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日影
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ひかげ
ふりがな文庫
“
日影
(
ひかげ
)” の例文
光治
(
こうじ
)
は、しばらくそこに
立
(
た
)
って、じいさんを
見送
(
みおく
)
っていますと、その
姿
(
すがた
)
は
日影
(
ひかげ
)
の
彩
(
いろど
)
るあちらの
森
(
もり
)
の
方
(
ほう
)
に
消
(
き
)
えてしまったのでありました。
どこで笛吹く
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
紺絣
(
こんがすり
)
の兄と
白絣
(
しろがすり
)
の
弟
(
おとと
)
と二人並んで、じり/\と上から照り附ける暑い
日影
(
ひかげ
)
にも
頓着
(
とんぢやく
)
せず、余念なく移り変つて行く川を眺めて居た。
朝
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
一個々玉を
欺
(
あざむ
)
く
礫
(
こいし
)
の上を琴の相の手弾く様な音立てゝ、金糸と閃めく
日影
(
ひかげ
)
紊
(
みだ
)
して
駛
(
はし
)
り行く水の清さは、まさしく溶けて流るゝ水晶である。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
いとゞ寒さのきびしきに、雪の都の
高塀
(
たかべい
)
の、
日影
(
ひかげ
)
もらさぬ
石牢
(
いしらう
)
に、しとねもあらぬ板の間に、こゞえ
縮
(
ちゞ
)
みつ苦しまん、友をおもへばたゞ涙
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
其壁
(
そのかべ
)
を
越
(
こ
)
して、
桑樹
(
くはのき
)
の
老木
(
らうぼく
)
が
繁
(
しげ
)
り、
壁
(
かべ
)
の
折
(
を
)
り
曲
(
まが
)
つた
角
(
かど
)
には
幾百年
(
いくひやくねん
)
經
(
た
)
つか、
鬱
(
うつ
)
として
日影
(
ひかげ
)
を
遮
(
さへぎ
)
つて
居
(
ゐ
)
る
樫樹
(
かしのき
)
が
盤居
(
わだかま
)
つて
居
(
ゐ
)
ます。
日の出
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
▼ もっと見る
土地
(
とち
)
のものが、
其方
(
そなた
)
の
空
(
そら
)
ぞと
視
(
なが
)
め
遣
(
や
)
る、
谷
(
たに
)
の
上
(
うへ
)
には、
白雲
(
はくうん
)
行交
(
ゆきか
)
ひ、
紫緑
(
むらさきみどり
)
の
日影
(
ひかげ
)
が
添
(
そ
)
ひ、
月明
(
つきあかり
)
には、
黄
(
き
)
なる、
又
(
また
)
桃色
(
もゝいろ
)
なる、
霧
(
きり
)
の
騰
(
のぼ
)
るを
時々
(
ときどき
)
望
(
のぞ
)
む。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
と思ふと、再び
微
(
かす
)
かな
日影
(
ひかげ
)
が
差
(
さ
)
しかけて来たりして、時とすると、忍び寄つてくるやうな軽い足音で、片時雨が静かに廂に音づれて来るのであつた。
閾
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
宗助
(
そうすけ
)
は
家
(
うち
)
へ
歸
(
かへ
)
つて
御米
(
およね
)
に
此
(
この
)
鶯
(
うぐひす
)
の
問答
(
もんだふ
)
を
繰
(
く
)
り
返
(
かへ
)
して
聞
(
き
)
かせた。
御米
(
およね
)
は
障子
(
しやうじ
)
の
硝子
(
がらす
)
に
映
(
うつ
)
る
麗
(
うらゝ
)
かな
日影
(
ひかげ
)
をすかして
見
(
み
)
て
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
唯
(
ただ
)
杉
(
すぎ
)
や
竹
(
たけ
)
の
杪
(
うら
)
に、
寂
(
さび
)
しい
日影
(
ひかげ
)
が
漂
(
ただよ
)
つてゐる。
日影
(
ひかげ
)
が、——それも
次第
(
しだい
)
に
薄
(
うす
)
れて
來
(
く
)
る。もう
杉
(
すぎ
)
や
竹
(
たけ
)
も
見
(
み
)
えない。おれは
其處
(
そこ
)
に
倒
(
たふ
)
れた
儘
(
まま
)
、
深
(
ふか
)
い
靜
(
しづ
)
かさに包まれてゐる。
藪の中
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
天の兒屋の命
太祝詞
(
ふとのりと
)
言祷
(
ことほ
)
ぎ白して、天の
手力男
(
たぢからを
)
の神
一六
、戸の
掖
(
わき
)
に隱り立ちて、天の
宇受賣
(
うずめ
)
の命、天の香山の天の
日影
(
ひかげ
)
を
手次
(
たすき
)
に
繋
(
か
)
けて、天の
眞拆
(
まさき
)
を
鬘
(
かづら
)
として
一七
古事記:02 校註 古事記
(その他)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
日影
(
ひかげ
)
ものと云う秘密の奥に、今一つある秘密を、ここまで持って来たまま
蓋
(
ふた
)
を開けずに、そっくり持って帰ろうと、際どい所で決心して、話を余所に
逸
(
そ
)
らしてしまった。
雁
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
「やぃ。虔十、
此処
(
ここ
)
さ杉植えるな※てやっぱり
馬鹿
(
ばか
)
だな。第一おらの畑ぁ
日影
(
ひかげ
)
にならな。」
虔十公園林
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
雨が
落
(
お
)
ちたり
日影
(
ひかげ
)
がもれたり、
降
(
ふ
)
るとも降らぬとも
定
(
さだ
)
めのつかぬ、
晩秋
(
ばんしゅう
)
の
空
(
そら
)
もようである。いつのまにか風は、ばったりなげて、人も気づかぬさまに、
小雨
(
こさめ
)
は足のろく降りだした。
告げ人
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
冬の日の弱い
日影
(
ひかげ
)
を、くもり
硝子
(
ガラス
)
と窓かけで更に弱めに病室の中で、これが今朝生れたといううす赤い
柔
(
やわら
)
かい骨も何もないような肉体を手に受けとらせられると、本当に
変
(
へん
)
な気もちになる。
親は眺めて考えている
(新字新仮名)
/
金森徳次郎
(著)
日影
(
ひかげ
)
弱
(
よは
)
き
初冬
(
はつふゆ
)
には
稀
(
まれ
)
なる
暖
(
あたゝか
)
さに
候
(
そろ
)
まゝ
寒斉
(
かんさい
)
と申すにさへもお
耻
(
はづ
)
かしき
椽端
(
えんばた
)
に
出
(
い
)
でゝ
今日
(
こんにち
)
は背を
曝
(
さら
)
し
居
(
を
)
り
候
(
そろ
)
、
所謂
(
いはゆる
)
日向
(
ひなた
)
ぼつこに
候
(
そろ
)
日向
(
ひなた
)
ぼつこは今の
小生
(
せうせい
)
が
唯一
(
ゆいいつ
)
の楽しみに
候
(
そろ
)
、
人知
(
ひとし
)
らぬ楽しみに
候
(
そろ
)
もゝはがき
(新字旧仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
日影
(
ひかげ
)
うらうらと
霞
(
かす
)
みて
朝
(
あさ
)
つゆ
花
(
はな
)
びらに
重
(
おも
)
く、
風
(
かぜ
)
もがな
蝴蝶
(
こてふ
)
の
睡
(
ねむ
)
り
覺
(
さ
)
ましたきほど、
靜
(
しづ
)
かなる
朝
(
あした
)
の
景色
(
けしき
)
、
甚之助
(
じんのすけ
)
子供
(
こども
)
ごヽろにも
浮
(
う
)
き
立
(
たち
)
て、
何時
(
いつ
)
より
早
(
はや
)
く
庭
(
には
)
にかけ
下
(
お
)
りれば、
若樣
(
わかさま
)
、と
隙
(
す
)
かさず
呼
(
よ
)
びて
暁月夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
けふも
日影
(
ひかげ
)
の
長閑
(
のどけ
)
さに
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
千々
(
ちゞ
)
の
日影
(
ひかげ
)
のたゞずまひ
孔雀船
(旧字旧仮名)
/
伊良子清白
(著)
薄れゆく
障子
(
しやうじ
)
の
日影
(
ひかげ
)
一握の砂
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
日影
(
ひかげ
)
にしめらへる
白羊宮
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
、
薄田淳介
(著)
森
(
もり
)
の
下
(
した
)
の
徑
(
こみち
)
を
行
(
ゆ
)
けば、
土
(
つち
)
濡
(
ぬ
)
れ、
落葉
(
おちば
)
濕
(
しめ
)
れり。
白張
(
しらはり
)
の
提灯
(
ちやうちん
)
に、
薄
(
うす
)
き
日影
(
ひかげ
)
さすも
物淋
(
ものさび
)
し。
苔
(
こけ
)
蒸
(
む
)
し、
樒
(
しきみ
)
枯
(
か
)
れたる
墓
(
はか
)
に、
門
(
もん
)
のみいかめしきもはかなしや。
弥次行
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
前夜
(
ぜんや
)
の
雨
(
あめ
)
が
晴
(
はれ
)
て
空
(
そら
)
は
薄雲
(
うすぐも
)
の
隙間
(
あひま
)
から
日影
(
ひかげ
)
が
洩
(
もれ
)
ては
居
(
ゐ
)
るものゝ
梅雨
(
つゆ
)
季
(
どき
)
は
爭
(
あらそ
)
はれず、
天際
(
てんさい
)
は
重
(
おも
)
い
雨雲
(
あまぐも
)
が
被
(
おほ
)
り
(
ママ
)
重
(
かさ
)
なつて
居
(
ゐ
)
た。
汽車
(
きしや
)
は
御丁寧
(
ごていねい
)
に
各驛
(
かくえき
)
を
拾
(
ひろ
)
つてゆく。
湯ヶ原ゆき
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
上りの小蒸汽が白いペンキ塗の船体を暑い
日影
(
ひかげ
)
にキラキラさせて、浅瀬につかへて居る
傍
(
そば
)
をも通つて行つた。
朝
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
京都
(
きやうと
)
へ
着
(
つ
)
いた
一日目
(
いちにちめ
)
は、
夜汽車
(
よぎしや
)
の
疲
(
つか
)
れやら、
荷物
(
にもつ
)
の
整理
(
せいり
)
やらで、
徃來
(
わうらい
)
の
日影
(
ひかげ
)
を
知
(
し
)
らずに
暮
(
く
)
らした。
二日目
(
ふつかめ
)
になつて
漸
(
やうや
)
く
學校
(
がくかう
)
へ
出
(
で
)
て
見
(
み
)
ると、
教師
(
けうし
)
はまだ
出揃
(
でそろ
)
つてゐなかつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
尾花に残る
日影
(
ひかげ
)
は消え、
蒼々
(
そうそう
)
と暮れ行く空に山々の影も没して了うた。余は
猶
(
なお
)
窓に凭って眺める。突然白いものが目の前に
閃
(
ひら
)
めく。はっと思って見れば、
老木
(
ろうぼく
)
の
梢
(
こずえ
)
である。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
さかずきは、それでも、
無事
(
ぶじ
)
に、ふたたび
江戸時代
(
えどじだい
)
と
変
(
か
)
わらない、
東京湾
(
とうきょうわん
)
に
近
(
ちか
)
い、
空
(
そら
)
の
色
(
いろ
)
を、
街
(
まち
)
の
中
(
なか
)
からながめたのであります。そして、またここで、
日影
(
ひかげ
)
のうすい、一
日
(
にち
)
をまどろむのでした。
さかずきの輪廻
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
斑
(
まだら
)
なる
日影
(
ひかげ
)
這
(
は
)
ひ
入
(
い
)
る
一握の砂
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
家の
中
(
ちう
)
二
階
(
かい
)
は川に臨んで居た。
其処
(
そこ
)
にこれから
発
(
た
)
たうとする一家族が船の準備の出来る間を集つて待つて居た。七月の暑い
日影
(
ひかげ
)
は岸の竹藪に
偏
(
かたよ
)
つて流るゝ
碧
(
あを
)
い瀬にキラキラと照つた。
朝
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
梅雨
(
つゆ
)
は二三日前からあがって、暑い
日影
(
ひかげ
)
はキラキラと校庭に照りつけた。扇の音がパタパタとそこにも、ここにも聞こえる。女教員の白地に
菫色
(
すみれいろ
)
の袴が眼にたって、額には汗が見えた。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
“日影”の意味
《名詞》
日 影(ひかげ、ニチエイ)
一般的な意味は ひかげ 参照。
(ニチエイ)特に建築やその関連法において、建造物によって生じる影。
(出典:Wiktionary)
“日影”の解説
日影(にちえい、文和2年/正平8年11月7日(1353年12月3日) - 応永26年8月4日(1419年8月24日))は、日蓮正宗総本山大石寺第8世法主。
(出典:Wikipedia)
日
常用漢字
小1
部首:⽇
4画
影
常用漢字
中学
部首:⼺
15画
“日影”で始まる語句
日影蔓
日影町
日影門