投込なげこ)” の例文
わたくし元來ぐわんらい膝栗毛的ひざくりげてき旅行りよかうであるから、なに面倒めんだうはない、手提革包てさげかばん一個ひとつ船室キヤビンなか投込なげこんだまゝ春枝夫人等はるえふじんら船室キヤビンおとづれた。
我鳴がならしつけが、おめかけあはてもせず、たまかんざしくと、ふなばたから水中すゐちう投込なげこんで、さつかみさばいたとおもへ。……どう突伏つゝぷしてうごかぬだ。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
その開拓時代に、彼等は恭順を示さない土人達を、百二三十人集めて斬殺し、その死体を例の沼地へ投込なげこんだと云う。
殺生谷の鬼火 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
東京とうきやうの或る固執派オルソドキシカー教会けうくわいぞくする女学校ぢよがつかう教師けうし曾我物語そがものがたり挿画さしゑ男女なんによあるを猥褻わいせつ文書ぶんしよなりとんだ感違かんちがひして炉中ろちう投込なげこみしといふ一ツばなし近頃ちかごろ笑止せうしかぎりなれど
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)
器械きかいや、道具だうぐなどはなにもなく外科用げくわよう刄物はものが二つあるけで體温器たいをんきすらいのである。浴盤よくばんには馬鈴薯じやがたらいも投込なげこんであるやうな始末しまつ代診だいしん會計くわいけい洗濯女せんたくをんなは、患者くわんじやかすめてなんともおもはぬ。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
と云われ、早四郎は馬鹿な奴ですから、右の手紙を書いて貰ってうちへ帰り、そっとお竹の袂へ投込なげこんで置きましたが、開けて見たって色文いろぶみと思う気遣きづかいはない。翌朝よくあさになりますと宿屋の主人あるじ
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
夕暮ゆふぐれ店先みせさき郵便脚夫いうびんきやくふ投込なげこんできし女文字をんなもじ書状ふみ一通いつゝう炬燵こたつ洋燈らんぷのかげにんで、くる/\とおびあひだ卷收まきをさむれば起居たちゐこゝろくばられてものあんじなること一通ひととほりならず、おのづといろえて
うらむらさき (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
全体ぜんたい綜合そうがふしたところで、わたしあたまのこつた印象いんしやうふのは——はじめての出会であひ小川町をがはちやうあたりの人込ひとごみのなかであつたらしく、をんなそで名刺めいしでも投込なげこんだのがそもそもの発端はじまりで、二度目どめおなとほりつたとき
背負揚 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
いながら、林檎りんごはこなか投込なげこんで、ふたをしてしまいました。
はや谷川たにかはおとくと我身わがみ持余もてあまひる吸殻すひがら真逆まツさかさま投込なげこんで、みづひたしたらさぞいゝ心地こゝちであらうと思ふくらゐなんわたりかけてこはれたらそれなりけり。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
端艇たんていくつがへすおそれがあるのでいましも右舷うげん間近まぢかおよいでた三四しやく沙魚ふか、『此奴こいつを。』と投込なげこなみしづむかしづまぬに、わたくしは『やツ。しまつた。』と絶叫ぜつけうしたよ。
浴盤よくばんには馬鈴薯じやがたらいも投込なげこんであるような始末しまつ代診だいしん会計かいけい洗濯女せんたくおんなは、患者かんじゃかすめてなんともおもわぬ。はなしにはさき院長いんちょうはまま病院びょういんのアルコールを密売みつばいし、看護婦かんごふ婦人患者ふじんかんじゃ手当次第てあたりしだいめかけとしていたとう。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
部屋へや欄干らんかんたまかとおも晃々きら/\かゞやきまして、あやしいお星樣ほしさまなか投込なげこまれたのかとおもひましたの。仙人せんにんえません。
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
すると船頭共せんどうどもが、「恁麽こんな惡僧あくそうつてるから龍神りうじんたゝるのにちがひない、はやうみなか投込なげこんで、此方人等こちとらたすからう。」とつてたかつて文覺もんがく手籠てごめにしようとする。
旅僧 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
用意よういをはればたゞちにはしりて、一本榎いつぽんえのきうろより數十條すうじふでうくちなはとらきたり、投込なげこむと同時どうじ緻密こまかなるざるおほひ、うへにはひし大石たいせきき、枯草こさうふすべて、したより爆※ぱツ/\けば
蛇くひ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
なんですかね、島流しまながしにでもつて、こゝろ遣場やりばのなさに、砂利じやりつかんでうみ投込なげこんででもるやうな、心細こゝろぼそい、可哀あはれふうえて、それ病院びやうゐん土塀どべいねらつてるんですから、あゝ、どくだ。……
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
あくるあさいのちみづまうとすると、釣瓶つるべ一杯いつぱいきたなけものいてあがる……三毛猫みけねこ死骸しがい投込なげこんであつた。そのことわられたものの口惜くやしまぎれの惡戲いたづらだらうとふのである。——あさことで。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
大勝だいかつ臺所口だいどころぐちへのらりと投込なげこむなぞはめづらしくなかつた。
夜釣 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)