ぶか)” の例文
なんでも、あおいかえるをはりにつけて、どろぶかかわで、なまずをり、やまからながれてくる早瀬はやせでは、あゆをるのだというはなしでした。
都会はぜいたくだ (新字新仮名) / 小川未明(著)
四日つづけてかの女は来た。そのたんびにだんだん優しくも、愛情あいじょうぶかくもなっていったが、やはりいくらかひかえ目にするところがあった。
それは人にわれてうしなったきつねが、ほかの慈悲じひぶか人間にんげんたすけをもとめているのだということはすぐかりました。
葛の葉狐 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
ういふお慈悲なさけぶか旦那様だんなさまがおありなさるから、八百膳やほぜん料理れうり無宿者やどなしくだされるのだ、おれいまうしていたゞけよ、おぜんいたゞくことは、きさま生涯しやうがい出来できないぞ。
ソログーブの最大傑作さいだいけっさくは『小悪魔しょうあくま』とされているが、われわれにもっと愛着あいちゃくかんじさせる、したしみぶか作品さくひん短篇たんぺんこと少年少女しょうねんしょうじょ主題しゅだいにした短篇小説たんぺんしょうせつである。
身体検査 (新字新仮名) / フョードル・ソログープ(著)
「今夜こそは一生のお別れ、これを最後に、私は京大坂へでも参ります。無理な首尾をしても宵から夜中まで、いつもの場所で逢ってくれるように」とあわれぶかつづってあるのです。
「大層嫌うな。……その執拗しつこい、嫉妬しっとぶかいのに、口説くどかれたらお前はどうする。」
みさごの鮨 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
甚だ孝心ぶかい男で、巴里パリイの下宿の屋根裏に住んで語学教師やその外の内職で自活しながら毎週二度田舎ゐなかの母親をふのをたのしみにして居る。ヌエ君と下宿のかどで別れて三人は自動車に乗つた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
うたがいぶかくておくびょうで、しまいには家じゅうのドアにもまどにも、かぎをかけはじめたんだ。ぼくがどこからもげることができないようにしておいて、ピストルでちとろうとしたんだ。
もちろん、まだどろぼうが貨車の中にぐずついていようとは思わなかったけれど、用心ようじんのために、そばにあった信号旗しんごうきのまいたのを、右手に持ち、左手にランプを高くさし上げて、用心ぶかすすんだ。
くまと車掌 (新字新仮名) / 木内高音(著)
旦那様だんなさまはずいぶんうたぐぶかかたですね。それじゃ奥さんもさぞ——」
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
静かにはひそめぬものか草ぶかにこもらふ子らが息のあららけさ
雀の卵 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
「よっぽど悋気りんきぶかい女だよ」と、妻は僕に陰口を言ったが
耽溺 (新字新仮名) / 岩野泡鳴(著)
のやうにおぼしめして御苦勞ごくらうなき御苦勞ごくらうやら我身わがみ新參しんざん勝手かつてらずおもとようのみつとめれば出入でいりのおひとおほくも見知みしらず想像さうぞうには此人このひとかとゆるもけれどこのみはひと心々こゝろ/″\なにがおそみしやらはでおもふは山吹やまぶきしたゆくみづのわきかへりてむねぐるしさもさぞなるべしおつゝしぶかさは
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
かんがぶかい、また臆病おくびょうひとたちは、たとえその準備じゅんび幾年いくねんついやされても十ぶん用意よういをしてから、とお幸福こうふくしまわたることを相談そうだんしました。
明るき世界へ (新字新仮名) / 小川未明(著)
保名やすななさぶかさむらいでしたから、かわいそうにおもって、家来けらいにかつがせたはこの中にきつねれて、かくまってやりました。
葛の葉狐 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
はなしいても、おしずは、そんなにうつくしいおんなではなかったということです。けれど、かれには、やさしい、うつくしい、そして、なさぶかい、おんなおもわれました。
愛は不思議なもの (新字新仮名) / 小川未明(著)
宰相さいしょうたいそうなさぶかい人でしたから、はちかつぎがかわいそうな姿すがたで、いちばんつらいふろばんのしごとをしているのをて、いつもどくおもっていました。
鉢かつぎ (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
かわいそうにと、おじいさんは、おもいました。としをとると、すべてのことにたいして、あわれみぶかくなるものです。
二百十日 (新字新仮名) / 小川未明(著)
すると山姥やまうばうたがぶかそうに、はなをくんくんらして
山姥の話 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
「あのしゅうねんぶかい、おそろしいおばさんが、あんなにくるしんだのをたことがない。なんでも、おもいがけないてきのために、ひどいけがをしたのですよ。」
なまずとあざみの話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「ばかな、おうさまだなあ。」と、とくちゃんが、かんがぶかそうに、いまのはなしおもしながらいいました。
春の日 (新字新仮名) / 小川未明(著)
かれは、いまはおおきく、そして、かんがぶかいりこうなねずみになりました。無事ぶじおくっているうちに、ここに、はからずも、ねずみにとってこまったことがこりました。
ねずみとバケツの話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
けん一は、こうした子供こどもたちをるにつけ、もはや、ときどきは、しぐれとじってるであろう故郷こきょうむらに、毎日まいにち学校がっこうあつまってくるしたしみぶか生徒せいとらの姿すがたかべました。
空晴れて (新字新仮名) / 小川未明(著)
「ありがたそうなおかおをしていらっしゃる。」とか、「慈悲じひぶかいおをしていらっしゃる。」とか、または、「なんとなく神々こうごうしい。」とか、みんなが仏像ぶつぞうまえっていいました。
天下一品 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ごろから、このむすめはおとなしい、なさぶかい、やさしい性質せいしつのうえに、きゅうにこのようにうつくしくなったものですから、むら人々ひとびとからはそのますますほめられ、あいされたということであります。
夕焼け物語 (新字新仮名) / 小川未明(著)
わたしのちいさな紫色むらさきいろはなきますまでは、どうぞ毎日まいにちのようにおめぐぶかひかりらしてくださいまし。わたしは、いまからそのになって、また毎日まいにちあめるのが気遣きづかわしゅうございます。
太陽とかわず (新字新仮名) / 小川未明(著)
そして、めぐみぶかく、こぼれるようにてらす太陽たいようひかりと、さえずるとりこえと、自然しぜんたち、子守歌こもりうたのようにささやくかぜおとより、この平和へいわ世界せかいを、じゃまするものは、なかったのでした。
托児所のある村 (新字新仮名) / 小川未明(著)
あるなつ晩方ばんがたのことでありました。このかんぶか子供こどもみちうえにたたずんで、いつものようにあたまうえんでゆくとりをながめていました。もうあたりはだんだんとくらくなりかけていました。
はてしなき世界 (新字新仮名) / 小川未明(著)
と、くろんぼはうたがぶかつきで、むすめをながめながらいいました。
港に着いた黒んぼ (新字新仮名) / 小川未明(著)
これをきくと、わたしは、なさぶかひとだとおもったから
たましいは生きている (新字新仮名) / 小川未明(著)
かんがぶかかおつきをしてビーのいったことにこたえました。
がん (新字新仮名) / 小川未明(著)