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いちじる
ふりがな文庫
“
著
(
いちじる
)” の例文
帽子屋
(
ばうしや
)
はこれを
聞
(
き
)
いて
著
(
いちじる
)
しく
其
(
そ
)
の
眼
(
め
)
を
瞪
(
みは
)
りました、が、
云
(
い
)
つたことは、『
何故
(
なぜ
)
嘴太鴉
(
はしぶとがらす
)
が
手習机
(
てならひづくゑ
)
に
似
(
に
)
てるか?』と、
只
(
たゞ
)
これだけでした。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
尤
(
もつと
)
もそれが全部でなくとも或
著
(
いちじる
)
しい部分を表してゐる時、批評家にさう云ふイズムの
貼札
(
はりふだ
)
をつけられたのを
許容
(
きよよう
)
する場合はありませう。
イズムと云ふ語の意味次第
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
出づれば、その道まさり、その伴ふ星またまさる、
而
(
しか
)
してその己が
性
(
さが
)
に從ひて世の蝋を
整
(
とゝの
)
へ
象
(
かた
)
を
捺
(
お
)
すこといよ/\
著
(
いちじる
)
し 四〇—四二
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
駒井のこの
住居
(
すまい
)
には、このごろ
著
(
いちじる
)
しく室がふえているはずなのに——
金椎
(
キンツイ
)
ひとりを眠らせて置いて、みんなどこへ行ったのだろう。
大菩薩峠:25 みちりやの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
たゞ鷺町の附近ではやゝこれが
著
(
いちじる
)
しく、
海盤
(
ひとで
)
の一本の触手のように丘陵地帯を貫いて町の下手で河原まで岩層を差し伸しています。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
▼ もっと見る
その後私はいくつかの作品でこの町を描いたけれども、しかしそれは
著
(
いちじる
)
しく架空の匂ひを帯びてゐて、現実の町を描いたとはいへなかつた。
木の都
(新字旧仮名)
/
織田作之助
(著)
万法蔵院の香殿・講堂・塔婆・楼閣・山門・僧房・庫裡、悉く、金に、朱に、青に、昼より
著
(
いちじる
)
く見え、
自
(
みづか
)
ら光りを発して居た。
死者の書:――初稿版――
(新字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
且
(
か
)
つは
暗
(
くら
)
い。……
前途
(
むかう
)
下
(
さが
)
りに、
見込
(
みこ
)
んで、
其
(
そ
)
の
勾配
(
こうばい
)
の
最
(
もつと
)
も
著
(
いちじる
)
しい
其處
(
そこ
)
から、
母屋
(
おもや
)
の
正面
(
しやうめん
)
の
低
(
ひく
)
い
縁側
(
えんがは
)
に
成
(
な
)
る
壁
(
かべ
)
に、
薄明
(
うすあか
)
りの
掛行燈
(
かけあんどん
)
が
有
(
あ
)
るばかり。
魔法罎
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
一秒一秒と、両軍の陣形は、目に見えて
著
(
いちじる
)
しい変化を示して行った。息づまるような緊張が、兵員たちの胸を、ビシビシと圧しつけて行った。
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
私は——彼を愛してはゐなくとも、深い友情を持つてゐる私は——
著
(
いちじる
)
しい
省略
(
しやうりやく
)
に傷けられた。涙が湧く程ひどく
傷
(
きずつ
)
けられた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
これではまだ日高君は首肯されないかも知れないからもっとも
著
(
いちじる
)
しい例を
挙
(
あ
)
げると、ゼ・ニガー・オブ・ゼ・ナーシッサスのようなものである。
コンラッドの描きたる自然について
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そして、
時計
(
とけい
)
の
針
(
はり
)
が
白
(
しろ
)
い
盤
(
ばん
)
の
面
(
おもて
)
を
動
(
うご
)
いていました。そのときはまだ、
昼前
(
ひるまえ
)
でありましたが、
著
(
いちじる
)
しく
日
(
ひ
)
の
長
(
なが
)
くなったのが
子供
(
こども
)
にも
感
(
かん
)
じられました。
角笛吹く子
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
即
(
すなは
)
ち
明治二十七年
(
めいじにじゆうしちねん
)
六月二十日
(
ろくがつはつか
)
の
東京地震
(
とうきようぢしん
)
は
最初
(
さいしよ
)
から
十五秒間
(
じゆうごびようかん
)
で
著
(
いちじる
)
しい
震動
(
しんどう
)
は
終
(
をは
)
りを
告
(
つ
)
げ、
大正十四年
(
たいしようじゆうよねん
)
の
但馬地震
(
たじまぢしん
)
は
二十秒間
(
にじゆうびようかん
)
で
全部
(
ぜんぶ
)
殆
(
ほと
)
んど
收
(
をさ
)
まり
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
本種はわが
邦
(
くに
)
いたるところに
群生
(
ぐんせい
)
していて、真赤な花がたくさんに咲くのでことのほか
著
(
いちじる
)
しく、だれでもよく知っている。
植物知識
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
人間の
性
(
さが
)
を、
寛
(
ひろ
)
く
観
(
み
)
て、その
瑕瑾
(
かきん
)
をとがめず、たいがいな事は「ゆるす」ということも、老公の上に見られる最も
著
(
いちじる
)
しい性格のひとつであった。
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
……四年前よりも父の顏に
著
(
いちじる
)
しく似通つてゐた。兄が身體を
屈
(
かが
)
めて、英作文を一二行見てゐる間に、辰男は帽子を被りトンビを着て直立してゐた。
入江のほとり
(旧字旧仮名)
/
正宗白鳥
(著)
渡瀬は説明を続けているうちに、だんだん一つの不安心な
箇所
(
かしょ
)
に近づいていった。その個所を突破しさえすれば問題の解決は
著
(
いちじる
)
しくはかどるのだ。
星座
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
斎藤の方は実に
著
(
いちじる
)
しい反応を示しているでしょう。聯想試験でも同じことです。この『植木鉢』という刺戟語に対する反応時間を見ても分りますよ。
心理試験
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
此評は惡しき方にはあらねど、當日の公衆の喝采に比ぶるときは、その冷かなること
著
(
いちじる
)
しとおもはる。われは此新聞紙を疊みて行李の中に
藏
(
をさ
)
めたり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
何
(
いず
)
れも同じような物であったが、その代り、どこかにローカル・カラーといって好いような、食物の上にも
著
(
いちじる
)
しく異なった個性が現れていたようである。
四谷、赤坂
(新字新仮名)
/
宮島資夫
(著)
他
(
た
)
に
著
(
いちじる
)
しき事実なし。ただ、ローリー氏がヨットを離れんとする際、きまって口論するがごとき身振りを相互に交換す。いかなる意味なるや、解し難し。
キャラコさん:07 海の刷画
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
勘次
(
かんじ
)
は
目
(
め
)
を
掩
(
おほ
)
はれたやうで
心細
(
こゝろぼそ
)
い
霧
(
きり
)
の
中
(
なか
)
に、
其麽
(
そんな
)
ことで
著
(
いちじる
)
しく
延長
(
えんちやう
)
された
水路
(
すゐろ
)
を
辿
(
たど
)
つて
居
(
ゐ
)
ながら、
悠然
(
ゆつくり
)
として
鈍
(
にぶ
)
い
棹
(
さを
)
の
立
(
た
)
てやうをするのに
心
(
こゝろ
)
を
焦慮
(
あせ
)
らせて
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
牡丹と
深見草
(
ふかみぐさ
)
との區別を申さんに生等には深見草といふよりも牡丹といふ方が牡丹の幻影早く
著
(
いちじる
)
く現れ申候。
歌よみに与ふる書
(旧字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
第一植物性食品の消化率が動物性食品に比して
著
(
いちじる
)
しく小さいこと。
尤
(
もっと
)
も動物性食品には
含水炭素
(
がんすいたんそ
)
が
殆
(
ほと
)
んどないからこれは当然植物から採らなければならない。
ビジテリアン大祭
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
「宋朝古渡りの素焼壺で、吉凶共に
著
(
いちじる
)
しいもの、容易ならぬ器でございます」尚古堂は気味悪そうに云った。
大捕物仙人壺
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
義
(
ただ
)
しさである。人間的な「義しさ」である。「大津順吉」や「和解」の場合にはそれが最も
著
(
いちじる
)
しいと思う。
志賀直哉氏の作品
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
彼は年来ピンの
押入婿
(
おしいりむこ
)
であったが、昨秋新に村人の家に飼われた
勇猛
(
ゆうもう
)
の白犬の為に一度噛み伏せられてピンをとられて以来、俄に弱って
著
(
いちじる
)
しく老衰して見えた。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
してこの類の病気には信仰が
著
(
いちじる
)
しく功を
奏
(
そう
)
したろうけれども、
黴菌
(
ばいきん
)
から起こる病いのごときに至っては、宗教が入り
込
(
こ
)
んではかえって
療治
(
りょうじ
)
の
邪魔
(
じゃま
)
になることが多い。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
藤浪君は傾きかけた液体を
零
(
こぼ
)
した。酒の方も昨今修業している。小西君が指導係だ。小西君は元来積極的性格が
著
(
いちじる
)
しい。射落しの話は相手の気を引いて見たのである。
善根鈍根
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
わたくしの此推定は誤らなかつた。しかし錦橋書上と直温先祖書の錦橋の条とは、
広略
(
くわうりやく
)
大に相異なつてゐる。そして錦橋書上は其文
愈
(
いよ/\
)
長うして其矛盾の痕は愈
著
(
いちじる
)
しい。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
軈
(
やが
)
て
鈴
(
ベル
)
が鳴る、此の場合に於ける生徒等の耳は
著
(
いちじる
)
しく鋭敏になツてゐた。で鈴の第一聲が鳴るか鳴らぬに、ガタ/\廊下を踏鳴らしながら、
我先
(
われさき
)
にと解剖室へ駈付ける。
解剖室
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
幸にもかの大火災を免れたので、それ以前と比べて特に目立つほどの
著
(
いちじる
)
しい変化は見られない。
早稲田神楽坂
(新字新仮名)
/
加能作次郎
(著)
ほとんど
治
(
じ
)
すべからざるに至り、
時々
(
じじ
)
狂気じみたる挙動さえ
著
(
いちじる
)
しかりければ、知友にも勧誘を乞いて、鎌倉、
平塚
(
ひらつか
)
辺に静養せしむべしと、その用意おさおさ
怠
(
おこた
)
りなかりしに
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
若林博士の顔は、私がこう尋ねると同時に、
著
(
いちじる
)
しく柔らいだように見えた。何故だかわからないけれども、今までにない満足らしい輝やきを見せつつ、ゆっくりと頭を下げた。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
そして、それがあまり
著
(
いちじる
)
しいので、みんなを驚かせもし、涙ぐましい気持にもさせた。
次郎物語:01 第一部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
武甲山
(
ぶこうざん
)
は武蔵の一名山である。
其
(
その
)
山、秩父連山の入口にあたり、
而
(
し
)
かも山姿高峻、優に秩父連山の群を抜き、遠く武蔵野平原から望んでも、武甲山だけは、
著
(
いちじる
)
しく天空に
聳
(
そび
)
ええて
居
(
お
)
る。
武甲山に登る
(新字新仮名)
/
河井酔茗
(著)
科学が
著
(
いちじる
)
しく進んで
居
(
お
)
り、それのあらゆる適用が世間に広まって、すべての人たちがその利便をしみじみと感じていることも確かであったのですが、それでいてダーウィンの学説が出ると
チャールズ・ダーウィン
(新字新仮名)
/
石原純
(著)
そして前方を、桑畑の方を眺めてゐたが、突然のやうにその深く考へたとも見える憂鬱さが消えて、奇妙な、恰好のとれない顏になつた。何かが彼の眼に入り、彼の興味を
著
(
いちじる
)
しく
惹
(
ひ
)
いたのである。
南方
(旧字旧仮名)
/
田畑修一郎
(著)
文書の学問として
夙
(
はや
)
く我々も学ぶことを得たけれども、それが時あって
著
(
いちじる
)
しく流路を変え、または屈折し分岐して到る処に影響する実状に至っては、今は必ずしもまだ常識とまではなっていない。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
それが
昨年
(
さくねん
)
の六
月
(
ぐわつ
)
三十
日
(
にち
)
に四十三
弗
(
ドル
)
四
分
(
ぶ
)
の三、
即
(
すなは
)
ち一
割
(
わり
)
一
分
(
ぶ
)
も
下
(
さが
)
つたのは
何故
(
なぜ
)
であるか。
累年
(
るゐねん
)
の
輸入超過
(
ゆにふてうくわ
)
著
(
いちじる
)
しく、
對外貿易
(
たいぐわいぼうえき
)
も
改善
(
かいぜん
)
されない、
其上
(
そのうへ
)
昨年
(
さくねん
)
上半期
(
かみはんき
)
の
輸入超過
(
ゆにふてうくわ
)
は二
億
(
おく
)
八千
萬圓
(
まんゑん
)
餘
(
よ
)
になつて
居
(
ゐ
)
る。
金解禁前後の経済事情
(旧字旧仮名)
/
井上準之助
(著)
践歴
(
せんれき
)
功皆
著
(
いちじる
)
しく、
諮詢
(
しじゆん
)
務
(
つとめ
)
必ず
成
(
な
)
す。
連環記
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
すると水が
著
(
いちじる
)
しく
減
(
へ
)
っているのを見た。
家なき子:02 (下)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
江曾原
(
えそはら
)
へ着くと、
著
(
いちじる
)
しく眼につく門構えと、土の塀と、
境内
(
けいだい
)
の森と
竹藪
(
たけやぶ
)
と、往来からは引込んでいるけれども、そこへ入る一筋路。
大菩薩峠:14 お銀様の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
万法蔵院の香殿・講堂・塔婆・楼閣・山門・僧房・
庫裡
(
くり
)
、
悉
(
ことごと
)
く金に、朱に、青に、昼より
著
(
いちじる
)
く見え、自ら光りを発して居た。
死者の書
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
「ここのところに
著
(
いちじる
)
しくないが、K興奮が出ている。君のはまるで男の胸のように
扁平
(
フラット
)
で、何も出ていないじゃないか」
キド効果
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
櫻島噴火
(
さくらじまふんか
)
は
著
(
いちじる
)
しい
前徴
(
ぜんちよう
)
を
備
(
そな
)
へてゐた。
數日前
(
すうにちぜん
)
から
地震
(
ぢしん
)
が
頻々
(
ひんぴん
)
に
起
(
おこ
)
ることは
慣例
(
かんれい
)
であるが、
今回
(
こんかい
)
も
一日半前
(
いちにちはんぜん
)
から
始
(
はじ
)
まつた。
火山の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
軒並みに伝統の気質と共に並用されて来て
而
(
しか
)
もその態度を採用するものほど繁昌し、採用しないものほど店が
寂
(
さび
)
れて行く徴候の
著
(
いちじる
)
しいのが目につく。
とと屋禅譚
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
つまり、全身の形に普通の人間と違った
著
(
いちじる
)
しい特徴を持っておる。その姿を見た丈けで、何奴かと直ちに分る様な人間なのじゃ。つまり不具者なのじゃ。
妖虫
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「小藩とは申しながら、近年になりまして、
著
(
いちじる
)
しく、織田家の財政も立ち直って来たかに見うけられますが……」
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
形は
著
(
いちじる
)
しいものではない、胸をくしや/\と折つて、坊主頭を、がく、と
俯向
(
うつむ
)
けて唄ふので、
頸
(
うなじ
)
を
抽
(
ぬ
)
いた
転軫
(
てんじん
)
に
掛
(
かか
)
る手つきは、鬼が
角
(
つの
)
を
弾
(
はじ
)
くと言はば
厳
(
いか
)
めしい
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
“著”の意味
《名詞》
(チョ)書物を書くこと。また、その書物。
(チョ)明らかなこと。
(出典:Wiktionary)
著
常用漢字
小6
部首:⾋
11画
“著”を含む語句
著名
執著
頓著
落著
顕著
無頓著
愛著
著書
撞著
著作
貪著
著物
著者
著述
瞞著
著手
逢著
巾著
新著聞集
下著
...