見込みこ)” の例文
ドカリ——洗面所せんめんじよかたなる、どあつた、茶色ちやいろかほが、ひよいと立留たちどまつてぐいと見込みこむと、ちや外套ぐわいたうう、かたはすつたとおもふと
銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
しかし、月きふの上る見込みこみもなかつたし、ボオナスもるばかりの上に、質屋しちやちかしい友だちからの融通ゆうづうもさうさうきりなしとはかなかつた。
(旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
ロレ ロミオよ、てござれ、てござれよ、こりゃ人目ひとめおそはゞかをとこ。あゝ、そなた憂苦勞うきくらう見込みこまれて、不幸ふしあはせ縁組えんぐみをおやったのぢゃわ。
こんなふうでは、このいくさにはとてもてる見込みこみはない。まあ、はたらけるだけはたらいて、あとはいさぎよくにをしよう。
鎮西八郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
うらおもてがあったり、じゃけんだったりすると、きらわれて出世しゅっせ見込みこみがないものだ。東京とうきょうへいったら、からだを大事だいじにして、よくはたらきなさい。
だまされた娘とちょうの話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
わたくし三浦家みうらけへの嫁入よめいりにつきましてはべつふか仔細しさいはございませぬ。良人おっとわたくしちち見込みこんだのでございます。
「ワグナーさんは、ああ仰有おっしゃいますが、他のみなさんがたは、どんな風にお見込みこみをなすっていらっしゃるの」
宇宙尖兵 (新字新仮名) / 海野十三(著)
安藤はもちろん見込みこみがありさえすれば、すぐにも自分がって治療ちりょうをこころみんとの決心けっしんを語り、つづいて花前の不幸ふこうなりし十年まえの経歴けいれきかたった。
(新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
ほう、まねえが、そんな無駄むだぜにがあるんなら、ちとこっちへまわしてもらいてえの。おれだのまつろうなんざ、貧乏神びんぼうがみ見込みこまれたせいか、いつもぴいぴい風車かざぐるまだ。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
とても来月の学年試験には及第きふだいする見込みこみがないと思つてゐたところなので、病気欠席のあとへば、落第らくだいしても母に対して尤至極もつともしごく申訳まをしわけができると思ふからであつた。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
(飯島のような人間はとうてい救えない。それにくらべると、田川大作のほうはまだ見込みこみがある。)
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
それを見込みこみて石之助いしのすけ今宵こよひ期限きげん借金しやくきん御座ござる、ひとけにちてはんたるもあれば、花見はなみのむしろに狂風けうふうぢん破落戸仲間ごろつきなかまものらねば此納このおさまりむづかしく
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
二、 非常ひじよう地震ぢしんたるをさとるものはみづか屋外おくがい避難ひなんせんとつとめるであらう。數秒間すうびようかん廣場ひろばられる見込みこみがあらば機敏きびんすがよい。たゞもと用心ようじんわすれざること。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
つはくらい。……前途むかうさがりに、見込みこんで、勾配こうばいもつといちじるしい其處そこから、母屋おもや正面しやうめんひく縁側えんがはかべに、薄明うすあかりの掛行燈かけあんどんるばかり。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
大工だいくはせっかく見込みこまれてたのまれたので、うんといってけてはみたものの、いよいよそのてみて、さすがの名人めいじんも、あっといっておどろきました。
鬼六 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
主人もことばのかぎりをつくして同情どうじょうした。しんせつな安藤はともかくも治療ちりょう見込みこみがすこしでもあるならば、一日も見てはいられぬといってった。
(新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
このご結婚けっこんは、あかくろとの結婚けっこんです。あかが、くろ見込みこまれている。おひめさま、あなたは、皇子おうじわれることとなります。この結婚けっこん不吉ふきつでございます。
赤い姫と黒い皇子 (新字新仮名) / 小川未明(著)
それゆゑ數秒間すうびようかん廣場ひろばられる見込みこみがあらば、もつと機敏きびんにさうするほう個人こじんとして最上さいじようさくたるに相違そういない。唯一たゞひとこゝ考慮こうりよすべきは用心ようじんかんする問題もんだいである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
次の手は、ガラス天井てんじょうを破ることであった。ガラスはそうとう厚いようであるから、ジャック・ナイフしか持っていない彼に、はたして破れるかどうか、見込みこみはうすかった。
時計屋敷の秘密 (新字新仮名) / 海野十三(著)
その点では諸君の先輩せんぱいだとさえいえないのだから、まして諸君の指導者でもなければ、命令者でもない。そういうことを私に期待していては、ここの生活は成り立つ見込みこみがない。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
こういうと、少年しょうねんは、脊椎せきついカリエスで、とうていたすかる見込みこみがないと、回診かいしん医者いしゃはいっていました。
だまされた娘とちょうの話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
むすめのふたおやは、もうとてもたすかる見込みこみがないとあきらめて、両方りょうほうきはらしていました。
しっぺい太郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
牛のほうはぞうさないけれど、むすこは助かる見込みこみがない。おふくろが前掛まえかけでなみだをふきながら茶をだしたが、どこにもよいことばかりはないと、しみじみ糟谷かすや嘆息たんそくした。
老獣医 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
夕刻ゆふこくは、六文錢ろくもんせんも、八門遁甲はちもんとんかふなんにもない。に、煙草盆たばこぼんひかへて、わたし一人ひとりなゝめ琵琶棚びはだな見込みこんで、ぽかんとひかへた。青疊あをだたみいたづらにひろくして、大卓だいたくは、浮島うきしまていである。
九九九会小記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
中学校も五年になってからの転校は、どうせ公立では見込みこみがないので、私立のほうの知人に二三たのんではある。しかし、夏休みのせいか、まだはっきりした返事がきけないでいる。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
(一月十日、金属Qを創造そうぞうする見込みこみのつきたる日しるす)
金属人間 (新字新仮名) / 海野十三(著)
どうかしてかたきちたいとおもいますが、何分なにぶんこうは三上山みかみやま七巻ななまはんくというおおむかでのことでございますから、よしかって行っても見込みこみがございません。
田原藤太 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
けれど、どの医者いしゃにも、その病気びょうきがわかりませんばかりでなく、それをなおす見込みこみすらつきませんでした。そのうちに金持かねもちはだんだんからだわるくなるばかりでありました。
金の魚 (新字新仮名) / 小川未明(著)
いてありました。そのくにたいそうつよくって、戦争せんそうをしてもとても見込みこみがありませんでした。殿様とのさまこまっておしまいになって、家来けらいたちをあつめて御相談ごそうだんなさいました。
姨捨山 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
医者いしゃは、ついに恢復かいふく見込みこみがないと、見放みはなしました。
ちょうと三つの石 (新字新仮名) / 小川未明(著)
それでさるぎもというものをげなければ、とてもたすかる見込みこみがないというので、わたしがおまえさんをさそしにたのさ。だからかんじんの用事ようじというのはぎもなんですよ。
くらげのお使い (新字新仮名) / 楠山正雄(著)