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燃
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もや
ふりがな文庫
“
燃
(
もや
)” の例文
さてまたわれらの情は、たゞ聖靈の
意
(
こゝろ
)
に
適
(
かな
)
ふものにのみ
燃
(
もや
)
さるゝが故に、その立つる秩序によりて
整
(
とゝの
)
へらるゝことを悦ぶ 五二—五四
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
薄暗い食堂の戸を開けると、主婦がたった一人
煖炉
(
ストーブ
)
の横に茶器を
控
(
ひか
)
えて
坐
(
すわ
)
っていた。石炭を
燃
(
もや
)
してくれたので、幾分か陽気な感じがした。
永日小品
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
其法は夜中を以て
両炬
(
りょうきょ
)
を
燃
(
もや
)
し、人の形状
気色
(
きしょく
)
を
視
(
み
)
て、参するに生年
月日
(
げつじつ
)
を以てするに、百に一
謬
(
びょう
)
無く、元末より既に名を天下に
馳
(
は
)
せたり。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
まったく
向
(
む
)
こう
岸
(
ぎし
)
の野原に大きなまっ赤な火が
燃
(
もや
)
され、その黒いけむりは高く
桔梗
(
ききょう
)
いろのつめたそうな天をも
焦
(
こ
)
がしそうでした。
銀河鉄道の夜
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
縫いぐるみに相違ないが、あたりが暗くなるまで真に迫った。……大釜の底にはめらめらと
真赤
(
まっか
)
な炎を彩って
燃
(
もや
)
している。
怨霊借用
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
山小屋のなかには、炉がきってあり、たきものの用意もしてあったが、うっかりそんなものを
燃
(
もや
)
すことはできないのだ。
少年探偵長
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
それその
麁朶
(
そだ
)
を
燻
(
く
)
べてな、ぱッ/\と
燃
(
もや
)
しな……さア召上りまし、
此方
(
こっち
)
の
肉
(
み
)
が柔かなのでございますから、さア御比丘様
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
民間
(
みんかん
)
にもこれを
学
(
まな
)
びて正月十五日正月にかざりたるものをあつめて
燃
(
もや
)
す、これ
左義長
(
さぎちやう
)
とて昔よりする事なり。これを
斎
(
さい
)
の神
祭
(
まつ
)
りといふも古き事なり。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
彼
(
かれ
)
は
與吉
(
よきち
)
の
無意識
(
むいしき
)
な
告口
(
つげぐち
)
から
酷
(
ひど
)
く
悲
(
かな
)
しく
果敢
(
はか
)
なくなつて
後
(
あと
)
で
獨
(
ひとり
)
で
泣
(
な
)
いた。
憤怒
(
ふんぬ
)
の
情
(
じやう
)
を
燃
(
もや
)
すのには
彼
(
かれ
)
は
餘
(
あまり
)
に
彼
(
つか
)
れて
居
(
ゐ
)
た。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
でなきゃ、文壇の噂で人の全盛に
修羅
(
しゅら
)
を
燃
(
もや
)
し、何かしらケチを附けたがって、君、
何某
(
なにがし
)
のと、近頃評判の作家の名を言って、姦通一件を聞いたかという。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
おなじような
片歌
(
かたうた
)
の
話
(
はなし
)
が、やまとたけるの
尊
(
みこと
)
にもあります。この
尊
(
みこと
)
東國
(
とうごく
)
平定
(
へいてい
)
の
時
(
とき
)
、
甲斐
(
かひ
)
の
國
(
くに
)
酒折
(
さかをり
)
の
宮
(
みや
)
に
宿
(
やど
)
られて、
火
(
ひ
)
を
燃
(
もや
)
してゐた
翁
(
おきな
)
に、いひかけられました。
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
「今夜すぐにこの火を
燃
(
もや
)
すのではない。今から数へて百日目の夜、時刻はやはり
子
(
ね
)
の
刻
(
こく
)
、お忘れなさるな。」
影を踏まれた女:近代異妖編
(新字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
そんな醜い容貌を持ちながら、胸の中では、人知れず、世にも
烈
(
はげ
)
しい情熱を、
燃
(
もや
)
していたのでございます。
人間椅子
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
芝の三光町あたりに暮していた
独身者
(
ひとりもん
)
なんですが、これがその、なにかのことで常日頃から憎んでいた同じ町内のタバコ屋へ、裏口から火をつけて
燃
(
もや
)
しちまった
あやつり裁判
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
乃公は委細構わずハンケチを
燃
(
もや
)
し始めたが、余り香水が沢山附いている
故
(
せい
)
か、燃えが悪い。けれども兎に角半焼ぐらいになったから、乃公は机の引出へ
投
(
ほう
)
り込んだ。
いたずら小僧日記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
火を焚いている一人は
頻
(
しき
)
りと枯れた小枝や青い松葉を折って来て大きな
土竈
(
どがま
)
の下を
燃
(
もや
)
している。
捕われ人
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
人口の多いにも係らずどこの家でも炭火の
外
(
ほか
)
に
燃
(
もや
)
すものがないから従って
烟突
(
えんとつ
)
というものがないため、山岳中の女王とも称すべき富士の山は六十五マイル隔っているけれど
仮寐の夢
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
温は大中元年に、三十歳で
太原
(
たいげん
)
から出て、始て進士の
試
(
し
)
に応じた。自己の詩文は
燭
(
しょく
)
一寸を
燃
(
もや
)
さぬうちに成ったので、隣席のものが
呻吟
(
しんぎん
)
するのを見て、これに手を
仮
(
か
)
して
遣
(
や
)
った。
魚玄機
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
「私の病んでいる生き物。私は暗闇のなかにやがて消えてしまう。しかしお前は睡らないでひとりおきているように思える。そとの虫のように……青い燐光を
燃
(
もや
)
しながら……」
ある心の風景
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
強
(
し
)
いて試みてみることがあっても、考が
纒
(
まとま
)
らない。本を読んでも二
頁
(
ページ
)
も続けて読む気になれない。二人の恋の温かさを見る
度
(
たび
)
に、胸を
燃
(
もや
)
して、罪もない細君に当り散らして酒を飲んだ。
蒲団
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
それから
用意
(
ようゐ
)
の
篝火
(
かゞりび
)
をどん/″\
燃
(
もや
)
して、
絶
(
た
)
えず
小銃
(
せうじう
)
を
發射
(
はつしや
)
し、また
時々
(
とき/″\
)
爆裂彈
(
ばくれつだん
)
の
殘
(
のこ
)
れるを
投飛
(
なげとば
)
しなどして、
漸
(
やうや
)
く
一夜
(
いちや
)
を
明
(
あか
)
したが、
夜
(
よ
)
が
明
(
あ
)
けたとて
仕方
(
しかた
)
がない、
朝日
(
あさひ
)
はうら/\と
昇
(
のぼ
)
つて
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
また
寒
(
さむ
)
いときには
木
(
き
)
を
燃
(
もや
)
してあたゝまることをおぼえたのです。
森林と樹木と動物
(旧字旧仮名)
/
本多静六
(著)
西洋
蝋燭
(
らふそく
)
の大理石よりも白きを
硝子
(
がらす
)
の鉢に
燃
(
もや
)
し
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
我は
千
(
ちゞ
)
の
燈火
(
ともしび
)
の上に一の日輪ありてかれらをこと/″\く
燃
(
もや
)
し、その
状
(
さま
)
わが日輪の、星におけるに似たるを見たり 二八—三〇
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
民間
(
みんかん
)
にもこれを
学
(
まな
)
びて正月十五日正月にかざりたるものをあつめて
燃
(
もや
)
す、これ
左義長
(
さぎちやう
)
とて昔よりする事なり。これを
斎
(
さい
)
の神
祭
(
まつ
)
りといふも古き事なり。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
「そうら、
※
(
ねえ
)
が
處
(
とこ
)
へでも
來
(
き
)
て
見
(
み
)
ろ」といひながら
忙
(
せは
)
しくぽつと
一燻
(
ひとく
)
べ
落葉
(
おちば
)
を
燃
(
もや
)
して
衣物
(
きもの
)
を
灸
(
あぶ
)
つて
與吉
(
よきち
)
へ
着
(
き
)
せた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
甥
(
おひ
)
の小僧つ子に塩をつけられて、国香亡き後は一族の長者たる良兼ともある者が屈してしまふことは出来ない。護も貞盛も女達も
瞋恚
(
しんい
)
の火を
燃
(
もや
)
さない訳は無い。
平将門
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
供前
(
ともまえ
)
を
妨
(
さまた
)
ぐるのみならず、提灯を
打落
(
うちお
)
とし、
印物
(
しるしもの
)
を
燃
(
もや
)
しましたから、憎い奴、手打にしようと思ったが、
隣
(
となり
)
づからの
中間
(
ちゅうげん
)
を切るでもないと我慢をしているうちに
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
狐
(
きつね
)
が
馬
(
うま
)
にも
乗
(
の
)
らないで、
那須野
(
なすの
)
ヶ
原
(
はら
)
を二
本松
(
ほんまつ
)
へ
飛抜
(
とびぬ
)
けた
怪
(
あや
)
しいのが、
車内
(
しやない
)
で
焼酎火
(
せうちうび
)
を
燃
(
もや
)
すのである。
銀鼎
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
いつしか、この夜中の客を
厭
(
いと
)
わしく思った心も消え失せて、全く憐みの心に変ってしまった。而して、
盛
(
さかん
)
に火を
燃
(
もや
)
し立てた。焔は
煤
(
すす
)
けた壁や、障子を紅く染めて家の内が急に明るくなった。
凍える女
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
番する人もなく、
燃
(
もえ
)
るがままに
燃
(
もや
)
されている。
曇天
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
これ善は、その善なるかぎり、知らるゝとともに愛を
燃
(
もや
)
し、かつその含む善の多きに從ひて愛また大いなるによる 二八—三〇
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
この心で妬くのは一番毒で、むや/\
修羅
(
しゅら
)
を
燃
(
もや
)
して胸に
燃火
(
たくひ
)
の絶える
間
(
ま
)
がございませんから、
逆上
(
のぼ
)
せて頭痛がするとか、血の道が
起
(
おこ
)
るとか云う事のみでございます。
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
そのゝち銭に
才
(
かしこき
)
人かの池のほとりに
混屋
(
ふろや
)
をつくり、
筧
(
かけひ
)
を以て水をとるがごとくして地中の火を引き
湯槽
(
ゆぶね
)
の
竈
(
かまど
)
に
燃
(
もや
)
し、又
燈火
(
ともしび
)
にも
代
(
かゆ
)
る。池中の水を
湯
(
ゆ
)
に
燂
(
わか
)
し
価
(
あたひ
)
を以て
浴
(
よく
)
せしむ。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
はた車の輪の
疾
(
と
)
く
軋
(
きし
)
るや、秋の夕日に尾花を
燃
(
もや
)
さないと誰が言おう——おかしな事は、人が問いもしないのに、道中、
焼山越
(
やけやまごえ
)
の人足である——たとえ
緊
(
し
)
めなくても済むものを
雪柳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
高煦
多力
(
たりき
)
なりければ、
缸
(
こう
)
の重き三百
斤
(
きん
)
なりしも、
項
(
うなじ
)
に
缸
(
こう
)
を負いて
起
(
た
)
つ。帝炭を缸上に積むこと山の如くならしめて之を
燃
(
もや
)
す。高煦生きながらに焦熱地獄に
堕
(
だ
)
し、高煦の諸子皆死を賜う。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
家
(
うち
)
に居ると継母に捻られるから、お
母
(
っか
)
さんよりはお師匠さんの方が数が少いと思って近く来ると、
猶
(
なお
)
師匠は修羅を
燃
(
もや
)
して、わく/\
悋気
(
りんき
)
の
焔
(
ほむら
)
は絶える間は無く、益々逆上して
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
吾朝にては正月十五日、 清涼殿の御庭にて青竹を焼き正月の
書始
(
かきぞめ
)
を此火に焼て天に奉るの
義
(
ぎ
)
とす。十八日にも又竹をかざり扇を結びつけ同じ御庭にて
燃
(
もや
)
し玉ふを祝事とせさせ玉ふ。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
最
(
もつと
)
も
身体
(
からだ
)
を
蓋
(
ふた
)
に
為
(
し
)
て
畚
(
びく
)
の
魚
(
さかな
)
を
抱
(
だ
)
いてゞも
居
(
ゐ
)
れば、
如何
(
いか
)
に
畜生
(
ちくしやう
)
に
業通
(
ごふつう
)
が
有
(
あ
)
つても、まさかに
骨
(
ほね
)
を
徹
(
とほ
)
しては
抜
(
ぬ
)
くまい、と
一心
(
いつしん
)
に
守
(
まも
)
つて
居
(
ゐ
)
れば、
沼
(
ぬま
)
の
真中
(
まんなか
)
へひら/\と
火
(
ひ
)
を
燃
(
もや
)
す、はあ、
変
(
へん
)
だわ
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
吾朝にては正月十五日、 清涼殿の御庭にて青竹を焼き正月の
書始
(
かきぞめ
)
を此火に焼て天に奉るの
義
(
ぎ
)
とす。十八日にも又竹をかざり扇を結びつけ同じ御庭にて
燃
(
もや
)
し玉ふを祝事とせさせ玉ふ。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
火の気が
無
(
な
)
えから
些
(
ちっ
)
とばかり
麁朶
(
そだ
)
を
突燻
(
つっくべ
)
て
燃
(
もや
)
して居るだが、己が
家
(
うち
)
でなえから泊める訳にはいきませんが、今
主
(
あるじ
)
が
帰
(
けえ
)
るかも知んねえ、困るなれば、
此処
(
こゝ
)
へ来て、
囲炉裡
(
いろり
)
の
傍
(
はた
)
で濡れた着物を
炙
(
あぶ
)
って
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
犬ほどの
蜥蜴
(
とかげ
)
が、修羅を
燃
(
もや
)
して、煙のように
颯
(
さっ
)
と襲った。
みさごの鮨
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
燃
常用漢字
小5
部首:⽕
16画
“燃”を含む語句
燃料
燃燒
燃立
燃火
燃尽
燃木
燃上
燃殻
燃滓
燃焼
燃残
頭燃
再燃
燃草
燃出
燃盛
如救頭燃
航空用燃料
白燃鉄
燃進
...