見知みし)” の例文
は一こく友人ゆうじん送別会席上そうべつかいせきぜう見知みしりになつたR国人こくじんであつたので、わたしはいさゝか心強こゝろつよかんじて、みちびかるゝまゝにおくとほつた。
微笑の渦 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
そのほのぐら長屋門ながやもんをくぐって、見知みしらぬ男がふたりいそいそとはいってくる。羽織はおりはもめんらしいが縞地しまじ無地むじかもわからぬ。
告げ人 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
「両国には相違ねえが、あの小屋からずっと離れた亀沢町かめざわちょうの路地に若い男が、殺されているが、困ったことには見知みしがねえ」
一度は村の見知みししの若者の横顔を見世みせの前でちらと見た。一度は大高島の渡船とせんの中で村の学務委員といっしょになった。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
おばあさんは、見知みしらないおとこかおて、このひとはどこかいえをまちがえてたずねてきたのではないかとおもいました。
月夜と眼鏡 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ひどくよわつてるやうだなと見知みしりの臺屋だいやとがめられしほどなりしが、父親ちゝおやはお辭氣じぎてつとて目上めうへひとつむりをあげたことなく廓内なか旦那だんなはずとものこと
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
この見知みしらない小娘こむすめあたまごなしにしかりつけてでも、またもととほまどをしめさせたのに相違さうゐなかつたのである。
蜜柑 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
家主いへぬし女主人をんなあるじところ見知みしらぬひとさへすればれもになる。もん呼鈴よびりんたび惴々びく/\しては顫上ふるへあがる。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
そのお婿むこさんははじめから、よるおそくては、けないうちに、いつかえるともなくかえってしまうので、おひめさまのほかには、だれもそのかお見知みしったものもありませんし
三輪の麻糸 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
あさになって野鴨達のがもたちきてみますと、見知みしらないものているのでをみはりました。
音楽家は黙つて、後方うしろを振りかへつた。そこには五六人の客が居合はせたが、誰一人見知みししの男は居なかつた。剽軽な男は椅子の上から、身体からだのばしざま、ホフマンに言つた。
たんにおいと一人の姿すがたのみならず、往来わうらいれちがつた見知みしらぬ女の姿すがたが、島田しまだの娘になつたり、銀杏返いてふがへしの芸者になつたり、また丸髷まるまげ女房姿にようばうすがたになつたりして夢の中にうかぶ事さへあつた。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
拙者せっしゃ大坂城おおさかじょうとしておる真田源次郎さなだげんじろうという若輩者じゃくはいもの、どうかお見知みしりおきを」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ヂュリ (獨語的に)類無たぐひないわがこひが、たぐひないわが憎怨にくしみからうまれるとは! ともらではや見知みしり、うとったときはもう晩蒔おそまき! あさましい因果いんぐわこひにくかたきをば可愛かはゆいとおもはにゃならぬ。
手のさき天窓あたまさきそろへ、どうめて閑雅しとやか辞儀じぎをして、かね/″\おまねきにあづかりました半田屋はんだや長兵衛ちやうべゑまうす者で、いたつて未熟みじゆくもの、此後こののちともお見知みしかれて御懇意ごこんいに願ひますとふと
にゆう (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
見知みししの人なので、ミハイロが丁寧に辞儀じぎをすると
椋のミハイロ (新字旧仮名) / ボレスワフ・プルス(著)
のすきまから、ランプのひかりくらそとながました。そこには、まったく見知みしらないおとこっていた。主人しゅじんは、をみはりました。すると、そのおとこ
般若の面 (新字新仮名) / 小川未明(著)
家主いえぬし女主人おんなあるじところ見知みしらぬひとさえすればそれもになる。もん呼鈴よびりんたび惴々びくびくしては顫上ふるえあがる。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
ほおのあたりがえて、眼にはやさしい表情があった。けれど清三の心はもうそれがために動かされるほどその影がこくうつっておらなかった。ただ、見知みししの女のように挨拶あいさつして通った。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
なんたま輿こしまではおもひがけませぬといふ、うそをいふはひとはじめからなに見知みしつてるにかくすは野暮やぼ沙汰さたではないか、おもつてやれ/\とあるに、あれそのやうなけしかけことばはよしてくだされ
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
のあけくれを見知みしるほど
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
かれは、なんのなしに、たんぼなかへはいってゆきますと、見知みしらぬおおきなおとこが、すぐまえっていました。
死と話した人 (新字新仮名) / 小川未明(著)
それにドクトル、ハバトフ、またも一人ひとり見知みしらぬブロンジンのおとこ、ずらりとならんでひかえている。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
それもあるならひなりしてやかはりたるゆきすみおろかなことくもつちほど懸隔けんかくのおびたゞしさ如何いか有爲轉變うゐてんぺんとはいへれほどの相違さうゐれがなんとしてのつくべきこゝろおに見知みししの人目ひとめいとはしくわざ横町よこちやうみち
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
それにドクトル、ハヾトフ、また一人ひとり見知みしらぬブロンヂンのをとこ、ずらりとならんでひかへてゐる。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
かれ足音あしおといて、ふとかおげると、やはり見知みしりのむらおんなでしたから
赤いガラスの宮殿 (新字新仮名) / 小川未明(著)
のやうにおぼしめして御苦勞ごくらうなき御苦勞ごくらうやら我身わがみ新參しんざん勝手かつてらずおもとようのみつとめれば出入でいりのおひとおほくも見知みしらず想像さうぞうには此人このひとかとゆるもけれどこのみはひと心々こゝろ/″\なにがおそみしやらはでおもふは山吹やまぶきしたゆくみづのわきかへりてむねぐるしさもさぞなるべしおつゝしぶかさは
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
レールは、また、このはちをよく見知みしっていました。なぜなら、このちいさい、敏捷びんしょうな、すきとおるようにうつくしいつばさったはちが、つねに、この近傍きんぼうはなから、はなびまわっていたからです。
雪くる前の高原の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そこへ、見知みしらぬ、一人ひとり少年しょうねんがやってきました。
友だちどうし (新字新仮名) / 小川未明(著)