トップ
>
秘
>
ひ
ふりがな文庫
“
秘
(
ひ
)” の例文
旧字:
祕
さぞ、お驚きのことと思いますが、
秘
(
ひ
)
し隠して置くわけにはいきません。利七さんは、大阪でこんなことになッてしまいました。
平賀源内捕物帳:長崎ものがたり
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
共に眺めんキトウスの月、翁は久しくキトウスの月を共に眺むる人を求めて居る。若い者さえ見ると、
胸中
(
きょうちゅう
)
の
秘
(
ひ
)
をほのめかす。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
知って
秘
(
ひ
)
し隠しに隠していた。しかし何の罪によって
入牢
(
じゅろう
)
したかは、誰も教えてくれなかった。無論これ程の大罪とは知る由もなかったのだ。
悪魔の紋章
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
各々
(
おの/\
)
秘
(
ひ
)
してその術を人に伝へざるに、おなじ時おなじ村つゞきにておなじ火浣布の
奇工
(
きこう
)
を
得
(
え
)
たるも一奇事なり、是文政四五年の間の事なりき。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
またあるいは音にひびいた軍学者小幡が、はたしてどんな
奇策
(
きさく
)
を胸に
秘
(
ひ
)
めているか、それは
余人
(
よじん
)
がうかがうことも、はかり知ることもできない。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
誰が誰やらわからぬこの井戸の底の世界は、世を隠れる者、身を
秘
(
ひ
)
める人にとりては、まことに何より安息所、休息所といわなければならない。
つづれ烏羽玉
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
……云わばここは我々が幸運の星にめぐり逢うと云う
秘
(
ひ
)
められたる場所だ。天が我々に与えたもうた
恵
(
めぐ
)
みの
扉
(
とびら
)
だ。……扉は今や開け放たれねばならない。
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
その男を訪ねるに
仔細
(
しさい
)
はないが、訪ねて
行
(
ゆ
)
くのに、十年
越
(
ごし
)
の思出がある、……まあ、もう少し
秘
(
ひ
)
して置こう。
国貞えがく
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
何かの童話の主人公のやうに、父は私の
秘
(
ひ
)
しに秘してゐる事も瞬く間に見抜いて了ふのだ。それでこれは
匿
(
かく
)
しても
迚
(
とて
)
も駄目だと咄嗟の間に思ひ決めて、そつと答へた。
父の死
(新字旧仮名)
/
久米正雄
(著)
桂次
(
けいじ
)
がもとへ
送
(
おく
)
りこしたる
寫眞
(
しやしん
)
はあれども、
秘
(
ひ
)
しがくしに
取納
(
とりおさ
)
めて
人
(
ひと
)
には
見
(
み
)
せぬか、
夫
(
そ
)
れとも
人
(
ひと
)
しらぬ
火鉢
(
ひばち
)
の
灰
(
はい
)
になり
終
(
おは
)
りしか、
桂次
(
けいじ
)
ならぬもの
知
(
し
)
るによしなけれど
ゆく雲
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
閣下の
御註文
(
ごちゅうもん
)
のとおり鞄にして置くと目に立つという心配から、仕掛はこの角材の中に
秘
(
ひ
)
めて邸から持ち出されたんじゃあないでしょうか。いや、それに違いないです。
鞄らしくない鞄
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
役向の事で怨を買つたらしいことをも
直觀
(
ちよくくわん
)
してしまつた平次は、それから三日經たないうちに、獨特の探索で奉公人の全部の身許を洗ひ上げ、
秘
(
ひ
)
し
隱
(
かく
)
しに隱して居るが
銭形平次捕物控:006 復讐鬼の姿
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
行跡
(
ぎようせき
)
の
稍
(
やゝ
)
正
(
たゞ
)
しと
称
(
しよう
)
せらるゝ者も
猶
(
なほ
)
親
(
おや
)
に
秘
(
ひ
)
し夫に
秘
(
ひ
)
して
貯金帳
(
ちよきんてう
)
を
所持
(
しよじ
)
せん
為
(
ため
)
に
候
(
そろ
)
。
もゝはがき
(新字旧仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
発行所で今夜は、
同人
(
どうにん
)
の
重立
(
おもだ
)
つた人々に来て
貰
(
もら
)
つて、今日まで
秘
(
ひ
)
して居つた島木赤彦君の病気の経過を報告しようとしたのであつた。席には土屋文明君、橋本福松君もすでに見えてゐた。
島木赤彦臨終記
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
すーいと流れて行く、その両側の川楊は、梢と梢とが、ずーっと手をひろげて、もう今からは、誰も入れないというように「通せん坊」をして、そうして
秘
(
ひ
)
っそりと静まりかえってしまう
谷より峰へ峰より谷へ
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
ただ
遺憾
(
いかん
)
なるは
彼
(
か
)
の
脇屋
(
わきや
)
某が
屠腹
(
とふく
)
を命ぜられたる事を聞き、かかる
暴政
(
ぼうせい
)
の下に
在
(
あり
)
ては
何時
(
いつ
)
いかなる
嫌疑
(
けんぎ
)
をうけて首を
斬
(
き
)
られんも知れずと思い、その時
筐中
(
きょうちゅう
)
に
秘
(
ひ
)
し
置
(
おき
)
たる
書類
(
しょるい
)
は
大抵
(
たいてい
)
焼捨
(
やきすて
)
ました
瘠我慢の説:05 福沢先生を憶う
(新字新仮名)
/
木村芥舟
(著)
その
度毎
(
たびごと
)
に、おせんの
首
(
くび
)
は
横
(
よこ
)
に
振
(
ふ
)
られて、あったら
玉
(
たま
)
の
輿
(
こし
)
に
乗
(
の
)
りそこねるかと
人々
(
ひとびと
)
を
惜
(
お
)
しがらせて
来
(
き
)
た
腑甲斐
(
ふがい
)
なさ、しかも
胸
(
むね
)
に
秘
(
ひ
)
めた
菊之丞
(
きくのじょう
)
への
切
(
せつ
)
なる
思
(
おも
)
いを、
知
(
し
)
る
人
(
ひと
)
とては
一人
(
ひとり
)
もなかった。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
先生の
本旨
(
ほんし
)
は、右二氏の
進退
(
しんたい
)
に関し
多年来
(
たねんらい
)
心に
釈然
(
しゃくぜん
)
たらざるものを記して
輿論
(
よろん
)
に
質
(
ただ
)
すため、
時節
(
じせつ
)
を
見計
(
みはか
)
らい世に
公
(
おおやけ
)
にするの考なりしも、
爾来
(
じらい
)
今日に至るまで深く
筐底
(
きょうてい
)
に
秘
(
ひ
)
して人に示さざりしに
瘠我慢の説:01 序
(新字新仮名)
/
石河幹明
(著)
余等
(
よら
)
が
最
(
もつと
)
も
興味
(
きやうみ
)
を
有
(
ゆう
)
して
傾聽
(
けいちやう
)
したのは、
權現臺貝塚
(
ごんげんだいかひづか
)
の
歴史
(
れきし
)
であつて、
最初
(
さいしよ
)
に
野中
(
のなか
)
完
(
くわん
)
一
氏
(
し
)
が
發見
(
はつけん
)
したのを、
氏
(
し
)
は
深
(
ふか
)
く
秘
(
ひ
)
して
居
(
ゐ
)
たので、
其頃
(
そのころ
)
は
發掘
(
はつくつ
)
をせずとも、
表面
(
ひやうめん
)
をチヨイ/\
掻廻
(
かきまは
)
して
見
(
み
)
れば、
土偶
(
どぐう
)
探検実記 地中の秘密:02 権現台の懐古
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
ただ
秘
(
ひ
)
めよ、ただ守れ、
斎
(
いつ
)
き死ぬまで
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
ふところ
深
(
ふか
)
く
秘
(
ひ
)
めて置いて
春の詩集
(新字旧仮名)
/
河井酔茗
(著)
秘
(
ひ
)
めつゝむ
苦痛
(
くるしみ
)
遂
(
つひ
)
に
寂寞
(新字旧仮名)
/
末吉安持
(著)
各々
(
おの/\
)
秘
(
ひ
)
してその術を人に伝へざるに、おなじ時おなじ村つゞきにておなじ火浣布の
奇工
(
きこう
)
を
得
(
え
)
たるも一奇事なり、是文政四五年の間の事なりき。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
「おシヅに、ジャッキーの居どころを吐かせようと思うんだが、
秘
(
ひ
)
しかくして、どうしても言いやがらねえんです」
あなたも私も
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
雷火
(
らいか
)
の
炸裂
(
さくれつ
)
は、
詭計
(
きけい
)
でもなんでもない。
怪人
(
かいじん
)
呂宋兵衛
(
るそんべえ
)
が、ふところに
秘
(
ひ
)
めておいた一
塊
(
かい
)
の
強薬
(
ごうやく
)
を、
祭壇
(
さいだん
)
に燃えのこっていたろうそく
火
(
び
)
へ投げつけたのだ。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
夜など、この姿の大次郎にあの弥四郎頭巾を思い出して、千浪は、ひとり
秘
(
ひ
)
そかにぞっとすることが多かった。
煩悩秘文書
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
ロッセ氏が、或る
秘
(
ひ
)
め
事
(
ごと
)
を、ここで告白するのでなければ、どうにもならないのであった。
のろのろ砲弾の驚異:――金博士シリーズ・1――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
神職
秘
(
ひ
)
しがくしに秘め置くべき、この
呪詛
(
のろい
)
の
形代
(
かたしろ
)
を(藁人形を示す)言わば
軽々
(
かるがる
)
しう身につけおったは——別に、
恐多
(
おそれおお
)
い
神木
(
しんぼく
)
に打込んだのが、森の中にまだ
他
(
ほか
)
にもあるからじゃろ。
多神教
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
我
(
わ
)
れには
有
(
あ
)
らぬ
親
(
おや
)
の
昔
(
むか
)
し、
語
(
かた
)
るまじき
事
(
こと
)
と
我
(
わ
)
れも
秘
(
ひ
)
め、
父君
(
ちヽぎみ
)
は
更
(
さら
)
なり
母君
(
はヽぎみ
)
にも
家
(
いへ
)
の
耻
(
はぢ
)
とて
世
(
よ
)
に
包
(
つヽ
)
むを、
聞
(
き
)
かせ
參
(
まゐ
)
らするではなけれど、一
生
(
しやう
)
に一
度
(
ど
)
の
打明
(
うちあ
)
け
物
(
もの
)
がたり、
聞
(
きい
)
て
給
(
たま
)
はれ
憂
(
う
)
き
身
(
み
)
の
素性
(
すじやう
)
と
暁月夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
ひっくりかえすような大発明だよ。しかし、それがなんであるかは、わしのほかは、だれも知らない。木村君もしらない。うっかりしゃべったら、たいへんなことになるのだ。これは
秘中
(
ひちゅう
)
の
秘
(
ひ
)
だよ。
電人M
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
ああただ
秘
(
ひ
)
めよ、
御
(
み
)
くるすの
愛
(
あい
)
の
徴
(
しるし
)
を。
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
「養い親の人情で、虎五郎は私にそれを
秘
(
ひ
)
し
隠
(
かく
)
しにしていましたが、息をひきとる時になって、初めて、それを明かそうとしたのじゃないかと思うのです」
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それは深山理学士が戸棚の中に
秘蔵
(
ひぞう
)
していた或る品物だったが、彼はそれを係官に報告しなかった。それは決して忘れたわけではなくて、
故意
(
こい
)
に学士の心に
秘
(
ひ
)
めたものと思われる。
赤外線男
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
知
(
し
)
らぬ
心
(
こヽろ
)
に
恨
(
うら
)
みもせん
憎
(
に
)
くみもせん、
其
(
その
)
憎
(
に
)
くまるヽを
本望
(
ほんまう
)
にての
處爲
(
しよゐ
)
、
貰
(
もら
)
ひし
文
(
ふみ
)
は
何處
(
どこ
)
までも
惜
(
を
)
しきに、
封
(
ふう
)
こそ
切
(
き
)
らぬ
手文庫
(
てぶんこ
)
に
秘
(
ひ
)
めて、一
生
(
しやう
)
の
際
(
きは
)
までは
友
(
とも
)
とせん
心
(
こヽろ
)
、さりとては
我
(
わ
)
れ
生先
(
おひさき
)
のある
身
(
み
)
暁月夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
縋着
(
すがりつ
)
けば、ころ/\と
其
(
そ
)
の
掌
(
たなそこ
)
に
秘
(
ひ
)
めた
采
(
さい
)
が
鳴
(
な
)
つた。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
常
(
つね
)
秘
(
ひ
)
めて
常
(
つね
)
に
満
(
み
)
ちぬ。
新頌
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
面箱の底へ
秘
(
ひ
)
しておいた、「ばてれん
口書
(
くちがき
)
」の一
帖
(
じょう
)
も、ぜひ、何とかして取り返さなければならない。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
永らくおのれが胸だけに
秘
(
ひ
)
めていた解き得ぬ謎の解決を求めんがために
折角
(
せっかく
)
私という話相手を選んだのでしたが、
流石
(
さすが
)
の私にも彼が満足するような
明答
(
めいとう
)
を与えることが出来ませんでした。
壊れたバリコン
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
『騎者、おのおのが、持ち馬の
脚
(
あし
)
を
秘
(
ひ
)
し合うて、その日にのぞむのは、競馬の策戦で、ふしぎはない』
新・平家物語:02 ちげぐさの巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
二人の
身状
(
みじょう
)
を預かっている以上、たとえ、どんな事があっても、仲間を裏切るような真似はしないつもりだが、この間から見ていれば、何か、おれには
秘
(
ひ
)
しかくしにして
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
秘中
(
ひちゅう
)
の
秘
(
ひ
)
、味方といえども、
余人
(
よじん
)
のいるところでは、ちともうしかねます」
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
烏帽子
(
えぼし
)
のかたちにも、衣服の色にも、洗練された神経が見られ、
強装束
(
こわしょうぞく
)
という一種の風を作ったのも、鳥羽院からの流行であり、また、男性が、
面
(
おもて
)
に
粉黛
(
ふんたい
)
をほどこしたり、たもとに
香
(
こう
)
を
秘
(
ひ
)
めるなども
新・平家物語:02 ちげぐさの巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「何も、
秘
(
ひ
)
し隠しにしやしねえ」
鳴門秘帖:06 鳴門の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
春には
秘
(
ひ
)
めし、
焚
(
た
)
き
香
(
かう
)
の
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
時雨
(
しぐれ
)
」
秘
(
ひ
)
め
文
(
ぶみ
)
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“秘”の意味
《名詞》
(ヒ) 秘密
(ヒ) 計り知れない奥深いところ。秘儀、奥義。
(出典:Wiktionary)
秘
常用漢字
小6
部首:⽲
10画
“秘”を含む語句
秘密
神秘
秘蔵
秘伝
秘訣
秘奥
秘事
秘術
内秘
秘中
秘法
秘帖
秘蹟
秘戯
心秘
秘藏
秘密室
秘曲
秘蔵娘
秘書
...