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蔭口
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かげぐち
ふりがな文庫
“
蔭口
(
かげぐち
)” の例文
歌劇『セヴィリアの理髪師』の「
蔭口
(
かげぐち
)
の歌」も私は三種類持っている。帝政時代のロシアで入れたグラモフォンのレコードが一番美しい。
名曲決定盤
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
、
野村長一
(著)
などと、美奈子の心を察するように、忠勤ぶった
蔭口
(
かげぐち
)
を利く時などには、美奈子は、その女中をそれとなく
窘
(
たしな
)
めるのが常だった。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
いたずらに
蔭口
(
かげぐち
)
を云うくらいですごしていたが、若い娘の胸の火はこの頃の暑さ以上に燃えて熱して、かれの魂は
憤怒
(
ふんぬ
)
に焼けただれていた。
半七捕物帳:35 半七先生
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
尤
(
もっと
)
もわたしは、うすうすみんなが
蔭口
(
かげぐち
)
いうていることぐらい感づいてましたもんの、それがそないに騒がれてようとは夢にも知りませなんだ。
卍
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
我
(
わ
)
が
蔭口
(
かげぐち
)
を
露
(
つゆ
)
ばかりもいふ
者
(
もの
)
ありと
聞
(
き
)
けば、
立出
(
たちい
)
でゝ
喧嘩口論
(
けんくわこうろん
)
の
勇氣
(
ゆふき
)
もなく、
部屋
(
へや
)
にとぢ
籠
(
こも
)
つて
人
(
ひと
)
に
面
(
おもて
)
の
合
(
あ
)
はされぬ
憶病至極
(
おくびやうしごく
)
の
身
(
み
)
なりけるを
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
▼ もっと見る
其
(
そ
)
の
以前
(
いぜん
)
から
勘次
(
かんじ
)
は
秋
(
あき
)
になれば
掛稻
(
かけいね
)
を
盜
(
ぬす
)
むとかいふ
蔭口
(
かげぐち
)
を
利
(
き
)
かれて
巡査
(
じゆんさ
)
の
手帖
(
ててふ
)
にも
載
(
の
)
つて
居
(
ゐ
)
るのだといふやうなことがいはれて
居
(
ゐ
)
たのであつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
河童は材木屋だと
蔭口
(
かげぐち
)
きかれていたが、妾が何人もいて若い生血を吸うからという意味もあるらしかった。
夫婦善哉
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
蔭口
(
かげぐち
)
をきくのでさえ、公然と名前が云えないくらいな男だから、弱虫に
極
(
き
)
まってる。弱虫は親切なものだから、あの赤シャツも女のような親切ものなんだろう。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
善ニョムさん達は、この「大野さん」を成り上り者と
蔭口
(
かげぐち
)
云うように、この山荘庵の主人はわずか十四五年のうちに、この村中を買占めてしまった大地主だった。
麦の芽
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
蔭口
(
かげぐち
)
や皮肉をとばす、整調森さんの意地悪さ、面とむかって「ぶちまわすぞ」と
威
(
おど
)
かす五番松山さんの
凄
(
すさ
)
まじさ、そうした予感が、
堪
(
た
)
えがたいまでに、ちらつきます。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
「あなたが先日あの方にあげた品ですね、あれをあの方は、こんな
粗末
(
そまつ
)
なものを
貰
(
もら
)
ったって何にもなりゃしないって
蔭口
(
かげぐち
)
云
(
い
)
ってましたよ。」などと
告
(
つ
)
げる第三者があるとします。
岡本一平論:――親の前で祈祷
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
なるほど
朝夕
(
ちょうせき
)
側に仕えてみると、弥五郎一刀斎は気難しい。善鬼の
蔭口
(
かげぐち
)
は嘘ではない。
剣の四君子:05 小野忠明
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
小泉
(
こいずみ
)
の
家
(
いえ
)
は、
貧乏
(
びんぼう
)
だから
先生
(
せんせい
)
がやったんだよ。」と、
蔭口
(
かげぐち
)
をしているのを
聞
(
き
)
くと
生きぬく力
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
君と僕が対立的にみられるのは僕にはかえって面白いくらいだ。たとえばポオとレニンが比較されて、ポオがレニンに策士だといって
蔭口
(
かげぐち
)
をきいたといった風なゴシップは愉快だからな。
虚構の春
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
またその頃の
蔭口
(
かげぐち
)
に、「三条公は白豆、姉小路卿は黒豆」という言葉もあった。
大菩薩峠:04 三輪の神杉の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
ただ
僅
(
わず
)
かに、旅館の向い側にある居酒屋の入口に立っていた
露助
(
ろすけ
)
の百姓が二人、ぼそぼそと
蔭口
(
かげぐち
)
をきいただけで、それも、乗っている紳士のことよりも、馬車の方が問題になったのである。
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
近辺の
大店
(
おおたな
)
向きやお屋敷方へも手広く出入りをするので、町内の同業者からはとんだ商売
敵
(
がたき
)
にされて、何のあいつが吉新なものか、煮ても焼いても食えねえ悪新だなぞと
蔭口
(
かげぐち
)
を
叩
(
たた
)
く者もある。
深川女房
(新字新仮名)
/
小栗風葉
(著)
虚実は知らぬが、「十ウで神童、ハタチで才子、二十以上はタダの人というお約束通り、森の子も行末はタダの人サ、」と郷人の
蔭口
(
かげぐち
)
するのを
洩
(
も
)
れ聞いて発憤して
益々
(
ますます
)
力学したという説がある。
鴎外博士の追憶
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
貰った給金は残らず家の方に仕送って家からたまに届けてよこす衣類といっては、とても小樽では着られないものばかりなので、奥さんからは皮肉な眼を向けられ、朋輩からは
蔭口
(
かげぐち
)
をたたかれる。
星座
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
甚太夫の負けざまは、間もなく
蔭口
(
かげぐち
)
の的になった。
或敵打の話
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
蔭口
(
かげぐち
)
やら壁訴訟やらの絶えることはない。
雁
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
蔭口
(
かげぐち
)
に、男に似ると
云
(
い
)
はるるはよし
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
參詣人
(
さんけいにん
)
へも
愛想
(
あいそ
)
よく
門前
(
もんぜん
)
の
花屋
(
はなや
)
が
口惡
(
くちわ
)
る
嚊
(
かゝ
)
も
兎角
(
とかく
)
の
蔭口
(
かげぐち
)
を
言
(
い
)
はぬを
見
(
み
)
れば、
着
(
き
)
ふるしの
浴衣
(
ゆかた
)
、
總菜
(
そうざい
)
のお
殘
(
のこ
)
りなどおのずからの
御恩
(
ごおん
)
も
蒙
(
かうむ
)
るなるべし
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
燈
(
とも
)
すようにして暮らしたその日その日の
飯
(
めし
)
の減り方まで多いの少いのと云うので食事も十分には
摂
(
と
)
れなかったくらいであった奉公人は
蔭口
(
かげぐち
)
をきいて
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
バツの惡くなつた金之丞は、六郎の不遠慮な
蔭口
(
かげぐち
)
を
封
(
ふう
)
ずる爲には、平次を外へ引張り出す外に
術
(
て
)
はなかつたのです。
銭形平次捕物控:032 路地の足跡
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「かくてあらんため——北の方なる試合に行き給え。けさ立てる人々の蹄の
痕
(
あと
)
を追い懸けて病
癒
(
い
)
えぬと申し給え。この頃の
蔭口
(
かげぐち
)
、二人をつつむ
疑
(
うたがい
)
の雲を晴し給え」
薤露行
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
恁
(
か
)
ういふ
遠慮
(
ゑんりよ
)
のない
蔭口
(
かげぐち
)
を
利
(
き
)
かれるまでには
苦
(
くる
)
しい
間
(
あひだ
)
の三四
年
(
ねん
)
を
過
(
すご
)
して
來
(
き
)
たのである。
彼
(
かれ
)
の
生活
(
せいくわつ
)
はほつかりと
夜明
(
よあけ
)
の
光
(
ひかり
)
を
見
(
み
)
たのであつた。おつぎは
此
(
この
)
時
(
とき
)
廿
(
はたち
)
の
聲
(
こゑ
)
を
聞
(
き
)
いて
居
(
ゐ
)
たのである。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
生まれ故郷の
清河県
(
せいかけん
)
でもそうだったが、この街でもそろそろ兄さんを小馬鹿にする
餓鬼
(
がき
)
どもの声が立っている。
饅頭
(
まんじゅう
)
売りの
人三化七
(
にんさんばけしち
)
だとか、ぼろッ
布
(
き
)
れの
儒人
(
こびと
)
だとかろくな
蔭口
(
かげぐち
)
を言やあしねえ。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
参詣人
(
さんけいにん
)
へも愛想よく門前の花屋が口悪る
嚊
(
かか
)
もとかくの
蔭口
(
かげぐち
)
を言はぬを見れば、着ふるしの
裕衣
(
ゆかた
)
、
総菜
(
そうざい
)
のお残りなどおのづからの御恩も
蒙
(
かうむ
)
るなるべし
たけくらべ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
雪子ちゃんがいれば重宝だものだから、それで此方へ帰らしてくれないのだ、と云うくらいな
蔭口
(
かげぐち
)
はきいた。
細雪:01 上巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
……そんなばあい、もしここで、彼らが一年の楽しみとしておる
元宵節
(
げんしょうせつ
)
の行事までを、禁止すると発令したら、またも不景気の様相を一倍にし、
怨嗟
(
えんさ
)
、
蔭口
(
かげぐち
)
、果ては暴動にもおよばぬ限りもありません
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
あれが頭の子でなくばと
鳶人足
(
とびにんそく
)
が女房の
蔭口
(
かげぐち
)
に聞えぬ、心一ぱいに我がままを
徹
(
とほ
)
して身に合はぬ
巾
(
はば
)
をも広げしが、
表町
(
おもてまち
)
に田中屋の
正太郎
(
しようたらう
)
とて歳は我れに三つ劣れど
たけくらべ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
故
(
ゆえ
)
に様子を知らない新参の入門者は二人の間を疑う
由
(
よし
)
もなかったというまた鵙屋の奉公人共はあれでこいさんはどんな顔をして佐助どんを
口説
(
くど
)
くのだろうこっそり立ち
聴
(
ぎ
)
きしてやりたいと
蔭口
(
かげぐち
)
を
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
年は随一若けれども客を呼ぶに妙ありて、さのみは愛想の嬉しがらせを言ふやうにもなく我まま至極の身の振舞、少し
容貌
(
きりよう
)
の自慢かと思へば
小面
(
こづら
)
が憎くいと
蔭口
(
かげぐち
)
いふ朋輩もありけれど
にごりえ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
年
(
とし
)
は
隨
(
ずい
)
一
若
(
わか
)
けれども
客
(
きやく
)
を
呼
(
よ
)
ぶに
妙
(
めう
)
ありて、さのみは
愛想
(
あいさう
)
の
嬉
(
うれ
)
しがらせを
言
(
い
)
ふやうにもなく
我
(
わが
)
まゝ
至極
(
しごく
)
の
身
(
み
)
の
振舞
(
ふるまい
)
、
少
(
すこ
)
し
容貌
(
きりよう
)
の
自慢
(
じまん
)
かと
思
(
おも
)
へば
小面
(
こづら
)
が
憎
(
に
)
くいと
蔭口
(
かげぐち
)
いふ
朋輩
(
はうばい
)
もありけれど
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
仁和賀
(
にわか
)
の
金棒
(
かなぼう
)
に
親父
(
おやぢ
)
の
代理
(
だいり
)
をつとめしより
氣位
(
きぐらい
)
ゑらく
成
(
な
)
りて、
帶
(
おび
)
は
腰
(
こし
)
の
先
(
さき
)
に、
返事
(
へんじ
)
は
鼻
(
はな
)
の
先
(
さき
)
にていふ
物
(
もの
)
と
定
(
さだ
)
め、にくらしき
風俗
(
ふうぞく
)
、あれが
頭
(
かしら
)
の
子
(
こ
)
でなくばと
鳶人足
(
とびにんそく
)
が
女房
(
にようぼう
)
の
蔭口
(
かげぐち
)
に
聞
(
きこ
)
えぬ
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
オヽお
前
(
まへ
)
の
留守
(
るす
)
に
差配
(
さはい
)
どのが
見
(
み
)
えられてといひさしてしばたゝく
瞼
(
まぶた
)
の
露
(
つゆ
)
白岡鬼平
(
しらをかきへい
)
といふ
有名
(
いうめい
)
の
無慈悲
(
むじひ
)
もの
惡鬼
(
あくき
)
よ
羅刹
(
らせつ
)
よと
蔭口
(
かげぐち
)
するは
澁團扇
(
しぶうちは
)
の
縁
(
えん
)
はなれぬ
店子共
(
たなこども
)
が
得手勝手
(
えてがつて
)
家賃
(
やちん
)
奇麗
(
きれい
)
に
拂
(
はら
)
ひて
盆暮
(
ぼんくれ
)
の
砂糖袋
(
さたうぶくろ
)
甘
(
あま
)
き
汁
(
しる
)
さへ
吸
(
す
)
はし
置
(
お
)
かば
下
(
さ
)
ぐる
目尻
(
めじり
)
と
諸共
(
もろとも
)
に
眉毛
(
まゆげ
)
の
名
(
な
)
によぶ
地藏顏
(
ぢざうがほ
)
にも
見
(
み
)
ゆべけれど
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
又
(
また
)
苦
(
く
)
の
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
やと
我身
(
わがみ
)
に
比
(
くら
)
べて
最憐
(
いとおし
)
がり
心
(
こゝろ
)
の
限
(
かぎ
)
り
慰
(
なぐさ
)
められ
優子
(
いうこ
)
眞實
(
しんじつ
)
たのもしく
深
(
ふか
)
くぞ
染
(
そ
)
めし
初花
(
はつはな
)
ごろも
色
(
いろ
)
には
出
(
いで
)
じとつゝみしは
和女
(
そなた
)
への
隔心
(
かくしん
)
ならず
有樣
(
ありやう
)
は
打明
(
うちあけ
)
てと
幾
(
いく
)
たびも
口元
(
くちもと
)
までは
出
(
で
)
しものゝ
恥
(
はづ
)
かしさにツイ
云
(
い
)
ひそゝくれぬ
和女
(
そなた
)
はまだ
昨日今日
(
きのふけふ
)
とて
見參
(
みまゐ
)
らせし
事
(
こと
)
も
無
(
な
)
きならんが
婢女
(
をんな
)
どもは
蔭口
(
かげぐち
)
にお
名
(
な
)
は
五月雨
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
蔭
漢検準1級
部首:⾋
14画
口
常用漢字
小1
部首:⼝
3画
“蔭”で始まる語句
蔭
蔭間
蔭日向
蔭乍
蔭言
蔭様
蔭干
蔭膳
蔭影
蔭身