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たびそう
ふりがな文庫
“
旅僧
(
たびそう
)” の例文
いつともなく
菊亭右大臣家
(
きくていうだいじんけ
)
の
釣
(
つ
)
り
橋
(
ばし
)
にたたずんだ三人づれの
旅僧
(
たびそう
)
は、
人目
(
ひとめ
)
をはばかりがちに、ホトホトと裏門の
扉
(
と
)
をおとずれていた。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
例
(
れい
)
の
下
(
した
)
を
向
(
む
)
いて
悠々
(
いう/\
)
と
小取廻
(
ことりまはし
)
に
通抜
(
とほりぬ
)
ける
旅僧
(
たびそう
)
は、
誰
(
たれ
)
も
袖
(
そで
)
を
曳
(
ひ
)
かなかつたから、
幸
(
さいはひ
)
其後
(
そのあと
)
に
跟
(
つ
)
いて
町
(
まち
)
へ
入
(
はい
)
つて、
吻
(
ほツ
)
といふ
息
(
いき
)
を
吐
(
つ
)
いた。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
さして立去たり
跡
(
あと
)
に殘りし男は
猶
(
なほ
)
内の樣子を
窺
(
うかゞ
)
ひ居る故
旅僧
(
たびそう
)
は見付られなば殺されもやせんと
息
(
いき
)
を
堪
(
こら
)
へて車の
蔭
(
かげ
)
に
屈
(
かゞ
)
み居る中此方の
板塀
(
いたべい
)
の戸を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
地主
(
じぬし
)
は、
縁側
(
えんがわ
)
で、
庭
(
にわ
)
をながめながら、たばこをすっていました。そのとき、きたないふうをした、
旅僧
(
たびそう
)
が、はいってきて
水七景
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
かゝれ/\と
刀柄
(
つか
)
をたゝけば、応と意気込む覚えの面々、
人甲斐
(
ひとがい
)
も無き
旅僧
(
たびそう
)
一人。何程の事やあらむと
侮
(
あなど
)
りつゝ、雪影うつらふ氷の
刃
(
やいば
)
を、抜き
連
(
つ
)
れ抜き連れ
競
(
きそ
)
ひかゝる。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
▼ もっと見る
ハイ/\
是
(
これ
)
が
猪口
(
ちよく
)
かい、
大分
(
だいぶ
)
大きな物だね、アヽ
宜
(
い
)
い
工合
(
ぐあひ
)
についたね。グーツと一
口
(
くち
)
飲
(
の
)
むか
飲
(
の
)
まん
内
(
うち
)
に
旅僧
(
たびそう
)
が
渋
(
しぶ
)
い顔して、僧「アツ……
御亭主
(
ごていしゆ
)
、
序
(
ついで
)
に
愚僧
(
ぐそう
)
も
縛
(
しば
)
つてお
呉
(
く
)
れ。 ...
詩好の王様と棒縛の旅人
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
鬼
(
おに
)
は
真昼
(
まひる
)
の
光
(
ひかり
)
にあってはいくじのないものですから、うらめしそうに、しばらくは、
旅僧
(
たびそう
)
のうしろ
姿
(
すがた
)
を
遠
(
とお
)
くからながめていましたが、ふいと
姿
(
すがた
)
が
消
(
き
)
えて
見
(
み
)
えなくなりました。
安達が原
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
そこで
祠
(
ほこら
)
の扉を開けた。中には
袈裟
(
けさ
)
、
頭陀袋
(
ずだぶくろ
)
、
笠
(
かさ
)
、
手甲
(
てこう
)
、
脚絆
(
きゃはん
)
の一切が入っていた。道家は老人の
詞
(
ことば
)
に従ってそれを着て
旅僧
(
たびそう
)
の姿になり、
丑
(
うし
)
の
刻
(
こく
)
になって法華寺の別院へ往った。
赤い土の壺
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
雨期を過ぎて未だ久しからねば、泉の清水満々と
湛
(
たゝ
)
へたるに、
旅僧
(
たびそう
)
らしきが二人、驢馬を放ち真裸になりて、首まで
浸
(
ひた
)
り居りぬ。ぐるりの石に縄かけて
縋
(
すが
)
り居るを見れば、水の深さも知らる。
馬上三日の記:エルサレムよりナザレへ
(新字旧仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
「
竹童
(
ちくどう
)
みたいな
小僧
(
こぞう
)
には
斬
(
き
)
りまくられ、
旅僧
(
たびそう
)
ににらまれればすぐ
逃
(
に
)
げだすなんて、いくら
町人
(
ちょうにん
)
にしても、あまり
度胸
(
どきょう
)
がなさすぎるね」
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
糺問
(
きうもん
)
有
(
あり
)
ければ
終
(
つひ
)
に白状致しけり
因
(
よつ
)
て金屋の
盜賊
(
たうぞく
)
も相知れ夫より清三郎へ
追手
(
おつて
)
を
掛
(
かけ
)
られたり扨牢内より彼の
旅僧
(
たびそう
)
雲源
(
うんげん
)
を
呼出
(
よびいだ
)
され又伊勢屋三郎兵衞を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
旅僧
(
たびそう
)
も
私
(
わたし
)
と
同
(
おなじ
)
く
其
(
そ
)
の
鮨
(
すし
)
を
求
(
もと
)
めたのであるが、
蓋
(
ふた
)
を
開
(
あ
)
けると、ばら/\と
海苔
(
のり
)
が
懸
(
かゝ
)
つた、
五目飯
(
ちらし
)
の
下等
(
かとう
)
なので。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
と云う声は
谺
(
こだま
)
に響きます、
後
(
うしろ
)
の
三峰堂
(
みみねどう
)
の中に
雨止
(
あまやみ
)
をしていた
行脚
(
あんぎゃ
)
の
旅僧
(
たびそう
)
、今一人は供と見えて
菅
(
すげ
)
の深い
三度笠
(
さんどうがさ
)
に廻し合羽で、
柄前
(
つかまえ
)
へ皮を巻いて、
鉄拵
(
てつごしら
)
えの
胴金
(
どうがね
)
に手を掛け
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
ところが、
三日
(
みっか
)
めのことであります。
一人
(
ひとり
)
の
年老
(
としと
)
った
旅僧
(
たびそう
)
が、
自分
(
じぶん
)
の
前
(
まえ
)
を
通
(
とお
)
りかかりました。
武ちゃんと昔話
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
それは
彼
(
か
)
の
旅僧
(
たびそう
)
であった。
竈の中の顔
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
と
跳
(
は
)
ねおきて見ると、いつの
間
(
ま
)
にそこへきたか、
網代
(
あじろ
)
の
笠
(
かさ
)
を
眉深
(
まぶか
)
にかぶったひとりの
旅僧
(
たびそう
)
、ひだりに
鉄鉢
(
てっぱち
)
をもち、みぎに
拳
(
こぶし
)
をふりあげて
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
特
(
こと
)
に
炬燵
(
こたつ
)
が
出来
(
でき
)
て
居
(
ゐ
)
たから
私
(
わたし
)
は
其
(
その
)
まゝ
嬉
(
うれ
)
しく
入
(
はい
)
つた。
寐床
(
ねどこ
)
は
最
(
も
)
う一
組
(
くみ
)
同一
(
おなじ
)
炬燵
(
こたつ
)
に
敷
(
し
)
いてあつたが、
旅僧
(
たびそう
)
は
之
(
これ
)
には
来
(
きた
)
らず、
横
(
よこ
)
に
枕
(
まくら
)
を
並
(
なら
)
べて、
火
(
ひ
)
の
気
(
け
)
のない
臥床
(
ねどこ
)
に
寐
(
ね
)
た。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
旅僧
(
たびそう
)
は
扨々
(
さて/\
)
囂
(
やか
)
ましい
強情者
(
がうじやうもの
)
めと
無理無體
(
むりむたい
)
に
引摺々々
(
ひきずり/\
)
行處へ九助は何
氣
(
げ
)
なく
行掛
(
ゆきかゝ
)
りければ彼の娘は九助を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
何か知らんと
透
(
すか
)
して見れば、
樵夫
(
きこり
)
が立てましたか、
但
(
たゞ
)
しは
旅僧
(
たびそう
)
が
勤行
(
ごんぎょう
)
でもせし処か、家と云えば家、ほんの
雨露
(
うろ
)
を
凌
(
しの
)
ぐだけの小屋があります。文治は立止って表から大声に
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
旅僧
(
たびそう
)
は、こんど、
村
(
むら
)
はずれの、
小
(
ちい
)
さな百
姓家
(
しょうや
)
へはいって、たのみました。
水七景
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「これは、
旅僧
(
たびそう
)
」
竈の中の顔
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
嘗
(
かつ
)
て
城
(
じやう
)
ヶ
沼
(
ぬま
)
の
縁
(
ふち
)
で
旅僧
(
たびそう
)
の
口
(
くち
)
から
魔界
(
まかい
)
の
暗示
(
あんじ
)
を
伝
(
つた
)
へられたゝめに——
太
(
いた
)
く
忌
(
いま
)
はしかつたので、……
権七
(
ごんしち
)
に
取寄
(
とりよ
)
せさした
着換
(
きがえ
)
の
衣
(
きぬ
)
は、
恰
(
あたか
)
も
祠
(
ほこら
)
の
屋根
(
やね
)
に
藤
(
ふぢ
)
の
花
(
はな
)
が
咲
(
さ
)
きかゝつたのを
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
旅の事だから
布施物
(
ふせもつ
)
を出さんでも宜しい、それやア一文ずつ貰って歩く
旅僧
(
たびそう
)
ですから、一文でも二文でも御回向をいたすのは
当然
(
あたりまえ
)
で、
併
(
しか
)
し布施のない経は功徳にならんと云うから、これは戴きます
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
旅僧
(
たびそう
)
は、そのまま、だまって、
木戸口
(
きどぐち
)
を
出
(
で
)
ていきました。
水七景
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「
一人女
(
ひとりをんな
)
」「
一人坊主
(
ひとりばうず
)
」は、
暴風
(
あれ
)
か、
火災
(
くわさい
)
か、
難破
(
なんぱ
)
か、いづれにもせよ
危險
(
きけん
)
ありて、
船
(
ふね
)
を
襲
(
おそ
)
ふの
兆
(
てう
)
なりと
言傳
(
いひつた
)
へて、
船頭
(
せんどう
)
は
太
(
いた
)
く
之
(
これ
)
を
忌
(
い
)
めり。
其日
(
そのひ
)
の
加能丸
(
かのうまる
)
は
偶然
(
ぐうぜん
)
一
人
(
にん
)
の
旅僧
(
たびそう
)
を
乘
(
の
)
せたり。
旅僧
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
旅僧
(
たびそう
)
は
冷々然
(
れい/\ぜん
)
として、
聞
(
きこ
)
えよがしに
風説
(
うはさ
)
して
惡樣
(
あしざま
)
に
罵
(
のゝし
)
る
聲
(
こゑ
)
を
耳
(
みゝ
)
にも
入
(
い
)
れざりき。
旅僧
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
旅僧
(
たびそう
)
はそういって、
握拳
(
にぎりこぶし
)
を両方
枕
(
まくら
)
に乗せ、それで額を支えながら
俯向
(
うつむ
)
いた。
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
旅僧
(
たびそう
)
は
年紀
(
とし
)
四十二三、
全身
(
ぜんしん
)
黒
(
くろ
)
く
痩
(
や
)
せて、
鼻
(
はな
)
隆
(
たか
)
く、
眉
(
まゆ
)
濃
(
こ
)
く、
耳許
(
みゝもと
)
より
頤
(
おとがひ
)
、
頤
(
おとがひ
)
より
鼻
(
はな
)
の
下
(
した
)
まで、
短
(
みじか
)
き
髭
(
ひげ
)
は
斑
(
まだら
)
に
生
(
お
)
ひたり。
懸
(
か
)
けたる
袈裟
(
けさ
)
の
色
(
いろ
)
は
褪
(
あ
)
せて、
法衣
(
ころも
)
の
袖
(
そで
)
も
破
(
やぶ
)
れたるが、
服裝
(
いでたち
)
を
見
(
み
)
れば
法華宗
(
ほつけしう
)
なり。
旅僧
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「さて、夜も
更
(
ふ
)
けました、」といって
旅僧
(
たびそう
)
はまた
語出
(
かたりだ
)
した。
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と、小次郎法師の
旅僧
(
たびそう
)
は
法衣
(
ころも
)
の袖を
掻合
(
かきあわ
)
せる。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
旅
常用漢字
小3
部首:⽅
10画
僧
常用漢字
中学
部首:⼈
13画
“旅僧”で始まる語句
旅僧体