たて)” の例文
新字:
それ貴方あなたよこからたり、たてからたり、種々いろ/\にしてたのしみますのでございます。てかけなどとまをしますものは、うしたものでございますとさ。」
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
上着にもたしかに二種の別有り。第一種は普通のフラネル製のシヤツの如く胸部きやうぶより腹部ふくぶけてたてに眞直に合はせ目有り。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
それには遠方えんぽうよりつち次第しだいにつんで傾斜けいしやした坂道さかみちきづげ、それへいしげてこれをたておとて、それからそのうへ横石よこいしせたもので
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
川と謂ツても、小川であツたが、自分の生れた村は、背戸せどと謂はず、横手と謂はず、たてに横に幾筋となく小川が流れてゐて、恰ど碁盤ごばんの目のやうになツてゐた。
水郷 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
いはなはいろすこくろはらあかてんがあり、やまめはいろしろたてうつくしい藍色あゐいろすぢがあります。またやまめのくちはいはなよりすことがつてゐて、おほきさはとも七八寸しちはつすんがとまりです。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
石片又は熔巖の塊ありて、歩ごとにころがり落つるが故に、たてに列びて登るに由なし。我等は雙脚に鉛を懸けたる如く、一歩を進みては又一歩を退き、只だ一つところに在るやうに覺えたり。
それから自分の玉はたてに二たび往來してなほその餘力がフロクになつた。
ひとむかうの廣室ひろまかうと、あへぎ/\六疊敷ろくでふじきたてつてくのだが、またゝうちおよ五百里ごひやくり歩行あるいたやうにかんじて、疲勞ひらうしてへられぬ。
怪談女の輪 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
近所きんじよには、六歳ろくさいかにをとこで、恐怖きようふあまくるつて、八疊はちでふ二間ふたまを、たてともはずよこともはず、くる/\駈𢌞かけまはつてまらないのがあるといた。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
が、おもむきちがふ。彼處かしこのは、よこなびいて婉轉ゑんてんとしてながれあやつり、此處こゝのは、たてとほつて喨々れう/\としてたき調しらぶる。
飯坂ゆき (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
つてたふれるのが、そのまゝゆきをかのやうにる……それが、みぎり、ひだりり、よこつもり、たてきます。
雪霊記事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
部屋へや四疊よでふけた。薄暗うすぐらたてなが一室いつしつ兩方りやうはうふすま何室どつちほか座敷ざしき出入でいり出來できる。つまおくはうから一方いつぱうふすまけて、一方いつぱうふすまから玄關げんくわん通拔とほりぬけられるのであつた。
怪談女の輪 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
極端きよくたんにたとへれば、天鵞絨びろうど寢臺しんだいたてにして、男女ふたりところを、廣告びら持歩行もちあるいたと大差たいさはない。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
そのとき横町よこちやうたて見通みとほしの眞空まぞらさら黒煙こくえん舞起まひおこつて、北東ほくとう一天いつてん一寸いつすんあまさず眞暗まつくらかはると、たちまち、どゞどゞどゞどゞどゞとふ、陰々いん/\たるりつびたおもすご
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
が、あひだに、おな瓜井戸うりゐどはらふのがある。これなんたて四里八町よりはつちやうよこ三里さんりあまる。
一席話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
華奢きやしやなのを、あのくちびるあつい、おほきなべろりとしたくちだとたてくはへてねまい。
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
紺青こんじやううみ千仭せんじんそこよりしてにじたてつてげると、たまはしおとてて、くるまに、みちに、さら/\とくれなゐけての、ひとつ/\のまゝにうみかげうつして、尾花をばな枯萩かれはぎあをい。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
小母をばさん頂戴ちやうだいな」「其蟲そのむし頂戴ちやうだいな」とくうちに、むしは、うつくしいはねひろげず、しづかに、鷹揚おうやうに、そしてかるたて姿すがたさばいて、水馬みづすまし細波さゝなみかけごとく、ツツツと涼傘ひがさを、うへ梭投ひなげにくとおもふと
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
たれ一人ひとりよこるなんど場席ばせきはない。花枕はなまくら草枕くさまくら旅枕たびまくら皮枕かはまくらたてよこに、硝子窓がらすまど押着おしつけたかたたるや、浮嚢うきぶくろ取外とりはづした柄杓ひしやくたぬもののごとく、をりからそとのどしやぶりに、宛然さながら人間にんげん海月くらげる。
大阪まで (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
欄干てすりんで、縁側えんがはたてめぐり、階子段はしごだんよこはしる。
飯坂ゆき (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)