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例
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ためし
ふりがな文庫
“
例
(
ためし
)” の例文
ももうらおそいは三十一年毎に建てなおす
例
(
ためし
)
になっていたが(?)、その落成式の時にはいつもこのオモロを歌ったのである。また
浦添考
(新字新仮名)
/
伊波普猷
(著)
此の婚礼に就いて在所の者が、先住の
例
(
ためし
)
を引いて
不吉
(
ふきつ
)
な噂を立てるので、
豪気
(
がうき
)
な
新住
(
しんじう
)
は
境内
(
けいだい
)
の暗い
竹籔
(
たけやぶ
)
を
切払
(
きりはら
)
つて桑畑に
為
(
し
)
て
了
(
しま
)
つた。
蓬生
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
(著)
「馬鹿、そんな女の言ふことをきいて、ノコノコ行かれるものか、殺される殺されると言つた人間に、あんまり殺された
例
(
ためし
)
はないぜ」
銭形平次捕物控:210 飛ぶ女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
何年ぶりにも顔を合せた事のない彼とその人とは、度々会わなければならなかった昔でさえ、
殆
(
ほと
)
んど親しく口を利いた
例
(
ためし
)
がなかった。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
それが
却
(
かへつ
)
て未だ曾て耳にした
例
(
ためし
)
のない美しい樂音を響かせて、その音調の
文
(
あや
)
は春の野に立つ
遊絲
(
かげろふ
)
の微かな影を心の空に
搖
(
ゆる
)
がすのである。
新しき声
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
▼ もっと見る
その父は、しかも、とかく官途をきらって、鳥羽の院へも、御所の
衛府
(
えふ
)
へも、特に、召されでもしない限りは、
出仕
(
しゅっし
)
した
例
(
ためし
)
がない。
新・平家物語:02 ちげぐさの巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
これまで牛の血統が問題にされた
例
(
ためし
)
をきいたことがない。何で、孔子がそんなことを云い出したものだろう、と彼等は不思議に思った。
論語物語
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
汝いづこより來りしや、また誰なりや、我等汝の
恩惠
(
めぐみ
)
をみていたく驚く、たえて
例
(
ためし
)
なきことのかく驚かすは
宜
(
うべ
)
なればなり。 一三—一五
神曲:02 浄火
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
人間は
老少不定
(
ろうしょうふじょう
)
の
例
(
ためし
)
、
明日
(
あす
)
にも知れんが人の身の上、殿様のお顔もこれが
見納
(
みおさめ
)
になるかと、
今日
(
こんにち
)
は御暇乞に
罷
(
まか
)
り出ましてござります
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
平素
(
ふだん
)
めつたに思出した
例
(
ためし
)
も無いやうなことが、しかも
昨日
(
きのふ
)
あつたことゝ言ふよりも今日あつたことのやうに、生々と浮んで来た。
犬
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
そんな大事件が、彼の手に委ねられた
例
(
ためし
)
は嘗てなかった。そう自覚するだけでも、彼は激しい動悸を制することが出来なかった。
二人の稚児
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
世人全部満足だという世の中は歴史を見てもあった
例
(
ためし
)
がないのですし、また、多数の人の共存する世の中は、みんなの連帯責任ですから
仏教人生読本
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
遠き故事を引くにも及ばず、近き
例
(
ためし
)
は源氏の
末路
(
まつろ
)
。
仁平
(
にんぺい
)
、
久壽
(
きうじゆ
)
の盛りの頃には、六條判官殿、
如何
(
いか
)
でか其の一族の
今日
(
こんにち
)
あるを思はれんや。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
して、悪いめぐり合せになる
例
(
ためし
)
が世間にはザラにあることなんだから、弁信さん、そんなに取越し苦労をしないで、山へお帰りなさいまし
大菩薩峠:18 安房の国の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
助、豊雄をにらまへて、
你
(
なんぢ
)
神宝
(
かんだから
)
を盗みとりしは
例
(
ためし
)
なき
一七六
国津罪
(
くにつつみ
)
なり。
猶
(
なほ
)
種々
(
くさぐさ
)
の
財
(
たから
)
は
一七七
いづちに隠したる。明らかにまうせといふ。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
勤
(
つとめ
)
たるも
先例
(
せんれい
)
なければ此時忠相ぬしは町奉行を
止
(
やめ
)
られて
更
(
さら
)
に寺社奉行に任ぜられしなど未だ
例
(
ためし
)
なき
美目
(
びもく
)
を
施
(
ほどこ
)
し
士庶
(
ししよ
)
人をして其徳を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
「
上
(
かみ
)
に刃向かった不義者の栄えた
例
(
ためし
)
はありません。花村様が英雄でも討手に敵対したが最後必ず打ち負けるでございましょう」
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
怪
(
あやし
)
むべき
哉
(
かな
)
、
曾
(
かつ
)
て
経
(
へ
)
たりし
塲
(
ところ
)
をそのままに夢むる
例
(
ためし
)
は有れ、
所拠
(
よりどころ
)
も無く夢みし跡を、
歴々
(
まざまざ
)
とかく目前に見ると云ふも有る事か。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
三之丞は幼少の頃からおっとりした性質で、怒ったという顔を見せたことがないし、かつて人と
喧嘩
(
けんか
)
口論をした
例
(
ためし
)
がない。
備前名弓伝
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
かの剣を墓にかけし人の
例
(
ためし
)
にはあらねど、我辛ふじて身を立てなむ頃は母様の、我為に人より多くのお年とらせたまひて。
葛のうら葉
(新字旧仮名)
/
清水紫琴
(著)
もとより、こうした
例
(
ためし
)
は世の中に沢山あることだそうで御座いますが、
脛
(
すね
)
に傷持つ身には、神様よりの警告としか考えられぬので御座いました。
秘密の相似
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
「おれもそれを考えたが、用人の話を聞いても、住職の話を聞いても、小栗の主人は碁も将棋も嫌いで、そんな勝負をした
例
(
ためし
)
は無いと云うのだ」
半七捕物帳:67 薄雲の碁盤
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
横着政治家も
亦
(
また
)
この
例
(
ためし
)
に洩れません。
殊
(
こと
)
にマキャベリー式政治家に鼻の表現を使いわけるタチの人が多いようであります。
鼻の表現
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
さればいたるところ大入り
叶
(
かな
)
わざるなきがゆえに、四方の
金主
(
きんす
)
は
渠
(
かれ
)
を争いて、ついに
例
(
ためし
)
なき
莫大
(
ばくだい
)
の給金を払うに
到
(
いた
)
れり。
義血侠血
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
いつだか、いい仕事は、金子を産む、と仰しゃったが——それは一理だが——すでに、重豪公がいい仕事をなすって、金子を産まなかった
例
(
ためし
)
がある
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
昔の歴史を見ましても
后
(
きさき
)
の方から御離別を申し
出
(
い
)
でられた
例
(
ためし
)
はしばしば御座いますけれど、それが御歴代の御聖徳に影響しているとは思われません。
離婚について
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
大将様はあんなに、
例
(
ためし
)
もないほど婿君として
帝
(
みかど
)
がお大事にあそばすために、御
驕慢
(
きょうまん
)
になってそんなふうなこともお言いになるのではありますまいか。
源氏物語:52 東屋
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
わが邦にては
旧
(
ふる
)
きよしみある人をとて、
御使
(
おんつかい
)
撰
(
えら
)
ばるるやうなる
例
(
ためし
)
なく、かかる任に当るには、別に履歴なうては
協
(
かな
)
はぬことを、知ろしめさぬなるべし。
文づかひ
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
われ。タツソオは詩人なり。されば好き
例
(
ためし
)
と思ひて引き出でしまでに候ふ。夫人。アントニオよ、さてはおん身は自ら詩人なりと許す心あるにやあらん。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
家内の
婢僕
(
おんなおとこ
)
には日ながの慰みにせられ、恋しき人の顔を見ることも
無
(
の
)
うして、生まれ
出
(
い
)
でてより
例
(
ためし
)
なき克己と辛抱をもって当てもなきものを待ちけるなり。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
今年もいよいよ秋になったと知るが否や、わたくしは今日か明日かと、
夜毎
(
よごと
)
に蛼の
初音
(
はつね
)
を待つのが
例
(
ためし
)
である。
虫の声
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
今までにも憑きもののした男や女はあったが、こんなに種々雑多なものが一人の人間にのり移った
例
(
ためし
)
はない。
狐憑
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
かけているけれど、一人でも
失敗
(
しくじ
)
ったという
例
(
ためし
)
があったら、お目にかかりません。安心しておいでなさいよ。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
彼
(
かれ
)
は
決
(
けつ
)
して
他人
(
たにん
)
と
爭鬪
(
さうとう
)
を
惹
(
ひ
)
き
起
(
おこ
)
した
例
(
ためし
)
もなく、
寧
(
むし
)
ろ
極
(
きは
)
めて
平穩
(
へいをん
)
な
態度
(
たいど
)
を
保
(
たも
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
唯
(
たゞ
)
彼等
(
かれら
)
のやうな
貧
(
まづ
)
しい
生活
(
せいくわつ
)
の
者
(
もの
)
は
相互
(
さうご
)
に
猜忌
(
さいぎ
)
と
嫉妬
(
しつと
)
との
目
(
め
)
を
峙
(
そばだ
)
てゝ
居
(
ゐ
)
る。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
よしや一
斗
(
と
)
の「モルヒ子」に
死
(
し
)
なぬ
例
(
ためし
)
ありとも
月夜
(
つきよ
)
に
釜
(
かま
)
を
抜
(
ぬ
)
かれぬ
工風
(
くふう
)
を
廻
(
めぐ
)
らし
得
(
う
)
べしとも、
当世
(
たうせい
)
小説
(
せうせつ
)
の
功徳
(
くどく
)
を
授
(
さづ
)
かり
少
(
すこ
)
しも其
利益
(
りやく
)
を
蒙
(
かうむ
)
らぬ事
曾
(
かつ
)
て
有
(
あ
)
るべしや。
為文学者経
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
、
三文字屋金平
(著)
人の生活をあらためさせた
例
(
ためし
)
があろうか、人はその人自身によって何事もあらためるものを
更
(
あらた
)
めてこそいいが、式や形でそれを
司
(
つかさど
)
ることは無理であるといった。
花桐
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
ネー奥さん、人は誰でも先の事を考えたがりますけれども
滅多
(
めった
)
に物事が考え通りになった
例
(
ためし
)
がありません。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
もし単に故郷に
容
(
い
)
れられぬといふばかりならば、根本の父のやうに、又は塩町の湯屋のやうに、
憤
(
いきどほり
)
を発して他郷に出て、それで名誉を
恢復
(
くわいふく
)
した
例
(
ためし
)
は
幾許
(
いくら
)
もある。
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
暫
(
しばら
)
く日本を遠のきなさいましては——外国には随分他国に身を逃れると云ふ
例
(
ためし
)
もあるやうで御座いますから
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
オランダの言葉の、むつかしき
例
(
ためし
)
には、かようなこともござる。アーンテレッケンと申す言葉がござる。
蘭学事始
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
いま友人の語つて居るやうに、
此家
(
ここ
)
の細君は確かに
異
(
ちが
)
つた性質を
有
(
も
)
つて居る。萬事が消極的で、自ら進んでどう爲ようといふやうな事は
假初
(
かりそめ
)
にもあつた
例
(
ためし
)
がない。
一家
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
「どれ、どれ。成程
読
(
よ
)
み
難
(
にく
)
い文字だな。」と和尚は幾度となく頭を
傾
(
かし
)
げて居るが、ついぞ解つた
例
(
ためし
)
はなかつた。で、
終
(
しまひ
)
にはいつもこんな事を言つて笑つたものだ。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
捕物吟味の御前試合などとは、まだ話にも
例
(
ためし
)
にもない。日本はじまって以来これが最初。二度とはない
一期
(
いちご
)
のおり。……わたくしといたしましても今度ばかりは必死。
顎十郎捕物帳:09 丹頂の鶴
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
正秀
(
せいしう
)
問
(
とふ
)
、古今集に空に知られぬ雪ぞ降りける、人に知られぬ花や咲くらん、春に知られぬ花ぞ咲くなる、一集にこの三首を撰す。一集一作者にかやうの事
例
(
ためし
)
あるにや。
芭蕉雑記
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
ベンヺ
馬鹿
(
ばか
)
な! そこがそれ、
火
(
ひ
)
は
火
(
ひ
)
で
壓
(
おさ
)
へられ、
苦
(
く
)
は
苦
(
く
)
で
減
(
げん
)
ぜられる
例
(
ためし
)
ぢゃ。
逆
(
ぎゃく
)
に
囘轉
(
まは
)
ると
目
(
め
)
が
眩
(
ま
)
うたのが
癒
(
なほ
)
り、
死
(
し
)
ぬる
程
(
ほど
)
の
哀愁
(
かなしみ
)
も
別
(
べつ
)
の
哀愁
(
かなしみ
)
があると
忘
(
わす
)
れらるゝ。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
それにまた、世間の人々が、私のようにこんなに
不為合
(
ふしあわ
)
せになったのは、あまりにも女として思い上っていたためであろうかどうか、その
例
(
ためし
)
にもするが好いと思うのだ。
かげろうの日記
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
もう百年あまりこの方
例
(
ためし
)
がないんだ!——それでも、お前もよく知ってるとおり、わしはお前を恨んだこともないし、お前と知り合ってからはいつも好意をもっていた。
ジャン・クリストフ:03 第一巻 曙
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
別れまゐらせし歳は我が齢、僅に
二十歳
(
はたち
)
を越えつるのみ、また
幼児
(
いとけなき
)
を離せしときは
其
(
そ
)
が
六歳
(
むつつ
)
と申す
愛度無
(
あどな
)
き折なり、老いて夫を先立つるにも泣きて泣き足る
例
(
ためし
)
は聞かず
二日物語
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
勿論総ての点を私は満足に答え、今まで私の手を経た人は再び見破られた
例
(
ためし
)
がないと云いました。
幽霊塔
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
年長じても歯を黒め得ざりしと言えるをさえ苛政の
例
(
ためし
)
に覚えしが、今はまた何でもなき郡吏や一村長の一存で、村民が神に詣で名を嬰児に命ずる式すら挙げ得ざるも
酷
(
ひど
)
し。
神社合祀に関する意見
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
例
常用漢字
小4
部首:⼈
8画
“例”を含む語句
慣例
例之
例令
常例
定例
例外
例年
例日
通例
先例
實例
比例
恒例
例証
実例
惡例
例刻
其例
好例
吉例
...