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引寄
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ひきよ
ふりがな文庫
“
引寄
(
ひきよ
)” の例文
徐
(
やお
)
ら、雪のような
白足袋
(
しろたび
)
で、脱ぎ棄てた
雪駄
(
せった
)
を
引寄
(
ひきよ
)
せた時、
友染
(
ゆうぜん
)
は一層はらはらと、模様の花が
俤
(
おもかげ
)
に立って、ぱッと
留南奇
(
とめき
)
の
薫
(
かおり
)
がする。
春昼後刻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
老人
(
ろうじん
)
は彼を
引寄
(
ひきよ
)
せた。クリストフはその
膝
(
ひざ
)
に
身体
(
からだ
)
を
投
(
な
)
げかけ、その
胸
(
むね
)
に顔をかくした。彼は
嬉
(
うれ
)
しくて
真赤
(
まっか
)
になっていた。
ジャン・クリストフ
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
どうも
有難
(
ありがた
)
う
存
(
ぞん
)
じます……
左様
(
さやう
)
なら
御遠慮
(
ごゑんりよ
)
なしに
頂戴
(
ちやうだい
)
致
(
いた
)
しますと、
亭主
(
ていしゆ
)
の
河合金兵衛
(
かはひきんべゑ
)
が
茶
(
ちや
)
を
点
(
た
)
つてる
間
(
あひだ
)
に、
小丼
(
こどんぶり
)
を
前
(
まへ
)
に
引寄
(
ひきよ
)
せて
乞食
(
こじき
)
ながらも、
以前
(
いぜん
)
は名のある
神谷幸右衛門
(
かみやかうゑもん
)
大仏餅。袴着の祝。新まへの盲目乞食
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
黒縮
(
くろちり
)
つくりで
裏
(
うら
)
から出て来たのは、
豈斗
(
あにはか
)
らんや
車夫
(
くるまや
)
の女房、一
町
(
てう
)
許
(
ばかり
)
行
(
ゆ
)
くと
亭主
(
ていし
)
が待つて
居
(
ゐ
)
て、そらよと
梶棒
(
かぢぼう
)
を
引寄
(
ひきよ
)
すれば、
衣紋
(
えもん
)
もつんと
他人行儀
(
たにんぎようぎ
)
に
澄
(
す
)
まし返りて急いでおくれ。
もゝはがき
(新字旧仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
何時
(
いつ
)
のまにやら、縁側に座を設けた京姫は、豊かに脇息を
引寄
(
ひきよ
)
せて、少し苦り切って、——その癖存分に面白そうに、美しい眉などを
顰
(
ひそ
)
めてそれを眺めているではありませんか。
奇談クラブ〔戦後版〕:06 夢幻の恋
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
流石
(
さすが
)
に
信如
(
しんによ
)
袖
(
そで
)
ふり
切
(
き
)
りて
行
(
ゆき
)
すぎる
事
(
こと
)
もならず、さりとて
人
(
ひと
)
の
思
(
おも
)
はくいよ/\
愁
(
つ
)
らければ、
手近
(
てぢか
)
の
枝
(
えだ
)
を
引寄
(
ひきよ
)
せて
好惡
(
よしあし
)
かまはず
申譯
(
まうしわけ
)
ばかりに
折
(
を
)
りて、
投
(
なげ
)
つけるやうにすたすたと
行過
(
ゆきす
)
ぎるを
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
海龜
(
うみがめ
)
は
深
(
ふか
)
くも
長太息
(
ためいき
)
を
吐
(
つ
)
いて、その
眼前
(
がんぜん
)
に
懸
(
かゝ
)
れる一
枚
(
まい
)
の
屏風岩
(
べうぶいは
)
を
引寄
(
ひきよ
)
せました。
彼
(
かれ
)
は
愛
(
あい
)
ちやんの
方
(
はう
)
を
見
(
み
)
て、
談話
(
はなし
)
をしやうとしましたが、
暫
(
しばら
)
くの
間
(
あひだ
)
、
歔欷
(
すゝりなき
)
のために
其
(
そ
)
の
聲
(
こゑ
)
が
出
(
で
)
ませんでした。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
ごろりと
轉
(
ころ
)
げて
大
(
だい
)
の
字
(
じ
)
なり、
坐團布
(
ざぶとん
)
を
引寄
(
ひきよ
)
せて
二
(
ふた
)
つに
折
(
をつ
)
て
枕
(
まくら
)
にして
又
(
また
)
も
手當次第
(
てあたりしだい
)
の
書
(
ほん
)
を
讀
(
よ
)
み
初
(
はじ
)
める。
陶淵明
(
たうえんめい
)
の
所謂
(
いはゆ
)
る「不
レ
求
二
甚解
一
」
位
(
くらゐ
)
は
未
(
ま
)
だ
可
(
よ
)
いが
時
(
とき
)
に一ページ
讀
(
よ
)
むに一
時間
(
じかん
)
もかゝる
事
(
こと
)
がある。
都の友へ、B生より
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
龍介は鉛筆とノオトを
引寄
(
ひきよ
)
せながらいった。
幽霊屋敷の殺人
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
願ふと云ふも
忍
(
しの
)
び
泣
(
なき
)
殊
(
こと
)
に他人に有ながら當家へ
養子
(
やうし
)
に來た日より
厚
(
あつ
)
く
深切
(
しんせつ
)
盡
(
つ
)
くして呉し支配人なる久八へ
鳥渡成
(
ちよつとなり
)
とも
書置
(
かきおき
)
せんと
有
(
あり
)
あふ
硯
(
すゞり
)
引寄
(
ひきよ
)
せて涙ながらに
摺流
(
すりなが
)
す
墨
(
すみ
)
さへ
薄
(
うす
)
き
縁
(
え
)
にしぞと
筆
(
ふで
)
の
命毛
(
いのちげ
)
短
(
みじ
)
かくも
漸々
(
やう/\
)
認
(
したゝ
)
め
終
(
をは
)
りつゝ
封
(
ふう
)
じる
粘
(
のり
)
より
法
(
のり
)
の
道
(
みち
)
心ながら
締直
(
しめなほ
)
す帶の
博多
(
はかた
)
の一本
獨鈷
(
どつこ
)
眞言
(
しんごん
)
成ねど
祕密
(
ひみつ
)
の爲
細腕
(
ほそうで
)
成ども我一心長庵如き何の其
岩
(
いは
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
背に手をかけ
引寄
(
ひきよ
)
せて、
玉
(
たま
)
の如きその
乳房
(
ちぶさ
)
をふくませたまひぬ。
露
(
あらわ
)
に白き
襟
(
えり
)
、肩のあたり
鬢
(
びん
)
のおくれ毛はらはらとぞみだれたる、かかるさまは、わが姉上とは
太
(
いた
)
く違へり。
竜潭譚
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
何
(
なに
)
此騷
(
このさわ
)
ぎの
中
(
なか
)
で
好惡
(
よしあし
)
を
言
(
い
)
ふ
物
(
もの
)
が
有
(
あ
)
らうか、お
賣
(
う
)
りお
賣
(
う
)
りと
言
(
い
)
ひながら
先
(
さき
)
に
立
(
た
)
つて
砂糖
(
さとう
)
の
壺
(
つぼ
)
を
引寄
(
ひきよ
)
すれば、
目
(
め
)
ッかちの
母親
(
はゝおや
)
おどろいた
顏
(
かほ
)
をして、お
前
(
まへ
)
さんは
本當
(
ほんとう
)
に
商人
(
あきんど
)
に
出來
(
でき
)
て
居
(
ゐ
)
なさる
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
と云いながら
硯箱
(
すゞりばこ
)
を
引寄
(
ひきよ
)
せますゆえ、おいさは
泣々
(
なく/\
)
蓋
(
ふた
)
を取り、
泪
(
なみだ
)
に墨を
磨
(
す
)
り流せば、
手負
(
ておい
)
なれども
気丈
(
きじょう
)
の丈助、金十万円の借用証書を認めて、
印紙
(
いんし
)
を
貼
(
は
)
って、
実印
(
じついん
)
を
捺
(
お
)
し、ほッ/\/\と息をつき
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
傍
(
かたはら
)
の
風呂敷包
(
ふろしきづつみ
)
を
引寄
(
ひきよ
)
せ
其
(
それ
)
に
包
(
つゝ
)
んで
了
(
しま
)
つた。
湯ヶ原ゆき
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
引寄
(
ひきよ
)
せても
遁
(
に
)
げないから、
密
(
そつ
)
と
手
(
て
)
を
入
(
い
)
れると、
尻尾
(
しつぽ
)
を
一寸
(
ちよつと
)
ひねつて、二つも三つも
指
(
ゆび
)
のさきをチヨ、チヨツと
突
(
つゝ
)
く。
此奴
(
こいつ
)
と、ぐつと
手
(
て
)
を
入
(
い
)
れると、スイと
掌
(
てのひら
)
に
入
(
はい
)
つて
来
(
く
)
る。
十和田湖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
奧方
(
おくがた
)
は
火鉢
(
ひばち
)
を
引寄
(
ひきよ
)
せて、
火
(
ひ
)
の
氣
(
け
)
のありやと
試
(
こゝろ
)
みるに、
宵
(
よひ
)
に
小間使
(
こまづか
)
ひが
埋
(
い
)
け
參
(
まい
)
らせたる、
櫻炭
(
さくら
)
の
半
(
なかば
)
は
灰
(
はひ
)
に
成
(
な
)
りて、よくも
起
(
おこ
)
さで
埋
(
い
)
けつるは
黒
(
くろ
)
きまゝにて
冷
(
ひ
)
えしもあり、
烟管
(
きせる
)
を
取上
(
とりあ
)
げて一二
服
(
ふく
)
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
と
衝
(
つ
)
と手を
袴越
(
はかまごし
)
に白くかける、とぐいと
引寄
(
ひきよ
)
せて、横抱きに抱くと、
獅子頭
(
ししがしら
)
はばくりと
仰向
(
あおむ
)
けに地を払って、
草鞋
(
わらんじ
)
は高く
反
(
そ
)
った。
鶏
(
とり
)
の
羽
(
はね
)
の
飾
(
かざり
)
には、
椰子
(
やし
)
の葉を吹く風が渡る。
春昼後刻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「
茶
(
ちや
)
がなかつたら、
内
(
うち
)
へ
行
(
い
)
つて
取
(
と
)
つて
來
(
き
)
な。
鐵瓶
(
てつびん
)
をおかけ。」と
小造
(
こづくり
)
な
瀬戸火鉢
(
せとひばち
)
を
引寄
(
ひきよ
)
せて、ぐい、と
小机
(
こづくゑ
)
に
向
(
むか
)
ひなすつた。それでも、せんべい
布團
(
ぶとん
)
よりは、
居心
(
ゐごころ
)
がよかつたらしい。
火の用心の事
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
引
常用漢字
小2
部首:⼸
4画
寄
常用漢字
小5
部首:⼧
11画
“引”で始まる語句
引
引込
引摺
引返
引張
引掛
引籠
引立
引緊
引出