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枯木
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かれき
ふりがな文庫
“
枯木
(
かれき
)” の例文
森は雪におおわれて
真白
(
まっしろ
)
になりました。高い大きな
枯木
(
かれき
)
の上で、カラスが拡声器をすえて、今しきりに、こんなことを
喋
(
しゃべ
)
っています。
ペンギン鳥の歌
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
こんな事を言ひ/\、
樵夫
(
きこり
)
が
漸
(
やつ
)
と
枯木
(
かれき
)
を
伐
(
き
)
り倒すと、なかから土で
拵
(
こさ
)
へた
梟
(
ふくろ
)
の形をした物が、三つまでころころと転がり出した。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
窓をあけてみると、ぱっと朝日の光がさしていて、向こうの桜の木立のなかの大きな一本の
枯木
(
かれき
)
が、切りたおされかかっているところでした。
山の別荘の少年
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
初冬
(
しよとう
)
の
梢
(
こずゑ
)
に
慌
(
あわたゞ
)
しく
渡
(
わた
)
つてそれから
暫
(
しばら
)
く
騷
(
さわ
)
いだ
儘
(
まゝ
)
其
(
そ
)
の
後
(
のち
)
は
礑
(
はた
)
と
忘
(
わす
)
れて
居
(
ゐ
)
て
稀
(
まれ
)
に
思
(
おも
)
ひ
出
(
だ
)
したやうに
枯木
(
かれき
)
の
枝
(
えだ
)
を
泣
(
な
)
かせた
西風
(
にしかぜ
)
が
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
なぜといえば、彼は、刑場へ来る途中、すでに、刀も待たず、
枯木
(
かれき
)
の折れるように、死ぬともみえず老衰で死んでいた。
増長天王
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
その
川端
(
かわばた
)
の
窟
(
いわや
)
で
濡
(
ぬ
)
れた
枯木
(
かれき
)
をようやく燃しつつ溪流の
清水
(
しみず
)
で茶を
拵
(
こしら
)
えて飲み、それからまただんだん降ってダカルポ(
白岩村
(
はくがんそん
)
)という所に出ました。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
苦しい長い旅のために、
巨男
(
おおおとこ
)
はやつれはてて
枯木
(
かれき
)
のようになりました。しかしそれでもゆるされなかったんです。
巨男の話
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
枯木
(
かれき
)
のような鑑哲が、ヒョイヒョイとお辞儀をして外へ出ると、其処にはションボリ待って居た若い女が一人
銭形平次捕物控:174 髷切り
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
そればかりでなく
泥面子
(
どろめんこ
)
や
古煉瓦
(
ふるれんが
)
の破片を砕いて溶かして絵具とし、
枯木
(
かれき
)
の枝を折って筆とした事もあった。
淡島椿岳:――過渡期の文化が産出した画界のハイブリッド――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
およそ何事においても行きづまれるは
見悪
(
みにく
)
きものなるが、ことに理想において行きづまり、若い気のなくなった人は、まるで
枯木
(
かれき
)
に弾力なきに
等
(
ひと
)
しく実にみすぼらしい。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
何
(
ど
)
ういたしましてお
蔭様
(
かげさま
)
で助かりましてございます。女「そこに
木
(
き
)
の
葉
(
は
)
がありますよ、
焚付
(
たきつけ
)
がありますから。
囲炉裡
(
ゐろり
)
の
中
(
なか
)
に
枯木
(
かれき
)
を
入
(
い
)
れフーツと
吹
(
ふ
)
くとどつと
燃
(
も
)
え
上
(
あが
)
りました。 ...
鰍沢雪の夜噺(小室山の御封、玉子酒、熊の膏薬)
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
命
(
いのち
)
のかぎりなれば
夫婦
(
ふうふ
)
声
(
こゑ
)
をあげほうい/\と
哭叫
(
なきさけべ
)
ども、
往来
(
ゆきゝ
)
の人もなく
人家
(
じんか
)
にも
遠
(
とほ
)
ければ
助
(
たすく
)
る人なく、手足
凍
(
こゞへ
)
て
枯木
(
かれき
)
のごとく
暴風
(
ばうふう
)
に
吹僵
(
ふきたふさ
)
れ、
夫婦
(
ふうふ
)
頭
(
かしら
)
を
並
(
ならべ
)
て雪中に
倒
(
たふ
)
れ
死
(
しゝ
)
けり。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
皆之を
押臥
(
わうぐわ
)
し其上に木葉或は
席
(
むしろ
)
を
布
(
し
)
きて臥床となす、炉を
焚
(
た
)
かんとするに
枯木
(
かれき
)
殆
(
ほとん
)
どなし、立木を
伐倒
(
きりたを
)
して之を
燻
(
くす
)
ふ、火
容易
(
やうゐ
)
に
移
(
うつ
)
らず、
寒気
(
かんき
)
と
空腹
(
くうふく
)
を
忍
(
しの
)
ぶの困難亦甚しと云ふべし
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
東皐子
(
とうくわうし
)
はそれを
聞
(
き
)
いて、
手紙
(
てがみ
)
で『
思
(
おも
)
ひ
直
(
なほ
)
して
來
(
く
)
る
氣
(
き
)
は
無
(
な
)
いか
鳥
(
とり
)
も
枯木
(
かれき
)
に二
度
(
ど
)
とまる』と
言
(
い
)
つて
寄越
(
よこ
)
す。
幻翁
(
げんおう
)
もすゝめる。
罵
(
のゝし
)
りながらも
實
(
じつ
)
は
行
(
ゆ
)
きたいので、
又
(
また
)
出掛
(
でか
)
ける。
相變
(
あひかは
)
らず
何
(
なに
)
も
無
(
な
)
い。
探検実記 地中の秘密:03 嶺の千鳥窪
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
此の頭
三三八
何ばかりの物ぞ。此の戸口に
充満
(
みちみち
)
て、雪を積みたるよりも白く
輝
(
きら
)
々しく、
眼
(
まなこ
)
は
鏡
(
かがみ
)
の如く、
角
(
つの
)
は
枯木
(
かれき
)
の
如
(
ごと
)
、三
尺
(
たけ
)
余りの口を開き、
紅
(
くれなゐ
)
の舌を
吐
(
は
)
いて、只一
呑
(
のみ
)
に飲むらん
勢
(
いきほひ
)
をなす。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
まづ
學問
(
がくもん
)
といふた
處
(
ところ
)
が
女
(
おんな
)
は
大底
(
たいてい
)
あんなもの、
理化學政法
(
りくわがくせいはう
)
などヽ
延
(
の
)
びられては、お
嫁
(
よめ
)
さまの
口
(
くち
)
にいよ/\
遠
(
とほ
)
ざかるべし、
第
(
だい
)
一
皮相
(
ひさう
)
の
學問
(
がくもん
)
は
枯木
(
かれき
)
に
造
(
つく
)
り
花
(
ばな
)
したも
同
(
おな
)
じにて
眞心
(
まこと
)
の
人
(
ひと
)
は
悦
(
よろこ
)
はぬもの
経つくゑ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
父のように大海の
泡沫
(
ほうまつ
)
のなかに消えて姿を見せない死、おばあさんのように
病
(
や
)
みほうけて
枯木
(
かれき
)
のようになってたおれた
生涯
(
しょうがい
)
、
昨日
(
きのう
)
まで元気だったのが一夜のうちに夢のように消えてしまった
二十四の瞳
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
いつも
枯木
(
かれき
)
をつついて食べ物を見つけるのに苦労をしなければならぬ。
母の手毬歌
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
見
(
み
)
る
間
(
ま
)
に
水
(
みづ
)
を
離
(
はな
)
れて、すれ
違
(
ちが
)
つて、
背後
(
うしろ
)
なる
木納屋
(
きなや
)
に
立
(
た
)
てかけた
數
(
すう
)
百
本
(
ぽん
)
の
材木
(
ざいもく
)
の
中
(
なか
)
に
消
(
き
)
えた、トタンに
認
(
みと
)
めたのは、
緑青
(
ろくしやう
)
で
塗
(
ぬ
)
つたやうな
面
(
おもて
)
、
目
(
め
)
の
光
(
ひか
)
る、
口
(
くち
)
の
尖
(
とが
)
つた、
手足
(
てあし
)
は
枯木
(
かれき
)
のやうな
異人
(
いじん
)
であつた。
三尺角拾遺:(木精)
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「そのどっさりおりますことと申しますと、群がり集まった足はちょうどすすきの原のすすきのようでございますし、群がった
角
(
つの
)
は、ちょうど
枯木
(
かれき
)
の林のようでございます」と
韓袋
(
からぶくろ
)
は申しあげました。
古事記物語
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
彼
(
かれ
)
は
冬
(
ふゆ
)
になつてまた
起
(
おこ
)
りかけた
僂痲質斯
(
レウマチス
)
を
恐
(
おそ
)
れて
極
(
きは
)
めてそろ/\と
歩
(
ほ
)
を
運
(
はこ
)
んだ。
利根川
(
とねがは
)
を
渡
(
わた
)
つてからは
枯木
(
かれき
)
の
林
(
はやし
)
は
索寞
(
さくばく
)
として
連續
(
れんぞく
)
しつゝ
彼
(
かれ
)
を
呑
(
の
)
んだ。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
枯木
(
かれき
)
のやうな鑑哲が、ヒヨイヒヨイとお辭儀をして外へ出ると、其處にはシヨンボリ待つて居た若い女が一人
銭形平次捕物控:174 髷切り
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
むかし支唐
禅師
(
ぜんじ
)
といふ坊さんが、
行脚
(
あんぎや
)
をして出羽の国へ往つた。そして
土地
(
ところ
)
の
禅寺
(
ぜんでら
)
に
逗留
(
とうりう
)
してゐるうち、その寺の
後方
(
うしろ
)
に大きな椎の木の
枯木
(
かれき
)
があるのを
発見
(
めつ
)
けた。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
空しく壮図を抱いて中途にして
幽冥
(
ゆうめい
)
に入る千秋の遺恨は死の瞬間までも
悶
(
もだ
)
えて死切れなかったろうが、
生中
(
なまなか
)
に小さい文壇の名を歌われて
枯木
(
かれき
)
の如く畳の上に朽ち果てるよりは
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
そのせきは、冬の夜、
枯木
(
かれき
)
のうれをならす風の音のように、ヒュウヒュウいった。
うた時計
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
憂
(
う
)
きに
月日
(
つきひ
)
の
長
(
なが
)
からん
事
(
こと
)
愁
(
つ
)
らや、
何事
(
なにごと
)
もさらさらと
捨
(
す
)
てヽ、
憂
(
う
)
からず
面白
(
おもしろ
)
からず
暮
(
くら
)
したき
願
(
ねが
)
ひなるに、
春風
(
はるかぜ
)
ふけば
花
(
はな
)
めかしき、
枯木
(
かれき
)
ならぬ
心
(
こヽろ
)
のくるしさよ、
哀
(
あは
)
れ
月
(
つき
)
は
無
(
な
)
きか
此胸
(
このむね
)
はるけたきにと
暁月夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
はだかの
枯木
(
かれき
)
が残ってるだけでした。
山の別荘の少年
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
雪降りて
枯木
(
かれき
)
に花は開きつる
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
珍しい
枯木
(
かれき
)
に見えよう。
二世の契
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
枯木
(
かれき
)
の
林
(
はやし
)
は
立
(
た
)
ち
騰
(
のぼ
)
る
煙草
(
たばこ
)
の
煙
(
けぶり
)
が
根
(
ね
)
の
切
(
き
)
れた
儘
(
まゝ
)
すつと
急
(
いそ
)
いで
枝
(
えだ
)
に
絡
(
から
)
んで
消散
(
せうさん
)
するのも
隱
(
かく
)
さずに
空洞
(
からり
)
として
居
(
ゐ
)
る。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
孫右衞門は
枯木
(
かれき
)
のやうな手を振りながら、淋しく笑ふのです。
銭形平次捕物控:311 鬼女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
さらでも
老
(
おい
)
ては
僻
(
ひが
)
むものとか
況
(
いは
)
んや
貧
(
ひん
)
にやつれ
苦
(
く
)
にやつれ
人
(
ひと
)
恨
(
うら
)
めしく
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
つらく
明
(
あ
)
けては
歎
(
なげ
)
き
暮
(
く
)
れては
怒
(
いか
)
り
心
(
こゝろ
)
晴間
(
はれま
)
なければさまでには
無
(
な
)
き
病氣
(
びやうき
)
ながら
何時
(
いつ
)
癒
(
なほ
)
るべき
景色
(
けしき
)
もなくあはれ
枯木
(
かれき
)
に
似
(
に
)
たる
儀右衞門夫婦
(
ぎゑもんふうふ
)
待
(
ま
)
ちわびしきは
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
“枯木”の意味
《名詞》
枯死した樹木。枯れ木。
(出典:Wiktionary)
枯
常用漢字
中学
部首:⽊
9画
木
常用漢字
小1
部首:⽊
4画
“枯木”で始まる語句
枯木寒巌
枯木立
枯木林
枯木寒鴉図
枯木鳴鵙図