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深山
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しんざん
ふりがな文庫
“
深山
(
しんざん
)” の例文
全部壁で密閉してあって、電灯が
燦然
(
さんぜん
)
とついている。物音なんて、なにも入って来ない。
深山
(
しんざん
)
のなかのように静かなところさと答えた。
東京要塞
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
文「なアに雪女郎は
深山
(
しんざん
)
の
雪中
(
せっちゅう
)
で、
稀
(
まれ
)
に女の
貌
(
かお
)
をあらわすは雪の精なるよしだが、あれは天神様へお百度でも上げているのだろう」
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
山へ登るのも
極
(
ご
)
くいいことであります。
深山
(
しんざん
)
に入り、高山、
嶮山
(
けんざん
)
なんぞへ登るということになると、一種の神秘的な興味も多いことです。
幻談
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
が、
然
(
さ
)
うすると、
深山
(
しんざん
)
の
小驛
(
せうえき
)
ですから、
旅舍
(
りよしや
)
にも
食料
(
しよくれう
)
にも、
乘客
(
じようかく
)
に
對
(
たい
)
する
設備
(
せつび
)
が
不足
(
ふそく
)
で、
危險
(
きけん
)
であるからとの
事
(
こと
)
でありました。
雪霊続記
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
按
(
あんず
)
るに
和漢
(
わかん
)
三才
図会
(
づゑ
)
寓類
(
ぐうるゐ
)
の
部
(
ぶ
)
に、
飛騨美濃
(
ひだみの
)
あるひは西国の
深山
(
しんざん
)
にも
如件
(
くだんのごとき
)
異獣
(
いじう
)
ある事をしるせり。さればいづれの深山にもあるものなるべし。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
▼ もっと見る
「やはり苔の種類でしょう。
深山
(
しんざん
)
でなければないのだそうです。根がないでしょう? 霧の湿気で生きてるんだそうです。」
帰途
(新字新仮名)
/
水野葉舟
(著)
ところが、近年、或人が金坑や石炭坑を發見するつもりで本道の
深山
(
しんざん
)
をまはつてゐたところ、ふと珍らしい林に出くわした。
泡鳴五部作:05 憑き物
(旧字旧仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
此
(
この
)
深山
(
しんざん
)
を
少
(
すこ
)
しばかり
迂回
(
うくわい
)
して
皈
(
かへ
)
つたとて、
左程
(
さほど
)
遲
(
おそ
)
くもなるまい、また
極
(
きわ
)
めて
趣味
(
しゆみ
)
ある
事
(
こと
)
だらうと
考
(
かんが
)
へたので、
私
(
わたくし
)
は
發議
(
はつぎ
)
した。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
深山
(
しんざん
)
にある
紅葉
(
もみぢ
)
はまた
種類
(
しゆるい
)
が
異
(
ちが
)
ひ、
一
(
いち
)
ばんうつくしいのは、はうちはかへでで、それは
葉
(
は
)
が
羽團扇
(
はうちは
)
のようで、
長
(
なが
)
さが
二三寸
(
にさんずん
)
もある
大
(
おほ
)
きなものです。
森林と樹木と動物
(旧字旧仮名)
/
本多静六
(著)
見
(
み
)
るとその
辺
(
あたり
)
は
老木
(
ろうぼく
)
がぎっしり
茂
(
しげ
)
っている、ごくごく
淋
(
さび
)
しい
深山
(
しんざん
)
で、そして
不思議
(
ふしぎ
)
に
山彦
(
こだま
)
のよく
響
(
ひび
)
く
処
(
ところ
)
でございました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
『それはたわ
言
(
こと
)
だ。考えてみろ、俺たちはもう南宋の社会からは容れられない人間だ。こうして
深山
(
しんざん
)
に
潜
(
ひそ
)
んで喰いつないでゆくのがせきのやまじゃないか』
人間山水図巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
幾月もかかって、まっすぐに北の方を指して旅を続けました。野を越え山を越えて進みました。しまいには、人里遠く離れた
深山
(
しんざん
)
に迷い込んでしまいました。
手品師
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
寤
(
ご
)
果して寤か、
寐
(
び
)
果して寐か、我是を疑ふ。
深山
(
しんざん
)
夜に入りて籟あり、人間昼に於て声なき事多し。
寤
(
さ
)
むる時人真に寤めず、寐る時往々にして至楽の境にあり。
富嶽の詩神を思ふ
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
そして、
深山
(
しんざん
)
の
静
(
しず
)
けさをやぶって、
岩
(
いわ
)
にはげしくつきあたる
流
(
なが
)
れが、
白
(
しろ
)
くあわだつであろうと
思
(
おも
)
いました。
考えこじき
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
深山
(
しんざん
)
のふかい森にかこまれて、いかめしくそびえる鉄の城。その中には、いったい、どんなおそろしいものが、すんでいるのでしょうか。死の城、妖魔の城です。
鉄塔の怪人
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
夜
(
よ
)
に入れば当宿の主人
帰
(
かへ
)
り
来
(
きた
)
る、主人は当地の
深山
(
しんざん
)
跋渉
(
ばつしやう
)
に
経験
(
けいけん
)
ありとの故を以て、
呼
(
よ
)
んで一行と共にせんことを
談
(
だん
)
ず、主人答へて曰く、水源を
溯源
(
さくげん
)
して利根岳に
登
(
のぼ
)
り
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
其子
(
そのこ
)
の身に宿りしより常に
殺気
(
さつき
)
を
帯
(
お
)
べる夢のみ多く、或時は
深山
(
しんざん
)
に迷ひ込みて
数千
(
すせん
)
の
狼
(
おほかみ
)
に囲まれ、一生懸命の勇を
鼓
(
なら
)
して、
其
(
その
)
首領
(
しゆりやう
)
なる
老狼
(
らうらう
)
を
引倒
(
ひきたふ
)
し、
上顎
(
うはあご
)
と
下顎
(
したあご
)
に手をかけて
母となる
(新字旧仮名)
/
福田英子
(著)
すなわち当時の僕の感傷主義は、曇った眼一つでとぼとぼと
深山
(
しんざん
)
幽谷
(
ゆうこく
)
を歩む一人の遍路を忘却し難かったのである。しかもそれは近代主義的遍路であったからであろうか、僕自身にもよく分からない。
遍路
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
「その方は、こうした
深山
(
しんざん
)
の中で独り何をしておらるる」
神仙河野久
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
田楽の笛ひゆうと鳴り
深山
(
しんざん
)
に獅子の入るなる夕月夜かな
晶子鑑賞
(新字旧仮名)
/
平野万里
(著)
致し候因て貴所には何れの御方にて候哉と
問返
(
とひかへ
)
され安五郎は又驚き
扨々
(
さて/\
)
女子には
珍
(
めづ
)
らしき者かな如何なる
心願
(
しんぐわん
)
かは知らねども斯る
深山
(
しんざん
)
へ
籠
(
こも
)
らるゝ事
感
(
かん
)
じ入たり某しは信州へ
秋葉越
(
あきばごえ
)
して參らんと思へども一人
旅
(
たび
)
ゆゑ
泊
(
とめ
)
てはなく斯る
深山
(
しんざん
)
に
踏迷
(
ふみまよ
)
ひ漸々是まで參りし者なれば
必
(
かなら
)
ず心を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
那
(
そん
)
な大木のあるのは
蓋
(
けだ
)
し
深山
(
しんざん
)
であろう、
幽谷
(
ゆうこく
)
でなければならぬ。
殊
(
こと
)
にこれは
飛騨山
(
ひだやま
)
から
廻
(
まわ
)
して来たのであることを聞いて居た。
三尺角
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
按
(
あんず
)
るに
和漢
(
わかん
)
三才
図会
(
づゑ
)
寓類
(
ぐうるゐ
)
の
部
(
ぶ
)
に、
飛騨美濃
(
ひだみの
)
あるひは西国の
深山
(
しんざん
)
にも
如件
(
くだんのごとき
)
異獣
(
いじう
)
ある事をしるせり。さればいづれの深山にもあるものなるべし。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
『お
爺
(
じい
)
さま、ここはよほどの
深山
(
しんざん
)
なのでございましょう……
私
(
わたくし
)
はぞくぞくしてまいりました……。』
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
人里離れた
深山
(
しんざん
)
でね、一人旅の男が、大猿に出会ったのです。そして、
脇
(
わき
)
ざしを猿に取られてしまったのですよ。猿はそれを抜いて、面白半分に振り
廻
(
まわ
)
してかかって来る。
目羅博士の不思議な犯罪
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
鐵車
(
てつしや
)
が、いよ/\
永久紀念塔
(
えいきゆうきねんたふ
)
を
深山
(
しんざん
)
の
頂
(
いたゞき
)
に
建
(
た
)
てんが
爲
(
た
)
めに、
此處
(
こゝ
)
を
出發
(
しゆつぱつ
)
するのは
明朝
(
めうてう
)
午前
(
ごぜん
)
六時
(
ろくじ
)
と
定
(
さだま
)
つたが、
櫻木海軍大佐
(
さくらぎかいぐんたいさ
)
は、
海底戰鬪艇
(
かいていせんとうてい
)
の
運轉式
(
うんてんしき
)
も
間近
(
まぢか
)
に
迫
(
せま
)
つて
居
(
を
)
るので
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
人夫中にては中島善作なるものは
猟
(
りやう
)
の為め
常
(
つね
)
に
雪
(
ゆき
)
を
踏
(
ふ
)
んで
深山
(
しんざん
)
に
分
(
わ
)
け入るもの、主として一行の
教導
(
けうどう
)
をなす、一行方向に
迷
(
まよ
)
ふことあれば
直
(
ただ
)
ちに
巧
(
たく
)
みに高樹の
頂
(
いただき
)
に
上
(
のぼ
)
りて
遠望
(
ゑんぼう
)
し
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
私ひとりでこの
深山
(
しんざん
)
を占有しているような気持がし、私の心は
暢々
(
ちょうちょう
)
としていた。
最小人間の怪:――人類のあとを継ぐもの――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
このあたりの名寺なる東禅寺は境広く、樹古く、陰欝として
深山
(
しんざん
)
に入るの
思
(
おもひ
)
あらしむ。この境内に一条の
山径
(
やまみち
)
あり、
高輪
(
たかなわ
)
より二本榎に通ず、近きを
択
(
えら
)
むもの、こゝを往還することゝなれり。
鬼心非鬼心:(実聞)
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
ある時は
深山
(
しんざん
)
に迷い込みて
数千
(
すせん
)
の
狼
(
おおかみ
)
に
囲
(
かこ
)
まれ、一生懸命の勇を
鼓
(
なら
)
して、その首領なる
老狼
(
ろうろう
)
を引き倒し、
上顎
(
うわあご
)
と
下顎
(
したあご
)
に手をかけて、口より身体までを両断せしに、
他
(
た
)
の狼児は
狼狽
(
ろうばい
)
して
悉
(
ことごと
)
く
遁失
(
にげう
)
せ
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
ほかの
深山
(
しんざん
)
にもゐるにちがひありません。
森林と樹木と動物
(旧字旧仮名)
/
本多静六
(著)
那
(
そん
)
な
大木
(
たいぼく
)
のあるのは
蓋
(
けだ
)
し
深山
(
しんざん
)
であらう、
幽谷
(
いうこく
)
でなければならぬ。
殊
(
こと
)
にこれは
飛騨山
(
ひだやま
)
から
𢌞
(
まは
)
して
來
(
き
)
たのであることを
聞
(
き
)
いて
居
(
ゐ
)
た。
三尺角
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
特
(
こと
)
に
朝日島
(
あさひじま
)
紀念塔
(
きねんたふ
)
設立
(
せつりつ
)
の
顛末
(
てんまつ
)
——あの
異樣
(
ゐやう
)
なる
自動冐險車
(
じどうぼうけんしや
)
が、
縱横無盡
(
じうわうむじん
)
に、
深山
(
しんざん
)
大澤
(
たいたく
)
の
間
(
あひだ
)
を
猛進
(
まうしん
)
したる
其時
(
そのとき
)
の
活劇
(
くわつげき
)
。
猛獸
(
まうじう
)
毒蛇
(
どくじや
)
との
大奮鬪
(
だいふんとう
)
。
武村兵曹
(
たけむらへいそう
)
の
片足
(
かたあし
)
の
危
(
あぶ
)
なかつた
事
(
こと
)
。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
深山
(
しんざん
)
には、にわかに風が出て来た。焚火の火の子が暗い空にまいあがる。
少年探偵長
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
一行が
準備
(
じゆんび
)
せらるる十日間の
食糧
(
しよくれう
)
到底
(
とうてい
)
其目的
(
そのもくてき
)
を達せず、
殊
(
こと
)
に五升
許
(
ばかり
)
の米を
負
(
お
)
ふを
命
(
めい
)
ぜられて此
深山
(
しんざん
)
険崖
(
けんがい
)
を
攀躋
(
はんさい
)
する如きは、拙者の
堪
(
た
)
へ
能
(
あた
)
はざる所なりと、
断
(
だん
)
じて随行を
拒
(
こば
)
む、衆相
顧
(
かへり
)
みて
愕然
(
がくぜん
)
たり
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
深山
(
しんざん
)
の
孤家
(
ひとつや
)
に
白痴
(
ばか
)
の
伽
(
とぎ
)
をして
言葉
(
ことば
)
も
通
(
つう
)
ぜず、
日
(
ひ
)
を
経
(
ふ
)
るに
従
(
したが
)
ふてものをいふことさへ
忘
(
わす
)
れるやうな
気
(
き
)
がするといふは
何
(
なん
)
たる
事
(
こと
)
!
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
私
(
わし
)
は一
足
(
あし
)
退
(
すさ
)
つたがいかに
深山
(
しんざん
)
だといつても
是
(
これ
)
を
一人
(
ひとり
)
で
置
(
お
)
くといふ
法
(
はふ
)
はあるまい、と
足
(
あし
)
を
爪立
(
つまだ
)
てゝ
少
(
すこ
)
し
声高
(
こはだか
)
に
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
大抵
(
たいてい
)
推量
(
すゐりやう
)
もなさるであらうが、いかに
草臥
(
くたび
)
れて
居
(
を
)
つても
申上
(
まをしあ
)
げたやうな
深山
(
しんざん
)
の
孤家
(
ひとつや
)
で、
眠
(
ねむ
)
られるものではない
其
(
それ
)
に
少
(
すこ
)
し
気
(
き
)
になつて、はじめの
内
(
うち
)
私
(
わし
)
を
寝
(
ね
)
かさなかつた
事
(
こと
)
もあるし、
目
(
め
)
は
冴
(
さ
)
えて
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
沢は
目
(
ま
)
のあたり、
深山
(
しんざん
)
の秘密を感じて、
其処
(
そこ
)
から
後
(
あと
)
へ
引返
(
ひっかえ
)
した。
貴婦人
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
“深山”の意味
《名詞》
深 山(しんざん、みやま)
人里離れた奥深い山。
(出典:Wiktionary)
深
常用漢字
小3
部首:⽔
11画
山
常用漢字
小1
部首:⼭
3画
“深山”で始まる語句
深山木
深山幽谷
深山榛
深山路
深山竜胆
深山薄雪草
深山鳥
深山笹
深山辺
深山小田巻草