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こは
ふりがな文庫
“
硬
(
こは
)” の例文
旅行をする折にも手が
硬
(
こは
)
ばると
可
(
い
)
けないからといつて、ピアノを汽車のなかに担ぎ込んで、
閑
(
ひま
)
さへあれば
鍵盤
(
キイ
)
を打つてゐる人である。
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
鯛
(
たひ
)
の
子
(
こ
)
はくやしくつて
火
(
ひ
)
のやうに
眞赤
(
まつか
)
になりました。けれどまた
怖
(
こわ
)
くつて、
氷
(
こほり
)
のやうに
硬
(
こは
)
ばつてぶるぶる、ふるえてをりました。
ちるちる・みちる
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
手桶
(
てをけ
)
の
冷
(
つめ
)
たい
水
(
みづ
)
で
曝
(
さら
)
した
蕎麥
(
そば
)
は
杉箸
(
すぎはし
)
のやうに
太
(
ふと
)
いのに、
黄蜀葵
(
ねり
)
の
特色
(
とくしよく
)
の
硬
(
こは
)
さと
滑
(
なめ
)
らかさとで
椀
(
わん
)
から
跳
(
をど
)
り
出
(
だ
)
し
相
(
さう
)
に
成
(
な
)
るのであつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
而
(
しか
)
も翌朝目覚めた時には、体が木のやうに
硬
(
こは
)
ばり節々が痛むところの自分を、苦笑をもつて知らなければならなかつた。
田園の憂欝:或は病める薔薇
(新字旧仮名)
/
佐藤春夫
(著)
其
(
その
)
油氣
(
あぶらけ
)
のない
硬
(
こは
)
い
髮
(
かみ
)
の
毛
(
け
)
が、
何
(
ど
)
ういふ
譯
(
わけ
)
か、
頭
(
あたま
)
の
眞中
(
まんなか
)
で
立派
(
りつぱ
)
に
左右
(
さいう
)
に
分
(
わ
)
けられてゐる
樣
(
さま
)
を、
絶
(
た
)
えず
眼
(
め
)
の
前
(
まへ
)
に
浮
(
うか
)
べた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
わたしは
硬
(
こは
)
ばつた心が急に融ける思ひがして、同じくらゐ
背
(
せい
)
の高い相手の顏に、感動の眼を見張つた。
地方主義篇:(散文詩)
(旧字旧仮名)
/
福士幸次郎
(著)
夫婦
(
ふうふ
)
が
活
(
い
)
きて
再
(
ふたゝ
)
び
天日
(
てんじつ
)
を
仰
(
あふ
)
ぐのは、
唯
(
たゞ
)
無事
(
ぶじ
)
に
下
(
した
)
まで
幾階
(
いくかい
)
の
段
(
だん
)
を
降
(
お
)
りる、
其
(
それ
)
ばかり、と
思
(
おも
)
ふと、
昨夜
(
ゆふべ
)
にも
似
(
に
)
ず、
爪先
(
つまさき
)
が
震
(
ふる
)
ふ、
腰
(
こし
)
が、がくつく、
血
(
ち
)
が
凍
(
こほ
)
つて
肉
(
にく
)
が
硬
(
こは
)
ばる。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「君の毛髮もずゐぶん
硬
(
こは
)
さうだな……」と詩人は路易の刈り立ての頭へ目をやりながら言つた。
顔
(旧字旧仮名)
/
堀辰雄
(著)
るい あらまあ、奥様、そんなにお
改
(
あらたま
)
りになつちや、わたくし、舌が
硬
(
こは
)
ばつてしまひますわ。
顔
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
「案の通りやつて来たな。」と云ふ風に、道助は落ちついて微笑し初めた、がそれが、途中でふいと
硬
(
こは
)
ばつてしまつた。彼女が傍につゝ伏して肩を震はせてゐるのだつた……
静物
(新字旧仮名)
/
十一谷義三郎
(著)
私は、長く坐つてゐたので、
硬
(
こは
)
ばつてゐた。さうして、馬車の騷音と動搖で、混亂してゐた。私は元氣を出して、自分の周圍を見た。雨と風と
暗闇
(
くらやみ
)
とが、大氣に
瀰漫
(
びまん
)
してゐた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
にじり足に
詰
(
つめ
)
あひ候ふて、たがひに声ばかり数十度も交し、やがては、押太鼓も耳には聞えず、わが声も人のもわかたず、眼くらみ、槍もつ手は
硬
(
こは
)
ばり、身心地も候はず、一瞬
上杉謙信
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その時のことを思ひ出したらしく、お玉は美しい顏を
硬
(
こは
)
ばらせて、
固唾
(
かたづ
)
を呑みました。
銭形平次捕物控:279 持参千両
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
忽然として我れを忘れた歓喜と此世ならぬ陶酔との絶頂にあつた一同の顔は一斉に化石した如く蒼く
硬
(
こは
)
ばり、そして彼等は、ハツと一時に息をひそめて、
睜開
(
みひら
)
いた視線を其方に向けた。
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死
(新字旧仮名)
/
長与善郎
(著)
この
帶
(
たい
)
には
偃松
(
はひまつ
)
のかはりに、いはやなぎ、しゃくなげ、なゝかまど、やまはんのき、べにばないちご
等
(
など
)
が
生育
(
せいいく
)
し、
特
(
とく
)
にしゃくなげはつや/\した
厚
(
あつ
)
い
葉
(
は
)
、
硬
(
こは
)
い
枝
(
えだ
)
、
美
(
うつく
)
しい
花
(
はな
)
が
目立
(
めだ
)
つので
森林と樹木と動物
(旧字旧仮名)
/
本多静六
(著)
飯も
冷
(
つめた
)
くなつてゐたり
硬
(
こは
)
かつたりするので、冷吉のにはたんびに粥を作つた。
赤い鳥
(旧字旧仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
糊を附けて
硬
(
こは
)
ばつた
晶子詩篇全集拾遺
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
「もう
可
(
い
)
い/\。」森久保氏は百姓のやうな
硬
(
こは
)
つぱしい
掌面
(
てのひら
)
を鼻先で
揮
(
ふ
)
り廻す。そして直ぐ
説経祭文
(
せつきやうさいもん
)
のやうな節で
後
(
あと
)
の文句を読み続ける。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
それに
右
(
みぎ
)
の
手
(
て
)
が
肩
(
かた
)
のあたりで
硬
(
こは
)
ばつたやうで
動
(
うご
)
かしやうによつてはきや/\と
疼痛
(
いたみ
)
を
覺
(
おぼ
)
えた。
彼
(
かれ
)
は
病氣
(
びやうき
)
が
其處
(
そこ
)
に
聚
(
あつま
)
つたのではないかと
思
(
おも
)
つた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
頬は涙が乾いて
硬
(
こは
)
ばつて居た。彼はぢつと自分の心の方へ自分の目を向けた。さうして心のなかでいくつかの自分同士がする会話を、人ごとのやうに聞いて居た——。
田園の憂欝:或は病める薔薇
(新字旧仮名)
/
佐藤春夫
(著)
「
彼方
(
あつち
)
へ
行
(
い
)
きませう」と
云
(
い
)
つて、
茶
(
ちや
)
の
間
(
ま
)
を
通
(
とほ
)
り
越
(
こ
)
して、
廊下
(
らうか
)
傳
(
づた
)
ひに
小
(
ちひ
)
さな
書齋
(
しよさい
)
へ
入
(
はひ
)
つた。
其所
(
そこ
)
には
棕梠
(
しゆろ
)
の
筆
(
ふで
)
で
書
(
か
)
いた
樣
(
やう
)
な、
大
(
おほ
)
きな
硬
(
こは
)
い
字
(
じ
)
が五
字
(
じ
)
ばかり
床
(
とこ
)
の
間
(
ま
)
に
懸
(
かゝ
)
つてゐた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
が、
疼々
(
いた/\
)
しい
此
(
こ
)
の
硬
(
こは
)
ばつた、
雨
(
あめ
)
と
埃
(
ほこり
)
と
日光
(
につくわう
)
をしたゝかに
吸
(
す
)
つた、
功羅
(
こうら
)
生
(
は
)
へた
鼠色
(
ねづみいろ
)
の
大
(
おほき
)
な
蝙蝠
(
こうもり
)
。
続銀鼎
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
それなのにあなたはその小さな蒼ざめた顏を、あんな決然とした冷たい樣子をして
硬
(
こは
)
ばらしてゐるのだ。私には我慢がならなかつた。お
止
(
よ
)
し、もう、そして眼をお拭きなさい。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
鈴川
主水
(
もんど
)
は相變らず、冷たい顏を
硬
(
こは
)
ばらせて、思ひきつたことをいふのです。
銭形平次捕物控:314 美少年国
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
それは、その頃まで道助の周囲を取り
捲
(
ま
)
いてゐた空気の明暗をよく呑込んだ言葉だつた。然しそれを聞くと、道助は
却
(
かへ
)
つて自分の気持ちが妙に
硬
(
こは
)
ばるのを感じた。で彼は窓の外へ眼をやつた。
静物
(新字旧仮名)
/
十一谷義三郎
(著)
「えゝよ卅まで
獨
(
ひと
)
りぢや
置
(
お
)
かねえから
此
(
こ
)
れげはいまに
聟
(
むこ
)
とんだから」
勘次
(
かんじ
)
は
喧嘩
(
けんくわ
)
でもする
樣
(
やう
)
な
容子
(
ようす
)
で
硬
(
こは
)
ばつた
舌
(
した
)
でいつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
王の
硬
(
こは
)
つぱしい針金のやうな髪の毛がだんだん白くなるのを見つけた皇后は、もうぢつとしてゐられなくなつた。
茶話:08 大正十五(一九二六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
言はば花片と葉との間のものとでも言ふやうなものにまで
硬
(
こは
)
ばつて行くのを見た事があつた。
田園の憂欝:或は病める薔薇
(新字旧仮名)
/
佐藤春夫
(著)
硬
(
こは
)
いのがごそりと
脱
(
ぬ
)
げると……
靴下
(
くつした
)
ならまだ
可
(
い
)
い「
何
(
なに
)
、
體裁
(
ていさい
)
なんぞ、そんな
事
(
こと
)
。」
邊幅
(
へんぷく
)
を
修
(
しう
)
しない
男
(
をとこ
)
だから、
紺足袋
(
こんたび
)
で、おや
指
(
ゆび
)
の
尖
(
さき
)
に
大
(
おほ
)
きな
穴
(
あな
)
のあいたのが、
油蟲
(
あぶらむし
)
を
挾
(
はさ
)
んだ
如
(
ごと
)
く
顯
(
あら
)
はれた。
麻を刈る
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
瀬戸物
(
せともの
)
の
釦
(
ぼたん
)
の
着
(
つ
)
いた
白木綿
(
しろもめん
)
の
襯衣
(
しやつ
)
を
着
(
き
)
て、
手織
(
ており
)
の
硬
(
こは
)
い
布子
(
ぬのこ
)
の
襟
(
えり
)
から
財布
(
さいふ
)
の
紐
(
ひも
)
見
(
み
)
たやうな
長
(
なが
)
い
丸打
(
まるうち
)
を
懸
(
か
)
けた
樣子
(
やうす
)
は、
滅多
(
めつた
)
に
東京
(
とうきやう
)
抔
(
など
)
へ
出
(
で
)
る
機會
(
きくわい
)
のない
遠
(
とほ
)
い
山
(
やま
)
の
國
(
くに
)
のものとしか
受
(
う
)
け
取
(
と
)
れなかつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
階子段
(
はしごだん
)
の下で、手代の金之助は顏を
硬
(
こは
)
ばらせるのです。
銭形平次捕物控:311 鬼女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「さうぢや、右の三人は無論
傑
(
すぐ
)
れては居るが」家康はいつもの癖で、
硬
(
こは
)
ばつた
掌面
(
てのひら
)
で軽く膝頭を叩いた。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
其
(
そ
)
の
膏薬
(
かうやく
)
を
剥
(
は
)
がすにも
親
(
おや
)
や
兄
(
あに
)
、
又
(
また
)
傍
(
そば
)
のものが
手
(
て
)
を
懸
(
か
)
けると、
堅
(
かた
)
くなつて
硬
(
こは
)
ばつたのが、めり/\と
肉
(
にく
)
にくツついて
取
(
と
)
れる、ひい/\と
泣
(
な
)
くのぢやが、
娘
(
むすめ
)
が
手
(
て
)
をかけてやれば
黙
(
だま
)
つて
耐
(
こら
)
へた。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
かくしつゝ我は痩せむと茶を掛けて
硬
(
こは
)
き飯はむ豈うまからず
長塚節歌集:3 下
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
和七の表情は急に
硬
(
こは
)
ばります。
銭形平次捕物控:110 十万両の行方
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
といつて、
硬
(
こは
)
つぱしい
掌面
(
てのひら
)
にそれを取り上げたと思ふと、ばりばり音をさせて噛んだ。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
幸
(
さいはひ
)
に
風
(
かぜ
)
が
無
(
な
)
く、
雪路
(
ゆきみち
)
に
譬
(
たと
)
ひ
山中
(
さんちう
)
でも、
然
(
さ
)
までには
寒
(
さむ
)
くない、
踏
(
ふ
)
みしめるに
力
(
ちから
)
の
入
(
い
)
るだけ、
却
(
かへ
)
つて
汗
(
あせ
)
するばかりであつたが、
裾
(
すそ
)
も
袂
(
たもと
)
も
硬
(
こは
)
ばるやうに、ぞつと
寒
(
さむ
)
さが
身
(
み
)
に
迫
(
せま
)
ると、
山々
(
やま/\
)
の
影
(
かげ
)
がさして
雪の翼
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「鳥取か。」山岡氏は両手を
卓子
(
テーブル
)
の上に
支
(
つか
)
ひ
棒
(
ぼう
)
にして、顔をその上に載つけた。ごりごりした顎髯にも痛まない程
掌面
(
てのひら
)
は
硬
(
こは
)
いらしかつた。「ぢや訊くが、鳥取では米は幾らしてるね。」
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
硬
常用漢字
中学
部首:⽯
12画
“硬”を含む語句
硬直
硬張
強硬
手硬
堅硬
生硬
硬過
硬化
硬骨
硬玉
硬相
鯱硬張
硬骨漢
硬苦
硬口蓋
硬筆
固硬
防空硬天井
透明硬膜
軽硬金属板
...