けっ)” の例文
「うん、けれどもカムパネルラなんかけっしてわない。カムパネルラはみんながそんなことをうときはきのどくそうにしているよ」
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
かみまつられたといえば、ちょっと大変たいへんなことのようにおもわれましょうが、内容なかみけっしてそれほどのことではないのでございまして……。
やまへいくんですか。」と、かれは、むねをおどらせながら、おじさんのかおましたが、すぐには、けっしかねて、返事へんじができなかったのでした。
雲のわくころ (新字新仮名) / 小川未明(著)
わたくしどもはけっして変化へんげでも、おにけたのでもありません。一人ひとり摂津せっつくにから、一人ひとり紀伊きいくにから、一人ひとり京都きょうとちか山城やましろくにからたものです。
大江山 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
けれどもそれがどうでしょう、もうけっしていまはあのくすぶった灰色はいいろの、るのもいやになるようまえ姿すがたではないのです。いかにも上品じょうひんうつくしい白鳥はくちょうなのです。
熟考じゅっこうの長さにひきかえて、けっするとすぐであった。蔦之助と小文治も、膝行袴たっつけひもをしめ、脇差わきざしをさし、手馴てなれのゆみと、朱柄あかえやりをそばへ取りよせた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
外国の力をりて政府を保存ほぞんせんとはかりたりとのひょうごときは、けっして甘受かんじゅせざるところならん。
だが、今度こんど仕事しごとばかりァそうじゃァねえ。この生人形いきにんぎょうさえ仕上しあげたら、たとえあすがへどをいてたおれても、けっして未練みれんはねえと、覚悟かくごをきめての真剣勝負しんけんしょうぶだ。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
ふざけないで歩くこと、けっして傍道わきみちをしないこと、馬や車をよけること、五人のうちで一ばん小さいエチエンヌのそばを決してはなれないこと、そういうお約束やくそくをしてたのです。
母の話 (新字新仮名) / アナトール・フランス(著)
第四十七条 両議院ノ議事ハ過半数ヲもっけっス可否同数ナルトキハ議長ノけっスル所ニ
大日本帝国憲法 (旧字旧仮名) / 日本国(著)
そういう多くの音楽おんがくは、みなぴったりとそれぞれの場合ばあいにあてはまっていた。クリストフはけっしてそれを混同こんどうしたりしなかった。ほかの人ならたれだって、まちがえるかもれなかった。
ジャン・クリストフ (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
ところが、シューラはけっして悪戯いたずらっ子ではなかったので、不平ふへいそうにいった。
身体検査 (新字新仮名) / フョードル・ソログープ(著)
その争いは武器を取って雌雄しゆうけっする闘争ではなく、暗黙のうちに郷里の評判や、学科の点数や、席次や、社会的地位を争うのだから、そこに不純な名誉心や嫉妬心や猜疑心が介在して来るから
血液型殺人事件 (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)
ところが私は、盥のようなものが、この窓硝子に打ちつけられたところなどをけっして見ませんでした。いやボール位の大きさのものだってこの硝子板をとおして飛び出したのを見なかったのです。
崩れる鬼影 (新字新仮名) / 海野十三(著)
それが氣懸きがゝりゆゑ、おれゃもうけっしてこのやみやかたはなれぬ。そなた侍女こしもと蛆共うじどもと一しょにおれ永久いつまで此處こゝにゐよう。おゝ、いまこゝで永劫安處えいがふあんじょはふさだめ、憂世うきよてたこの肉體からだから薄運ふしあはせくびき振落ふりおとさう。
人はぜんあいし道を求めないでいられない。それが人の性質せいしつだ。これをおまえたちはかたくおぼえてあとでもけっしてわすれてはいけない。
ぞくかみ申子もうしごよわいなどともうしますが、けっしてそのようなものではなく、この立派りっぱ成人せいじんして、父親ちちおや実家じっかあとぎました。
「もうけっしてわるいことはいたしませんから、ねこにわたくしどもをとらないようにおっしゃってくださいまし。」
猫の草紙 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
すぐに縁談えんだんことわってしまおうかともおもわれましたが、もし、そうしたら、きっと皇子おうじ復讐ふくしゅうをしにめてくるだろうというようながして、すぐにはけっしかねたのであります。
赤い姫と黒い皇子 (新字新仮名) / 小川未明(著)
代目だいめ瀬川菊之丞せがわきくのじょう全盛ぜんせいきわめていることとて、そのかげけっしていものではなかった。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
ロミオ これ、たしかに。手傷てきずけっしておもうはない。
そのことあと指導役しどうやくのおじいさんからうかがって自分じぶんながらびっくりしてしまいました。わたくしけっしてそんなにえら女性おんなではございませぬ。
燃え叫ぶ六疋は、もだえながら空をしずみ、しまいの一疋は泣いて随い、それでも雁の正しい列は、けっしてみだれはいたしません。
雁の童子 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
奥州おうしゅういていよいよ高丸たかまるいくさをはじめてみますと、なるほどこうは名高なだかあらえびすだけのことはあって、一いくさをしかけたらつまではけっしてやめません。
田村将軍 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
んのことかとおもったら、おかねかい。はばかりながら、あたしァ江戸えどでも人様ひとさまられた、橘屋たちばなや徳太郎とくたろう、おせんのたのみとあれば、けっしていやとはいわないから、かまわずにいって御覧ごらん
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
世間せけんさわがせるわるいねこだ。いかほどの神通力じんずうりきがあるにせよ、科学かがくちからにはかなうまい。わたし退治たいじしてやろう。」と、電気でんき応用おうようして、いよいよ、あかトラと勝負しょうぶけっすることになったのです。
花の咲く前 (新字新仮名) / 小川未明(著)
エブラ 鬪爭けんくわ! いや、けっして。
全く私たちにはそのイギリス海岸の夏の一刻いっこくがそんなにまで楽しかったのです。そして私は、それがわるいことだとはけっして思いませんでした。
イギリス海岸 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
和尚おしょうさんはねこに、ねずみのうことはけっしてげないと約束やくそくをなさったそうだ。」
猫の草紙 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
しかるに、このような、あるいさらに小さなものをもあきらかに見て、すこしもあやまらない人はむかしからけっして少くありません。この人たちは自分のこころをおさめたのです。
手紙 三 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
味方みかたのこらずたれて最後さいご一人ひとりになるまでもけっしてあとへは退きません。
田村将軍 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
けれどもこの強いうさぎの子は、けっしてその手をはなしませんでした。おそろしさに口をへの字にしながらも、それをしっかりおさえて、高く水の上にさしあげたのです。
貝の火 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
「いや心配しんぱいしなさんな。このことけっしてほかへはもらしませんぞ。わしがしっかりのみみました」
シグナルとシグナレス (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
それは大丈夫だいじょうぶですよ。ぼくけっしてなくしませんよ。そんなようなことは、ひばりもっていました。ぼくは毎日百ぺんずついきをふきかけて百ぺんずつ紅雀べにすずめの毛でみがいてやりましょう
貝の火 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
「へいへい。これからはけっしていたしません。なんでもおいいつけをっていたします」
貝の火 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
天の川のなかでたった一つの、ほんとうのその切符きっぷけっしておまえはなくしてはいけない
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
すべて人はいこと、正しいことをこのむ。ぜん正義せいぎとのためならば命をてる人も多い。おまえたちはいままでにそう云う人たちの話を沢山たくさんきいて来た。けっしてこれをわすれてはいけない。
これよりちいさなものの形が完全かんぜんに私どもに見えるはずはけっしてないのです。
手紙 三 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
(木ペンかばの木に沢山うんとあるじゃ)キッコはふっとこう思いました。けれども樺の木の小さなえだには鉛筆ぐらいの太さのはいくらでもありますけれどもけっして黒い心がはいってはいないのです。
みじかい木ぺん (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
ええ、もうこのへんから下りです。なんせこんどは一ぺんにあの水面すいめんまでおりて行くんですから容易よういじゃありません。この傾斜けいしゃがあるもんですから汽車はけっしてこうからこっちへは来ないんです。
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
「そうだ。では早く。そのうち私はけっしてここをはなれないから」
ありときのこ (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
「ええ、そうよ、あたしけっしてわらないわ」
シグナルとシグナレス (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)