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幾多
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いくた
ふりがな文庫
“
幾多
(
いくた
)” の例文
素朴
(
そぼく
)
な生活への復帰を願うドヴォルシャークの心が、この郷愁となって、
幾多
(
いくた
)
傑作を
遺
(
のこ
)
し、ともすれば虚偽と繁雑とに
捲
(
ま
)
き込まれて
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
鋼索
(
こうさく
)
、
化學用
(
くわがくよう
)
の
諸
(
しよ
)
劇藥
(
げきやく
)
、
其他
(
そのほか
)
世人
(
せじん
)
の
到底
(
たうてい
)
豫想
(
よさう
)
し
難
(
がた
)
き
幾多
(
いくた
)
の
材料
(
ざいりよう
)
を
蒐集中
(
しうしふちう
)
なりしが、
何時
(
いつ
)
とも
吾人
(
われら
)
の
氣付
(
きづ
)
かぬ
間
(
ま
)
に
其
(
その
)
姿
(
すがた
)
を
隱
(
かく
)
しぬ。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
彼等
(
かれら
)
は
他人
(
たにん
)
の
目
(
め
)
を
偸
(
ぬす
)
むのには
幾多
(
いくた
)
の
支障
(
さはり
)
、それは
其
(
そ
)
の
爲
(
ため
)
に
相
(
あひ
)
慕
(
した
)
ふ
念慮
(
ねんりよ
)
が
寧
(
むし
)
ろ
却
(
かへつ
)
て
熾
(
さかん
)
に
且
(
か
)
つ
永續
(
えいぞく
)
することすら
有
(
あ
)
りながら
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
では、あの百面相役者の、その名にふさわしい
幾多
(
いくた
)
の変装姿はそれぞれに、かつてこの世に実在した人物だったのか。
百面相役者
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
一
人
(
にん
)
榎
(
えのき
)
の
下
(
もと
)
に
立
(
た
)
ちて、「お
月樣
(
つきさま
)
幾
(
いく
)
つ」と
叫
(
さけ
)
ぶ
時
(
とき
)
は、
幾多
(
いくた
)
の(
應
(
おう
)
)
等
(
ら
)
同音
(
どうおん
)
に「お
十三
(
じふさん
)
七
(
なゝ
)
つ」と
和
(
わ
)
して、
飛禽
(
ひきん
)
の
翅
(
つばさ
)
か、
走獸
(
そうじう
)
の
脚
(
あし
)
か、
一躍
(
いちやく
)
疾走
(
しつそう
)
して
忽
(
たちま
)
ち
見
(
み
)
えず。
蛇くひ
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
▼ もっと見る
前に述べた芸人などの例はもっとも
能
(
よ
)
く当たることであるが、これはいわば人を
幾多
(
いくた
)
の
片
(
へん
)
に切り、そのもっとも長じた所を一般的ノルムで測るのである。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
古來
(
こらい
)
幾多
(
いくた
)
の人間は、其の下で生まれ、そして死んだ。時が移る、人が變る、或者は
破壊
(
はくわい
)
した。併し或者は繕ツた。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
古來
(
こらい
)
幾多
(
いくた
)
の
建築家
(
けんちくか
)
や、
思想家
(
しさうか
)
や、
學者
(
がくしや
)
や、
藝術家
(
げいじつか
)
や、
各方面
(
かくはうめん
)
の
人
(
ひと
)
がこの
問題
(
もんだい
)
に
就
(
つい
)
て
考
(
かんが
)
へた
樣
(
やう
)
であるが、
未
(
いま
)
だ
曾
(
かつ
)
て
具體的
(
ぐたいてき
)
徹底的
(
てつていてき
)
な
定説
(
ていせつ
)
が
確立
(
かくりつ
)
されたことを
聞
(
き
)
かぬ。
建築の本義
(旧字旧仮名)
/
伊東忠太
(著)
男女両性の問題については古来
幾多
(
いくた
)
の思想家も、宗教家も、はた立法家も、皆迷うた。
釈迦
(
しゃか
)
も迷えば、
孔子
(
こうし
)
も迷う、ソロモンも迷えば、マホメットも皆迷った。
現代の婦人に告ぐ
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
この建築を俗に塔と
称
(
とな
)
えているが塔と云うは単に名前のみで実は
幾多
(
いくた
)
の
櫓
(
やぐら
)
から成り立つ大きな
地城
(
じしろ
)
である。
倫敦塔
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
自分のために、
幾多
(
いくた
)
の兵馬を
犠牲
(
にえ
)
にし、自分の一命をも陣頭に置いて、闘ってくれているのだ。
篝火の女
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
或は
岩
(
いわ
)
に
触
(
ふ
)
れて
澎湃
(
ばうはい
)
白沫を
飛
(
と
)
ばし、或は瀾となり
沈静
(
ちんせい
)
深緑
(
しんりよく
)
を
現
(
あら
)
はす、沼田を
発
(
はつ
)
して今日に
至
(
いた
)
り河幅水量
共
(
とも
)
に
甚
(
はなはだ
)
しく
减縮
(
げんしゆく
)
せるを
覚
(
おぼ
)
えず、果して尚幾多の長程と
幾多
(
いくた
)
の険所とを
有
(
いう
)
する
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
天下の民みな
覇政
(
はせい
)
の
沢
(
たく
)
に沈酔し、一旅を以て天下を争わんとしたる
幾多
(
いくた
)
の猛将
梟漢
(
きょうかん
)
の子孫が、
柳営
(
りゅうえい
)
の
一顰
(
いっぴん
)
一笑
(
いっしょう
)
に
殺活
(
さっかつ
)
せられつつある際に、彼の
烱眼
(
けいがん
)
は、早くも隣国の形勢に注げり。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
仏氏
(
ぶっし
)
のいわゆる
生者
(
しょうじゃ
)
必滅
(
ひつめつ
)
の道理、今更おどろくは愚痴に似たれど、
夜雨
(
やう
)
孤灯
(
ことう
)
の
下
(
もと
)
、飜って半生
幾多
(
いくた
)
の不幸を数え来れば、おのずから心細くうら寂しく、世に
頼
(
たより
)
なく思わるる折もありき。
父の墓
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
行われおる多人数の通夜の習慣は、この種の妖異の
防遏
(
ぼうあつ
)
に最も有効なる事が古来
幾多
(
いくた
)
の人々の経験に依って知、不知の間に確認せられおりし事を今日に立証しおるものと見るを得べし。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
この
幾多
(
いくた
)
名の知れない泰軒先生が、各時代を通じて存在していたということは、じつに、前に遠く日本建国の創業をのぞみ、のちにはるかに明治維新の
絢爛
(
けんらん
)
たる覇業をよぶところのもので
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
土器
(
どき
)
の
形状
(
けいじよう
)
の爲に種々の
意匠
(
いせう
)
を廻らし、土器の紋樣の爲に
幾多
(
いくた
)
の圖案を
工夫
(
くふう
)
せしが
如
(
ごと
)
きは土器
製造者
(
せいざうしや
)
の心中餘裕有りしを知るに足るべく、土器
使用者
(
しやうしや
)
の性質
寧
(
むしろ
)
沈着
(
ちんちやく
)
なりしを察するに足るべし。
コロボックル風俗考
(旧字旧仮名)
/
坪井正五郎
(著)
会食の時間となれば
賓客
(
ひんかく
)
は三々伍々
幾多
(
いくた
)
の卓に
倚
(
よ
)
って祝杯を挙げ二十余名の給仕人
燕尾服
(
えんびふく
)
にて食卓の間を
周旋
(
しゅうせん
)
す。名にし負う一年一度の夜会
主客
(
しゅかく
)
陶然
(
とうぜん
)
として歓声場裏に和気の洋々たる事春の
如
(
ごと
)
し。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
人間
(
にんげん
)
のまれにしかゆかない
山
(
やま
)
とはいいながら、その
長
(
なが
)
い
間
(
あいだ
)
には、
幾多
(
いくた
)
の
変化
(
へんか
)
がありました。
人
(
ひと
)
の
足
(
あし
)
の
踏
(
ふ
)
み
入
(
い
)
るところ、また
手
(
て
)
のとどくところ
木
(
き
)
は
切
(
き
)
られたり、また
持
(
も
)
ち
去
(
さ
)
られたりしたのであります。
しんぱくの話
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
遙かのかなたに
空
(
くう
)
を刺すがごとく
聳
(
そび
)
えて居る
幾多
(
いくた
)
の美しい雪峰を望みながら行くこと三里ばかりにして、その夕方ラルンという所へ着くや否や、例のごとく早く休みまして翌日夜半に出立したです。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
「
背
(
うしろ
)
に
幾多
(
いくた
)
の宝玉ありや?」
銅銭会事変
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
其
(
そ
)
の
時
(
とき
)
は
幾多
(
いくた
)
の
民家
(
みんか
)
が
猶且
(
やつぱり
)
非常
(
ひじやう
)
な
慘害
(
さんがい
)
を
蒙
(
かうむ
)
つて、
村落
(
むら
)
の
凡
(
すべ
)
ては
自分
(
じぶん
)
の
凌
(
しの
)
ぎが
漸
(
やつ
)
とのことであつたので、
殆
(
ほと
)
んど
無用
(
むよう
)
である
寮
(
れう
)
の
再建
(
さいこん
)
を
顧
(
かへり
)
みるものはなかつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
武裝
(
ぶさう
)
せる
幾多
(
いくた
)
の
海賊
(
かいぞく
)
輩
(
ども
)
は
手
(
て
)
に/\
劔戟
(
けんげき
)
を
振翳
(
ふりかざ
)
しつゝ、
彼方
(
かなた
)
の
甲板
(
かんぱん
)
から
此方
(
こなた
)
へ
乘移
(
のりうつ
)
り、
互
(
たがひ
)
に
血汐
(
ちしほ
)
を
流
(
なが
)
して
勝敗
(
しようはい
)
を
爭
(
あらそ
)
ふのであるから、
海賊
(
かいぞく
)
勝
(
か
)
てば
其後
(
そのゝち
)
の
悲慘
(
ひさん
)
なる
光景
(
くわうけい
)
は
言
(
い
)
ふ
迄
(
まで
)
もないが
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
幾多
(
いくた
)
の罪人を呑み、幾多の護送船を吐き出した逆賊門は
昔
(
むか
)
しの
名残
(
なご
)
りにその
裾
(
すそ
)
を洗う
笹波
(
ささなみ
)
の音を聞く
便
(
たよ
)
りを失った。ただ向う側に存する
血塔
(
けっとう
)
の壁上に
大
(
おおい
)
なる
鉄環
(
てっかん
)
が
下
(
さ
)
がっているのみだ。
倫敦塔
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
幾多
(
いくた
)
の作曲があり、十五歳までには、数曲の室内楽曲、二つの歌劇、五つの協奏曲、その他少なからざるピアノ及びオルガンの独奏曲と、ヴァイオリン・ピアノのソナタを書いていたのである。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
余りにも、明らかです。……敗るること明らかなる上は、一日も早く、御降伏遊ばすのが、領民の大幸、お家の安全、また
可惜
(
あたら
)
、
幾多
(
いくた
)
の人命を失わずともすみますので、万難を
冒
(
おか
)
して、その儀を
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
日本料理だって古来
幾多
(
いくた
)
の経験を
累
(
かさ
)
ねてその料理法には自然と衛生上の主意に暗合している事も多いけれども
皆
(
み
)
な
悉
(
ことごと
)
く衛生上から割出して配合や調理法を極めてあるかというに決してそうは行かん。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
瀑布を
上
(
のぼ
)
り
俯視
(
ふし
)
すれば
毛髪悚然
(
もうはつそくぜん
)
、
脚
(
あし
)
為
(
た
)
めに
戦慄
(
せんりつ
)
す、之を以て衆
敢
(
あへ
)
て来路を顧みるなし、然りと雖も先日来幾多の
辛酸
(
しんさん
)
と
幾多
(
いくた
)
の労苦とを
甞
(
な
)
めたる為め、此
険流
(
けんりう
)
を溯るも
皆
(
みな
)
甚労とせず、進程亦従て速なり
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
余の見る所を以てすると、現今毎月刊行の文学雑誌に載る
幾多
(
いくた
)
の小説の大部分は、英国の『ウィンゾー』などに続々現れてくる愚劣な小説よりも、どの位芸術的に書き流されているか分らない。
文芸委員は何をするか
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
墓
(
はか
)
の
穴
(
あな
)
は
燒
(
や
)
けた
樣
(
やう
)
な
赤土
(
あかつち
)
が四
方
(
はう
)
へ
堆
(
うづたか
)
く
掻
(
か
)
き
上
(
あ
)
げられてあつた。
其處
(
そこ
)
には
從來
(
これまで
)
隙間
(
すきま
)
のない
程
(
ほど
)
穴
(
あな
)
が
掘
(
ほ
)
られて、
幾多
(
いくた
)
の
人
(
ひと
)
が
埋
(
うづ
)
められたので
手
(
て
)
の
骨
(
ほね
)
や
足
(
あし
)
の
骨
(
ほね
)
がいつものやうに
掘
(
ほ
)
り
出
(
だ
)
されて
投
(
な
)
げられてあつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
さしも、由緒のある墨屋敷——甲賀流の宗家
世阿弥
(
よあみ
)
のあとは、
幾多
(
いくた
)
の秘書財宝をかくしたまま、ここにバリバリと惜しげもなく燃えに燃えて、ドーッとものすさまじい地響きをして焼けくずれる……。
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“幾多”の意味
《名詞・形容動詞》
数多く。あまた。
(出典:Wiktionary)
幾
常用漢字
中学
部首:⼳
12画
多
常用漢字
小2
部首:⼣
6画
“幾”で始まる語句
幾度
幾
幾何
幾歳
幾日
幾人
幾許
幾個
幾年
幾干