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側
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そば
ふりがな文庫
“
側
(
そば
)” の例文
広瀬から
稍
(
や
)
や爪先上りの赤土道を、七、八町も行くと、原中に一本の大きな
水楢
(
みずなら
)
か何かの闊葉樹が生えている
側
(
そば
)
で路が二つに岐れる。
笛吹川の上流(東沢と西沢)
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
所が往来の角で、同輩の若い僧侶の注意が一寸他に向いてゐる隙を見て、空想的な衣裳を着た、黒人の
扈従
(
こしやう
)
がわしの
側
(
そば
)
へやつて来た。
クラリモンド
(新字旧仮名)
/
テオフィル・ゴーチェ
(著)
その膳の
汁椀
(
しるわん
)
の
側
(
そば
)
に、名刺が一枚載せてある。大石はちょいと手に取って名前を読んで、黙って女中の顔を見た。女中はこう云った。
青年
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
そして二言目には、先生々々と言つて、画家の人柄を
賞
(
ほ
)
め、画を賞め、
側
(
そば
)
にゐる舞妓を賞め、舞妓の食べるきんとんを賞めたりした。
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
いや
側
(
そば
)
へやって来ないばかりか、片手をあげると山の一方を指し、桂子をかえって誘うかのように、二度も三度も辞儀をして見せた。
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
▼ もっと見る
私は
其面
(
そのかお
)
を
凝
(
じっ
)
と視ていた。すると、
何時
(
いつ
)
の間にか母が
側
(
そば
)
へ来ていて、泣声で、「息を引取る迄ね、お前に逢いたがりなすってね……」
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
年のせいとばかりは考えられません。まだまだ、眼こそ見えぬが、これでもまあ、
女性
(
にょしょう
)
の
側
(
そば
)
にいればわるい気はしない男なのですから
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
見て
呵々
(
から/\
)
と打笑ひ扨も
能氣味哉
(
よききみかな
)
惡漢共
(
わるものども
)
は
逃失
(
にげうせ
)
たりと云つゝ半四郎の
側
(
そば
)
に立寄是々氣を
確
(
たし
)
かに持れよと
抱起
(
だきおこ
)
して懷中の氣付を與へ清水を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
中へ入って死骸の始末をすることも、死骸の
側
(
そば
)
を通り抜けて、表戸を開けてやることなども、この中老人は出来そうもありません。
銭形平次捕物控:120 六軒長屋
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
資本家及び資本家の傀儡たる重し共は、無数に並んだ沢庵桶の
側
(
そば
)
で、われ等の見る世界とは似てもつかぬ世界を見てゐるのである。
工場の窓より
(新字旧仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
さて孔乙己はお碗に半分ほど酒飲むうちに、赤くなった顔がだんだん元に復して来たので、
側
(
そば
)
にいた人はまたもやひやかし始めた。
孔乙己
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
彼は
側
(
そば
)
にいる、この優雅な少女が、戦時中、十文字に
襷
(
たすき
)
をかけて
挺身隊
(
ていしんたい
)
にいたということを、きいただけでも何か痛々しい感じがした。
永遠のみどり
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
「君、××先生のところで、女中の騒があつた時分だ。頼まれて隠家をさがしに行つたことがあつたぢやないか。あのすぐ
側
(
そば
)
だ。」
来訪者
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
そこも
父
(
とう
)
さんの
好
(
す
)
きなところで、
家
(
うち
)
の
人
(
ひと
)
が
手桶
(
てをけ
)
をかついで
來
(
き
)
たり、
水
(
みづ
)
を
汲
(
く
)
んだりする
側
(
そば
)
に
立
(
た
)
つて、それを見
る
(
み
)
のを
樂
(
たのし
)
く
思
(
おも
)
ひました。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
自分
(
じぶん
)
の
蒲團
(
ふとん
)
の
側
(
そば
)
まで
射
(
さ
)
し
込
(
こ
)
む
日
(
ひ
)
に
誘
(
さそ
)
ひ
出
(
だ
)
されたやうに、
雨戸
(
あまど
)
の
閾際
(
しきゐぎは
)
まで
出
(
で
)
て
與吉
(
よきち
)
を
抱
(
だ
)
いては
倒
(
たふ
)
して
見
(
み
)
たり、
擽
(
くすぐ
)
つて
見
(
み
)
たりして
騷
(
さわ
)
がした。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
ビヤンヴニュ閣下の
側
(
そば
)
にあっては昇進が不可能であることはだれも明らかに感じたところで、彼から資格を与えられた若い人々も
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
ぼーっと
霞
(
かす
)
みだった湖と、その
側
(
そば
)
にぬけ出した鐘塔の右ひだりに、雪を
繞
(
めぐ
)
らした山々が、庭の梢の眼のさめるような緑の上に望まれた。
スウィス日記
(新字新仮名)
/
辻村伊助
(著)
ある朝女が目を覚して見ると、男が
側
(
そば
)
にいないので、ひどく驚いた。起き上がって見ると、男は窓の側の
腕附
(
うでつき
)
の
椅子
(
いす
)
に腰を掛けている。
みれん
(新字新仮名)
/
アルツール・シュニッツレル
(著)
ところで
側
(
そば
)
にいた校長がそれと察して、『お気に召しましたかな? 何なら
媒妁
(
ばいしゃく
)
の労を取りましょうか?』と冗談を言ったそうだ。
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
細君は隣座敷で針箱の
側
(
そば
)
へ突っ伏して好い心持ちに寝ている最中にワンワンと何だか鼓膜へ答えるほどの響がしたのではっと驚ろいて
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
例えば風呂の湯を熱くして無理に入れるような事はせず、
据風呂
(
すえふろ
)
の
側
(
そば
)
に大きな水桶を
置
(
おい
)
て、子供の勝手次第に、ぬるくも熱くもさせる。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
卓子
(
テーブル
)
の
側
(
そば
)
が
僅
(
わづか
)
に
少
(
すこ
)
しばかり
明
(
あか
)
るいだけで、
其
(
そ
)
の
外
(
ほか
)
は
電灯
(
でんとう
)
一
(
ひと
)
つ
点
(
つ
)
けず、
真黒闇
(
まつくらやみ
)
のまゝで
何処
(
どこ
)
を
何方
(
どちら
)
に行つて
宜
(
い
)
いかさツぱり
分
(
わか
)
らぬ。
検疫と荷物検査
(新字旧仮名)
/
杉村楚人冠
(著)
「わこく橋の
側
(
そば
)
の堀っぷちに
鰻
(
うなぎ
)
の
蒲焼
(
かばやき
)
の屋台が出る」と栄二は続けた、「おらあ蒲焼の匂いを
嗅
(
か
)
ぐとがまんができなくなるんだ」
さぶ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
そのうちで、
夜
(
よる
)
も
晝
(
ひる
)
もぶっ
通
(
とほ
)
しに
家
(
いへ
)
の
側
(
そば
)
を
離
(
はな
)
れずに、どうにかして
赫映姫
(
かぐやひめ
)
に
逢
(
あ
)
つて
志
(
こゝろざし
)
を
見
(
み
)
せようと
思
(
おも
)
ふ
熱心家
(
ねつしんか
)
が
五人
(
ごにん
)
ありました。
竹取物語
(旧字旧仮名)
/
和田万吉
(著)
茅萱
(
ちがや
)
の音や狐の声に耳を
側
(
そば
)
たてるのは愚かなこと,すこしでも人が踏んだような痕の見える草の間などをば
軽々
(
かろがろ
)
しく
歩行
(
ある
)
かない。
武蔵野
(新字新仮名)
/
山田美妙
(著)
なる程見れば、すぐ二三間向うに一台の自動車が停っていて、その
側
(
そば
)
に人らしいものが倒れてウーウーと
幽
(
かす
)
かにうめいています。
赤い部屋
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
その
時
(
とき
)
誰
(
だれ
)
か
忍
(
しの
)
び
足
(
あし
)
に、おれの
側
(
そば
)
へ
來
(
き
)
たものがある。おれはそちらを
見
(
み
)
ようとした。が、おれのまはりには、
何時
(
いつ
)
か
薄闇
(
うすやみ
)
が
立
(
た
)
ちこめてゐる。
藪の中
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
私はまだ
泣
(
なき
)
ながらフト頭を挙げて見升と、父が気の毒さうな顔をして
側
(
そば
)
に立つて居升たから、なにやら恥しい気がして、口早に
黄金機会
(新字旧仮名)
/
若松賤子
(著)
御前
(
ごぜん
)
に
立
(
た
)
つてゐました、
左右
(
さいう
)
から
二人
(
ふたり
)
の
兵士
(
へいし
)
に
護衞
(
ごゑい
)
されて、
王樣
(
わうさま
)
のお
側
(
そば
)
には、
片手
(
かたて
)
に
喇叭
(
らつぱ
)
、
片手
(
かたて
)
に
羊皮紙
(
やうひし
)
の
卷物
(
まきもの
)
を
持
(
も
)
つた
白兎
(
しろうさぎ
)
が
居
(
ゐ
)
ました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
ダガ
福禄寿
(
ふくろくじゆ
)
には
白鹿
(
はくろく
)
が
側
(
そば
)
に
居
(
ゐ
)
なければなるまい。甲「
折々
(
をり/\
)
話
(
はな
)
しかを呼びます。乙「
成程
(
なるほど
)
、ダガ
此度
(
こんど
)
はむづかしいぜ、
毘沙門
(
びしやもん
)
は。 ...
七福神詣
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
昼間新吉の留守に、裏の井戸端で洗濯している時などは、
向
(
むこう
)
も退屈しきっているので、下駄をつっかけて来ては
側
(
そば
)
でおしゃべりをしていた。
果樹
(新字新仮名)
/
水上滝太郎
(著)
『これでやったんだな』下村さんがそういって先生の
側
(
そば
)
へしゃがんだので、見ると血のついた文鎮が足許の所に落ちていたわ。
ニッケルの文鎮
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
池の
側
(
そば
)
にある何様だかの小さい
祠
(
ほこら
)
の軒下にしゃがんで、それでもちゃんと待っていたのには、ひどくいじらしい気がしたことがありました。
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
スメールはす早く彼の手をひいた、がもう間にあわなかった。それから彼は頭からタラタラと血を流して、棺桶の
側
(
そば
)
に人事不省にたおれた。
金の十字架の呪い
(新字新仮名)
/
ギルバート・キース・チェスタートン
(著)
一人の老婆が
炉
(
いろり
)
の
側
(
そば
)
へ坐って炉にかけた鍋の下を
焚
(
た
)
いていた。そして、その老婆の
後
(
うしろ
)
の方には顔の白い一人の女が坐っていた。
赤い土の壺
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
それから
町人
(
ちょうにん
)
の
家
(
いえ
)
よりの
帰途
(
かえり
)
、
郵便局
(
ゆうびんきょく
)
の
側
(
そば
)
で、
予
(
かね
)
て
懇意
(
こんい
)
な
一人
(
ひとり
)
の
警部
(
けいぶ
)
に
出遇
(
であ
)
ったが
警部
(
けいぶ
)
は
彼
(
かれ
)
に
握手
(
あくしゅ
)
して
数歩
(
すうほ
)
ばかり
共
(
とも
)
に
歩
(
ある
)
いた。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
一家の生活問題に及ばずながら立ち向おうと、立ち上ると、その隙間に
側
(
そば
)
に寝ている肉親の妹が、早くもわが愛人をかき乱そうとするのか。
貞操問答
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
貴男のお
側
(
そば
)
へそれ以上に近づく事の出来ないのをだんだん不平に思う様になり、そして日ましに気が短かくなって我ままになり、一年に二
とむらい機関車
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
確
(
しか
)
と検して置こうと言うて野猪の
鬣
(
たてがみ
)
の直ぐ
側
(
そば
)
に生えおった高い
薄
(
すすき
)
に
攀
(
よ
)
じ登りサア駈けろと言うと同時に野猪の鬣に躍び付いた
十二支考:02 兎に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
そして街はずれの
竹藪
(
たけやぶ
)
の
側
(
そば
)
の水車の前まで来ると、その
風呂敷包
(
ふろしきづつみ
)
をしっかりと私に背負わせ、近所の菓子屋から駄菓子を買って私にくれた。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
それは
眞
(
まこと
)
によい
思
(
おも
)
ひつきであると
御賞
(
おほ
)
めになつて、それからは
土
(
つち
)
で
作
(
つく
)
つた
人間
(
にんげん
)
などの
像
(
ぞう
)
を
墓
(
はか
)
の
側
(
そば
)
に
埋
(
うづ
)
めることになつたのだといふことです。
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
その下の、すぐ
側
(
そば
)
の葉が一つ、同じ合図をする。ほかの葉が、また、それを繰り返し、隣り近所の葉に伝える。それが、急いで、次へ送る。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
すると、爺さんはニコニコしながら、それを拾って、自分の
直
(
す
)
ぐ
側
(
そば
)
に立っている見物の一人に、おいしいから食べて御覧なさいと言いました。
梨の実
(新字新仮名)
/
小山内薫
(著)
微笑
(
ほゝゑ
)
みつゝ小池は、
側
(
そば
)
に寄つて來たお光に、遠くから見ればキツスでもしてゐるかと思はれるほど、顏を突き附けて言つた。
東光院
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
将軍の
側
(
そば
)
にいるようになるかも知れぬ——何が何んだか、ここ一年余り、自分では
何
(
ど
)
う考えても、訳の判らない事ばかりだ。
大岡越前の独立
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
びっくりした
私
(
わたくし
)
が
御返答
(
ごへんじ
)
をしようとする
間
(
ま
)
もあらせず、お
爺
(
じい
)
さんの
姿
(
すがた
)
が
又々
(
またまた
)
烟
(
けむり
)
のように
側
(
そば
)
から
消
(
き
)
えて
無
(
な
)
くなって
了
(
しま
)
いました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
そんなら
行
(
い
)
くが好い。丁度ステーションの
側
(
そば
)
に何軒か
普請中
(
ふしんちゆう
)
の
家
(
うち
)
も有るから、煉瓦でも運んで居りや、
餓
(
かつ
)
ゑもしまい。たゞ酒だけは
慎
(
つゝし
)
むんだぞ。
椋のミハイロ
(新字旧仮名)
/
ボレスワフ・プルス
(著)
そのときに春江はじめ四人の女給はもう寝ていたが春江の寝すがたが
莫迦
(
ばか
)
に細っそりしているので不思議に思い、
側
(
そば
)
によってよく改めて見ると
電気看板の神経
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
凡
(
およ
)
そ一年ばかりも経つ
中
(
うち
)
に、ある日アノ窓の
側
(
そば
)
まで行くと、急に顔色が
変
(
かわ
)
ってパッタリ倒れたまま死んで
了
(
しま
)
ったそうです。
画工と幽霊
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
電燈はそのうし柱のすぐ
側
(
そば
)
に掛けられる。丁度鶴見の席の背後になる。そんなわけで、そこに火の点く時が食事をはじめる合図になるのである。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
側
常用漢字
小4
部首:⼈
11画
“側”を含む語句
両側
側面
向側
片側
舷側
内側
此方側
右側
縁側
左側
外側
片側町
二側
入側
窓側
井戸側
側目
兩側
側室
一側
...