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胴中
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どうなか
ふりがな文庫
“
胴中
(
どうなか
)” の例文
「……ア……アノ
蔵元屋
(
くらもとや
)
どんの
墓所
(
はかしょ
)
の中で……シ……島田に結うた、赤い振袖の
女
(
おなご
)
が……
胴中
(
どうなか
)
から……離れ離れに…ナ……なって……」
狂歌師赤猪口兵衛:博多名物非人探偵
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
役人の一人は
鉄杖
(
てつじょう
)
を持ち直して、
脚下
(
あしもと
)
に転がった
人俵
(
ひとだわら
)
の一つの
胴中
(
どうなか
)
をびしゃりとやった。その人俵からは老人の
白髪
(
しらが
)
頭が出ていた。
切支丹転び
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
これがすむと、
胴中
(
どうなか
)
に手をかけて、こそこそやっていたかと思うと、そのドラム缶のような胴が、真中から、たてに二つにわれる。
火星兵団
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
と取ったが、
繻子張
(
しゅすばり
)
のふくれたの。ぐいと
胴中
(
どうなか
)
を一つ結えて、白の
鞐
(
こはぜ
)
で留めたのは、古寺で貸す時雨の傘より、当時はこれが化けそうである。
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
水を吐かせようとするのと、気を張らせようとする用意で、わざと
邪慳
(
じゃけん
)
に
胴中
(
どうなか
)
をすくい上げてから呼びました刹那
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
手に
足駄
(
あしだ
)
を
穿
(
は
)
ける乞食
好
(
い
)
い時に
遇
(
あ
)
つたものだ。もう二三日早かつたら、
胴中
(
どうなか
)
に矢の穴が明いたかも知れぬ。
往生絵巻
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
といいながら、うりの
胴中
(
どうなか
)
に
二所
(
ふたところ
)
まで
針
(
はり
)
を
打
(
う
)
ちますと、なるほどそのままうりは
動
(
うご
)
かなくなってしまいました。そこで一ばんおしまいに
義家
(
よしいえ
)
が、
短刀
(
たんとう
)
をぬいて
八幡太郎
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
銀
(
ぎん
)
の蜘蛛の巣がおまへの耳に絲を張つた、おまへの
胴中
(
どうなか
)
に這つてゐる
甲蟲
(
よろひむし
)
は涙の雨に打たれて血を吐いた。
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
「頭の悪いことを胸が
疎
(
うと
)
いと言ったものだ。胸に手を当てゝ考えるとか、腑に落ちないとか、肚だとか度胸だとか胆力だとか、頭の働きを
胴中
(
どうなか
)
でやっていたんだね」
ガラマサどん
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
そのうちの一羽が——崖に
辷
(
すべ
)
って転んだ弁信さんの
身体
(
からだ
)
を上からのしかかって、あれが本当の鷲掴みというのでしょう、
胴中
(
どうなか
)
のところをグッと一掴みにしたまま、あれ
大菩薩峠:35 胆吹の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
今日は鋭く
尖
(
とが
)
った頂きは無論の事、切石を
不揃
(
ふそろい
)
に畳み上げた
胴中
(
どうなか
)
さえ
所在
(
ありか
)
がまるで分らない。それかと思うところが、心持黒いようでもあるが、鐘の
音
(
ね
)
はまるで響かない。
永日小品
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「さあ、お茶をおあがりなさい。」と云いながらかげろうの
胴中
(
どうなか
)
にむんずと
噛
(
か
)
みつきました。
蜘蛛となめくじと狸
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
麥畠
(
むぎばたけ
)
に
熟
(
じゆく
)
した
麥
(
むぎ
)
は、
父
(
とう
)
さんに
穗先
(
ほさき
)
の
方
(
はう
)
の
細
(
ほそ
)
い
麥藁
(
むぎわら
)
と、
胴中
(
どうなか
)
の
方
(
はう
)
の
太
(
ふと
)
い
麥藁
(
むぎわら
)
とを
呉
(
く
)
れました。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
そこでまず、この輪に、最年少者の漁夫の
国後
(
くなしり
)
が、腰をかけると、そのがっちりした
胴中
(
どうなか
)
を、しっかりと索で輪にくくりつけた。かれは、両手で輪にすがって、岩の方をむいた。
無人島に生きる十六人
(新字新仮名)
/
須川邦彦
(著)
人足が
法被
(
はっぴ
)
を腰に巻き附け、小太い竹の息杖を突き、
胴中
(
どうなか
)
を
細引
(
ほそびき
)
で縛った長持を二人で
担
(
かつ
)
ぎ、
文身
(
ほりもの
)
といっても
能
(
よ
)
い
文
(
かざ
)
りではございません、紺の木綿糸を噛んで吐き附けた様な
筋彫
(
すじぼり
)
で
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
ヘンデルはいきなりスターの
胴中
(
どうなか
)
を
引抱
(
ひっかか
)
えると、窓から往来へ放り出そうとした。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
と女の屍体を運ぼうとして
胴中
(
どうなか
)
を抱えていたドクトルが、だしぬけに叫んだ。
見開いた眼
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
そこで、あわてて逃げ出そうとしましたが、兄弟はもう、うしろから追いついて、青ひげが、くつぬぎの石に足をかけようとするところを、
胴中
(
どうなか
)
をひとつきつきさして、ころしてしまいました。
青ひげ
(新字新仮名)
/
シャルル・ペロー
(著)
富士の
胴中
(
どうなか
)
に、腹帯を巻いたような御中道へとかかる、この前後、落葉松が多く、幹を骸骨のように白くさらし、
雪代水
(
ゆきしろみず
)
や風力のために、山下の方へと枝を振り分けて、うつむきに
反
(
そ
)
っている
不尽の高根
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
こりゃ
此處
(
こゝ
)
に四十
兩
(
りゃう
)
ある、
予
(
わし
)
に
毒藥
(
どくやく
)
を一
匁
(
もんめ
)
ほど
賣
(
う
)
ってくりゃれ、
直
(
すぐ
)
に
血管
(
けっくわん
)
に
行渡
(
ゆきわた
)
って
世
(
よ
)
に
饜果
(
あきは
)
てた
飮主
(
のみぬし
)
を
立地
(
たちどころ
)
に
死
(
し
)
なすやうな、
又
(
また
)
、
射出
(
うちだ
)
された
焔硝
(
えんせう
)
が
怖
(
おそろ
)
しい
大砲
(
たいはう
)
の
胴中
(
どうなか
)
から
激
(
はげ
)
しう
急
(
きふ
)
に
走
(
はし
)
り
出
(
で
)
るやうに
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
蕎麦
(
そば
)
まつしろに山の
胴中
(
どうなか
)
人
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
わたされた方は、それを
胴中
(
どうなか
)
に結びつけると、うしろへ下って
椰子
(
やし
)
の木にだきついた。カメラはそばの雑草の上へそっとおいた。
恐竜島
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
兼はS・O・Sの金モールの
骸骨
(
コツ
)
を
胴中
(
どうなか
)
から
真二
(
まふた
)
つにスコップでたたき
截
(
き
)
って、大きなバケツ二杯に詰めて出て来た。
難船小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
尾
(
を
)
と
頭
(
あたま
)
を
以
(
も
)
つて
撃
(
う
)
つた
炎
(
ほのほ
)
の
大蛇
(
おろち
)
は、
黒蛇
(
くろへび
)
に
變
(
へん
)
じて
剩
(
あまつさ
)
へ
胴中
(
どうなか
)
を
蜿
(
うね
)
らして
家々
(
いへ/\
)
を
卷
(
ま
)
きはじめたのである。それから
更
(
さら
)
に
燃
(
も
)
え
續
(
つゞ
)
け、
焚
(
や
)
け
擴
(
ひろ
)
がりつゝ
舐
(
な
)
め
近
(
ちか
)
づく。
露宿
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
所司代の役人達は手にした鉄棒で、
蓑虫
(
みのむし
)
のように頭ばかり出したその
人俵
(
ひとだわら
)
の
胴中
(
どうなか
)
をびしびしと
叩
(
たた
)
いた。改宗に志のある者は不自由な体を無理に動かして転がった。
切支丹転び
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
真紅
(
しんく
)
の厚い織物を脳天から肩先まで
被
(
かぶ
)
って、余る背中に
筋違
(
すじかい
)
の
笹
(
ささ
)
の葉の模様を
背負
(
しょ
)
っている。
胴中
(
どうなか
)
にただ
一葉
(
ひとは
)
、
消炭色
(
けしずみいろ
)
の中に取り残された緑が見える。それほど笹の模様は大きかった。
永日小品
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
吉田寅次郎がお
処刑
(
しおき
)
になって、首が上ったろう、そうしてお前たちと、あそこの角んところへ
胴中
(
どうなか
)
を
埋
(
い
)
けたろう、そうすると、お前、その翌日だったか、もう長州ざむれえがやって来て
大菩薩峠:38 農奴の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
木綿の薄ッぺらな
五布布団
(
いつのぶとん
)
が二つに折って敷いて有ります上に、勘藏は横になり、枕に坐布団をぐる/\巻いて、
胴中
(
どうなか
)
から
独楽
(
こま
)
の紐で縛って、
括
(
くゝ
)
り枕の代りにして、
寝衣
(
ねまき
)
の
単物
(
ひとえもの
)
にぼろ
袷
(
あわせ
)
を重ね
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
と、博士は壜の
胴中
(
どうなか
)
についている蓋をひらいて、
懐
(
ふところ
)
から出した小さな紙袋から二匹の
蠅
(
はえ
)
をポンポンと壜の中に追いやり、そして蓋を締めた。
見えざる敵
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
七面倒な、こうすべい、と荒稼ぎの
気短徒
(
きみじかてあい
)
じゃ。お前様、
上
(
うわ
)
かがりの縄の先を、嘉吉が
胴中
(
どうなか
)
へ
結
(
ゆわ
)
へ附けて、車の輪に障らぬまでに、横づけに縛りました。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
四回目には
母艇
(
ぼてい
)
ギンネコ号の探照灯をうけて
胴中
(
どうなか
)
をきらきら輝かしながら、司令艇の出入り口のうえに、こぶのようなものがすいついていた。
怪星ガン
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
殊
(
こと
)
に
崖
(
がけ
)
を、
上
(
うへ
)
の
方
(
はう
)
へ、
可
(
いゝ
)
塩梅
(
あんばい
)
に
畝
(
うね
)
つた
様子
(
やうす
)
が、
飛
(
とん
)
だものに
持
(
も
)
つて
来
(
こ
)
いなり、
凡
(
およ
)
そ
此
(
こ
)
の
位
(
くらゐ
)
な
胴中
(
どうなか
)
の
長虫
(
ながむし
)
がと
思
(
おも
)
ふと、
頭
(
かしら
)
と
尾
(
を
)
を
草
(
くさ
)
に
隠
(
かく
)
して
月
(
つき
)
あかりに
歴然
(
あり/\
)
とそれ。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
あとから兄に聞いたところによれば、あのとき兄は化物に
胴中
(
どうなか
)
をギュッと締められているように感じたという話でした。
崩れる鬼影
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
ようよう
起上
(
おきあが
)
って道の五六町も行くと、またおなじように、
胴中
(
どうなか
)
を乾かして尾も首も見えぬのが、ぬたり!
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「それが、あの児、両足をピンピン跳ねて直ぐ脱いでしまうのでね、あなた今度見て御覧なさい、そりゃ太い足ですよ、
胴中
(
どうなか
)
と同じ位に太いんです」
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
手を
萎
(
なや
)
し、足を折り、あの、昔
田之助
(
たのすけ
)
とかいうもののように
胴中
(
どうなか
)
と顔ばかりにしたいのかの、それともその上、口も利かせず、死んだも同様にという事かいの。
多神教
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
トカゲのくびを長くして、
胴中
(
どうなか
)
をふくらませたような形をして、列車の上をひょいとまたいで行ったという恐龍。
恐竜艇の冒険
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
その
内
(
うち
)
、
一本
(
ひともと
)
根から
断
(
き
)
って、
逆手
(
さかて
)
に取ったが、くなくなした
奴
(
やつ
)
、
胴中
(
どうなか
)
を巻いて水分かれをさして
遣
(
や
)
れ。
海の使者
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
お芋の一番
胴中
(
どうなか
)
の太いところが水の表面についたとき、二次元世界では、最も大きくなった円を感じるわけね。
四次元漂流
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
辿
(
たど
)
るほどに、
洋傘
(
こうもり
)
さした
蟻
(
あり
)
のよう——蝉の声が
四辺
(
あたり
)
に途絶えて、何の鳥かカラカラと
啼
(
な
)
くのを聞くと、ちょっとその
嘴
(
くちばし
)
にも、人間は
胴中
(
どうなか
)
を
横啣
(
よこぐわ
)
えにされそうであった。
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
狐のように
胴中
(
どうなか
)
が細く、そして長い
尻尾
(
しっぽ
)
を持っていまして、身体の全長は五十メートルぐらいもありました。
○○獣
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「さてはや、何でげすえ御到来物は。」と円輔は
洋燈
(
ランプ
)
の方へ顔を突出し、源次は柱に
天窓
(
あたま
)
を着けて片陰で
仰向
(
あおむ
)
いた、この両人、
胴中
(
どうなか
)
を入違いに、長火鉢の前で形が
X
(
エッキス
)
。
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
が、私はこの微小人間をぜひとも採集して行こうと思い、ピンセットを出して、彼の
胴中
(
どうなか
)
を挟もうとした。
最小人間の怪:――人類のあとを継ぐもの――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「坊や、」とばかり、あわれな
裸身
(
はだかみ
)
を抱え上げようとして、その乳のあたりを手に取ると、首が抜けて、手足がばらばら。
胴中
(
どうなか
)
の丸いものばかり蝶吉の手に残ったので
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
胴中
(
どうなか
)
がふくれて、あいきょうのある形をしている、その樽だった。上に小さい煙突のようなものがついて、そこから残りの
排気
(
はいき
)
らしい煙がすうーッと立ちのぼる。
ふしぎ国探検
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
渋色の
逞
(
たくま
)
しき手に、
赤錆
(
あかさび
)
ついた大出刃を不器用に
引握
(
ひんにぎ
)
って、
裸体
(
はだか
)
の
婦
(
おんな
)
の
胴中
(
どうなか
)
を切放して
燻
(
いぶ
)
したような、赤肉と黒の皮と、ずたずたに、血筋を
縢
(
かが
)
った中に、骨の薄く見える
露肆
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
軽火艇は、もうさっそく
木
(
こ
)
の
葉
(
は
)
のようにゆれだした。ややもすれば本艦の
胴中
(
どうなか
)
にぶっつかりそうである。
海底大陸
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
しかし太い
了簡
(
りょうけん
)
だ、あの細い
胴中
(
どうなか
)
を、鎖で
繋
(
つな
)
がれる
様
(
さま
)
が見たいと、女中達がいっておりました。
政談十二社
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そうして、ふらふらと倒れそうになったので、先生は前後の考えもなく、火星人の
胴中
(
どうなか
)
に抱きついた。
火星兵団
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
殊
(
こと
)
に崖を、上の方へ、いい
塩梅
(
あんばい
)
に
蜿
(
うね
)
った様子が、とんだものに持って来いなり、およそこのくらいな
胴中
(
どうなか
)
の長虫がと思うと、頭と尾を草に隠して、月あかりに
歴然
(
ありあり
)
とそれ。
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
胴
常用漢字
中学
部首:⾁
10画
中
常用漢字
小1
部首:⼁
4画
“胴”で始まる語句
胴
胴衣
胴間声
胴忘
胴乱
胴顫
胴服
胴巻
胴体
胴震