心持こころも)” の例文
山姥やまうばがいい心持こころもちそうに、ぱちぱちいうえだおとあめおとだとおもっていていますと、その馬吉うまきちえだに火をつけました。
山姥の話 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
おじいさんは、とりうただといいましたが、まことに、そのおとかなしいような、たのしいような、さまざまな心持こころもちをこすものでした。
汽船の中の父と子 (新字新仮名) / 小川未明(著)
かしらは苦笑にがわらいしながら、弟子でしたちにわけをこまかくはなしてきかせました。わけをきいてれば、みんなにはかしらの心持こころもちがよくわかりました。
花のき村と盗人たち (新字新仮名) / 新美南吉(著)
その日は、もう私たちはすっかり川の心持こころもちになれたつもりで、どんどん上流のの荒いところからみ、すっかりつかれるまで下流かりゅうの方へおよぎました。
イギリス海岸 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
... それがために脳の働らきが鈍くなって気が重くなるようなねむくなるような心持こころもちがするのだそうだ」大原「なるほどそうかしらん、少々気味が悪いね」中川
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
おいらのまえじゃ、はだまでせて、うつさせるおまえじゃないか、相手あいてだれであろうと、ここで一時いっとき、茶のみばなしをするだけだ。心持こころもよくってやるがいいわな
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
細君はどういうものか、いまだに花前を気味きみわるくばかり思って、かわいそうという心持こころもちになれぬらしい。
(新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
みことのお身代みがわりとして入水にゅうすいされたときひめのお心持こころもちはどんなであったろう……。』祠前しぜんぬかづいてむかししのときに、わたくし両眼りょうがんからはあつなみだがとめどなくながちるのでした。
「それみろ。やっぱりただのちゃがまだ。くだらないことをって、せっかくいい心持こころもちにているところをこしてしまった。」
文福茶がま (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
二郎じろうちゃん、あそびにきたのかね。」といって、心持こころもちよくむかえてくれました。そして、二郎じろうあそびにきてかえろうとすると
お化けとまちがえた話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「ぼくはね、すいとうのほかにはっかすい用意よういしたよ。すこしやろうか。たびてあんまり心持こころもちのわるいときはちょっとむといいっておっかさんがいったぜ。」
いちょうの実 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
結婚当時けっこんとうじからのことをいろいろ回想かいそうしてみると、つまたいしての気のどくな心持こころもち、しゅうとしゅうとめに対して面目めんぼくない心持ち、いちいち自分をくるしめるのである。
老獣医 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
そうって玉依姫たまよりひめには心持こころもちおかおあかめられました。
「ああ、そうだったか。」と、おとうさんは、はじめてやさしいにいさんの心持こころもちをって、自分じぶんのしたことを後悔こうかいなされました。
ゆずの話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
それはさも、自分じぶんについていというようでした。保名やすなはいよいよゆめの中でゆめたような心持こころもちがしながら、うかうかとそのあとについていきました。
葛の葉狐 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
それから少ししずかな心持こころもちになって、足音をたてないように、そっと次の室にはいってみました。
ガドルフの百合 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
しかし、もはや、おにのような心持こころもちになってしまった年寄としよ夫婦ふうふは、なんといっても、むすめのいうことをれませんでした。
赤いろうそくと人魚 (新字新仮名) / 小川未明(著)
おとうさんのそんな心持こころもちをさっしない世間せけんの人たちは、ひいさんがへんな姿すがたになったのをおもしろがって、「はちかつぎ、はちかつぎ。」と、あだんであざわらいました。
鉢かつぎ (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
すると、なんでも、よくあかちゃんの心持こころもちがわかるおかあさんは、いつでも、あかちゃんのきそうな、そしてどくにならないお菓子かしあたえました。
はてしなき世界 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ある日方々ほうぼうあるいて、やがてやわらかなくさえているところますと、みんなはあししてそこへごろごろころびました。日がいい心持こころもちそうにたっていました。金太郎きんたろう
金太郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
これが、であったら、あるいは、このはちをころしたかもしれません。しかし、いまは、そんな、残酷ざんこく心持こころもちにはなれなかったのです。
サーカスの少年 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「ああ、ひろい田んぼが見えて、青青あおあおした空がながめられて、ひさしぶりでいい心持こころもちだ。わたしはここでしばらく日向ひなたぼっこをしているから、そのあいだにお前はお社へおまいりしてくるといいよ」
たにしの出世 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
ぼくは、ほかであたまってあそびにゆくと、なんだかがすまんのだもの。」といいました。するとおかあさんは、その心持こころもちをおさっしになって
すいれんは咲いたが (新字新仮名) / 小川未明(著)
清吉せいきちに、おばあさんの心持こころもちが、わかるようながしました。だから、自分じぶん言葉ことばちからをいれて、さも自信じしんありげに
戦争はぼくをおとなにした (新字新仮名) / 小川未明(著)
天使てんし木枯こがらしのなかを、いずこへとなくあるいてりました。そのあと見送みおくって、おじいさんは、よくこのときのかみさまのお心持こころもちがわかったのでした。
いいおじいさんの話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「なに、おまえさんがそのなら、わって運動うんどうをしてやってもいい。」と、わか助役じょやくは、相手あいて心持こころもちをみとろうと、するどく、おじいさんのかおました。
とうげの茶屋 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「それにちがいありません。わしがよく亭主ていしゅ心持こころもちをいてみます……。」と、おじいさんはもうしました。
いいおじいさんの話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そして、ほんとにいもうとをあんずる、あに心持こころもちがわかるようながして、まぶたがあつくなりました。
どこかで呼ぶような (新字新仮名) / 小川未明(著)
子供こどもは、おじいさんのいうことをいて、同情どうじょうしました。自分じぶんが、つねに、うつくしい草花くさばなや、ちょうや、野原のはらあこがれている心持こころもちを、よくっていたからであります。
汽船の中の父と子 (新字新仮名) / 小川未明(著)
女房にょうぼうは、しんちちはは子供こどもではなかったけれど、もっともよく息子むすこ心持こころもちを理解りかいしていたからです。
さかずきの輪廻 (新字新仮名) / 小川未明(著)
金魚きんぎょは、なにもいわなかったけれど、おじいさんは、よく、金魚きんぎょ心持こころもちがわかるようでした。あまりながい、毎日まいにちたびにゆられて、なかには、よわった金魚きんぎょもありました。
金魚売り (新字新仮名) / 小川未明(著)
昼過ひるすぎには、どの山々やまやまも、うしろにとおくなって、故郷こきょうをはるばるとはなれたという心持こころもちがしました。
汽車は走る (新字新仮名) / 小川未明(著)
まして、このとき、おじいさんとやましずかな心持こころもちをやぶるものは、なにひとつなかったのです。
とうげの茶屋 (新字新仮名) / 小川未明(著)
彼女かのじょは、あかるい場所ばしょやすむと、まただれかにしかられはしないかという不安ふあんがあったからです。そして、この母親ははおや心持こころもちを年上としうえ子供こどもだけは、さとることができるのでした。
石段に鉄管 (新字新仮名) / 小川未明(著)
わりまで、だまって、これをていた正二しょうじは、やさしいあに心持こころもちがよくわかりました。
兄と魚 (新字新仮名) / 小川未明(著)
勇吉ゆうきちは、さっきからおじいさんのだまっていた心持こころもちが、わかるようながしました。
新しい町 (新字新仮名) / 小川未明(著)
なにしろ、おやひとり、ひとりだもの、いっしょにらすにすことはない。だが、まれたときから、みなれた土地とちだもの、ここをはなれかねるおまえの心持こころもちはよくわかる。
とうげの茶屋 (新字新仮名) / 小川未明(著)
無邪気むじゃきな、なかのいろいろなことはなにもらない、ただ、なにもかもがうつくしく、そして、みんなわらっているようにしかえない子供こども心持こころもちを、ほんとうにあわれにかんじていました。
幾年もたった後 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そのときのあかちゃんの心持こころもちを、るものはありませんでしたけれど、あかちゃんは、うんとエプロンがかぜかれて、かぜが、あのエプロンをとおい、もうけっしてつからないところへ
はてしなき世界 (新字新仮名) / 小川未明(著)
あたたかなうみしおしよせてきた、がけのうえで、心持こころもちのいいかぜかれて、うつりうつりとゆめていたときのことをかんがえると、くらべものになりませんが、どうせわたし一生いっしょうというものは
ガラス窓の河骨 (新字新仮名) / 小川未明(著)
かれがだいぶさかずきをかさねて、いい心持こころもちになったころ、ちょうどむらはずれのほうにあたって、ものすごいおおかみのごえいたのであります。かれはあまりいい気持きもちはしませんせした。
おおかみと人 (新字新仮名) / 小川未明(著)
みんなは、はじめておじいさんの心持こころもちがわかったようながしました。
なつかしまれた人 (新字新仮名) / 小川未明(著)
くもは、このことをくと、また、まりの心持こころもちに同情どうじょうをしました。
あるまりの一生 (新字新仮名) / 小川未明(著)
りょうちゃんは、心持こころもかおあかくして
小さな弟、良ちゃん (新字新仮名) / 小川未明(著)