其方そのはう)” の例文
先年せんねん自分じぶんに下されしなり大切の品なれども其方そのはうねがひ點止もだし難ければつかはすなりと御墨付おんすみつきを添てくだんの短刀をぞたまはりける其お墨付すみつきには
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
したがつて其方そのはう談判だんぱんは、はじめからいまかつふでにしたことがなかつた。小六ころくからは時々とき/″\手紙てがみたが、きはめてみじかい形式的けいしきてきのものがおほかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
それより一同いちどう種々いろ/\まをしてかれ御前ごぜんにわびたりければ、幼君えうくんふたゝび御出座ごしゆつざありて、籠中かごのなかひとむかはせられ、「其方そのはうさほどまでにくるしきか」
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
しかなにれには意味いみがあるやうにおもはれる。「——およげないとの辯疏いひわけで——」其方そのはうにはおよげぬか、え?』つて軍人ネーブはう御覽ごらんになりました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
其方そのはうの伜文三とよく似てはゐらつしやるが、若樣は人品骨柄が違ひ、それに左の頬に目につくほどの黒子ほくろがある。
ことつたら、しゆきみも、それをおりにならうとなさらないのだらう。ときに、あの子供こどもたちもいやうだ。しゆきみかへつて其方そのはういと仰有おつしやるだらう。
イヤ先日せんじつかんつてつたところへ、其方そのはうさからつたものだから、つまらん事をまうして気の毒に心得こゝろえ出牢しゆつらうをさした、其方そのはう入牢中じゆらうちうに一作つたから見てれ。シ
詩好の王様と棒縛の旅人 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
うした地主ぢぬしにばかり出會であはしてれば文句もんくいなどたはむれつゝ、其方そのはう發掘はつくつかゝつたが、此所こゝだ三千年せんねんらいのつかぬところであつて、貝層かひそう具合ぐあひ大變たいへんい。
『まア貴下あなたあれがえないの。アゝ最早もうえなくなつた。』と老婦人らうふじん殘念ざんねんさうに舌打したうちをした。義母おつかさん一寸ちよつ其方そのはうたばかり此時このとき自分じぶんおもつた義母おつかさんよりか老婦人らうふじんはう幸福しあはせだと。
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
のち商業学校せうげふがくかうてんじて、中途ちうとから全然すつかりふでたうじて、いまでは高田商会たかだせうくわいに出てりますが、硯友社けんいうしやためにはをしい人をころしてしまつたのです、もつとも本人の御為おためには其方そのはう結搆けつかうであつたのでせう
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
張揚はりあげコリヤ憑司只今傳吉夫婦が言立る所は如何にも明白めいはくなり然すれば其方そのはうは公儀をいつは罪人ざいにんこゝ不屆ふとゞき者めと白眼にらめらるゝに憑司はハツとかうべ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
その鰹船かつをぶねひとづゝこの器械きかいそなけるやうになつたら、莫大ばくだい利益りえきだつてふんで、此頃このごろ夢中むちゆうになつて其方そのはうばつかりにかゝつてゐるやうですよ。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
ツの壁越かべごしですが、寢臺ねだいわたしこほりついたやうにつて、じつ其方そのはうますと、きました、たかかべと、天井てんじやう敷合しきあはせのところから、あの、女性をんな
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
ういたしまして、うも遠方ゑんぱうところ恐入おそれいります、いづれも稼業人かげふにんばかりですからなるたけ早くいたしてしまひたいとぞんじます。「其方そのはうい、机やなに立派りつぱ出来できたね。 ...
黄金餅 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
「いや其方そのはうに申してもわかるまい。主人半兵衞が案内してくれる筈であつたが、拙者でも分らぬことはあるまい。——ところで、店の名前の入つた提灯ちやうちんを一つ借り度い」
あはれなちひさな蜥蜴とかげ甚公じんこう眞中まンなかて、二ひきぶたさゝへられながら一ぽんびんからなんだかしてもらつてましたが、あいちやんの姿すがたるとぐにみん其方そのはう突進とつしんしました
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
神戸かうべまゐつたのも、まつた其方そのはう用向ようむきなので。石油發動機せきゆはつどうきとかなんとかふものを鰹船かつをぶねけるんだとかつてね貴方あなた
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
へい、芝居茶屋しばゐぢややの若いしゆさんのお世辞せじだよ、うむ、其方そのはうからう、エヽ此手このてでは如何いかゞでございます。と機械きかいへ手をかけてギイツとくとなかから世辞せじ飛出とびだしました。
世辞屋 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
ハツハツハツ、町方御用聞の其方そのはうには氣の毒だが、俺は數馬殺しの下手人ではないよ。
其方そのはう懷妊くわいにんの由我等血筋に相違是なしもし男子なんし出生しゆつしやうに於ては時節を以て呼出すべし女子たらば其方の勝手に致すべし後日證據の爲め我等われらに添大切に致し候短刀たんたう相添あひそへつかはし置者也依て如件
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
事件じけんくわんして、其方そのはうぞんじてることは!』と王樣わうさまあいちやんにまをされました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
其様そんな貴方あなた劇剤げきざい分度外ぶんどぐわいにおいれになりましてはえらことになりませう。殿「ナニよろしい、心配しんぱいをするな、安心してすぐ此場このばめ、さア/\今度こんど其方そのはうてやらう、何歳なんさいぢや。 ...
華族のお医者 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
三年前、少しばかりの油斷から、其方そのはうの繩に掛つたが、鈴ヶ森の處刑場しおきばに引出されるといふ間際になつて、仲間のものの助勢で、首尾よく繩拔けをし、上方かみがたへ行つて暫らく時節を待つた。
ところ当今たうこんではみな門弟等もんていらや、孫弟子共まごでしども面白おもしろをかしく種々いろ/\に、色取いろどりけてお話をいたしますから其方そのはうかへつてお面白おもしろい事でげすが、円朝わたくし申上まうしあげまするのはたゞ実地じつちに見ました事をかざりなく
士族の商法 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
ナニ心配する事はない、コレ井上ゐのうへ此所これい、ついで其方そのはうつかはすから。井上「有難ありがたうはぞんじますが、何分なにぶん裸体はだかになりますのをはゞかりますで、生憎あいにく今日けふ下帯したおびめてまゐりませぬから。 ...
華族のお医者 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)