本堂ほんだう)” の例文
道翹だうげうこたへた。「豐干ぶかんおつしやいますか。それは先頃さきころまで、本堂ほんだう背後うしろ僧院そうゐんにをられましたが、行脚あんぎやられたきりかへられませぬ。」
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
本堂ほんだうぬかづてて、ちてきざはしかたあゆでたるは、年紀としはやう/\二十はたちばかりとおぼしき美人びじんまゆはらひ、鐵漿かねをつけたり。
弥次行 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
本堂ほんだうはうではきやうこゑかねおともしてゐる。道子みちこ今年ことしもいつかぼんの十三にちになつたのだとはじめてがついたときである。
吾妻橋 (新字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
当院たうゐん屋根普請やねふしん勧化くわんけため本堂ほんだうおい晴天せいてん七日の間芝居興行こうぎやうせしむるものなり、名題なだい仮名手本かなでほん忠臣蔵役人替名とありて役者やくしやの名おほくは変名へんみやうなり。
これから長家ながやの者が五六人いて出かけましたが、お寺は貧窮山難渋寺ひんきゆうさんなんじふじふので、本堂ほんだうには鴻雁寺こうがんじが二てうともつてる。金
黄金餅 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
なし已に其議も調のひければ急に本堂ほんだうわきなる座敷に上段をしつらへ前にみすおろし赤川大膳藤井左京の兩人は繼上下つぎかみしもにて其前にひかへ傍らに天忠和尚をしやう紫の衣を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
や、大失敗だいしつぱいと、がツかりして、本堂ほんだう椽側えんがはこしける。いつしかそれが誰先たれさきとなく草鞋わらじぐ。到頭たう/\にん本堂ほんだうあがんで、雜談ざつだんをする。寐轉ねころぶ。
圍爐裏ゐろりつてあるところて、本堂ほんだうよこけて、そのはづれにある六でふ座敷ざしき障子しやうじえんからけて、なか案内あんないされたとき宗助そうすけはじめて一人ひとりとほくに心持こゝろもちがした。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
当院たうゐん屋根普請やねふしん勧化くわんけため本堂ほんだうおい晴天せいてん七日の間芝居興行こうぎやうせしむるものなり、名題なだい仮名手本かなでほん忠臣蔵役人替名とありて役者やくしやの名おほくは変名へんみやうなり。
さても常樂院は紺屋こんや五郎兵衞を初め四人の者共に威を示し甘々うま/\と用金を出させんと先本堂ほんだうの客殿にしやうれいの正面のみす
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
いえなにもありませぬよ、何卒どうぞみなさん此方こちらへおいでなすつてナニ本堂ほんだうたばこんだつてかまやアしませぬ。其中そのうち和尚をしやうが出てる。和「ハイうも御愁傷ごしうしやうな事で。 ...
黄金餅 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
毒蟲どくむしくるしいから、もつと樹立こだちすくない、廣々ひろ/″\とした、うるさくないところをと、てら境内けいだいがついたから、あるして、卵塔場らんたふば開戸ひらきどからて、本堂ほんだうまへつた。
星あかり (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
どんな解答かいたふにしろひとこしらへてかなければならないとおもひながらも、仕舞しまひには根氣こんききて、はや宜道ぎだう夕食ゆふめし報知しらせ本堂ほんだうとほけてれゝばいと、そればかりかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
承知しようちいたしました」とつて、道翹だうげう本堂ほんだういて西にしあるいてく。
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
頼み入と云に祐然則ちうけたまはり代香だいかうをなし夫より皆々本堂ほんだうへ來り過去帳くわこちやうを取出させ委細ゐさい調しらべける
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
今度こんどのは完成くわんせいした。して本堂ほんだう正面しやうめんに、さゝえかず、内端うちはんだ、にくづきのしまつた、ひざはぎ釣合つりあひよく、すつくりとつたときはだえ小刀こがたなさえに、あたかしもごとしろえた。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
宗助そうすけまた本堂ほんだう佛壇ぶつだんまへけて、圍爐裏ゐろりつてある昨日きのふちやた。其所そこには昨日きのふとほ宜道ぎだう法衣ころも折釘をれくぎけてあつた。さうして本人ほんにん勝手かつてかまどまへ蹲踞うづくまつて、いてゐた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
雨戸あまどうちは、相州さうしう西鎌倉にしかまくら亂橋みだればし妙長寺めうちやうじといふ、法華宗ほつけしうてらの、本堂ほんだうとなつた八でふの、よこなが置床おきどこいた座敷ざしきで、むかつて左手ゆんでに、葛籠つゞら革鞄かばんなどをいたきはに、山科やましなといふ醫學生いがくせい
星あかり (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
丁度ちやうど上口のぼりくちあたり美濃みの蓮大寺れんたいじ本堂ほんだう床下ゆかしたまで吹抜ふきぬけの風穴かざあながあるといふことを年経としたつてからきましたが、なか/\其処そこどころの沙汰さたではない、一生懸命しやうけんめい景色けしき奇跡きせきもあるものかい
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
いき飛着とびついた、本堂ほんだうを、ちからまかせにがたひしとける、屋根やねうへで、ガラ/\といふひゞきかはらのこらず飛上とびあがつて、舞立まひたつて、亂合みだれあつて、打破うちやぶれたおとがしたので、はツとおもふと、くらんで
星あかり (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)