街道かいだう)” の例文
同月どうげつ二十八にちには、幻翁げんおう玄子げんしとの三にん出掛でかけた。今日けふ馬籠方まごめがた街道かいだうひだりまがつた小徑こみち左手ひだりてで、地主ぢぬしことなるのである。
旅亭やどや禿頭はげあたまをしへられたやうに、人馬じんば徃來ゆきゝしげ街道かいだう西にしへ/\とおよそ四五ちやうある十字街よつかどひだりまがつて、三軒目げんめ立派りつぱ煉瓦造れんぐわづくりの一構ひとかまへ
きりふかい六ぐわつよるだつた。丁度ちやうどはら出張演習しゆつちやうえんしふ途上とじやうのことで、ながい四れつ縱隊じうたいつくつた我我われわれのA歩兵ほへい聯隊れんたいはC街道かいだうきたきたへと行進かうしんしてゐた。
一兵卒と銃 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
たかやまうへはうからむらはづれの街道かいだうのところまでせてくろいはだのいしだのをるのもはじめてゞした。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
雨をはらんだ風の中に、竜騎兵の士官を乗せた、アラビアだね白馬しろうまが一頭、あへぎ喘ぎ走つて行つた。と思ふと銃声が五六発、続けさまに街道かいだう寂寞せきばくを破つた。
LOS CAPRICHOS (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
隣郷りんがう津軽つがる唐糸からいとまへぢずや。女賊ぢよぞくはまだいゝ。鬼神きじんのおまつといふにいたつては、あまりにいやしい。これをおもふと、田沢湖たざはこ街道かいだう姫塚ひめつかの、瀧夜叉姫たきやしやひめうらやましい。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
それからその人が後の林の角に見えなくなるまでも大分かかる。さういふ街道かいだうを父はいい気持で歩いて行つた。時節は初夏の頃ではなかつたらうかと思はれる。
念珠集 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
うす氣味きみわるやにたにたのわらがほ坂本さかもといでては用心ようじんたま千住せんじゆがへりの青物車あをものぐるまにお足元あしもとあぶなし、三島樣しまさまかどまでは氣違きちが街道かいだう御顏おんかほのしまりいづれもるみて
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
或る時セルギウスは婆あさん二人、癈兵一人と連になつて、街道かいだうを歩いてゐた。
御供ほやといふ荒村にしばらく船をとゞめて、胡桃の大木の陰になつてゐる川添ひの、茶屋で、私たちは昼飯を食べた、下条村の遠州ゑんしう街道かいだうが、埃で白い路を一筋、村の中を通つてゐる、ここで
天竜川 (新字旧仮名) / 小島烏水(著)
休めて扨老女に打對ひ率爾そつじながら此處は何といふ所にて東海道の宿迄は道法みちのり何程是有やと尋ぬるに老女は答へて此處は大野の在にて街道かいだう迄は二里餘りも有ぬべし只今承まはれば御連おつれを見失ひ此所迄後を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ひとひとり通らない街道かいだうの電線を腐蝕してゐる。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
街道かいだうや藤の茶店ちやみせあかき灯に
第二邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
王子わうじ街道かいだう横切よこぎつて、いよ/\深大寺じんだいじちかつたのが、午後ごゞの五ぎ。夕立ゆふだちでもるか、そらは一ぱいくもつてた。
そして、變化へんくわのない街道かいだう相變あいかはらず小川をがは沿うて、たひら田畑たはたあひだをまつぐにはしつてゐた。きりほとんあがつて、そらには星影ほしかげがキラキラとした。
一兵卒と銃 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
それからとうさんは伯父をぢさんやきちさんや友伯父ともをぢさんと一緒いつしよ東京行とうきやうゆき馬車ばしやりまして、ながなが中仙道なかせんだう街道かいだうひるよるりつゞけにつてきました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
人事ひとごと我事わがこと分別ふんべつをいふはまだはやし、おさなごゝろまへはなのみはしるく、もちまへのけじ氣性ぎせう勝手かつてまわりてくものやうなかたちをこしらへぬ、氣違きちが街道かいだうぼけみち
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
やなぎおくに、けて、ちひさな葭簀張よしずばり茶店ちやみせえて、よこ街道かいだう、すぐに水田みづたで、水田みづたのへりのながれにも、はら/\燕子花かきつばたいてます。はうは、薄碧うすあをい、眉毛まゆげのやうな遠山とほやまでした。
人魚の祠 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
先月廿七日の夜關宿せきやど街道かいだう權現堂小篠堤に於て同宿穀屋平兵衞を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ああ、街道かいだう紆曲まがりくねり
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
それは根方地ねがたぢで、街道かいだうから南面なんめんし、右手みぎて小徑こみちがある、それをまがつてから、また右手みぎてはた目的地もくてきちだ。
街道かいだうとほ旅人たびびとたれでもその休茶屋やすみぢやややすんでくとえて、おさるさんもよくひとれてました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
と、左手ひだりてはう人家じんか燈灯ともしびがぼんやりひかつてゐた——Fまちかな‥‥とおもひながらやみなか見透みすかすと、街道かいだう沿うてながれてゐるせま小川をがは水面みづもがいぶしぎんのやうにひかつてゐた。
一兵卒と銃 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
旅費りよひすくないから、旦那だんな脇息けふそくとあるところを、兄哥あにいつて、猫板ねこいた頬杖ほゝづゑつくと、またうれしいのは、摺上川すりかみがはへだてたむか土手どてはら街道かいだうを、やまについて往來ゆききする人通ひとどほりが、もののいろ姿容なりかたち
飯坂ゆき (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
もしける故是は又惡い處へ御巡見ごじゆんけんハテ急に歸らねばならずコレ五助や御巡見樣は山向やまむかうかハイ藝州の御飛脚おひきやくの噺には櫓澤やぐらざは通りが一昨日頃で有うと申ましたときいて藤八ハテ御巡見ごじゆんけん街道かいだう櫓澤やぐらさは竹の下スリヤ今頃は沼津吉原富士の根方邊と手を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
街道かいだう幾返いくかへり。さもあらばあれ、くるしいおもひばかりはせぬ。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)