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勿躰
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もつたい
ふりがな文庫
“
勿躰
(
もつたい
)” の例文
私
(
わたし
)
が
事
(
こと
)
と
言
(
い
)
へば
御自分
(
ごじぶん
)
の
身
(
み
)
を
無
(
な
)
い
物
(
もの
)
にして
言葉
(
ことば
)
を
立
(
た
)
てさせて
下
(
くだ
)
さる
御思召
(
おぼしめし
)
有難
(
ありがた
)
い
嬉
(
うれ
)
しい
恐
(
おそ
)
ろしい、
餘
(
あま
)
りの
勿躰
(
もつたい
)
なさに
涙
(
なみだ
)
がこぼれる
うらむらさき
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
勿躰
(
もつたい
)
ない、
名僧智識
(
めいそうちしき
)
で
有
(
あ
)
つたもの、と
足代
(
あじろ
)
の
藁
(
わら
)
を
頂
(
いたゞ
)
いたゞがの、……
其
(
それ
)
では、お
前様
(
めえさま
)
が
私
(
わし
)
の
後
(
あと
)
へござつて、
其
(
そ
)
の
坊主
(
ばうず
)
に
逢
(
あは
)
しつたものだんべい。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
何處
(
どこ
)
の
姉樣
(
あねさま
)
からお
手紙
(
てがみ
)
が
來
(
こ
)
やうぞ、
眞赤
(
まつか
)
な
嘘
(
うそ
)
をと
我家
(
わがや
)
の
見返
(
みかへ
)
られて、
何事
(
なにごと
)
も
御存
(
ごぞん
)
じなしによいお
顏
(
かほ
)
をして
暇
(
ひま
)
を
下
(
くだ
)
さる
勿躰
(
もつたい
)
なさ、あのやうな
毒
(
どく
)
の
無
(
な
)
い
うらむらさき
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
知らぬ事とて
今朝
(
けさ
)
までも
釣瓶
(
つるべ
)
の縄の氷を
愁
(
つ
)
らがつたは
勿躰
(
もつたい
)
ない、学校ざかりの年に蜆を担がせて姉が長い着物きてゐらりようか、伯父さま
暇
(
いとま
)
を取つて下され
大つごもり
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
つくづく思へば
無情
(
つれなし
)
とても
父様
(
ととさま
)
は
真実
(
まこと
)
のなるに、我れはかなく成りて宜からぬ名を人の耳に伝へれば、残れる
耻
(
はぢ
)
は
誰
(
た
)
が上ならず、
勿躰
(
もつたい
)
なき身の覚悟と心の
中
(
うち
)
に
詫言
(
わびごと
)
して
ゆく雲
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
▼ もっと見る
悔
(
くい
)
の
八千度
(
やちたび
)
その甲斐もなけれど、
勿躰
(
もつたい
)
なや父祖累代
墳墓
(
みはか
)
の地を捨てゝ、養育の恩ふかき伯母君にも
背
(
そむ
)
き、我が名の珠に恥かしき
今日
(
けふ
)
、親は
瑕
(
きず
)
なかれとこそ名づけ給ひけめ
雪の日
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
勿躰
(
もつたい
)
なや
此
(
こ
)
の
子
(
こ
)
といふ
可愛
(
かはゆ
)
きもあり、
此子
(
これ
)
が
爲
(
ため
)
我
(
わ
)
が
爲
(
ため
)
不自由
(
ふじいう
)
あらせじ
憂
(
う
)
き
事
(
こと
)
のなかれ、
少
(
すこ
)
しは
餘裕
(
よゆう
)
もあれかしとて
朝
(
あさ
)
は
人
(
ひと
)
より
早
(
はや
)
く
起
(
お
)
き、
夜
(
よ
)
は
此通
(
このとほ
)
り
更
(
ふ
)
けての
霜
(
しも
)
に
寒
(
さむ
)
さを
堪
(
こら
)
へて
軒もる月
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
殘
(
のこ
)
れる
耻
(
はじ
)
は
誰
(
た
)
が
上
(
うへ
)
ならず、
勿躰
(
もつたい
)
なき
身
(
み
)
の
覺悟
(
かくご
)
と
心
(
こゝろ
)
の
中
(
うち
)
に
侘言
(
わびごと
)
して、どうでも
死
(
し
)
なれぬ
世
(
よ
)
に
生中
(
なまなか
)
目
(
め
)
を
明
(
あ
)
きて
過
(
す
)
ぎんとすれば、
人並
(
ひとなみ
)
のうい
事
(
こと
)
つらい
事
(
こと
)
、さりとは
此身
(
このみ
)
に
堪
(
た
)
へがたし
ゆく雲
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
さらずば、さらずば、我が
方
(
かた
)
に賜はらんとて
甲斐
(
かひ
)
なき
御玉章
(
おんたまづさ
)
に
勿躰
(
もつたい
)
なき筆をや染め給ふ。
軒もる月
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
勿躰
(
もつたい
)
なき罪は我が心よりなれど、桜町の殿といふ
面
(
おも
)
かげなくば、胸の鏡に映るものもあらじ。罪は
我身
(
わがみ
)
か、殿か、殿だになくは我が心は
静
(
しづか
)
なるべきか。
否
(
いな
)
、かゝる事は思ふまじ。
軒もる月
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
草
(
くさ
)
むしりに
庭掃除
(
にはさうぢ
)
ぐらゐはとて、六十
男
(
をとこ
)
のする
仕事
(
しごと
)
ぞかし、
勿躰
(
もつたい
)
なや
古事記
(
こじき
)
舊事記
(
くじき
)
を
朝夕
(
あさゆふ
)
に
開
(
ひ
)
らきて、
万葉集
(
まんえふしふ
)
に
不審紙
(
ふしんがみ
)
をしたる
手
(
て
)
を、
泥鉢
(
どろばち
)
のあつかひに
汚
(
け
)
がす
事
(
こと
)
と
人
(
ひと
)
は
知
(
し
)
らねど
暁月夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
さらずば
御母上
(
おんはゝうへ
)
の
御機嫌
(
ごきげん
)
うかゞひの
御状
(
ごじやう
)
か、さらずば
御胸
(
おむね
)
にうかぶ
妄想
(
まうさう
)
のすて
處
(
ところ
)
、
詩
(
し
)
か
歌
(
うた
)
か、さらずば、さらずば、
我
(
わ
)
が
方
(
かた
)
に
賜
(
たま
)
はらんとて
甲斐
(
かひ
)
なき
御玉章
(
おんたまづさ
)
に
勿躰
(
もつたい
)
なき
筆
(
ふで
)
をや
染
(
そ
)
め
給
(
たま
)
ふ。
軒もる月
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
此處
(
こゝ
)
の
主
(
あるじ
)
も
多辨
(
はなしずき
)
にや
咳
(
しわぶき
)
勿躰
(
もつたい
)
らしくして
長々
(
なが/\
)
と
物語
(
ものがた
)
り
出
(
いで
)
ぬ、
祖父
(
そふ
)
なりし
人
(
ひと
)
が
將軍家
(
しやうぐんけ
)
の
覺
(
おぼ
)
え
淺
(
あさ
)
からざりしこと、
今
(
いま
)
一
足
(
あし
)
にて
諸侯
(
しよかう
)
の
列
(
れつ
)
にも
加
(
くわ
)
へ
給
(
たま
)
ふべかりしを
不幸
(
ふかう
)
短命
(
たんめい
)
にして
病沒
(
びやうぼつ
)
せしとか
たま襻
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
何
(
なに
)
せよ
彼
(
か
)
せよの
言附
(
いひつけ
)
に
消
(
け
)
されて、
思
(
おも
)
ひこゝに
絶
(
た
)
ゆれば
恨
(
うらみ
)
をあたりに
寄
(
よ
)
せもやしたる、
勿躰
(
もつたい
)
なき
罪
(
つみ
)
は
我
(
わ
)
が
心
(
こゝろ
)
よりなれど
櫻町
(
さくらまち
)
の
殿
(
との
)
といふ
面
(
おも
)
かげなくば
胸
(
むね
)
の
鏡
(
かゞみ
)
に
映
(
うつ
)
るものもあらじ、
罪
(
つみ
)
は
我身
(
わがみ
)
か、
殿
(
との
)
か
軒もる月
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
今日
(
けふ
)
よりは
私
(
わたし
)
も
家
(
うち
)
に
歸
(
かへ
)
りて
伯父樣
(
おぢさま
)
の
介抱
(
かいほう
)
活計
(
くらし
)
の
助
(
たす
)
けもしまする、
知
(
し
)
らぬ
事
(
こと
)
とて
今朝
(
けさ
)
までも
釣瓶
(
つるべ
)
の
繩
(
なわ
)
の
氷
(
こほり
)
を
愁
(
つ
)
らがつたは
勿躰
(
もつたい
)
ない、
學校
(
がくかう
)
ざかりの
年
(
とし
)
に
蜆
(
しゞみ
)
を
擔
(
かつ
)
がせて
姉
(
あね
)
が
長
(
なが
)
い
着物
(
きもの
)
きて
居
(
ゐ
)
らりようか
大つごもり
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
私
(
わたし
)
は
惡人
(
あくにん
)
になりまする、
成
(
なり
)
りたうは
無
(
な
)
けれど
成
(
な
)
らねば
成
(
な
)
りませぬ、
罸
(
ばち
)
をお
當
(
あて
)
てなさらば
私
(
わたし
)
一人、
遣
(
つか
)
ふても
伯父
(
おぢ
)
や
伯母
(
おば
)
は
知
(
し
)
らぬ
事
(
こと
)
なればお
免
(
ゆる
)
しなさりませ、
勿躰
(
もつたい
)
なけれど
此金
(
このかね
)
ぬすませて
下
(
くだ
)
されと
大つごもり
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
私は悪人になりまする、成りたうは無けれど成らねば成りませぬ、
罸
(
ばち
)
をお当てなさらば
私
(
わたし
)
一人、
遣
(
つか
)
ふても伯父や伯母は知らぬ事なればお
免
(
ゆる
)
しなさりませ、
勿躰
(
もつたい
)
なけれどこの金ぬすませて下されと
大つごもり
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
今もし
此処
(
こゝ
)
におはしまして、
例
(
れい
)
の
辱
(
かたじ
)
けなき
御詞
(
おことば
)
の数々、さては恨みに憎くみのそひて
御声
(
おんこゑ
)
あらく、さては
勿躰
(
もつたい
)
なき
御命
(
おいのち
)
いまを限りとの給ふとも、我れはこの
眼
(
め
)
の動かん物か、この胸の騒がんものか。
軒もる月
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
如何
(
どう
)
も申されねどお
前
(
まへ
)
さまのお
優
(
や
)
さしさは
身
(
み
)
にしみて
忘
(
わす
)
れませぬ
勿躰
(
もつたい
)
なけれどお
主樣
(
しゆうさま
)
といふ
遠慮
(
ゑんりよ
)
もなく
新參
(
しんざん
)
の
身
(
み
)
のほども
忘
(
わす
)
れて
云
(
い
)
ひたいまゝの
我儘
(
わがまゝ
)
ばかり
兩親
(
ふたおや
)
の
傍
(
そば
)
なればとて
此上
(
このうへ
)
は
御座
(
ござ
)
いませぬ
左
(
さ
)
りながら
悔
(
くや
)
しきは
生來
(
せいらい
)
の
鈍
(
にぶ
)
きゆゑ
到底
(
とて
)
も
御相談
(
ごさうだん
)
の
相手
(
あいて
)
には
五月雨
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
又
(
また
)
逢
(
あ
)
ふ
場所
(
ばしよ
)
は
某
(
それ
)
の
辻
(
つじ
)
某
(
それ
)
の
處
(
ところ
)
に
待給
(
まちたま
)
へ
必
(
かな
)
らずよと
契
(
ちぎ
)
りて
別
(
わか
)
れし
其夜
(
そのよ
)
のこと
誰
(
た
)
れ
知
(
し
)
るべきならねば
心安
(
こゝろやす
)
けれど
心安
(
こゝろやす
)
からぬは
松澤
(
まつざは
)
が
今
(
いま
)
の
境涯
(
きやうがい
)
あらましは
察
(
さつ
)
しても
居
(
ゐ
)
たものゝそれ
程
(
ほど
)
までとは
思
(
おも
)
ひも
寄
(
よ
)
らざりしが
其御難儀
(
そのごなんぎ
)
も
誰
(
たれ
)
がせし
業
(
わざ
)
ならず
勿躰
(
もつたい
)
なけれど
我
(
わ
)
が
親
(
おや
)
うらみなり
聞
(
き
)
かれぬまでも
諫
(
いさ
)
めて
見
(
み
)
んか
否
(
いな
)
父
(
ちゝ
)
は
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
勿
漢検準1級
部首:⼓
4画
躰
部首:⾝
12画
“勿”で始まる語句
勿論
勿体
勿
勿怪
勿體
勿来
勿忘草
勿々
勿来関
勿体振