仮名) / 小川未明(著)
翌日よくじつは、とこなつのはなは、あさのうちから、空模様そらもようがおかしく、暴風ぼうふうのけはいがするのをかんじました。
公園の花と毒蛾 (新字新仮名) / 小川未明(著)
もとより言葉ことばは、たがいにわからなかったけれど、まねで、やっと三にんが、とおきたほうから、暴風ぼうふうのために、幾日いくにち漂流ひょうりゅうして、このしまいたことがわかったのでした。
南方物語 (新字新仮名) / 小川未明(著)
昼間ひるまは、をくわえてんで、よるになるとふねにして、そのうえやすみました。そのつばめは、こうして、たびをしているうちに、一、ひじょうな暴風ぼうふうあいました。
赤い船とつばめ (新字新仮名) / 小川未明(著)
父親ちちおやは、あかいさんごをった、みなみちいさなしまおもしました。また、あおいしった、きたさむしま景色けしきおもしました。また、暴風ぼうふうのことなどをおもしました。
汽船の中の父と子 (新字新仮名) / 小川未明(著)
暴風ぼうふうがやんだときに、この一そうのふねは、まったくひろびろとしたうみうえに、あてもなく、ただよっていました。どちらがきたであり、どちらがみなみであるかさえわからなかった。
南方物語 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そして、暴風ぼうふうは、ちいさな汽船きせんが、のように、なみあいだにひるがえり、灰色はいいろの、ものすごいくもが、あたりをつつんで、まったく、きている心地ここちがなかったからでありました。
汽船の中の父と子 (新字新仮名) / 小川未明(著)
やみなかあかるくらす、燈台とうだい一筋ひとすじひかりうばって、それをもみしてしまって、天地てんちあいだに、いっさいのひかりをなくしてしまおうとしているように、暴風ぼうふうあめとがちからしまずに
小さな金色の翼 (新字新仮名) / 小川未明(著)
白瀬大尉しらせたいいや、アムンゼンや、シャツルトンらの探検たんけんした南極なんきょくや、北極ほっきょくには、いつも三十メートル以上いじょう暴風ぼうふういているそうだ。その氷原ひょうげん探検隊たんけんたいは、自分じぶんたちの国旗こっきをたてたんだ。
台風の子 (新字新仮名) / 小川未明(著)
なんであろう? と、かれは、おどろきもし、またよろこびもしました。そして、きゅうに、元気げんきて、小鳥ことりは、このあかるい目当めあてに、いっしょうけんめいにあめ暴風ぼうふうなかけてきたのでありました。
小さな金色の翼 (新字新仮名) / 小川未明(著)