太郎たろう)” の例文
くもったのことです。太郎たろう海辺うみべにゆきますと、ちょうど波打なみうちぎわのところに、一のややおおきなとりちて、もだえていました。
薬売り (新字新仮名) / 小川未明(著)
段々廻り廻って、最後に到頭宮内官として宮中に在るかつら太郎たろう〕公〔爵〕に持って行き、公を起して内閣組織を命ぜらるる事となった。
そして太郎たろうさんのあかい実のような頬や、若い草のような髪の毛をそよそよと吹いた。けれど子供は、何も知らぬほど深く眠っていました。
(新字新仮名) / 竹久夢二(著)
その中でいちばん大きい、猅猅ひひのようなかたち大猿おおざるを、しっかりとさえつけたまま、六部ろくぶもしっぺい太郎たろうたおれていました。
しっぺい太郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
そこで小さい太郎たろうは、大頭に麦わら帽子ぼうしをかむり、かぶと虫を糸のはしにぶらさげて、かどぐちを出てゆきました。
小さい太郎の悲しみ (新字新仮名) / 新美南吉(著)
家へ無断で泊ってはしかられるから、明日の晩泊ってもかまわないようにして来ると云って帰って来たが、朝になって兄の太郎たろうは、地曳網じびきあみのかまえをするつもりで
蛇性の婬 :雷峰怪蹟 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
千穂子との間に、太郎たろう光吉こうきちと云う子供があった。あとに残った千穂子は、隆吉の父親の与平の家に引きとられてくらすようになり、骨身をおしまず千穂子は百姓ひゃくしょう仕事を手伝っていた。
河沙魚 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
馬のの様な狭い山の上のやゝ平凹ひらくぼになった鞍部あんぶ八幡はちまん太郎たろう弓かけの松、鞍かけの松、など云う老大ろうだいな赤松黒松が十四五本、太平洋の風に吹かれて、みどりこずえ颯々さっさつの音を立てゝ居る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
おじさんがお帰りになったらよろしくおっしゃってくださいまし、葉子はどんな人間になり下がるかもしれませんって……あなたどうぞおからだをお大事に。太郎たろうさんはまだ学校でございますか。
或る女:1(前編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
こぼれ糸さでにつくりて魚とると二郎じろう太郎たろう三郎さぶろう川に日くらす
曙覧の歌 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
太郎たろうどんのいぬ
お月さまいくつ (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
太郎たろうは、もしや、おじいさんが、この真夜中まよなか雪道ゆきみちまよって、あちらの広野ひろのをうろついていなさるのではなかろうかと心配しんぱいしました。
大きなかに (新字新仮名) / 小川未明(著)
そこで太郎たろう次郎じろう支度じたくをして、のこのこ布団ふとんからはいして、をあけてそとへ出ました。そらはよくれて、ほしがきらきらひかっていました。
物のいわれ (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
「お起き、お起き」そう言ったけれど、よく眠った太郎たろうは何も聞きませんでした。「私が起して見ましょう」窓に近い木のうえに居た小鳥が言いました。
(新字新仮名) / 竹久夢二(著)
みていた小さい太郎たろうは、縁側えんがわからとびおりました。そしてはだしのまま、ふるいをもって追っかけてゆきました。
小さい太郎の悲しみ (新字新仮名) / 新美南吉(著)
太郎たろうはいつまでも、そのふね見送みおくっていますと、ふねはだんだん、らぬとおとおくにほうちいさくなっていってしまったのであります。
薬売り (新字新仮名) / 小川未明(著)
どういうものだからないが、人身御供ひとみごくうをとるやつはたしかにこれに相違そういない。なんでもたいそうしっぺい太郎たろうという人をこわがっている様子ようすだ。
しっぺい太郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
かぶと虫を持った小さい太郎たろうは、こんどは細い坂道をのぼって大きい通りの方へ出てゆきました。
小さい太郎の悲しみ (新字新仮名) / 新美南吉(著)
そのばん太郎たろう母親ははおやかって、二日ふつかおな時刻じこくに、きんをまわしてはしっている少年しょうねんのことをかたりました。母親ははおやしんじませんでした。
金の輪 (新字新仮名) / 小川未明(著)
やがて主人しゅじんばれて出てきたしっぺい太郎たろうますと、小牛こうしほどもあるいぬで、みるからするどそうなきばをしていました。
しっぺい太郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
たびで、みなさんおつかれじゃろ、わしはいまいいさけをひとびん西にしやかた太郎たろうどんからもらったので、つきながら縁側えんがわでやろうとしていたのじゃ。いいとこへみなさんこられた。ひとつつきあいなされ。
花のき村と盗人たち (新字新仮名) / 新美南吉(著)
太郎たろうは、少年しょうねんともだちになって、自分じぶん少年しょうねんからきんを一つけてもらって、往来おうらいうえ二人ふたりでどこまでもはしってゆくゆめました。
金の輪 (新字新仮名) / 小川未明(著)
むかし、三にんの男の子をったおかあさんがありました。総領そうりょう太郎たろうさん、二ばんめが次郎じろうさん、いちばんすえのごく小さいのが、三郎さぶろうさんです。
物のいわれ (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
太郎たろうのおとうさんは、太郎たろうが、どうしているだろうとおもって、夜中よなかに、けてみました。けれど、太郎たろうは、どこにもいませんでした。
竹馬の太郎 (新字新仮名) / 小川未明(著)
太郎たろう次郎じろうはそっと相談そうだんをしていますと、おくではもりもり山姥やまうば三郎さぶろうべるおとが、だんだんたかこえました。
物のいわれ (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
にん子供こどもらはそのからたいんで隣村となりむらかけていって太郎たろうとけんかをしました。しかし先方せんぽうはいつも太郎たろう一人ひとりでありました。
雪の国と太郎 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「こんなときは、うまもなかなかほねおりだ。」と、そのとき、太郎たろうのおとうさんといっしょに夜警やけいをしていたひとたちはかんじたのであります。
子供と馬の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
太郎たろうは、はたけなかって、しょんぼりとして、少年しょうねん行方ゆくえ見送みおくりました。いつしかその姿すがたは、しろみちのかなたにえてしまったのです。
金の輪 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「どうして、今日きょうは、いちばんあとになったのだろう?」と、太郎たろうは、あわれなからすについて、同情どうじょうせずにはいられませんでした。
翼の破れたからす (新字新仮名) / 小川未明(著)
太郎たろうは、いまさら、薬売くすりうりのくれた霊薬れいやくのききめにおどろきました。いったいあの薬売くすりうりは、どこからきて、どこへったのだろう。
薬売り (新字新仮名) / 小川未明(著)
太郎たろうは、あわれなからすについて、おもわずにいられなかったのです。かれは、あわれなからすを、もう永久えいきゅうることがないとおもっていました。
翼の破れたからす (新字新仮名) / 小川未明(著)
太郎たろうは、おとうさんや、おかあさんのいうことをきませんでした。竹馬たけうまることが大好だいすきで、毎日まいにちそと竹馬たけうまってあそんでいました。
竹馬の太郎 (新字新仮名) / 小川未明(著)
太郎たろうは、学校がっこうで、図画ずが時間じかんに、おじいさんをきました。そこで、これに、「うさぎにせきをうつしたおじいさん」と、だいをつけました。
うさぎと二人のおじいさん (新字新仮名) / 小川未明(著)
先生せんせいは、これをて、どういうわけかわからないので、くびをかしげていましたが、太郎たろうに、どういうことかとたずねたのです。
うさぎと二人のおじいさん (新字新仮名) / 小川未明(著)
太郎たろうは、きつねの嫁入よめいりのはなしをいていました。いまあちらの野原のはらで、その宴会えんかいひらかれているのでないかとおもいました。
大きなかに (新字新仮名) / 小川未明(著)
にんは、はらっぱへきました。太郎たろうさんのたまは、いちばんつよいのです。つぎが、しょうちゃんのたまです。まことさんのはよわくてそれたりするので
ボールの行方 (新字新仮名) / 小川未明(著)
と、おかあさんがいわれたけれど、なかなかかえってきそうなようすがありませんでした。太郎たろうは、心配しんぱいでならなかったのです。
つばめの話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
太郎たろうは、うしろをいたときに、びっくりしました。なぜなら、そこには、せいひくい、あたまのとがったおとこあおかおをしてっていたからです。
脊の低いとがった男 (新字新仮名) / 小川未明(著)
太郎たろうは、みんなにってやりました。そのほか、くるみでも、くりでも、ほしいものは自由じゆうりましたから、そのぬしは、おこりました。
竹馬の太郎 (新字新仮名) / 小川未明(著)
太郎たろう学校がっこうへゆくと、あしをいためたともだちはもうなおってきていました。そして、うれしそうにみんなといっしょにあそんでいたのでありました。
翼の破れたからす (新字新仮名) / 小川未明(著)
いつもなら、太郎たろうれるとじきにねむるのでしたが、不思議ふしぎがさえていて、ちっともねむくはありませんでした。
大きなかに (新字新仮名) / 小川未明(著)
あに太郎たろうといい、いもうと雪子ゆきこといいました。二人ふたりは、毎月まいげつまちへくるあたらしい雑誌ざっしってきて、いっしょにむのをなによりのたのしみとしていました。
小鳥と兄妹 (新字新仮名) / 小川未明(著)
太郎たろうには、よくとぐことができなかったのにもよりますけれど、もとから、その小刀こがたなは、よくれなかったのでした。
脊の低いとがった男 (新字新仮名) / 小川未明(著)
太郎たろうさんは、そのばん、こいのぼりをいえへいれるのをわすれました。そして、夜中よなかから、ひどいあめになったのであります。
こいのぼりと鶏 (新字新仮名) / 小川未明(著)
太郎たろう二郎じろうとは、よく、あさきるときから、よるるまでのあいだに、いくたびということなく、けんかをしたかしれません。
子供と馬の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
けれど、おつだけは太郎たろう約束やくそくをしたのでげてかえることができずに、ついに太郎たろうといっしょにかえることになりました。
雪の国と太郎 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「また、ボールをやらない?」というと、まことさんも太郎たろうさんも賛成さんせいしましたが、少年しょうねんはお使つかいにきたのでもうかえらなければならないといいました。
ボールの行方 (新字新仮名) / 小川未明(著)
太郎たろうのおかあさんは、このことを太郎たろうのおとうさんにはなしました。おとうさんは、店頭みせさきはりはこのようにいたをつけました。
つばめの話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
明日あした学校がっこうへゆくときには、みないっしょにゆこうよね。そうすれば太郎たろうがきたってだいじょうぶじゃないか。」
雪の国と太郎 (新字新仮名) / 小川未明(著)
太郎たろう二郎じろうは、自分じぶんのいままでんでしまってかさねておいた雑誌ざっしや、書物しょもつや、またおもちゃなどを不幸ふこう子供こどもたちにあげたいとおとうさんにもうしました。
子供と馬の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)