そう)” の例文
その後そうの茶人らが粉茶を用いるに至って、彼らは濃藍色のうらんしょくおよび黒褐色こくかっしょくの重い茶碗を好んだ。明人みんじん淹茶だしちゃを用い、軽い白磁を喜んだ。
茶の本:04 茶の本 (新字新仮名) / 岡倉天心岡倉覚三(著)
床には、彼の風雅癖を思わせて、明人みんびと仇英きゅうえいの、豊麗ほうれい孔雀くじゃくの、極彩色ごくさいしき大幅が掛けられ、わざと花を生けない花瓶は、そう代の磁だった。
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
詩にて申候えば『古今集』時代はそう時代にもたぐえ申すべく俗気紛々ふんぷんと致しおり候ところはとても唐詩とうしとくらぶべくも無之候えども
歌よみに与ふる書 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
ここの家は、五代の末期、そうの太祖の時代に地方へりたもので、祖先の柴世祖さいせいそは、帝位にあった幼君だった。時に契丹きったんとの大戦あり。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それはそう徽宗きそう皇帝の御筆ぎょひつというたかの一軸である。酒宴が果てて客がみな帰り去った後、夜がけてからかの狐が忍んで来た。
そうに戯曲、こん詞説しせつ有り。きん院本いんぽん雑劇ざつげき有り、じつは一なり。〕とあるによりて知らる。これ鷲津毅堂わしづきどう先生が『親燈余影しんとうよえい』に出でたり。
小説作法 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
定窯ていようといえば少し骨董好きの人なら誰でも知っている貴い陶器だ。そうの時代に定州ていしゅうで出来たものだから定窯というのである。
骨董 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
とうそうの頃にはよほど進んで来て居り、その後の元の郭守敬かくしゅけいという人のはじめた天元術というのは、ことに名だかいものです。
関孝和 (新字新仮名) / 石原純(著)
例えばあのそう代やゴシック時代の工藝は、救われた特殊の個人美を示しているのではなく、共に救われている普遍な民衆美を示しているのである。
工芸の道 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
全体この角煮はそう蘇東坡そとうば工風くふうした料理だといって支那人は東坡肉と号するが、最初は今いった通り杉箸すぎばしの通るまで湯煮ゆでてそれを冷却さましておく。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
かのそう朝が絶対平和主義を持して北方の強たるきん及びげんに苦しめられ、胡澹庵こたんあんをして慷慨こうがいのあまり、秦檜しんかい王倫おうりん斬るべしと絶叫せしめた上奏文を見ても
世界平和の趨勢 (新字新仮名) / 大隈重信(著)
虎関、夢窓、中巌、義堂、そして一慶さま……あの懐しい師匠たちのまう伝統へ、そうの学問へ、俺は帰るのだ。
雪の宿り (新字新仮名) / 神西清(著)
既に借りた以上は仕方が無い、いまだ借りざる先の慚づべき心を以つてこれに対せんとするもあたはざるなりだらう。そうの時代であつたかね、何か乱がおこつた。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
古昔むかしそう文帝ぶんていころの中書學生に盧度世ろとせいと云者あり崔浩さいかうの事に坐し亡命にげ高陽かうやうの鄲羆の家に竄る官吏やくにんの子をとらへて之を掠治たゞす其子をいましめて曰君子は身を殺てじん
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
まことこのみな聖人せいじんなるも、えきしてわたくのごとひくきことあたはず。すなは(一〇〇)能仕のうしづるところあらず。そう富人ふうじんあり、あめりてかきやぶる。
昔しそう大慧禅師だいえぜんじと云う人は、悟道ののち、何事も意のごとくに出来ん事はないが、ただ夢の中では俗念が出て困ると、長い間これを苦にされたそうだが、なるほどもっともだ。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
中国では、牡丹ぼたん百花ひゃっかのうちで第一だから、これを花王かおうとなえた。さらに富貴花ふうきか天香国色てんこうこくしょく花神かしんなどの名が呼ばれている。そう欧陽修おうようしゅうの『洛陽牡丹らくようぼたんの記』は有名なものである。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
天下のたみ寒き者多し独り温煖あたたかならんやとのたまいし。そうの太祖が大度たいどを慕い。あまねく慈善を施せしも。始め蛍の資本ひだねより。炭もやくべき大竈おおかまどと成りし始末の満尾まんび迄。御覧をねがうというよしの。
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
無錫ぶしゃくそうという家へ、男の子となって生れることになっておりますが、あなたに情縁が重うございますから、一度あなたにお眼にかかるまで、生れ出る月を延ばしております、が
愛卿伝 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
私はしばしばいんの礼制の話をするが、殷の子孫の国である現在のそうには、私のいうことを証拠立てるようなものが何も残っていない。それは典籍も不十分であり、賢人もいないからだ。
現代訳論語 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
このそうさんが、じつは、諭吉ゆきちのようすをさぐるためにやってきていたのでした。
夫人南子なんしはつとに淫奔いんぽんの噂が高い。まだそうの公女だった頃異母兄のちょうという有名な美男と通じていたが、衛侯の夫人となってからもなお宋朝を衛に呼び大夫に任じてこれとしゅう関係を続けている。
弟子 (新字新仮名) / 中島敦(著)
そのそう時代じだいからは、だん/\まづ粗末そまつなものになつてしまひました。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
むかしそう武帝ぶていむすめ壽陽じゆやう麗姫れいき庭園ていゑんするときうめはなりて一片ひとひらかんばせかゝる。おもかげまたたぐふべきものなかりしより、當時たうじ宮女きうぢよみなあらそつて輕粉けいふんもつかほ白梅しらうめはなゑがく、しようして梅花粧ばいくわしやうふ。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
茶の進化の三時期——とうそうみんの時代を表わす煎茶せんちゃ抹茶ひきちゃ淹茶だしちゃ——茶道の鼻祖陸羽——三代の茶に関する理想——後世のシナ人には
茶の本:04 茶の本 (新字新仮名) / 岡倉天心岡倉覚三(著)
また、自分のことにかえるが、わしが御房の年ごろには、畏れ多いが、仏陀ぶっだ御唇みくちも女に似て見え、経文きょうもんそう文字も恋文に見えた。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
北固山はそう韓世忠かんせいちゅう兵を伏せて、おおいきん兀朮ごつじゅつを破るのところたり。其詩またおもう可きなり劉文りゅうぶん貞公ていこうの墓を詠ずるの詩は、ただちに自己の胸臆きょうおくぶ。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
そう理宗りそう皇帝のとき、浙江せっこううしおがあふれてこう州の都をおかし、水はひさしく退かないので、朝野の人びとも不安を感じた。
虎関、夢窓、中巌、義堂、そして一慶さま……あの懐しい師匠たちのまふ伝統へ、そうの学問へ、俺は帰るのだ。
雪の宿り (新字旧仮名) / 神西清(著)
例えばそう代の磁州窯とか、または高麗焼こうらいやきとか。しかしこれらのものがもつ卓越した美については、改めて説くほどもなく広く紹介されているからである。
工芸の道 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
金、元の鉄騎てっきというものは実にそうの君臣を戦慄させた。一度馬に跨って南の方へ下ると、もう決して支那人のいう中国の兵はこれに当ることは出来なかったのである。
東亜の平和を論ず (新字新仮名) / 大隈重信(著)
そう高宗帝こうそうていきんの兵に追われて、揚子江ようすこうを渡って杭州に行幸ぎょうこうした際のことであった。
蛇性の婬 :雷峰怪蹟 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
またのついたかゞみ四角しかくかゞみも、とうそう以後いごのものであります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
そうさん、そうさん。」
「これはつい申しおくれた。私は姓をそう、名をこうといって、近くの宋家村そうかそんから日々この県役署に通勤しておる一押司です」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そうのとき、なにがしという男がその妻と共に眠った。夜があけて、妻が起きて出た後に、夫もまた起きて出た。
其のうるさくて忌々いまいましいことはそうの欧陽修をして憎蒼蠅賦の好文字をすに至らしめ、其のえば逃げ、逃げてはまた集るさまは、片倉小十郎をしてこれを天下の兵になぞらえて
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
あの中世紀やあのそう代やあの李朝期やあの江戸時代の栄誉を語る作品は、少しよりできなかった作品であろうか。そうしてかつて多くできたために醜さが増したであろうか。
工芸の道 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
煮る団茶、かき回す粉茶、葉茶はぢゃはそれぞれ、とうそうみんの気分を明らかに示している。
茶の本:04 茶の本 (新字新仮名) / 岡倉天心岡倉覚三(著)
されば斉桓公せいかんこう鄭伯ていはくと会して武父ぶほちかい、旧盟のそうを伐つや、左伝にはこれを評して
永久平和の先決問題 (新字新仮名) / 大隈重信(著)
六朝りくちょうの石仏の一つは、うつとりとねむたさうな微笑を浮べてゐた。ガンダーラの小さな石の首からは、ギリシャの海の音が聞えた。そうの青銅仏は概して俗だが、木彫りには、いゝものがあつた。
夜の鳥 (新字旧仮名) / 神西清(著)
「ああ、思い出した。それじゃあ、なんでも滄州の近郊には、そう太祖たいそ武徳皇帝のお墨付すみつきを伝来の家宝に持っているどえらい名家があると聞いたが」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
わたくしどもにはよくわかりませんが、支那の小説は大体に於いて、とうしんとが一番よろしく、次がそうで、みん朝の作は余り面白くないのだとか申すことでございます。
前代のそうげん傾覆の所以ゆえんを考えて、宗室の孤立は、無力不競の弊源たるを思い、諸子をおおく四方に封じて、兵馬の権を有せしめ、もって帝室に藩屏はんべいたらしめ、京師けいし拱衛きょうえいせしめんと欲せり。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
各時代の歴史はそれぞれの偉大な王侯や、英雄を有ち、また重く強い民衆をひかえているのであります。しゅうしんや漢や六朝りくちょう、つづいてとうそうげんみんしんの各時代は、それぞれ巨大な歴史を有って居ります。
北支の民芸(放送講演) (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
いやむしろ、元の前時代、そうとうの昔より、国運はみなぎり、近代的にめて以て、今や明の盛代とさえ見えた。
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
五代を過ぎてそうに入りますと、まず第一に『太平広記』五百巻という大物がございます。
何様どういう仔細あって聖人が子まであった夫人を去られたか、それはそれがし不学で未だ見及ばず聞及ばぬが、孔子は年十九にしてそう幵官氏けんかんしめとられ、其翌年にあざなは伯魚を生ませたもうたのである。
連環記 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
あとで聞くと、その祐慶という仏師は日本の人ではなく、そうから渡来した者だそうです。
青蛙堂鬼談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
書画骨董がすきと知ればあらそってそうげんの名品だの、雨過天晴うかてんせいの佳品やらを。
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)